デジタルな地図情報で、顧客のビジネスを加速させる
デジタルビジネスソリューション事業部は、顧客の課題解決のためデジタルな側面からのビジネス変革を支援する組織です。NTTデータオリジナルのクラウドプラットフォームやSaaS製品などの導入を軸とし、担当インダストリを定めない業界横断での提案活動を行っています。
同事業部に所属する杉本が専門としているソリューションが、NTTデータが2003年に開発したクラウド型の地図情報提供サービス「BizXaaS MaP」です。杉本は営業の立場からお客様それぞれが抱える課題をヒアリングし、社内で開発チームと連携しながら最適なサービス導入の形を探り、提案としてまとめています。
BizXaaS MaPは現在、金融、不動産、流通、製薬、自治体などのお客様にさまざまな用途でご利用いただいています。例えば銀行や信用金庫のお客様では、担当エリア内にいる顧客の所在の可視化や、融資の参考となる不動産評価額の算定に導入いただくケースが多いです。一方で流通・小売業のお客様ならば、店舗の出店などにおける商圏の検討に有効です。
BizXaaS MaPは常に最新版にアップデートされる地図データに、お客様の日々の事業活動に必要な情報を反映させることができます。活字だけではひと目で理解できず属人化しがちな情報でも、地図をベースに可視化することで事業における進捗共有や意思決定のスピードアップを見込めます。
リリース当初(2000年代)におけるBizXaaS MaPの強みは、地図データ(ゼンリン住宅地図)に重ねる形で地域ごとの地価・人口といった情報を把握できることや、お客様側での地図情報の更新作業が不要なことにありました。ところが昨今ではスマートフォンの普及や類似サービスの台頭を背景に、独自性の創出や利便性の向上が求められていました。
そうした状況の中、2022年に提供を開始した新サービスが「Location Manager」です。これは、CRMツールであるSalesforce上でBizXaaS MaPの地図情報を利用できるようにした新サービスです。
Location Managerは、「地図情報」と「顧客管理」を提供する別個のアプリをAPIで繋ぐ形ではなく、あくまでSalesforce内でインストールできる拡張機能として追加いただくものです。これによって、よりシームレスに各サービスを提供できるようになりました。
その他にも登記の自動取得サービスや人流分析などといった、地図を起点としたコンテンツの拡充に取り組んできました。
杉本はBizXaaS MaPの拡販に2013年から携わり続けてきた知見を活かし、現在では製品をさらに高度化させる新サービスの企画にも参画しています。その1つとして事業部内で検討されているのが、AIやIoTを取り入れたソリューションです。刻々と動き変化する人、モノ、街の情報を一元的に収集してAI解析することで将来を予測し、人やモノの流れを最適化することが期待されていると言います。
BizXaaS MaPは、今も進化を続けています。サービスづくりに際しては、営業の立場として日頃の商談でお客様からいただく声をしっかりと社内に共有し、反映させていくことを意識しています。
「お客様の言う通り」の実現が、本当の最適解か
文系出身から新卒でNTTデータに入社した杉本。最初はSEとしてNTTデータの技術開発部門に配属されました。
担当したのは、自社提供のシステム開発支援ツール「TERASOLUNA」です。UI領域やテスト業務に携わって技術の基本や製品の全体像を理解したのち、普及促進に向けた対外セミナーの開催といった、製品のプロモーション活動を担いました。
当時の杉本は、NTTデータが掲げる自社オファリングの先端を広報する仕事に刺激を感じていました。しかし年数を経るごとに「自分のキャリアのため、本当に挑戦したいこと」に気付き始めたと振り返ります。
TERASOLUNAを担当していた頃は、取締役や事業部長級が参加する会議に同席し、事業運営に関する議論を同じ場で聞いていました。若手社員の立場ではなかなか出来ることではなかったので、今考えてもありがたい経験でした。
その一方で「個社のお客様に対して向き合う機会がない」というモヤモヤ感が自分の中にありました。セミナーに登壇し多くの方々に製品を紹介することはできても、商談の場で直接お客様と1対1でソリューションを提案することはない。よりフロントに立つ仕事に挑戦したい気持ちが強くなっていきました。
そこで杉本は上長に相談のうえ、社内のキャリア制度を活用。彼女の前向きな気持ちに応えたのが、現在も身を置くデジタルビジネスソリューション事業部です。入社10年目にして、お客様に最前線で向き合う営業としての新たなキャリアをスタートさせることになりました。
今や管理職としてメンバーを先導し提案のサポートにも回る杉本ですが、異動後にBizXaaS MaPのソリューション営業を始めた直後は、思い通りにいかないことも少なくなかったと言います。
営業職に転身して2年目の頃、担当についた大型案件を2件続けて失注させてしまいました。その頃は、お客様が抱えている課題感やシステムへの要望を丁寧にヒアリングし、それを忠実に形にすることばかり考えていました。しかし、伺った情報を社内に持ち帰り開発サイドと見積もりを出しても、金額が高くお客様側の条件と折り合いが付きません。
では何が足りなかったのか。杉本の営業における視点を変える大きなきっかけとなったのは、同僚のある言葉でした。
「お金さえかければ、ソフトウェアでほとんどのことは解決できる。考えるべきは、取り組む問題にそのコストをかける意味はあるのかということ。」
この言葉を聞いたとき、単にお客様が希望する要件を形にするだけでは不十分だと気付きました。私たちの本当の目的は、システムを通じてお客様の課題を解決することです。視野が広がったことで、まずは課題の根本を理解し、それを満たせる「コスト-機能」の最適解をチームで考えて提案に落とし込む行動を、システムのプロとして第一に考えるようになりました。
自分の芯を持ちながら、同僚に背中を預けられるチーム
異動2年目の出来事を機に、NTTデータのソリューション営業として大切な考え方を学んだという杉本。その後は、さまざまな業界の課題について地図情報を軸に考えるこのポジションに一層の面白さを感じていったと言います。
そして2020年からは地図情報ビジネス担当チームの課長に就任。自ら提案活動に参加しながら、同じくBizXaaS MaPの販促にあたるメンバーのマネジメントにも挑戦中です。
管理職の立場になって、心がけていることが2つあります。1つは、それがうまくいくかどうかは別に、メンバーが自分で考えた思いや行動をできる限り尊重すること。私も以前『自分はこう売りたい』といった思いがあって、時には壁に当たりながら新しい気付きを得て成長できた今があります。ですから、一人の意見を皆が尊重し受け入れるチームの雰囲気づくりを特に意識しています。
もう1つは、私自身が積極的に周囲を頼ることです。BizXaaS MaPに携わって10年目になりますが、知識量や判断の正確さの面ではまだ足りていない部分も多いと感じています。メンバーが悩んでいることに対して常に素早く的確なアドバイスをするためにも、私一人で迷うようなときは抱え込まず、他の管理職にも相談します。こうした私の行動から、若手社員にも臆せずどんどん先輩を頼って良いのだという感覚を持ってもらえたらよりうれしいです。
杉本はNTTデータの組織について「個人が力を持ちつつも皆でコミュニケーションを重ね、時には助け合いながら顧客のための最善を模索する人財が多い」と話します。
この言葉には彼女がこれまで築いてきたキャリアの経験もさながら、その合間で経験した出産・育児というライフイベントも背景としてあるようです。
産休や育休時のカバー、さらに復帰後の子育てと並行しながらの業務では、チームメンバーの協力が大きな頼りでした。元々短時間勤務がしやすい環境ではありましたが、急に子どもが熱を出したりすると、タスクが途中のまま帰宅しなければならない場面もあります。そんな時はいつも周囲の同僚が気を利かせてくれ、組織で対応をサポートしてもらえたことが強く印象に残っています。
以来、できそうにないことを無理に出来るとは言わず、自分なりの最善は尽くしながらも周囲を頼れるようになりました。時に難度の高い仕事もありますが、こうした信頼できる同僚が傍にいてくれることがNTTデータの良さであり、強さだと思います。
今後注力したいことに「マネジメント力の向上」、そして「BizXaaS MaPの技術が社会全体の基盤とされるような新機能やサービスの企画」を掲げる杉本。開発から営業へ、そして管理職へのキャリアで培ってきた“視点”を武器に、お客様の課題解決に貢献するNTTデータ独自の地図情報ソリューションをより高めていきます。