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“メルカリのmeg“とNTTデータが考える「キャリアの多様性」【メルカリ田辺めぐみ対談/前編】

NTTデータを卒業し、各界の最前線で活躍するOB・OGの皆さんに、在職時の出来事や、今の仕事の糧となった体験を伺っていく本企画。6回目の今回は株式会社Sparkjoy CEOであり、株式会社メルカリのプロダクトマネージャとしても活躍する田辺めぐみ(たなべ めぐみ)氏をお迎えしました。NTTデータ在籍時にシステム開発から営業へと柔軟なキャリアチェンジを経験し、その後も“メルカリのmeg”としてバイタリティ溢れるキャリアを歩んでいる田辺氏。それを支えてきたのは、NTTデータで培ったノウハウと、クライアントファーストな思考だったと言います。人事本部 人事統括部長である森田との対談をお届けします。

目次

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インターネットサービスを通して、世の中にインパクトを与えたい

森田
田辺さんはNTTデータでシステムエンジニアとしてキャリアをスタートしてから、株式会社メルカリでのプロダクトマネージャに留まらず、フリーランスや起業家としても活躍されていますよね。これまでのご経歴をお伺いしても良いでしょうか?

メルカリ田辺
はい。私は新卒でNTTデータに入社し、システムエンジニアとしての開発職を経たのち、社内異動で企画営業を担当させていただきました。5年半務めたあと事業会社に転職し、ソーシャルゲームのプロダクト責任者を経験しました。その後も、何度かキャリアを重ね、知育コンテンツを企画開発する企業でEdTech(※1)に携わったり、スタートアップ企業で「誰もが技術や知識を教え合える」をコンセプトにし、ECとしてスキルを扱う事業に携わりました。

※1 「教育(Education)」と「テクノロジー(Technology)」を組み合わせ、教育領域にイノベーションを起こすビジネスやサービスなどの総称。

2015年にメルカリに入社したきっかけは、NTTデータ在籍時に受講した新卒研修を受け持っていたNTTデータの研修の講師の方がたまたまメルカリ代表の山田進太郎とお知り合いで、NTTデータ卒業後に引き合わせていただいたことでした。以降はプロダクトマネージャとしてキャリアを歩んでいます。メルカリに入社した当初はフリマアプリ「mercari」のプロダクトマネージャとして従事したのち、子会社の「souzoh」の立ち上げに携わりながら、「mercari atte」のプロダクトオーナー、メルペイで複数プロジェクトを経験しました。その後、独立して会社を立ち上げ、代表を務めています。

森田
ここまで伺っただけでも、本当に幅広い活躍をされてきたのですね。ご自身の会社を立ち上げる際に2020年12月に一度メルカリを退社された後も、メルカリ山田進太郎さんの設立されたD&I財団で企画担当を務められていると伺いました。

メルカリ田辺
そうですね。自分から希望して2021年に財団に携わらせて頂きました。財団では「STEM(理系)女子奨学助成金」という取り組みをしていて、理系に興味を持つ女子学生に向けて返済も所得制限もない奨学金で支援するお手伝いをしています。

その後2022年2月から、ご縁があって再度メルカリに入社してプロダクトマネージャを務めています。

森田
企業という枠に収まらない活躍をされている田辺さんですが、どういった軸や思いを持ってそれぞれのキャリアへ挑戦してきたのでしょうか?

メルカリ田辺
私はもともと、インターネットを通じて社会に良いインパクトを与える仕事がしたいと思ってきました。転職や起業はもちろん、メルカリに戻ったのも、新しいプロジェクトが動き出すという話を聞いて「インターネットサービスを通じて多くの人にときめきや影響を与えられる」と感じたからです。実は、自身の会社の社名“Sparkjoy”にもこの想いを込めているんです。

キャリアの変遷は偶然の出会いや人のつながりでお誘いいただいたことも多いですが、想いは変わらずに持ち続けています。

森田
現在進行形でメルカリ、ご自身の事業、財団での企画担当とパラレルなキャリアを歩まれる中でも、根底にはインターネットサービスへの想いや、社会へ「ときめき」を与えたいという芯をしっかりとお持ちなんですね。

私の世界を広げた、「好奇心×行動力×インターネット」

森田
田辺さんのご経歴を拝見すると、とにかく行動力のある方だと感じています。世の中に広く影響を与えるインターネットサービスを軸にキャリアを歩んできた、その想いの原点はどこにあるとお考えでしょうか?

メルカリ田辺
そうですね。きっかけは中学生時代にあったと思います。もともと子どもの頃から「新しいものに目がなく、好奇心旺盛」というタイプだったのですが、私の実家周辺は田んぼが広がっているようなのどかな地域で。伸び伸びとできた一方で、都会ほど刺激が多くない環境でもありました。

そんな中、中学生の時に、たまたま親が当時発売したばかりのWindows95を買ってくれたことで、インターネットにハマってしまって(笑)。近所の書店でHTMLの教本を買って読み込み、ホームページとBBS(掲示板)を作ったりしていました。

森田
当時すべて独学でホームページを作るのは難しかったと思いますが、中学生で掲示板まで自分で作ってしてしまうなんてすごいですね!

メルカリ田辺
インターネットが楽しくて、とにかく夢中になっていたんです。やがて、まったく知らない人が私の掲示板を訪れるようになり、沖縄の大学生から「中学生のうちにこの本を読むといいですよ」とコメントをもらえたりしました。いままで自分がまったく関わりのなかった人たちとつながることができ、「この箱(パソコン)の先には世界が広がっているんだ」と衝撃を受けました。そこからインターネットの世界に興味を持ち始めたんです。

森田
それが今のキャリアの原点なのですね。高級品だったパソコンを購入してくれたご両親も先見の明がありましたね。

メルカリ田辺
実は父も事業をやっていて、新しいもの好きで行動的な面がありました。パソコンを買ったのもミーハーだったと思いますが、新しいものに目がなく、好奇心旺盛という性質は親譲りかもしれません(笑)。

「サービスを作りたい」という想いで学生ベンチャーの門を叩いた大学時代

森田
先ほどの行動力というお話にもつながるかと思いますが、持ち前のバイタリティを発揮されて大学時代には学生ベンチャーにも参加したと伺いました。

メルカリ田辺
はい。東京大学の研究室から派生したベンチャー企業ですね。きっかけは大学3年生の時に受講した経営工学の授業でした。登壇された講師にインターネットサービスをゼロから作ったお話を伺って、「サービスって自分で作れるんだ!私もやってみたい!」と思ってしまって。

帰宅後すぐにインターネットで検索して、一番上に出てきた東大のベンチャーに「私も参加させてください」と連絡させていただきました。

森田
すぐに行動して道を切り拓いていくという、とても田辺さんらしいエピソードですね。当時はまだ学生ベンチャーもいまほど盛んではなかったと思いますが、具体的にどのような活動をされていたのですか?

メルカリ田辺
当時はやっとECサイトというものが世の中に出始めた時期で、私たちは中小企業をクライアントにECサイトを作るというビジネスをしていました。営業としてお客様の要望をヒアリングするところから、最終的な金額を決めるプライシングまで、いろいろなことを経験させていただきました。

今でも覚えているのは、商店街の小さな和楽器店のECサイトの開発をさせていただいた時のことです。サイトで扱っていた200万円の尺八をヨーロッパのお客様がご覧になって、「直接見たい」と来日されたことがあったんです。

“世界とつながって、ビジネスの可能性が広がる。”そんなインターネットの影響力の大きさを強く感じることができた経験でした。

このように学生時代はすべてが未経験のなか、手探りでプロジェクトを進めるという貴重な経験を積ませて頂きました。一方で、サービスを生み出すプロセスや技術的なノウハウをきちんと学びたいと思うようにもなっていったんです。

NTTデータに求めたのは「ノウハウ」と「世の中へのインパクト」

森田
学生ベンチャーでの経験が、ノウハウを学びたいという次なる思いにつながっていったのですね。大学卒業後の就職先としてはNTTデータを選ばれましたが、どういった点が決め手になったのでしょう?

メルカリ田辺
「サービスを作りたい」という思いがあったものの、そのためにはもっと経験や知識を吸収することが大切だと感じていました。最初は大学院に進学しようと考えていたのですが、家庭の事情もあり就職することになったんです。せっかくなら、インターネットサービスに関する豊富なノウハウを持ち、世の中への貢献につながる大きな仕事ができる環境に行きたいと考えて、興味を持ったのがNTTデータでした。

森田
OB訪問もされて、事前に先輩社員にも会われたのですよね。振り返ってみて印象はいかがでしたか。

メルカリ田辺
何人かにお話を聞いたんですが、皆さんとにかく自分の仕事について楽しそうに話していることが印象的でした。「このプロジェクトが世の中にこんなインパクトを与える」「尊敬できる先輩社員がいるし、吸収できるノウハウがたくさんある」といったお話を受けて、ここで経験を積もうと入社を決意しました。

実際に、NTTデータで得た知見はその後のキャリアにも大きな影響を与えてくれています。いまでも当時の先輩社員とは交流がありますし、経験だけでなくさまざまな考え方や姿勢についても学ぶことができたと思っています。

──

豊富なノウハウと社会への影響力を求めて、NTTデータに入社した田辺氏。しかし、当初は「2年経験を積んだら辞める」という考えも持っていたそうです。そんな田辺氏をNTTデータに引き留め、将来につながる多様なキャリアの礎となったものとは…?対談後編では、NTTデータで得られた財産と現在のご活躍について、田辺氏に語っていただきます。ぜひご期待ください。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです