制御システムの安心・安全な運用を実現するサイバーセキュリティ技術「InteRSePT®」の販売を開始 ~運転状態ごとの高機能セキュリティ対策が低コスト・省スペースで可能に~

ニュースリリース/NTTデータ

2018年4月25日

三菱重工業株式会社
日本電信電話株式会社
株式会社NTTデータ
NTTコミュニケーションズ株式会社

三菱重工業株式会社(以下三菱重工)、日本電信電話株式会社(以下NTT)、株式会社NTTデータ(以下NTTデータ)、およびNTTコミュニケーションズ株式会社(以下NTT Com)は、三菱重工とNTTが共同開発を進めてきた重要なインフラ(社会基盤)などの制御システム向けサイバーセキュリティ技術「InteRSePT®注1を製品化し、2018年5月より販売開始します。未知のサイバー攻撃に対するリアルタイムの異常検知および対処を可能とし、安心・安全なシステム運用の実現に貢献します。火力発電設備や化学プラントなど可用性注2が重視される民需分野を積極開拓していきます。

1.これまでの経緯

マルウェア注3やDDoS攻撃注4のようなサイバー攻撃に対するセキュリティ対策であるIDS/IPS注5、FW注6に加え、近年は、攻撃対象機器の動作特性や制御指令を監視し、指令送信のタイミングや指令内容の一部を改変して、対象機器を故障させる高度なサイバー攻撃への対策が求められています。

三菱重工とNTTは、こうしたニーズの高まりに対応するため、2016年3月にセキュリティ技術の研究開発を開始。同年11月には、三菱重工が防衛・宇宙分野で培った信頼性および安全性の高い制御技術と、NTT研究所が保有するセキュリティ統合管理・制御技術注7を組み合わせることにより、InteRSePT®の試作を完成させました。

その後、東京都内にある三菱重工のセキュリティ開発・実証拠点「サイバーラボ」で、試作の評価および制御システムへの適合性検証を行い、InteRSePT®のさらなる高度化およびO&M(運用およびメンテナンス)ビジネスへの適用範囲の拡大をはかった結果、今回の製品化・販売開始に至ったものです。

2.InteRSePT®の特徴

InteRSePT®は、「リアルタイム検知・対処装置」と「セキュリティ統合管理装置」で構成されます。ネットワークに流れるセンサ情報等のデータを統合的に監視し、従来の技術では対応が困難だった制御指令を悪用したサイバー攻撃を検知します。対象機器の運転状態ごとに、リアルタイムに適用するセキュリティルールを変更することで異常を早期に発見し、可用性を維持しながら未知のサイバー攻撃にも迅速に対応可能になります(共同特許出願中)。

また、InteRSePT®はネットワークの細部まで確認することができ、多様な産業設備・機器に対する適合性に優れています。

【図】

InteRSePT®イメージ図

  1. 1.制御システムのネットワークに流れるセンサ情報等のパケットを収集・分析して運転状態を把握。
  2. 2.運転状態等に応じて「リアルタイム検知・対処装置」における通信制御ルールを変更。
  3. 3.ルールに基づいてパケットを分析し、通過・遮断を制御。
  4. 4.複数のセンサ情報を「セキュリティ統合管理装置」に集約し、制御システム全体の挙動を統合的に監視(ふるまい検知処理注8)することで異常を早期発見し、未知のサイバー攻撃にも迅速に対応。

3.製品化にあたり

リアルタイム検知・対処装置には汎用ハードウェアを採用し、併せてネットワークスイッチと一体化することにより、低コスト・省スペース化を実現し、システム導入を容易にしました。併せて、セキュリティ統合管理装置の処理を並列化することにより、ふるまい検知処理の高速化が可能となりました。

4.各社の役割

三菱重工 「InteRSePT®」の販売/制御システムに応じたデータ分析・運転状態推定/異常検知手法、対処・復旧手法の開発および最適化設計
NTT NTT研究所が保有するセキュリティ統合管理・制御技術およびリアルタイム検知・対処技術の提供
NTTデータ 「InteRSePT®」をベースとしたセキュリティ対策ソリューションの市場展開支援
NTT Com NTT研究所のコア技術を市場に適用するために必要なデータ集積や異常検知に関する技術開発、およびセキュリティ対策ソリューションの商用化

5.今後について

今後は、三菱重工とNTT、NTTデータおよびNTT Comの協業によりInteRSePT®の低コスト・高機能性および高速処理能力、ならびに導入容易性をさまざまな業界にアピールし、個別のセキュリティ対策ソリューションを提案するとともに市場開拓を進めていきます。

さらにInteRSePT®で集約・解析したセンサ情報を、セキュリティ対策に加えて運転パラメータ最適化や予防保全による維持整備期間短縮などに有効活用し、顧客オペレーション効率向上に貢献するO&Mトータルソリューションビジネスとしての展開を進めていきます。

注釈

  • 注1InteRSePT®:Integrated Resilient Security and Proactive Technologyの略で、三菱重工の登録商標。
  • 注2可用性:システムを停止することなく継続して稼働できること。
  • 注3マルウェア:Malware, Malicious Softwareの短縮語で悪意のあるソフトウェア。
  • 注4DDoS攻撃:Distributed Denial of Service attack, 分散型サービス拒否攻撃。
  • 注5IDS/IPS:Intrusion Detection System/Intrusion Protection System, 侵入検知・防御システム。
  • 注6FW:FireWall, 不正アクセス判別・遮断システム。
  • 注7セキュリティ統合管理・制御技術:対象機器/システムの状態や異常発生のイベントなど、攻撃の検知にまつわる情報を収集・分析し、対処装置群を統合制御して多層的な防御を実現する技術。
  • 注8ふるまい検知処理:対象機器/システムのいつもの運転状態と異なる挙動を検知する処理。

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