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「堅実さ」と「柔軟さ」を兼ね備え、信用金庫業界の未来を切り拓く

信用金庫統括部では、200以上もの信用金庫業界様が共同で利用する「しんきん共同システム」などの提供を通じて地域経済の活性化に貢献しています。金融システムは社会を支えるインフラであり、安定稼働の実現には非常に高いレベルでの精密さが求められます。そのためこうした業務に携わる当事業部も「堅い組織」と思われることが少なくありません。しかし実際にはフランクな雰囲気で、役職の垣根なくコミュニケーションが盛んです。信用金庫担当部長を務める鈴木雅士が、自身が歩んできた骨太なシステム開発と、業界の課題に向き合うフレキシブルな組織について語ります。

目次

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基盤系担当の専門チームを作り、効率運用と人財育成の好循環を実現

20年以上にわたり、本組織で信用金庫業界のお客様に向けたシステム提供をしてきた鈴木。社会インフラを支えるという役割を果たすために、数々のプロジェクトに参画してきました。長いキャリアの中でターニングポイントとなったのは、全国234の信用金庫が参加する「しんきん共同システム」(※1)のセンタハード集約のプロジェクトだったと言います。全国に7つあったホスト・コンピュータを2つに集約するという内容で、入社6年目の鈴木は端末担当を率いるポジションを任されました。

※1 一般社団法人しんきん共同センターが運営し、全国の信用金庫の元帳と呼ばれる各種情報の根幹となるデータの管理等を行う基幹系システム。

他にも経験豊富な先輩はいましたが、私自身の成長に期待した上長が、「鈴木が行ってこい」と名指しで背中を押してくれたのです。入社以来ずっと端末に特化した経験を積んでいたので、そのプロジェクトで初めて信金共同システム全体に触れる設計に参画し、端末担当代表としてプロジェクト主管とのカウンターとしての役割を経験しました。

ホスト側・端末側それぞれ複数のチームに相対しながら推進する難しさはありましたが、多角的な経験ができたことでかなり視野が広がったこと、そして多くの人とコネクションができたことは、その後のキャリアにおいて非常に役立ちました。

当時の鈴木にとってのモチベーションは、「知らないことの多さ」でした。知らないことに直面するたび、とことん調べ、自分の力にしていく。そうすることで、仕事が進む。繰り返しながら得意な領域を増やし、徐々に大規模なプロジェクトに関わっていけるようになったと言います。

得意な領域を増やす中で順調に経験を重ね、2013年には課長を務めることになりました。そこで取り組んだのが、組織体制の見直しでした。それまで1つのチームに「アプリケーション」担当とOSやミドルウェア領域の「基盤」担当の両方が所属し、企画から導入・運用までを一貫して担当していたところを、鈴木は基盤担当だけを集めたチームを作り、効率的な運用を可能にしました。

アプリケーションはシステムごとに開発環境や求められる知見も異なりますが、基盤に関してはシステムごとに差異はほとんどありません。そこで、各チームの基盤担当に声をかけ、15名ほどを私の配下に集めました。

各システムの必要なタイミングでオーダーをもらう体制にしたことで、効率的にリソースを割けるだけではなく、短いスパンで多様なプロジェクトに参画できるため、メンバーの成長速度が上がったというメリットもありました。

専門チームによって、人財育成の面でも好循環があったと説明する鈴木。やがてチームを率いる鈴木の役割は、組織とともに大きくなっていきました。

あだ名で呼ばれるほどフランクな雰囲気をつくりボトムアップを実現

鈴木は2020年から開発責任者としてプロジェクトをまとめ上げながら、信用金庫統括部の部長も務めています。金融業界のシステムをご支援していると「堅い」というイメージを持たれがちですが、鈴木が率いる組織は非常にフランクです。

私自身は、先輩に厳しく鍛えてもらいました。そのおかげで今がありますが、自分がマネジメントするならコミュニケーションがとりやすいフラットな組織にしたいと思っていました。現場の意見を吸い上げ、それをチーム編成や体制に反映していく。そんな環境づくりをしたことで、一人ひとりが自発的に動ける組織になりました。

結果、私だけでは見渡しきれないような大規模なプロジェクトでも、メンバーそれぞれが率先して動いてくれるので、非常に助かっています。

鈴木は自身が率いるチームの魅力を、「それぞれ抱えている思いは違うけれど、みんな前向きで仲がいい」と胸を張ります。経験者採用入社で加わったメンバーにとっても、上長と距離が近く声を掛けやすい環境が魅力になっているようです。

経験者採用入社のメンバーも、周りにならって私のことを「マーシーさん」と呼んでくれたりしています。社歴は浅いのですが、高い技術力があり率先して意見を出してくれる優秀なエンジニアで、多くの刺激をもらっています。別のメンバーからもコロナ禍前は「マーシーさん、Wi-Fiがある居酒屋にゲームを持ち込んで遊びましょう!」って誘われることもありましたね(笑)。

風通しがいい組織だからこそ、特にトラブル対応時に発揮されるチームワークも抜群だと言います。鈴木の印象に残っているのは、2018年の房総台風での出来事です。広範囲で停電が発生し、急遽ネットワークの切り替え作業が必要となり対策室を立ち上げた際、招集をかけるよりも早く、メンバーたちが集まっていました。

金融機関のお客様はあらゆるリスクを考慮しなければならないため、災害時の対応についても慎重にならざるを得ません。「作業を行う」という正式な意思決定に時間がかかってしまうからこそ、先んじて準備を進め、指示が出たらすぐ動ける体制にしておくことが私たちの重要な役割です。それを理解し、お客様の指示を先回りして行動できるメンバーたちがとても頼もしかったです。

「先進的な取り組み」と「品質の継承」を両立する組織へ

社会インフラを支える重要な仕事だからこそ、「お客様の一歩先を考え、自ら動く」という風土が根付く信用金庫統括部。強みをさらに発揮すべく、これまで手がけてきた金融システムという領域を超え、信用金庫様とともに中小企業や地域の方を対象としたサービスづくりに挑んでいます。

例えば、しんきん事業部ではシニア向け健康寿命延伸サービス「ミナスタ!™を提供しています。これは、利用者の自宅のスマートスピーカーを使用してコミュニケーションや生活サポート、見守りが行えるサービスです。

私たちが扱ってきたオンライン取引とはまったく異なったサービスですが、信用金庫様の向こうにいる利用者をターゲットにして、「高齢者の見守り」と「地域活性への貢献」が叶う新しい試みだと感じています。

画期的な事業に取り組む一方で、足元ではリリースから47年が経った「しんきん共同システム」で、メインフレームをオープン化するという非常に大掛かりなプロジェクトが動き出しています。この仕組みは2024年に自社製品「PITON™(ピトン)(※2)」として提供も開始される予定で、業界内で注目度が高まっています。

※2 メインフレーム上に構築された金融機関の勘定系システムなど、高い信頼性が求められるシステムを安全にオープン化できるフレームワーク。メインフレーム向けに開発されたアプリケーションをオープン系の基盤上で稼動させることが可能になる。

鈴木は先進的な取り組みを確実に進めながら、こうした骨太のプロジェクトで金融システムとして備えるべき“品質”を後進に継承していくことを重要視しています。

DXをはじめとした先進的なサービスは、実績がない企業でも新規参入できる領域です。しかし、私が長年従事してきた分野は違う。これまで守り続けたことを、しっかり継承しなければ失われてしまうのです。従来の技術で実現している勘定系システムをはじめとしたオンラインシステムの品質を、どうすれば今後も担保できるかを意識すること。そしてそれを後進に伝えていくことは、私たちの使命だと思っています。

信用金庫統括部が求めているのは、ともに幅広い事業を実現していく新たなメンバーです。知識の有無よりも、「新しいことにどんどん挑戦していこう」と考える方に向けて、門戸を広く開いていると言います。

金融に関わるシステム開発は着実に進めなければいけない側面もあり、私たちの組織も「堅い」と思われがちですが、実際にはお客様のご要望に応えるために自由な仕事ができる環境です。たとえば、導入実績がない最先端技術だとしても「やってみたい!」と発信してくれたら、必ず一緒に実現を検討します。

新しいアイデアや技術に貪欲であることも、私たちの強みです。いま実現したいと思い描いていることがある方に、ぜひNTTデータで挑戦してもらいたいですね。

NTTデータだからこそ持っている堅実さと、新しいことに貪欲に挑戦する柔軟さを兼ね備えた、信用金庫統括部。これからも信用金庫業界を牽引する存在として、未来を切り拓いていきます。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです