システム仕様変更時の影響調査効率化機能を共同開発 ~上流工程設計書から、仕様変更に伴う設計書の影響箇所を特定~

ニュースリリース/NTTデータ

2013年9月17日

株式会社NTTデータ
株式会社日本総合研究所

株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:岩本 敏男、以下 NTTデータ)と株式会社日本総合研究所(本社:東京都品川区、代表取締役社長:藤井 順輔、以下 日本総研)は、システム開発における仕様変更時等の影響調査の効率化のため、仕様変更の際に影響がある設計書を上流工程の設計書(業務フロー図など)からキーワード検索で探し出せる「トレーサビリティー機能」を共同で開発し、平成25年9月13日に両社共同で特許出願申請しました。NTTデータは、このトレーサビリティー機能を開発ツール「TERASOLUNA®(テラソルナ) DS」の拡張機能として追加し、平成25年9月13日に提供を開始しました。さらにNTTデータは、平成25年度内に30以上の社内外のプロジェクトに対して、トレーサビリティー機能を搭載した「TERASOLUNA DS」の適用を目指します。

開発の背景と経緯

仕様変更を含むシステム開発では、仕様変更によって影響が及ぶ箇所を特定する作業(影響調査作業)を、開発着手前に実施することが必要です。しかし、この影響調査作業には多大な労力がかかるという問題があるうえ、特に仕様の変更や追加が重なり、設計内容の複雑度が増している場合は、その分だけ影響調査作業が困難となり、調査結果の精度も悪化しがちです。実際、影響調査作業が不十分であったために、プロジェクトの品質や進捗に深刻な影響がもたらされた例は少なくありません。

今回開発された「トレーサビリティー機能」は、日本総研が影響調査作業の効率化を図るためのアイデアを考案し、NTTデータが具体的な開発を実施したものです。また、NTTデータの開発ツールである「TERASOLUNA DS」には、拡張機能の一つとして、このトレーサビリティー機能が実装されることになりました。

【図】

図:「トレーサビリティー機能」利用イメージ

トレーサビリティー機能の概要

トレーサビリティー機能の特長

システム開発および保守で発生する主な問題の一つとして、設計変更によるディグレード(変更箇所以外のところで不整合が発生すること)が挙げられます。ディグレード状態を看過したまま本番システムへ移行してしまうと、本番業務において仕様変更以外のところで悪影響が出て障害が発生したりすることがあります。この問題を防止するためには、設計変更の際に影響箇所を分析/特定し、初めからディグレードが発生しない状態に保つ必要があります。

今回、考案・開発されたトレーサビリティー機能は、設計変更の際に影響箇所の分析/特定を効率的かつ正確に行うための機能です。

  • 1回のキーワード検索で、複数の設計書の影響調査作業が可能
  • 上流工程の設計書(業務フロー図等)から関連する他の設計書を網羅的に探索可能
  • 影響調査の作業経過を記録し、第三者が作業履歴と結果を検証可能
  • トレーサビリティー機能について両社共同で特許出願済です。

TERASOLUNA DSについて

「TERASOLUNA DS」は、既存システムの設計書、新仕様を定義した設計書、さらに開発途中でより詳細化・具体化される成果物などから設計情報を抽出し一元管理することができるソフトウエア開発ツールです。抽出した設計情報を活用して、通常、レビューにおいて人手で行う設計書の整合性チェックや表記揺れチェックの自動化や、設計書・ソースコードの高速検索、仕様変更時の影響範囲分析、設計書の入力支援など、システム開発を支援するさまざまな機能を提供します。

特長

  • 設計書から設計情報を抽出/解析することで、システム開発のさまざまな作業を効率化
  • 品質確保の視点で必須となる多数のチェックルールを搭載
  • CRUD注1など設計書をまたがる定型的なチェックが不要となるため、レビュー工数を削減可能
  • 設計書レビューでのすり抜けに伴う手戻りを防止
  • 仕様変更等による影響範囲を素早く調査可能

今後について

今後NTTデータは、平成25年度内に30以上の社内外のプロジェクトに対して、トレーサビリティー機能を搭載した「TERASOLUNA DS」の適用を目指します。

日本総研は、トレーサビリティー機能を搭載した「TERASOLUNA DS」を数プロジェクトで実務活用して影響調査作業の効率化効果を確認し、その後の適用拡大を目指します。

また、両社は、設計書とソースコードの整合性を確保する機能など、さらなる開発技術の高度化を目指して共同研究、開発を進めていきます。

注釈

  • 注1CRUD

    データベース管理システム(DBMS)に必要とされる4つの主要な機能、「作成(Create)」「読み出し(Read)」「更新(Update)」「削除(Delete)」をそれぞれ頭文字で表したもの。

  • 「TERASOLUNA」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
戸田
TEL:03-5546-8051

株式会社日本総合研究所
広報部
山口
TEL:03-6833-5691

製品・サービスに関するお問い合わせ先

「トレーサビリティー機能」について
株式会社NTTデータ
第一金融事業本部
第一営業企画担当
江口、横沢
TEL:050-5546-8466

「TERASOLUNA DS」について
技術開発本部
ソフトウェア工学推進センタ
宮館(みやだて)、山下
TEL:050-5546-2482