船舶IoTの次世代プラットフォームの共同実験に成功 ~遠隔管理による高度な船舶モニタリングの実現へ~
2018年2月15日
日本郵船株式会社
株式会社MTI
日本電信電話株式会社
株式会社NTTデータ
日本郵船株式会社(以下NYK)、株式会社MTI(以下MTI)、日本電信電話株式会社(以下NTT)および株式会社NTTデータ(以下NTTデータ)は、NYKグループの内航船「ひだか注1」で船舶IoTの次世代プラットフォームに関する実証実験に成功しました。
NYKグループでは、安全・効率運航への取り組みの一つとして、運航状態、機器状態などの詳細な船舶データをモニタリングし、船と陸上で情報共有するためのパフォーマンスマネージメントシステム「SIMS注2」の開発を進めてきました。昨年9月からは4社連携の下、NTT研究所のエッジコンピューティング技術注3を応用し、船上に設置したSIMSに新機能やアプリケーションを陸上から遠隔で配信・管理する仕組みを付加した次世代プラットフォームを開発してきました。配信実験は、インフラ設備のIoTソリューションなどで実績のあるNTTデータのIoTプラットフォーム「ANYSENSE注4」を用いて、実施しました。
同プラットフォームは、一般社団法人日本舶用工業会が中心となって取り組んできた船舶IoT分野に関する国際標準規格化注5に対応しており、さらに収集したデータは船上で活用するだけではなく、一般社団法人日本海事協会が設立した株式会社シップデータセンター(ShipDC)注6にも送信・蓄積されることで、海事業界で推進している船舶IoTオープンプラットフォームでの利用も可能になります。
今後は、NYKグループの外航船でも実証実験を行う予定です。引き続き4社で連携し、船舶の安全性・経済性の追求、環境への取り組みおよび国際的な競争力の強化のため、海事産業のイノベーション創出を目指します。
次世代プラットフォームの概念図
注釈
- 注1ひだか
近海郵船株式会社が所有・運航する「ひだか」は同社の環境・先進技術のフラッグシップ。フル電子制御の低速主機関を搭載しているほか、低摩擦塗や高効率プロペラを採用するなど随所に工夫を凝らした次世代型の省エネ船として、2015年に就航したRORO船(貨物を積んだトラックや荷台ごと輸送する船舶)。
- 注2SIMS
「SIMS (Ship Information Management System)」。運航状態や燃費、機器状態など、毎時間の詳細な本船データを船陸間でタイムリーに共有することを可能とする装置。
- 注3エッジコンピューティング技術
データセンターとデバイスの間にデータの中間処理を行うエッジサーバーを設置し、データの処理計算を分散させることで、リアルタイムなサービス、ビッグデータ処理に対してより高速な処理を可能にする技術。
- 注4ANYSENSE
インフラ設備のIoTソリューションなどで実績のあるNTTデータによるIoTプラットフォームサービス。最新の通信技術やデータ蓄積技術を採用し、制御装置の一種であるPLC(programmable logic controller)などの各種の装置と接続が可能。
- 注5船舶IoT分野に関する国際標準規格化
船舶IoTデータ活用を効率的に行うための基盤としての各種船舶運航データの国際標準規格化案。一般社団法人日本舶用工業会が主催するスマートナビゲーションシステム研究会が国際標準化機構(ISO)に対して提案、2013年10月から策定中。
- ISO/FDIS 19847:航海系、機関系、その他の系統の実海域データを、時間軸をそろえて共有するための船内のデータサーバー諸要件。
- ISO/FDIS 19848:機器やシステム間の連接利便性向上のための船舶搭載機器間、またはシステム間でやり取りされる各種データ標準。
- 注6株式会社シップデータセンター(ShipDC)
海事産業全体におけるビッグデータの活用機会を最大化することを目指して、一般財団法人日本海事協会によって2015年に設立された企業。
関連プレスリリース
2017年9月19日発表:船舶IoTの次世代プラットフォームに関する共同実験の開始とさらなる連携について
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
広報部
TEL:03-5546-8051