既存システムのソースコード解析および設計書作成を自動化「設計書リカバリーサービス」を提供開始
2013年4月24日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータは、既存システムのソースコードから設計書を自動再生し提供する「設計書リカバリーサービス」を4月24日より開始します。
長期にわたって運用されるシステムでは人手のかかる設計書整備の不備・不足による保守開発の困難さや有識者依存の業務が問題となっています。また、システム更改を行う場合も仕様が不明確で問題化するケースもあります。システムを正しく理解するために設計書の不備・不足を解消するには、既存システムのソースコードを解析する必要があるため、多大な時間を要していました。
今回提供を開始する設計書リカバリーサービスは、ソースコードを100%自動解析し、設計書を自動で再生するサービスです。また、設計書フォーマットも利用者の要望にあわせてカスタマイズできるため、既存システムと同様の形式で設計書の出力が可能になります。
本サービスについては、長期にわたりシステムを運用している企業向けに広く展開していくと同時に、NTTデータのAMO注1サービス「TISAFYS®注2」との統合をはじめ、海外グループ会社のNTTDATA, Inc.のAMOソリューション「DynAMO℠(ダイナモ)」との連携など、グローバルでの展開も行い、3年間で100件の提供を目指します。
背景
システムの保守開発現場では保守運用の為、ソースコードの修正・変更が随時発生し、その対応内容を設計書へ反映させます。しかし度重なるシステム改修や技術者不足などの理由により、修正・変更内容の反映漏れによるソースコードと設計書の乖離といった不備や、ソースコード内容が記載されていないという設計書自体の不足がしばしば発生していることがあります。
特に長期にわたって運用されているシステムではこの傾向が顕著で、システム改修などの保守開発が困難となる問題が発生しています。その一方で保守開発の現場では、変更要求発生時などに迅速かつ正確な対応が求められており、設計書の不備・不足はシステム改修内容の決定判断や、正確なシステム改修の妨げになるため大きな問題となっています。また、そのシステムを熟知した技術者や、長期間運用されているようなシステムで多く用いられているCOBOL注3やPL/I注4などのスキルを持つ要員そのものが減少しているという状況もあります。
これらの問題を解決するため、NTTデータはこれまで進めてきた「システム開発の自動化」技術の1つである「TERASOLUNA®注5 Reengineering」を用い、「設計書リカバリーサービス」を新たに提供開始することとしました。
概要(特長)
設計書リカバリーサービスは、システム運用者へのヒアリング・コンサルティングを行いながら、現行のソースコードを元に現行設計書の姿に合わせて設計書を再生し、提供するサービスです。
- ソースコードを100%自動解析、ドキュメントの回復が可能
設計書リカバリーサービスは、ソースコードに対する高度な解析技術を活用しています。一般的なリバースエンジニアリングツール注6では、既存システムにおいて独自のマクロ等、特殊な作りこみがあると分析が困難でしたが、設計書リカバリーサービスでは、解析エンジンのカスタマイズが容易な仕組みのため、柔軟に対応することができます。
- 独自仕様の設計書フォーマットに対応可能
設計書を作成する際には、お客さまの要望に合わせたコンサルティングから実施します。
一般的なリバースエンジニアリングツールでは、生成される設計書はそのツールオリジナルのフォーマットとなりますが、設計書リカバリーサービスでは、設計書を再生するエンジンのカスタマイズを実施することができるため、既存システム独自仕様の設計書フォーマットに合わせた出力にも対応できます。
- レガシーな言語へ対応
20~30年前から継続して長期運用されているシステムに適用できるよう、COBOL、JCL注7、PL/Iといった言語に対応をしており、その他の言語についても今後順次拡充していく予定です。
本サービスを利用することで、設計書の不備・不足のため、設計書を元にした保守開発を行えなくなった保守開発現場も、不足している設計書を容易に入手することができます。この結果、保守開発現場では、保守開発が強化され、昨今のビジネス変化のスピードに追随できるスピード、クオリティーを確保することができるようになるとともに、保守コストの低減に取り組むことが可能となります。
今後について
本サービスのほか、今後、TERASOLUNA Reengineeringの解析技術を用い、影響範囲分析、コード修正時の自動テストルート抽出やテストデータ自動生成のように、より保守運用に役立つ新サービスも提供していく予定です。
なお、本サービスについては、長期にわたりシステムの運用をしている企業向けに広く展開していくと同時に、NTTデータのAMOサービス「TISAFYS」との統合をはじめ、海外グループ会社のNTTDATA, Inc.のAMOソリューション「DynAMO」との連携など、グローバルでの展開も行い、3年間で100件の提供を目指します。
参考
本技術はNTT DATA Technology Foresight 2013 技術トレンド『デリバリー短縮を実現する超高速開発』として、NTTデータが開発・提供するものです。
- 注NTT DATA Technology Foresightとは、NTTデータが毎年策定する「近未来の展望と技術トレンド」です。
社会とビジネスの課題に基づき、中長期的にお客さまのビジネスへ大きなインパクトを与えるであろう「近未来の展望=情報社会トレンド」と、それを裏打ちする「技術トレンド」を、幅広い調査や有識者インタビューに基づき選定しています。
注釈
- 注1AMOとは、企業システムの運用、保守や管理などの業務を外部の業者に委託することです。
- 注2TISAFYSとは、お客さまのカスタムアプリケーションの運用・保守を手がけるNTTデータのAMOサービスです。
- 注3COBOL言語とは、事務処理用に開発されたプログラム言語です。企業などの基幹系システムで長期にわたって利用されていることが多くあります。
- 注4PL/I言語とは、科学技術用、工業用、商業用などに開発されたプログラム言語です。
- 注5TERASOLUNAとは、NTTデータのシステム開発を支える、オープン系システム開発のための総合ソリューションです。数多くのシステム開発実績をもとにした「開発標準」「開発環境」「サポート」をトータルで提供しており、TERASOLUNAを活用することで、高品質なシステム開発が実現できます。
- 注6リバースエンジニアリングツールとは、ソースコードをもとに設計情報を自動生成するツールです。
- 注7JCLとは、ジョブを制御するためのスクリプト言語です。
- 「TERASOLUNA」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
- 「TISAFYS」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
- 「DynAMO」はNTT DATA, Inc.の商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
報道関係のお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
広報部
三宅、太田、甘田(かんだ)
TEL:03-5546-8051
製品・サービスに関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
技術開発本部
ソフトウェア工学推進センタ
津野、谷野
TEL:050-5546-8779