ソフトウエアによる柔軟なネットワーク制御が可能なOpenFlowフレームワーク「バーチャルネットワークコントローラ® バージョン2.0」を提供開始

ニュースリリース/NTTデータ

2013年1月29日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:岩本 敏男、以下NTTデータ)は、ソフトウエアによるネットワークの柔軟な制御が可能なSoftware-Defined Networking(以下、SDN)ビジネスの展開に向け、ネットワーク基盤技術「OpenFlow注1」を簡易に導入できるソフトウエアフレームワーク「バーチャルネットワークコントローラ® バージョン2.0」の販売を2013年2月28日より開始します。本フレームワークにより、利用者は仮想ネットワークを構築・制御する機能に加えて、顧客のニーズに最適なネットワーク構築が実現できるOpenFlowコントローラの開発が可能となります。

これに合わせて、NTTデータは本フレームワークの開発パートナーの募集を2013年2月1日から開始します。これにより、開発パートナーが本フレームワーク上に自由にネットワーク制御機能を実装することが可能となり、SDNならではの柔軟なネットワークの制御が可能になります。

NTTデータでは、本フレームワークの販売を含むSDNビジネスで、2013年度に年間10億円の売り上げを目指します。

背景

昨今、ビジネス環境の変化は年々加速しており、企業競争力の維持のために、ITシステムをビジネスニーズに柔軟かつ迅速に適応することが求められています。こうした中、これまでは機器ベンダーが開発した機能をそのまま利用するしかなかったネットワークの分野で、ソフトウエアが持つ自由度と開発スピードを生かして柔軟にネットワーク機能を提供できるSDNに大きな期待が集まっています。ONF(Open Networking Foundation)注2ではこのSDNの普及展開を目的として、重要な技術基盤であるOpenFlowの標準化を推進しています。

OpenFlowでは、従来は同一のネットワーク装置内に存在した伝送機能と制御機能とが分離され、制御機能をソフトウエアとして集約することが可能です。これにより、ネットワークの一元管理や他システムとの連携を容易に実現でき、ネットワークの運用コストの低減や、ITシステムのセキュリティーをネットワークレベルで向上させるなど、さまざまな応用が期待されています。

本製品の特長

既存のOpenFlowコントローラの多くは、ネットワークの仮想化機能まで実装されており、特定のユースケースに最適化されたアーキテクチャーとなっています。オープンソースソフトウエアでは、特定のユースケースに依存しないフレームワークも提供されていますが注3、現状では検証用としての活用が中心で、商用システムに最適な形で導入されている事例は多くはありません。

このような状況を踏まえ、NTTデータは、大規模・高信頼かつマルチベンダーのシステム開発の実績を活かし、それぞれのユースケースに対応したOpenFlowコントローラを構築できる商用フレームワークとして、「バーチャルネットワークコントローラ バージョン2.0」を開発しました。

本フレームワークは、OpenFlowスイッチとの通信を行うVNC(Virtual Network Controller)-NOSと、スイッチング等のネットワーク機能を提供するVNC-AP(Application)から構成されます。VNC-NOSの機能はVNC-NOS API(Application Programming Interface)を通して利用することができ、サードパーティーがVNC-APを自由に実装できるアーキテクチャーを採用しました(図)。また、VNC-NOSが各ベンダーのスイッチの仕様の違いを吸収するため、VNC-APは各社スイッチとの接続性を意識する必要はありません。これらにより、ネットワーク構築を行う事業者は、スイッチの仕様にとらわれることなく、顧客のニーズを満たすネットワーク機能を柔軟に構築することができます。

さらに、本フレームワークでは、VNC-Standard APとして仮想ネットワークを構築・制御する機能を提供します。本APは、OpenStack注4との連携により、VNC-APを新たに開発することなくクラウドサービスを構築することが可能です。

【図】

図:「バーチャルネットワークコントローラ バージョン2.0」のアーキテクチャー

開発パートナー制度について

NTTデータは、サードパーティーによるVNC-APの開発を推進するために、開発パートナー制度を立ち上げ、2013年2月1日より募集を開始します。開発パートナーはVNC-NOS APIを利用することで、多様なサービス要件に対応したVNC-APを独自に開発することが可能です。開発したVNC-APは、開発パートナーのデータセンター等で利用するだけでなく、社外への販売も可能です。さらに本フレームワークの利用ライセンスを、開発パートナーに割引価格で提供することで、SDNビジネス全体の市場拡大を図っていきます。

お試し開発版の提供について

本フレームワークのライセンス購入を検討の事業者向けに、利用期間および機能を限定した「お試し開発版」を、同日に提供開始します。「お試し開発版」では、接続可能な台数を制限したフレームワークソフトウエアにより、VNC-Standard APIを使用した仮想ネットワークの構築検証や、VNC-NOS APIを利用した検証アプリケーションの開発が可能です。また、購入者向けのセミナーを実施予定です。

対応スイッチ

「バーチャルネットワークコントローラ バージョン2.0」は、OpenFlowバージョン1.0に準拠しており、以下のスイッチと正しく接続できることを確認しています。

  • NEC UNIVERGE PF5240
  • IBM RackSwitch G8264/G8264T
  • Riava AS4600-54T/L3
  • Pica8 Pronto 3290/3780
  • Open vSwitch 1.4.3

今後について

本フレームワークの販売開始を足がかりに、データセンターネットワークだけでなく、キャンパスネットワークや拠点ネットワークへのSDNの展開を推進していきます。また、運用コストの削減だけではなく、セキュリティーや認証システムとの連携など、安全性やユーザー利便性の向上といった幅広い適用価値を視野に、SDNビジネス市場の振興を図っていきます。

NTTデータでは、本フレームワークの販売を含むSDNビジネスで、2013年度に年間10億円の売り上げを目指します。

注釈

  • 注1非営利組織「Open Networking Foundation(ONF)」により標準化が進められているネットワークを制御するためのソフトウエアインターフェース規格です。
  • 注2NTTデータを含むNTTグループは2011年よりONFに理事的役割を持つボードメンバーとして参画しています。
  • 注3代表的なオープンソースのOpenFlowコントローラとして、Trema、Floodlight、NOXなどが挙げられます。
  • 注4オープンソースのクラウド基盤ソフトウエア
  • 「バーチャルネットワークコントローラ」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
田中
TEL:03-5546-8051

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
基盤システム事業本部
第三技術統括部
磯部、水野、永園
TEL:050-5546-2301
E-mail:vnc-info@kits.nttdata.co.jp