3年後を見据え、TC&S分野は大きな変革へ
TC&S分野は、最新トレンドのテクノロジーをかけ合わせたソリューションを業界横断で提案し、顧客のビジネス課題をアセットベースで解決に導くことをミッションとする組織です。BizXaaS Office®などの自社開発サービス群からSalesforce、Tableau、Snowflake、ServiceNowをはじめとする国内外のテック企業のソリューションまで、幅広い分野のアセットを保有・開発しています。
TC&S分野は2024年7月より、大規模な組織再編を実施します。具体的には、これまではソリューションごとに分かれていた組織体制を、「営業・コンサル部門」と「技術部門」の2つの職種別組織に変更。福永はこの組織再編の責任者として、構想立案や実務面のプロジェクトマネジメントを担当してきました。
今回の再編の背景には、お客様のビジネス課題に対しTC&S分野全体として足並みを揃えてお応えしたい想いがあります。これまでは営業やコンサルタントもソリューション別に分かれていたため、お客様に対して当分野から複数の担当者がつくケースもありました。フロント機能を1つの組織単位に集約したことで、TC&Sとしての窓口を一本化でき、より俯瞰的なオファリングを提供しやすくしました。
また、開発側にとっても人財集約によるスケールメリットを活かせるほか、ソリューションの垣根を超えた人財交流が活発になり、スキルの幅出しや新しい技術への挑戦がしやすい環境になることを期待しています 。
TC&S事業推進部の企画部長として、分野の人財戦略や他分野(公共社会基盤・金融・法人)とのアラインメント強化といった社内業務からテック系スタートアップ企業との提携に向けた活動にいたるまで、さまざまな業務を統率してきた福永。特に人事領域では、2027年度までを見据える次期中期経営計画を見越し、TC&S分野の体制強化や分野内の管理職ポストの採用、社内人財の育成に注力してきました。
変化の激しいデジタル時代に対応するためには、既存のノウハウに閉じることなく常に新しいケイパビリティを開拓し、取り込んでいく必要があります。そのためには人財採用等で組織自体を大きくする必要性もさることながら、メンバ層 を先導していける経験を持った管理職の存在が不可欠だと考えています。
価値観を変えた、アメリカでの仕事と子育て
新卒でNTTデータに入社し、管理職に就くまでは営業としての経験を積んだ福永。彼女にとって入社5~6年目にかけて携わった仕事が、キャリアにおけるターニングポイントの1つだったと言います。
営業としてプロジェクトの規模感も大変刺激的だったのですが、当時の私にはそれ以上に心に残ったことがありました。お客様の仕事の進め方が非常にロジカルで速く、それまでの自分の至らなさを痛感したのです。プロジェクトに入っていた担当者には、海外勤務・留学経験者やコンサルファーム出身者もいました。そんな彼らの仕事の進め方を見て、『自分もこうありたい』と強く感じました。
このときの経験から「グローバルな環境で経験を積む」ことへの強い意識が芽生えたと話す福永。間もなく社内の公募制度を利用してアメリカへ短期派遣留学を経験し、時を経て2021年には上司からの抜擢でNTTデータグループのアメリカ法人へ出向しました。このときの駐在は、当時小学生の子ども2人を連れての転勤。福永にとっては担当業務のみならず、外国での子育てとの両立という意味でも初めての連続でした。
母としてアメリカでの生活を始めると、留学時代とは違った角度での気づきが多くありました。例えば家事代行や料理の宅配は日本以上に当たり前ですし、大人数のオンライン会議では、必ずしも全員が自分のデスクに座っているわけではありません。複数のリージョンを繋ぐ会議では、移動中の車内から参加する人 もいれば、とあるスタートアップとの会議では、途中で焼きあがったチキンをオーブンから出す人までいたのです。
家庭の中で回りきらない家事は気兼ねなく社会の力を頼りますし、仕事とプライベートを無理に切り分けるのではなく『私生活があっての仕事』という意識が根付いているのだと実感しました。
NTTデータも、時短勤務中の勤務時間を選択できたり(4~6時間/日)、男性の育休取得に対する理解も進んでいたりと、子育て支援に関する制度や文化の基盤はできていると語る福永。しかし、会社として工夫や改善の余地はまだあるとも考えています。
1つ挙げるならば社内会議です。帰国してから、大人数が揃わなければならない会議の数や1回の時間をできるだけ減らしていこうと働きかけてきました。システムの実装・導入は多くのメンバが参画するプロジェクトワークなので、どうしても必要な打ち合わせは一定数あります。ただ一方で、最初に達成するべきゴールを明確に定め、必要最小限の時間で設定していく工夫も大切だと思うのです。
働くママにとっては特に限られた時間の中で、目の前の仕事に対する結果を出していかなければなりません。一人ひとりの社員が効率よくゴールに向かっていけるよう、アメリカで体験して良かったことや得た気づきは積極的に取り入れたいと考えています。
好奇心を持って、進みたいキャリアは自分で拓く
TC&S分野の人財戦略として、管理職層の拡充と並んで力を入れている取り組みがもう1つあります。それは女性がより活躍しやすい組織内の風土醸成です。同分野の経験者採用実績として、直近数年の平均が20%以上、2022年度は25%が女性でした。営業・開発を問わず、多くの女性社員が活躍しています。
こうした状況のもと福永は、すべての社員が家庭と仕事を両立しながら、能力のみで評価を受け、自分の望むキャリアの方向を自由に選択できる状態の大切さを強調します。
例えば、将来マネジメントに挑戦したいと考えている女性が、産休や育休による一時のブランクだけで『自分にはもう難しいかな』と思い留まるなど、実際その可能性が狭まるような組織ではいけません。私自身もそうしたライフイベントを経験してきた“当事者”の一人として、女性活躍推進の施策に取り組んでまいりました。
こう話す福永は、立場上のミッションである制度や仕組みづくりだけでなく、現場へのよりダイレクトな働きかけも行っています。その1つとして、 NTTデータ内の女性部長が作る有志の事務局に参加。管理職への昇進を目指す女性社員の方とカジュアル面談を行い、直接の上司部下とは違う立場からのアドバイスをしています。
面談ではまずメンバに自身のキャリアに対する考え方や今後どうなりたいかを言葉にしていただき、抱えている漠然とした不安や疑問に答えたり、現在の私たちの働き方を紹介したりしています。彼女たちがキャリアアップを目指すにあたって、必ずしも昔ながらの男性中心的な管理職像に囚われる必要はないし、家庭と両立できないほどのハードワークをこなす必要もないと伝えています。仕事に割いた時間の長さより、時々で与えられる裁量の中で面白がって仕事をすることこそ大切ですし、成果にも繋がりやすいと感じているからです。
TC&S分野は、他分野におけるNTTデータとしての特徴的な数年単位を要する大規模システムの開発よりも、顧客課題に伴走するコンサルティングや中規模のサービスデリバリ案件が多い特色があります。メンバ目線でも、お客様の課題解決をゴールに自らソリューションを選定し、現場主導でプロジェクトを牽引できる面白さがあります。
メンバ層にしても管理職層にしても、これからのNTTデータにはさまざまな変革を前向きに捉え、自分ができることにトライできる人財が必要です。とりわけTC&S分野はNTTデータ全体を見ても新しい組織で、自由闊達な文化のもとボトムアップなチャレンジがしやすい環境だと感じています。今後経験者採用で入社される方には、これまで積んできた経験を軸としつつ、ぜひ好奇心を大切にNTTデータでの仕事に挑戦いただきたいです。
かつての単身留学の経験から、福永は自分の行動を振り返る際、「同質性からの脱却」ができているかどうかを考えると言います。この言葉は決して組織やチームと足並みを揃えず動くという意味ではなく、安易に周囲や慣習に流されず自分が歩みたかった方向へ向かえているのか、ということです。
“前例がないのであれば、自分が後進への前例になれば良い”。
TC&S分野はそんな気概が歓迎される組織であり、自ら挑戦したい方に参画いただきたいと、福永は話します。