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データアナリティクスという新たな武器を通じ、労働金庫の事業変革に貢献する

日本全国で、労働者に寄り添った金融サービスを提供する労働金庫。ろうきん事業部はこの社会貢献性の高い福祉金融機関に特化し、お客様である労働金庫様の頼れる事業パートナーとなるべく、勘定系などの基幹システムの開発・保守から、業務支援のサブシステム、事務集中サービスまでトータルにご支援しています。この事業部の一員としてシステムの安定稼働を支えるとともに、「データ分析のスペシャリスト」という独自の立ち位置を確立しているのが、入社5年目の川瀬陽介です。いくつもの挑戦を重ねてきた川瀬がNTTデータで得た経験と成長、これからへの想いについて語ります。

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社会を動かす仕組みづくりで、全国に好影響を与えたい

川瀬は文学部出身。学生時代は歴史の研究に熱中するなど、「ドがつくほどの文系でした」と当時を振り返ります。就職活動の際も、当初はIT業界やモノづくりの世界は自分には縁遠いものだと考えていました。

しかし、ある就活イベントで「文系出身のエンジニアもたくさん活躍している」という話を聞き、興味が芽生えます。そこで物は試しに簡単なプログラミングに挑戦してみると想像以上に面白く、このスキルを磨いて世の中の仕組みづくりに挑戦してみたいと実感。思ってもいなかった道が開けたことに、川瀬の心は躍ります。

システム開発に携わることで、世の中で当たり前に動いている仕組みの裏側を知ることができたら絶対に面白いと考えたんです。特にNTTデータは社会インフラとして機能する大規模システムを手掛けていて、日本全国に良い影響を及ぼす仕事ができればやりがいも非常に大きいと思いました。

それに就活中に出会った先輩社員が、皆さんとにかく楽しそうだったことも入社の決め手になりました。特に、若手が主体的にトレンド技術の勉強会を立ち上げ、最終的に顧客提案にトライしたというエピソードを熱っぽく語ってくれた姿は、今も忘れられないですね。

精力的な若手の姿、自らスキルアップに励む姿勢、そしてそれらを応援する組織文化。川瀬が入社前に受けた刺激は、その後の成長へと確実につながっていきました。ろうきん事業部の一員となり、情報系システムに携わることになった川瀬は、入社からわずか数年で「情報系システムのことは川瀬さんに聞けば大丈夫」と社内外から頼られる存在に。中でもお客様がデータ分析に用いる統合DBやBIツールの分野では、事業部でも指折りの有識者へと成長します。

一からの成長を実現できたのは、新卒・経験者を問わず新しい仲間を手厚く迎える、ろうきん事業部の体制が大きいと思います。実際、入社1年目には年次の近い先輩からはビジネス面で、同じチームの先輩からはテクニカル面できめ細かい指導をしていただきました。特に当時、事あるごとに「システムの仕組みをもっと深く理解して、ロジックを語れるようになりなさい」というアドバイスを受けたことや、自分で手を動かすことの大切さを学んだことは、今の私の土台になっています。

知らないことに直面するたび、その悔しさをバネに成長していけたと語る川瀬。そんな川瀬に応えるように、直属の先輩はもちろん、周囲の仲間たちも川瀬のどんな質問にも辛抱強く答えてくれました。川瀬が「実機を触りたい」と相談すると、時間を作って試験環境での検証に付き合ってくれた人もいました。こうした環境が、川瀬のスキルアップを加速させたのです。

お客様に価値を伝えるために、まず自分たちが手を動かしてみる

現在、川瀬は業務データの管理を担う情報系システムの更改に携わり、要件調整や開発計画の立案をリード。さらに2023年のリリースに向けて開発が進む中、リソース・進捗・品質などのマネジメントに励むとともに、プロジェクト全体の推進役も担っています。

考えることは山積みですが、特に川瀬が頭を悩ませたのが、「どうすればバージョンアップしたBIツールをこれまで以上に利活用していただけるか」ということ。データ分析のさらなる促進は、お客様の事業に役立つだけでなく、労働金庫様の利用者(エンドユーザー)への新たな価値提供にもつながります。しかし、単に利便性をアピールするだけでは難しいと考えました。

データアナリティクスの価値はなかなか伝わりにくいもの。この問題を解決するには、データ分析のメリットをお客様に体感していただくことが重要です。

新規機能の利用度調査など、お客様に「データ分析を行いたい」という潜在ニーズがあることはわかっていましたが、当時は私たち自身も本格的なデータ分析の実務経験がありませんでした。それならば、まずは自分たちが手を動かしてみるべきだと考え、同じ課題感を持っていた先輩と一緒に社内ワーキンググループを立ち上げたんです。

ワーキンググループの立ち上げに当たり、川瀬はPythonやBIツールで情報系が保有する取引データの加工・分析ができる環境を整え、事業部全体に広く公開していきました。しかし、普段の業務では扱わない技術も多く、初挑戦の連続だったと言います。

大変なシーンもありましたが、周囲の皆さんが全面的に協力してくれて前進させることができました。上長方も積極的に応援してくれ、他事業部との協力体制の構築やお客様への報告の場のセッティングなど、一担当者では実現できないようなレベルまでワーキング活動を引き上げてくださいました。ボトムアップ型の挑戦を事業部全体で支援してくれる組織文化は本当にありがたいです。

上司や営業担当の協力もあり、このワーキンググループでの分析結果を若手社員の川瀬自らお客様の経営層にプレゼンするという貴重な場が設けられました。お客様からは感謝や労いの言葉に加えて、「次の機会には、この分野の数字を見せてほしい」「実際の業務を考えると、このデータはこう捉えるべきではないか」など、具体的なフィードバックも集まりました。

分析結果を経営判断やマーケティング施策などに活かせることはもちろん、データの見える化によって新たな課題発見や、議論が深まるきっかけを生むこともデータアナリティクスのメリットです。

この取り組みを通して、そうしたデータ利活用の価値を実感していただけたことは何よりの喜びでしたし、お客様とより深く現実的な議論をする土台ができたという面でも自信になりました。

事業部の垣根を超え、多彩な人財の知見をフル活用

データ分析ワーキンググループの活動は今年、新たな中長期施策へとつながりました。開発中の更改のさらに次のシステム更改を見据えた、次世代型情報系システムの新規提案活動です。

テーマは、お客様自身によるデータ利活用の推進。機能面では直感的な使いやすさと分かりやすさを追求。技術面ではクラウドシフトやAIの活用、データレイクを用いたビッグデータ分析など、先進的なデータ基盤を企画し、既存のシステムでは難しかった機能性と拡張性の完備を目指します。

我々も機械学習のモデルを自作するなどスキルアップに励んでいますが、それだけでは限界があります。そこで、AI技術の専門部隊にヒアリングをして開発のポイントや手法を教えてもらったり、先行してデータ基盤の導入を進めている部署とコンタクトを取って方式検討の観点や課題について教えてもらったりと、社内ネットワークをフル活用して進めています。

特に近年は、「どんな人財が、どの部署で、どういった開発をしているのか」という情報を社内共有する仕組みが整備されてきています。これまで以上に拠点の垣根を超えやすくなったのはありがたいです。

社内の多様な人財と連携することで、例え事業部内にノウハウがない分野であってもブレイクスルーを目指せること。その上で「こんなことができたら」というアイデアを自ら手を動かして検証し、その結果が新たな提案に直結することに、川瀬は大きなやりがいを感じています。そして将来的には、システムという枠組みを超えて、お客様のデータ利活用を促進するサービス開発にも携わってみたいと話します。

昨今、金融業界でも「データドリブン経営」への注目が高まり、データの利活用による新事業創出や業務効率化を目指す潮流があります。しかし、どれだけシステムの利便性を高めようと、使う方の「どのようにデータを使えばいいか分からない」「データをどう解釈すればいいのか迷う」という疑問や課題は、簡単には払拭できません。

だからこそ、情報系システムやBIツールの開発・提供に加えて、データコンサルティングやアドバイザリー業務などを組み合わせた新サービスを創出し、これまで以上に深い次元でお客様のご支援ができればと考えています。

川瀬の最終目標は、お客様とNTTデータが真のビジネスパートナーとして深い関係性を築くこと。これからも臆することなく初挑戦に臨み続け、大きな夢の実現を目指します。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです