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目指すのは、最新技術という素材を組み合わせる“シェフ”。NTTデータ流 アプリケーションスペシャリストの流儀

NTTデータは、「技術よりもマネジメントに長けている会社」という印象をお持ちの方もいるかもしれません。今回紹介する末宗悟は、新卒でNTTデータに入社後、数多くのプロジェクトでアプリ開発から基盤構築まで幅広い技術を追求してきました。現在はアプリケーションスペシャリスト(AP-SP)として活躍。チームリーダーとしてメンバを率いる傍ら、自身も現場に飛び込み顧客への価値提供に情熱を注いでいます。「最新技術を美味しく組み合わせ最高の料理を届ける“シェフ”のような存在でいたい」。と語る末宗。その言葉の裏にはどのようなキャリアがあったのか。今後どんなことに挑戦していきたいのかについて語ってもらいました。

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腹をくくって現場に飛び込む。AP-SPとしてのあるべき姿

「最新IT技術を社会に適用したい」。大学在学時よりそんな想いを抱いていた末宗は幅広い業界のお客様の業務改革をトータルに支援できることが決め手となり、NTTデータへの入社を決めました。

2006年の入社以降、数多くの業界のシステム開発に携わり、アプリ開発から基盤構築まで、開発技術を幅広く習得しました。末宗が製造業のデータ連携基盤構築を本格的に手がけたのは、2014年に参画した自動車メーカーのデータ連携基盤構築プロジェクトでのこと。自動車1台あたりの製造コストを労務費やネジ1本の材料費に至るまで調達時に遡って集計するという複雑度の高いプロジェクトに挑戦。製造業の持つ業務とITとのすり合わせの難しさや共通データ基盤の基本について学びました。

そんな中、末宗のターニングポイントとなったのは、「AP-SP(アプリケーションスペシャリスト)」としてお客様に関わるようになったことでした。NTTデータの「AP-SP」とは、顧客業務やビジネス課題に対し最適な開発手法とアーキテクチャ構成を提案すると同時に、それを責任を持って企画~導入~運用することでビジネス価値を具体化させる人財のことを指します。

顧客業務もシステムも粗い解像度のまま仕事をするのでは何も解決しない、そのことに気づいた末宗は、今まで疎かにしていた顧客業務とITについて学ぶようになります。そうして徐々に顧客理解を深めながら「製造×データ連携基盤」という自身の専門性を確立。当時を振り返り、末宗はこう語ります。

現場を知らずに外部パートナーとしてITを推進していくのではなく、お客様や発生したトラブルの渦中にぐいっと入り込む。大事なのは、腹をくくって勉強し、とことん現場やその中身について理解しようとすること。その重要性に気づかされてから、ようやくAP-SPとしてのスタート地点に立てたように思います。

その後、末宗はチームリーダーとして、要件定義から運用まで従事し、タイヤメーカーや重工業をはじめとした製造業プロジェクトにおいて、IoTデータの蓄積・活用基盤の構築・運用を手がけていきます。当時IoTという言葉があまり普及していなかった日本で、培ってきた知見を活用しながら、製造業の現場と理想のすり合わせに日々奔走しつつも、着実に実績を積み上げていきました。

最新技術を美味しく組み合わせる、いわば一流の“シェフ”として

現在は大手製造業企業の全社基幹システム刷新プロジェクトを手がけている末宗。NTTデータは、PMOおよび技術支援という立場でプロジェクトに参画しており、その中で末宗はデータ連携基盤構築、アーキテクチャ構想チームのリーダーを担っています。

参画当時、既存のデータ連携・活用基盤に対し、アーキテクチャ方針から見直すというミッションを担うこととなった末宗。いざ入ってみると要求されているユースケースに対してアンマッチな技術が採用されており、基盤が機能していないという課題に直面します。

このようなケースは決して珍しいことではないと末宗は言います。

IoTの普及に伴う大容量トランザクション処理などにより新しい技術の選択肢が増えている分、
特性を理解した技術の選択ができないと、かえってパフォーマンスが下がるためです。

たとえば移動と一口に言っても、近所のコンビニへ行くのと北海道へ行くのではその手段が異なるのと同様、データ連携基盤もその目的を把握して使わないと、正しく動作しないのです。昔であればデータベースならこれ、といった汎用的な正解がありましたが、今はそうはいきません。

変化の激しい現代の顧客ビジネスと技術変遷の中で、最適なアーキテクチャ構成とその運用を考えるのがAP-SPの主戦場となります。AP-SPの位置づけについて末宗はこう語ります。

よく当社のAP-SPと一般的なプロジェクトマネジャーの違いについて聞かれますが、自分はこう答えています。
『プロジェクトマネジャーがレストランのオーナーであれば、AP-SPは食材の目利きをし最高のレシピを考案して調理をするチーフシェフ』です。
よりよい食事を届けるのは同じですが、AP-SPは届けるモノにフォーカスしているのが特徴です。もちろん、その特性上AP-SPでもある程度のマネジメントができるのは前提条件になります。

一方、そうした各技術の特性を理解するのはそう簡単なことではありません。案件が変わる度に次々と現れる新しい技術についていくため、今なお本を読みあさり、勉強する日々を送っています。そして、中身に踏み込み最新技術の特性を理解した上で、ときに「No」と言い切る勇気も必要だと言います。

「あなたは目の前の人を怒らせないためにいるのではない。目的を忘れずにやるべきことをやりなさい」これは、新人のころに当時の上司からかけられた言葉です。NTTデータが大切にしているのは、やり遂げるという責任感。そしてその想いを同じくする仲間とともに働きたいと思っています。プロジェクトを絵に描いた餅で終わらせるのではなく、お客様にとってあるべき姿を実現するためには、ときに勇気を持って「No」と言い切ることも必要という信念につながっています。

NTTデータのエンジニアたるもの、常にチャレンジャーであれ

NTTデータには、先端技術を貪欲に追求し続けるエンジニアが集まっています。これまで難度の高いプロジェクトを多数渡り歩いてきた末宗も、その経験に驕ることなく、常に勉強、常にチャレンジャーでありたいと言います。

お客様とのお打ち合わせで聞いたことのない技術の名前が出れば、その足で本屋へ行き、すぐさまキャッチアップして翌日の提案書に盛り込むことも。現状に甘んじたり、メンバのみにキャッチャアップを求めてはいけません。いつまでも謙虚に勉強し、いつまでもチャレンジャーでないといけないと思います。自分のまわりのメンバを見ていると、息を吸うようにこういうことの繰り返しができる方が活躍しています。

そんな末宗に今後挑戦したいことを尋ねると 「日本の製造業の変革」という答えが返ってきました。

日本の製造業は今、大きな変革点に立たされています。大企業の全社的アーキテクチャともなると、もはや変えていくべきは一業務ではなく、組織と文化。企業成長を促し、維持するために必要だった文化は蔑ろにせずに、新たなアーキテクチャに変革しないといけない。そこに対し、どう立ち向かうかが私のテーマです。

高度経済成長期において、日本を支えたモノづくり。その現場には優秀な技術者たちがいて、一つの生産技術を高めることに仕事人生の大半を注ぐような人もいます。しかしモノの価値がコモディティ化し、グローバルな競争が激化する現代において、製造業は変革を迫られています。新しい手法をお客様の現場全員が取り入れて変わっていかねば、現代のスピード感についていけなくなります。

現場主義が根強い製造業において、ITの価値が理解されないことも少なくありません。私がやるべきは、現場が培ってきた技術力や知見を活かしながら、現場が「いいな」と思って使ってくれる仕組みをつくること。今のプロジェクトから始め、それをきっかけに他の製造業がこぞって真似をしたくなるようなモデルケースを生み出していきたいです。

そう熱く語る末宗。アプリケーションのスペシャリストとして、彼が日本の製造業に大きな変革をもたらす日もそう遠くはないかもしれません。

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※掲載記事の内容は、取材当時のものです