人と仕事を伝えるWEBマガジン
NTTデータグループ / NTTデータ / NTT DATA, Inc.

先進テクノロジーを通じた企業変革の支援も、プライベートの多彩な活動も、すべては社会課題の解決につながっている

Salesforceをはじめ、先進的なテクノロジーを活用した企業変革を支援しているデジタルビジネスソリューション事業部の阿部 拓実。現在は部長として組織を率いる立場ですが、もともとはIT業界の出身ではなく、紆余曲折のキャリアを経てNTTデータに中途入社しました。さらに社内での活躍に留まらず、NPO法人やPTA役員など、プライベートでも精力的な活動を行っています。阿部は業務内・業務外での多種多様な活動について、「どちらも“社会課題の解決”という想いに根差している」と話します。

目次

Profileこの記事に登場する人

学生起業での失敗を経て未経験のIT業界へ、そしてNTTデータへの転職

阿部の社会人生活は、学生時代の友人と一緒に起業し、輸入雑貨の販売を始めるところからスタートしました。約1年半で事業を撤退した後はスーパーマーケット本部バイヤーに商品を企画・提案する食品販売会社に就くなど、さまざまな職業を渡り歩いてきた経歴の持ち主です。

キャリアの転機になったのは30歳、IT業界に飛び込んだことでした。

いわゆるITベンチャーと呼ばれる小さな企業に入社しました。2002年頃は日本政府が「e-Japan戦略」を進めており、企業や一般家庭にも大容量で高速なブロードバンドインターネットの普及が一気に進みました。私はITの知識も経験もゼロでしたが、ユビキタスネットワークの普及による社会の変化やさらなる成長性に惹かれて、IT業界に飛び込むことを決めました。

入社後、社内研修を経てプログラマとして勤務を開始。客先常駐SEとして複数プロジェクトに参加し、数年の開発経験を積んだ後、徐々に自社の戦略にも関与するように。コールセンター向けのCRMパッケージ製品の企画開発、営業、プロジェクトマネージャと、オールラウンドな経験を積みます。

大手通販会社やメーカーのコールセンターシステムの提案を経験する中で、顧客企業の経営層と接点を持ち経営に近い業務からシステムまで全方位的に関わることができたのは貴重な経験でした。

この経験を生かして、個社ごとの経営課題の解決に留まらず、社会的にインパクトのあるシステムやビジネスに携わりたいと考えるようになるのは自然な流れでした。そのためには、やはり優秀な人財、安定した財務基盤、先進的なテクノロジーを擁する会社に身を置くことが必要です。そこでITサービス業界の国内最大手に的を絞って転職活動を始めました。

大手企業には学歴やキャリアを重視する企業もある中で、阿部の話を聞いてくれた企業こそがNTTデータであり、2008年に入社が決まりました。当時、NTTデータは顧客接点領域の新規サービスを企画しており、阿部のCRMやコールセンター業界の業務知識やシステム開発といった経験が上手くマッチしたという背景もありました。

NTTデータへの入社後は、製販一体のソリューション企画部門に所属し、CRM領域の新サービスの企画・開発に携わりました。特定分野向けの安価なクラウド型サービスだったのですが、当時のNTTデータとしては先進的なサービスモデルで、非常に挑戦的なプロジェクトでした。

ニッチな分野、かつ新規参入という挑戦的な取り組みでしたが、当初描いていた事業計画はなかなか達成できず、5年で事業撤退という結果に終わります。しかし、プロジェクトで得られたものは大きかったと阿部は振り返ります。

ゼロからサービスモデルを考え、製品の企画・開発、その後のプロモーションや営業活動、導入を支援するという一連の経験ができました。前職でもさまざまな仕事を経験してきましたが、NTTデータで携わったプロジェクトの事業戦略の策定プロセスや投資規模はまさしく桁違いで、新しいものを生み出す苦労と難しさを実感しました。

思い描いていた結果にはなりませんでしたが、阿部は失敗を咎められるどころか、むしろ挑戦の姿勢を高く評価されました。NTTデータには、目の前の現状に満足することなく、また一時の成功や失敗に捉われることなく、飽くなき探求心をもってお客様や社会のためにチャレンジし続ける文化があるーー。阿部にとって、この時の経験はそのことを実感できた出来事だったといいます。

Salesforceによる企業変革を通じ、社会課題を解決したい

デジタルビジネスソリューション事業部ではNTTデータのコンサルティング力とCRMソリューションシェア世界トップクラスの「Salesforce」の先進性を掛け合わせ、企業のデジタル変革をリードしています。阿部は2017年にSalesforce担当の課長に、そして2022年には法人分野のプリセールスを担当する部長に昇格しました。

阿部によれば、Salesforceを含めたすべてのソリューションはあくまでも「ツール」であり、それを活用して顧客ビジネスの成果を創出する共創パートナーになることが肝要です。そして、企業の変革の先に見据えている光景があるのだと言います。

私がもっとも関心を寄せているのは社会課題の解決です。影響範囲が広くインパクトの大きな課題を解決するためには、ビジネスと関連させることが不可欠だと考えています。

アパレル業界を例に取ると、商品の廃棄が環境負荷の大きい社会問題となっています。しかし、デジタルの力を最大限に活用して、消費者のニーズを正しく読み取り、最適な量・品質の商品を提供することができれば、廃棄のインパクトは劇的に小さくできます。デジタル技術の活用は、環境負荷を軽減し持続可能な社会の実現に貢献することを可能にします。

デジタルビジネスソリューション事業部は、まさにそうした社会課題を解決するデジタル技術の活用に注力しています。たとえば、Salesforceの特徴の一つである「Net Zero Cloud」というソリューション。この活用によって企業の環境データを迅速に収集・分析・報告し、温室効果ガス排出量削減につなげることができます。こういったデジタル技術やツールを積極的に活用した結果、NTTデータはグローバル金融グループBBVAから「サステナビリティ目標達成支援に関するシステム構築」において高く評価され、「Salesforce Partner Innovation Awards 2022」のNet Zero部門を受賞しました。

「こうした取り組みの実績から得た知見を活かし、今後も社会課題の解決を推進していきたい」と語る阿部。そして、「社会課題の解決にはビジネスとの連動が不可欠だ」と語っていた理由について次のように話します。

企業が変革を継続的に実現していくためには、ビジネスの成功が不可欠です。私たちはお客様にもサステナブルを実現していただき、その結果として「稼ぐ力」を高める。その対価をいただき、さらなる価値提供のために再投資していく。その循環、ビジネスエコシステムを活性化していくことが、社会課題の解決にもつながっていきます。

NTTデータもお客様も、けっして短期的な収益を上げることだけが目的ではありません。事実、NTTデータは「Realizing a Sustainable Future」という目標を掲げ、さまざまな人をテクノロジーでつなぐことで、サステナブルな社会を実現しようとしています。

自らの業務を通じて社会課題を解決しようという阿部の姿勢は、NTTデータの姿勢とも共鳴しているのです。

自分の領域を限定せず、プライベートでも多彩な活動を行う理由

企業変革の支援を通じて社会課題の解決にも取り組んでいる阿部ですが、自らの担当領域を限定することなく、社内外に活躍の場を広げています。

例えば、地域スポーツクラブの運営を行うNPO法人の設立理事・運営委員、通算10年勤めたPTA役員など、バイタリティが無限なのかと思えるほど、多岐にわたる活動を精力的に行っています。
どのような価値観や意識を持って、こうした活動に取り組んでいるのでしょうか。

私は心理学者のジョン・D・クランボルツ教授の「計画的偶発性理論」(※1)というキャリア形成に関する考え方に共感しています。この考えを実践するべくオープンマインドで行動することを意識していて、積極的に新しいことに挑戦し、人との出会いや起きた出来事から自分をアップデートし続けたいと思っています。PTA役員については、二人の娘が学ぶ環境について何かしら関わることができないかと思い、自ら名乗り出ました。

教職員の方々やいろいろな価値観をもった保護者の方と活動をすることは苦労もありましたが、自分自身も多くの刺激を受け視野が広がりましたし、この経験は仕事でも非常に役立っています。

※1:スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授らが提案したキャリア論に関する考え方。個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される。その偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを良いものにしていこうという考え方。

会社員の多くは、自分の「居場所」を社内に持っていますが、阿部の場合は、それ以外の場所、つまり「サードプレイス」を作るように意識しているそう。そこには“仕事では接することのない人たちと出会いたい”という想いがあるのだと言います。

また、NPO法人に関しては、理事のひとりとして総合型地域スポーツクラブの設立と事業運営に携わり、現在は運営委員、広報、IT担当として、クラブ活動をサポートしています。地元のシニアの方々や子供たちが一緒にスポーツを楽しんでおり、少子高齢化という社会課題にもダイレクトに関わる活動です。

仕事に生かそうという気持ちはなかったのですが、こうした活動で生まれた接点から、仕事上のアイディアをもらえることもあります。私は法人のお客様を担当していますが、その先にいるエンドユーザーの声はなかなか聞くことができませんから、貴重な経験ができていると思います。

ワークライフバランスや柔軟な働き方に理解のあるNTTデータだからこそ、多様な活動ができているのだと語る阿部。価値観や生活様式が多様化し、さまざまな考えが混じり合うようになった今の時代、阿部のように仕事と家以外の「サードプレイス」を持ち、多くの人たちと接することは、豊かな社会生活を送る上で重要な姿勢だといえそうです。

私の場合、プライベートの活動も、先進的なテクノロジーを活用した企業変革の支援も、その先にあるのは社会課題の解決です。その意味で、私の行動はすべてつながっているんです。

世界に数多く存在する社会課題を解決するためには、阿部のようにオープンマインドを持ち、自らの領域に制限を設けることなく、軽やかに行動を続けることが大切なのかもしれません。阿部はこれからも、社会課題の解決に向けて走り続けていくことでしょう。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです