公的医療保険DXやデータヘルス改革の案件を次々と手掛ける
ヘルスインシュアランス事業部は、社会保険診療報酬支払基金(通称:支払基金)などの審査支払機関をお客様とした事業部であり、日本の公的医療保険業界の抱える課題解決のため、基盤整備や付加価値向上に取り組んでいます。
近年では、医療、介護、個人の健康管理情報など今まで分散していた情報を連結してビッグデータを構築し、これをもとにAI解析などを加え、データをより実効性のあるサービス提供に利活用することを目指す政策「データヘルス改革」が政府より示されています。
このデータヘルス改革プランに則ったプロジェクトを通じて、NTTデータとしてお客様の事業拡大に貢献していくこと、そして事業を成長させていくことが、営業として支払基金を担当している増田に課されているミッションです。
公的医療保険業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)に関わる仕事です。自分の仕事が国民の健康寿命を伸ばすことに貢献できていると感じられるのは、とてもやりがいがあります。
日本の公的医療保険が抱える課題の一つが、国民皆保険制度の持続性確保。マイナンバーカードの健康保険証利用も課題解決に向けた取り組みのひとつです。
増田が担当する支払基金においてもマイナンバー領域の案件が増加しており、増田はレセプト振替機能というオンライン資格確認システムのサブシステムを皮切りに、履歴照会回答システム、電子処方箋管理システムなどを立て続けに受注してきました。
この中でもっとも直近にリリースされた電子処方箋管理システムは、紙でやりとりされていた薬の処方箋を電子化し、医療機関と薬局の間で、オンラインのやりとりができるようにするものです。これまでの紙の処方箋は医療機関ごとに発行されていたことから、別々の病院で同じ薬が重複して処方されてしまうことや、飲み合わせが悪い薬が処方される等の問題がありましたが、電子処方箋によって適切な服薬につながることが期待されます。
今後、日本の公的医療保険分野のDXはさらに進み、生涯にわたる個人の保険医療情報であるPHR(Personal Health Record)の民間事業者での活用なども活発化していきます。公的医療保険分野の変革を先導できる存在として価値を発揮し始めたNTTデータですが、実は支払基金においてマイナンバー領域の取り組みが始まった当時は存在感が薄く、ここまでの事業成長の裏側には増田の活躍がありました。
今までに培ったお客様との関係性を生かし、マイナンバー領域を開拓
日本の公的医療保険業界の抱える課題を解決するというミッションの下、営業として支払基金の案件を受注し、NTTデータの領域を開拓・拡大していくのは容易いことではありませんでした。
2016年頃から社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)がスタートし、支払基金では従来の基幹システム以外の案件が増加しましたが、他のベンダーが大きなシェアを占めている中、NTTデータはなかなか案件を任せてもらえない時期が続いていました。
私はNTTデータへの入社以来、一貫して支払基金を担当してきたというリレーションを生かして情報収集を行い、戦略を立案・実行していきました。結果的にお客様が求める提案ができ、受注に結びついた時には、今まで実施してきた営業活動がようやく実を結んだという達成感がありましたね。
それが2019年に受注したレセプト振替機能です。この案件には、これまでの案件とは違う、ひとつ特徴的な点がありました。公共分野のシステムはウォーターフォール型で開発することが多いものの、レセプト振替機能はアジャイルでの開発という調達要件があったのです。支払基金に関連する多くのステークホルダーの意見を取り入れながら、柔軟に開発を進めていく必要性があったからこそのアジャイル開発でした。
支払基金において新しい取り組みであることはもちろん、増田の在籍するヘルスインシュアランス事業部としてもアジャイル開発は初めて。増田はNTTデータ社内のアジャイル開発のチームとも連携し、万全の開発体制を構築。無事にシステムのリリースまでこぎ着けることができました。
レセプト振替機能はオンライン資格確認システムのサブシステムであり、けっして大きなシステムというわけではありません。ですが、新しい取り組みでありながら安定したシステムを作り上げたことで、お客様からの高い評価をいただくことができました。
お客様からの信頼を獲得したこの案件を皮切りに、増田は営業としてNTTデータの事業としての成長にも貢献。その後に受注した履歴照会回答システムもトラブルなく開発し、お客様からの評価を堅固なものにします。
そして直近の電子処方箋管理システムについては、それまでの案件以上に大規模な開発だったものの、山形県や福島県など4つの地域でスモールスタートしたこともあり、大きな問題なく稼働を開始。今後、システムを導入した全国の医療機関や薬局で順次運用が始まっていきます。
必要な情報が入手できなかったり、考えた戦略がうまく合致しなかったりということも多くありましたが、お客様との信頼関係を築き、社内の開発側と同じ方向を向いてきた結果、徐々に努力が実っていった感覚です。お客様から「やっぱりNTTデータだね」という言葉をいただいた時はうれしかったですね。
強い責任感を胸に、新しい領域へも踏み出していきたい
NTTデータへの入社以来、営業として一貫して支払基金を担当している増田。「社会に大きな影響を与える仕事がしたい」、「普段の生活で自身の仕事を感じられるような業務に携わりたい」という思いを持ってNTTデータに入社した増田にとって、今の環境はまさに自分の希望に合致しているのだそうです。
ずっと同じお客様を担当しているとはいえ、案件の内容は毎回違いますし、基幹システムからサブシステムまで、規模も大小さまざまです。若手の頃にはお客様の本部に常駐し、拠点のレイアウト変更やネットワーク変更にかかる端末工事も経験しました。常に新鮮な気持ちで業務に向き合えています。
また、支払基金のマイナンバー領域の特徴として、一般競争入札案件のため、営業と開発は一丸となって受注というひとつの目標に向かいます。営業は、限られた時間やリソースの中で、どうすればお客様にとってより良い提案ができるのか考え抜き、社内の関係者を動かしていきます。こうした活動を通じて、営業としての自身のプレゼンスの高さを感じられる点も仕事の魅力だと増田は語ります。
NTTデータには、特定のソリューションを軸にして営業活動を行うソリューション営業などがいますが、お客様と長期的な関係性を築きながら顧客目線を養うことができるのも顧客営業の特徴ですね。
NTTデータが会社として掲げる「ロングターム・リレーションシップ~長期にわたる揺るぎない関係性~」に通じる姿勢が求められる公共分野の営業。そんな営業に向いている人物像を聞いたところ、増田から出てきた答えは「責任感を持った人物」でした。公共系のプロジェクトは国の政策に連動しており、必然的に自分自身の生活にも関わるものになります。影響力が大きいプロジェクトだからこそ、能力や経験以上に、目の前の仕事を自分事として捉える姿勢、そして絶対に最後までやりきるのだという責任感の強さが求められるのだそうです。
今まで一貫して支払基金を担当してきた増田は今、未来に向けた新しい挑戦を考えています。データヘルス改革を通して蓄積されていく医療、介護、個人の健康管理情報というビッグデータをどう活用していくか、民間PHR事業者や製薬会社、自治体などを巻き込んで議論が進んでいます。データ利活用は支払基金や省庁だけの動きではなく、民間を含めた大きな動きへと発展していこうとしています。
データ利活用が広がっていく中、民間の動向にもアンテナを高く持ちながら民間事業者に提案を行い、新しい事業を創出したいですね。現在の組織では製薬会社などを担当する部門も身近にいるので、十分に可能性はあると考えています。
データを活用し、日本の公的医療保険をより良いものにーー。増田が見据える未来の風景は、さらに大きな領域に向かって広がろうとしています。