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NTTデータでの経験を糧に作る、多様な人がもっと“ときめく“世界【メルカリ田辺めぐみ対談/後編】

NTTデータでのキャリアを活かし、さまざまな業界・企業で活躍を続けるOB・OGの皆さんに、当時の出来事やキャリアの考え方、今の仕事につながる経験を伺っていく本企画。後編では引き続き株式会社メルカリのプロダクトマネージャとして活躍する田辺めぐみ(たなべ めぐみ)氏にお話を伺います。前編ではNTTデータをファーストキャリアに選んだ理由を語っていただきましたが、5年以上の在籍期間でどのような活躍と経験を重ね、その後のパラレルなキャリアにつなげていったのでしょうか?人事本部 人事統括部長 森田との対談をお届けします。

目次

Profileこの記事に登場する人

自身の育成事業にも活用したい、NTTデータの研修制度

森田
田辺さんはノウハウを吸収できる環境を求めてNTTデータに入社されたわけですが、実際に働いてみていかがでしたか?

メルカリ田辺
業務はもちろんなのですが、入社直後の初期研修が非常に手厚くて驚いた記憶があります。スタートアップ企業では「自分で学んで成長する」という側面がありますが、育成プランに沿って実務的な研修が行えるNTTデータは、これ以上ない成長環境だったと思います。

当時の初期研修は、社会人としての基礎的なスキルとして、実際に商談の音声を聞きながら議事録をとり、どのようにポイントを押さえるか、といった具体的なスキルを学べたり、コストや要件を踏まえてどのような提案をするのか、先輩社員をお客様に見立ててシミュレーションするなど、かなり実践的な内容でした。いまでも同様の研修をされているのですか?

森田
内容は常に時代に即してアップデートしていますが、現在も入社後2カ月弱の初期研修が行われています。ビジネス・テクニカル・グローバルの視点でマインドやスキル、知識などの基盤を形成するためのプログラムになっています。また、入社後の2年間をかけて自分の専門性を探るために幅広い知識を養うメニューを受講できるようになっています。

メルカリ田辺
ビジネスにまつわる初期研修はもちろん、テクニカルな初期研修についてもいまだに覚えています。お客様の要望や要件を設計書に落として、実際にJavaやSQL、HTMLを使ってコーディングするという研修で、その後SEとして働く中で大切な基本を学ぶことができました。

実はいま、私はプロダクトマネージャのコンサルティングを行う事業で若手育成にも関わっているのですが、「あのNTTデータの研修があったらいいのに!」といつも思っています。パッケージとして販売してもらいたいくらいです(笑)。

森田
それは嬉しいですね。私たちは充実した研修によって人財を育成することにも注力しています。ですが、世間では研修期間が長いと「なかなか実践的な現場の仕事を任せてもらえない」というイメージをする方もいると聞いています。育成事業に関わる立場として、「現場での経験を早く積みたい」というニーズを感じることもありますか?

メルカリ田辺
確かに、中にはとにかく現場で手を動かしたい方もいるかもしれません。ただ、プロジェクトに参加した場合のシステム開発期間は長いので、幅広い経験を積むためには時間がかかる側面もあると思います。私個人の意見としては、2カ月間でベーシックなスキルや知識が吸収できるNTTデータの初期研修は、その後の成長のレバレッジが効きやすくなると感じています。最初にシステム開発の全体の流れを把握した上で、自分の仕事の必要性を理解するという経験は、少なくとも私にとっては以降のキャリアでも非常に役立っています。

森田
なるほど、まずはシステム開発の全容を知ってから、足元の業務に取り組むことで仕事への解像度があがりますね。

”君の1年を僕に預けてくれないか” 転職を押し留まらせた上司の一言で「営業」へ転身

森田
田辺さんは、初期研修を経て当時の法人システム事業本部に配属されました。ここではどのようなお仕事をされていましたか?

メルカリ田辺
配属されたのは大手通信事業者向けの情報系システムの開発を行う部署で、機能拡充をメインとした開発担当としてチームにジョインしました。そこでは、20人ほどのチームのサブリーダーとして、協力会社の皆さんと一緒にお客様の要件定義書を作ることから一通りの開発工程を経験させていただきました。

そこで2年ほどSEとして働きましたが、実は入社当初は、2年ほどで退職しようと考えていたんです。

森田
そうだったのですね!ただ実際には当社に5年半ほど在籍されていますよね。どのような経緯があったのですか?

メルカリ田辺
配属されたチームでは、私の希望に合わせてコーディングにチャレンジさせてもらえたり、私のような新人の提案もひとりの社会人の意見として聞いてくれるなど、本当に恵まれた環境だったと感じていました。

ただ、もともとNTTデータに入社した目的がシステム開発のノウハウを身につけることだったので、システム開発全体の流れが一通り理解できたタイミングで「自分でサービスを作りたい」と考えるようになりました。今思うととても無邪気ですね(笑)

当時の上長や先輩との関係もよく、退職することで迷惑を掛けたくない思いもあったのですが、いろいろと悩んだ結果、「転職を考えている」とストレートに伝えることにしたんです。これは、信頼関係のベースがあったから正直に言えたことだと思っています。

森田
当時の先輩方はびっくりしたことでしょうね。上司や先輩方の反応はいかがでしたか。

メルカリ田辺
特に責められることもなく、皆さん真摯に私の話を聞いてくださいました。

そして、同じプロジェクトの先輩に「田辺は、営業が向いているんじゃない?」と異動を勧められ、実際に営業のチームに取り計らってくれたんです。その後、営業チームの責任者でもある統括部長とお話をする機会をいただくことになりました。

統括部長もしっかりと話を聞いてくれ、私は「自分のサービスを作りたい」「次のチャレンジがしたい」という目標をありのまま伝えました。統括部長はそれを理解してくれた上で、「まだこの会社でやれることがあると思う。後悔はさせないから、君の1年を僕に預けてくれないか」と、開発経験を活かした企画営業への異動を提案されました。この言葉に「かっこいい!」と思うと同時に(笑)、「そこまで言っていただけるなら残ろう」という思いが芽生えました。

森田
統括部長としては、未来のある入社2年の社員によりよい経験をしてほしいという思いがあったのでしょうね。企画営業へ異動するという提案について、周囲の反応はいかがでしたか?

メルカリ田辺
チームの先輩や上司から「開発のことがわかっているメンバーが営業に行くのは嬉しい。辞めるよりも、営業で活躍してほしい」と言ってもらえました。皆さんとお話する中で、このキャリアチェンジのチャンスを逃すのはもったいないと感じて、同じプロジェクトの中でSEから営業へ移ることに決めました。

森田
チームの皆さんが田辺さんのキャリアにとって何がベストかを一緒に考えてくれたのですね。企画営業へのキャリアチェンジ後、どのような環境の変化があったでしょうか。

メルカリ田辺
そうですね。いままで”システム開発”で関わってきたお客様に、提案を通して”営業として”とことん向き合うことができることが大きかったと思います。

企画営業として、機能拡充案件だけでなくコンペティションの企画書を作る仕事に携わったり、お客様の新規事業に関連して、SIer視点で「システムでこういうことが実現できたら、新しいサービスが作れるかもしれない」という検討のチームに加わることもありました。

森田
お客様の要望に応じた最低限の提案ではなく、どんどん新規のチャレンジができる環境で企画力を磨いてこられたのですね。ちなみにシステム開発から営業になったことで、”NTTデータの仕事”の新たな側面は見えましたか?

メルカリ田辺
はい。印象的だったのは、当時まだ一般的ではなかった要素を盛り込みながら企画・検討を進めていたことです。分散処理技術などの新しい技術への挑戦を含んだ提案を模索したり、お客様のコスト削減のためにオフショア開発を想定した提案を行うなど、お客様にとって何が最適解なのかを既存の枠にとらわれずに考えていました。

RFP(提案依頼書)の要件を満たすだけのシステムを作るのではなく「こんなにチャレンジするんだ」という驚きとともに、NTTデータのクライアントファーストの姿勢を学ばせていただきました。

森田
お客様のために常に期待値を超える姿勢で臨む、それはいまのNTTデータにとっても理想的な組織です。

お客様によって市場や競合などの環境はそれぞれ異なり、どのように向き合うべきなのかは杓子定規では捉えられない要素があると思っています。だからこそ体系的な学習だけでなく、実践の中でノウハウを得ていく必要もあります。その点、NTTデータはその実践の場が多くあるということは強みですね。

田辺さんは営業を経験したことで、その後のキャリアにつながるヒントも得られたのでしょうか?

メルカリ田辺
もちろんです。お客様と一緒に、お客様の先にいるお客様(ユーザ)を見据えて何を作るかという提案を経験できたことが、世の中への影響や、どう生活を便利にするかを常に考えながらサービスをつくる、私のいまのスタンスにつながっていると思います。

また、企画営業時代だけでなく、先輩や組織からとても手厚く育ててもらえたことが、スタートアップで若手メンバーを育成する中でも活かされました。最初の育成は将来のキャリアの幅や成長スピードが変わってくる部分なので、NTTデータで得られた経験を活かして取り組むことができ、今でも感謝しています。

キャリアは多様。選択肢を拡大するNTTデータの人財育成制度

森田
お客様の未来を考えるNTTデータのクライアントファーストのカルチャーをご経験されたことが、新たな事業を生み出すプロダクトマネージャである田辺さんの原点になったのでしたらうれしい限りです。

実はいまNTTデータでは人財がスペシャリティを発揮できるよう、キャリアの多様性を広げる取り組みを推進しています。プロダクトマネージャという職種名ではありませんが、それに近しい役割を担うキャリアの選択肢も生まれています。

例えば、当社には高度な専門性を持つ人財を育てるための「プロフェッショナルCDP(Career Development Program)」制度がありますが、テクノロジーやビジネスの変化に対応するために新たな人財タイプを追加し、キャリアの選択肢を増やしています。2021年度には、デジタルビジネスを牽引する人財として「デジタルビジネスマネージャ」を追加しました。役割としては、経営戦略やサービス企画などの超上流から開発、提供までの全体を通してサービスやプロダクトの価値を提供することですので、まさに田辺さんの現在の役割に当てはまるものかもしれません。

メルカリ田辺
NTTデータの「お客様のビジネスを作る」という方向性はコンサルティングファームも注目する市場ですが、システムに関する知見を持ったNTTデータが現場の感覚を理解しながらお客様に並走できることは大きな強みですね。

もしいま私がNTTデータにいたら、やはり開発の経験を活かしてお客様のビジネスを作る仕事をしたいと思います。「デジタルビジネスマネージャ」のキャリアは面白そうですね!

森田
デジタルビジネスマネージャは、まさにプロダクトマネージャのNTTデータ版とも言えるキャリアです。サービス企画を通して価値提供をするプロフェッショナルとして、田辺さんなら組織トップのポジションで活躍されていたと思いますよ!

次世代に「サービスを作る人」を増やし、社会により大きな“ときめき”を

森田
さて、田辺さんは現在、メルカリでのご活躍はもちろん、山田進太郎D&I財団でSTEM(理系)女子学生への次世代支援にも取り組んでおられると伺いました。

メルカリ田辺
はい。メルカリ創業者の山田進太郎が立ち上げた財団で、中高校生に奨学助成金を提供するプログラムの取り組みの一環として、理系を選択する女性を増やすための取り組みの企画担当を行っています。私自身、NTTデータへの就職からその後まで、“理系の女性”としてキャリアを歩むことができ、とても充実していると感じています。だからこそさまざまな理由から理系選択を諦めてしまう人を減らしたいと考えて参加することになりました。

大学生の理系女性比率は、OECD(経済協力開発機構)の加盟国の平均で28%ですが、日本は18%しかありません。これを2035年までに28%まで引き上げることを目指しています。

森田
企画担当とは、具体的にどのような取り組みをされているのですか?

メルカリ田辺
「好きなことをやろう!」をテーマとし、実際に理系のキャリアを選択した女性のゲストを中心に、理系キャリアの魅力を学生に伝えるイベント(STEM Gilrs Festa)の開催などを予定しています。Z世代の方もお呼びして、どんな学科や選択肢があるのか、その先にはどんな職業があるのかといった情報を伝えることで、ムーブメントを起こしたいと考えています。
※イベントは7/23に実施しました。

森田
田辺さんは数値目標だけでなく、キャリアを選択する女性の本質を見つめながら課題に取り組んでいると感じます。ありがたいことにNTTデータは新卒学生に関心をもっていただいている企業ですが、女性×理系の方への周知にはまだ課題があると感じています。どんな方でも働きやすい環境であることがますます重要になっていますね。

メルカリ田辺
NTTデータでもそうなんですね。私が在籍していた当時から、NTTデータは男女問わず育休取得が多く驚いた記憶があります。当時はNTTデータが「人財」という言葉を使い始めた時期でもあり、男性・女性を問わず、活躍ができる環境があったと思いますが。

森田
まさに、NTTデータでは多様性と公平性の観点から、「D&I」から「DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)」に考え方を進化させ、誰もが活躍できる環境整備を進めているところです。

NTTデータへの入社以降、自ら活躍の場を切り開き、いち早くキャリアの多様性を実現してきた田辺さんですが、現在の目標をお伺いできますか。

メルカリ田辺
根本的なところでは、やはりインターネットサービスを通して社会をより良くしていきたいと考えています。例えば、会社に勤務する上で必要となるスキルだけではなく、個人が持つさまざまなスキルを価値として扱う社会を実現することがその一例です。「主婦の方が育児スキルを売れる」など、”得意”や“できる”というスキルを多様的に活かしていける循環型社会になればいいな、ということが目標の一つです。

自分で作ることができるサービスの数には限りがあるので、作れる人を増やすことで、世の中に一層大きなインパクトを与えていきたいですね。

森田
「世の中にインパクトを与えたい」という学生時代からの思いはそのままに、それを最大化するために次世代の育成にも取り組んでおられるのですね。中学生でインターネットに出会い世界が広がった瞬間から、ご自身の事業を立ち上げた現在まで、目指す世界の姿が一貫しているのがとても印象的です。ご自身が立ち上げた会社「Sparkjoy」の社名にも、そういった願いが込められているのですよね。

メルカリ田辺
そうなんです。多様な方がときめくことを増やしたい、そんなキラキラした世の中にしたいという思いを込めさせていただきました。サービスを作る人も使う人も、「わくわくしたい」という思いがあると感じています。一緒に働くメンバーにも、お客様が素敵な体験をしている姿を想像したり、届いた声にときめいたりしてほしいと伝えています。メルカリの思いにも通じるところですが、循環型社会に貢献できると同時に、自分へのちょっとしたご褒美になる”Sparkjoy”なサ―ビスを増やしていきたいなと思います。

森田
田辺さんのご活躍で、これからも世の中に“ときめき”が波及していくと思います。本日は素敵なお話をありがとうございました!

※掲載記事の内容は、取材当時のものです