グローバルなビジネスづくりの醍醐味を知り、シリコンバレーへ
現在、Innovation技術部に所属し、先進技術を活用したビジネス創出に取り組んでいる池田。2004年に新卒でNTTデータに入社した後、アメリカのスタートアップ企業へ転職し、2023年にNTTデータにカムバックしたという経歴の持ち主です。
新卒入社後はCOBOLを使った金融機関向けのシステム開発を担当したのですが、若いうちから要件定義やプロジェクトマネジメントなどを任せてもらえ、早い段階でソフトウェア開発の一連のプロセスを学べました。とても恵まれた経験ができたと思います。
金融機関向けシステムの開発を通じてソフトウェア開発の全体の流れを経験した池田は、新しい世界を経験したいと考え、社内公募制度を利用して組み込みソフトウェアのビジネス企画のポジションに応募。「システムをつくる仕事」から「ビジネスをつくる仕事」へキャリアシフトします。ある企業に対するM&Aの交渉も担当し、「仮説を立て、自社の強みを分析し、ビジネスの実現に向けて挑戦できたのはいい経験だった」と語ります。
その後、海外のソフトウェアパッケージを調査するチームに所属した池田は、先進技術を持つスタートアップ企業とパートナーシップを結ぶために奔走し、「Splunk」などの製品展開に携わります。なかでも特に印象的だったと振り返るのは、北米のパッケージソフトウェア企業との仕事でした。
上司とともに初めての海外出張へ行ったものの、英語に自信がなかったせいでミーティングでは一言も発せず悔しい思いをしたんです。それをきっかけに英語の勉強をがんばったことで、より海外と関われる仕事を任せてもらえるようになりました。
海外企業との連携業務を通じ、グローバルな仕事の面白さを知り、「もっとグローバルな環境に身を置きたい」と上司に希望を伝えた池田。念願が叶い、アメリカのシリコンバレーへの赴任が決まり、現地のスタートアップ企業の調査をすることになりました。
シリコンバレーというITの最新技術が生まれる場所で、多種多様な人たちと関わることができたのは本当に刺激的でした。しかし、当時のアメリカではNTTデータの名前を知らない人も多く、相手にされないこともあって。海外ではまだまだチャレンジャーなんだと思い知らされましたね。そのような状況でも、いくつかのスタートアップ企業と日本の事業部をつなげられ手応えを感じました。
日本に帰任した池田は技術開発本部(現:Innovation技術部)にてプリセールスチームのリーダーとしてAI関連のビジネス創出に取り組みます。グローバルのチームとも連携し、日本の事例を共有した結果、海外の大手自動車メーカーのプロジェクトを受注したこともありました。
ここまで充実したキャリアを歩んできた池田が、なぜ転職を考えるようになったのでしょうか。
シリコンバレー赴任中に出会ったスタートアップ企業のCEOからスカウトされたことが直接のきっかけです。日本に進出するために力を貸してほしい、と。もちろん逡巡はありました。日本企業のように雇用は保証されていませんし、ビジネスが成功するとも限らない。ですが、未知の世界への挑戦に惹かれて不安以上に期待のほうが大きかったんです。
上司たちから「いつでもNTTデータに戻ってきていい」という言葉とともに温かく送り出してもらい、感謝の念とともに絶対に成功するという強い気持ちを抱いた池田。「NTTデータにはまったく不満がなかった」と語りながらも、NTTデータの外へ飛び出すことを決意しました。
ゼロから日本市場を開拓。全力の挑戦を経て、再びNTTデータへ
スタートアップ企業の日本リージョン代表として新しい一歩を歩み始めた池田。自分の他に社員が誰もいない環境で、営業向けSaaS製品の日本市場拡大というミッションのもと、営業・マーケティングからプロダクト企画、採用まで幅広く担当します。
既に顧客基盤や知名度があるNTTデータとは営業のやり方がまったく違います。何もないところから、ひたすら泥臭い営業を続けました。
ゼロからのスタートラインに立った池田は、メディアの露出、イベント出展、Webマーケティングなどでリードを獲得し、顧客とのパイプライン拡大や提案を行っていきます。一方でアメリカとインドにいるプロダクトオーナーやソフトウェアエンジニアに対して日本のニーズを伝え、日本向けサービスの企画も推進しました。
最初は苦戦を強いられたものの、顧客に対する提案まで漕ぎつけられれば、他の企業に負けないクオリティの高い提案を行うことができたと池田は語ります。その背景には、NTTデータ時代に培った、数々の大企業への提案経験がありました。
池田の努力の甲斐あり、徐々に日本市場でも売上を伸長。ところが、CEOの判断によってすべてのエンジニアのリソースをアメリカに投入することになり、日本市場からの撤退が決定します。それでも、「挑戦したことはまったく後悔していません」と池田はいいます。
次のキャリアとして、再び別のスタートアップ企業に挑戦することも考えましたが、自分のこれまでの経験や能力を最大限に生かせて、なおかつ自分がやりたいことを考えると、国内の大手IT企業が一番適していると思いました。
フラットな目線でNTTデータ以外の会社も幅広く検討しましたが、「世の中にインパクトを与える仕事ができる」という点では、やはりNTTデータ以上の会社はないと確信した池田。しかし、カムバックを決意したものの正直なところは不安があったと胸の内を明かします。
自分の意思で外に出ていったのですから、白い目で見られるかもしれないという不安がありました。ところが実際にカムバックしてみると、嬉しいことに歓迎してもらえて。必要以上に気を遣われることもなく、自然に接してくれる方ばかりで気持ちが楽でしたね。
そんな池田が復帰した部署は、退職するまで所属していた部署と同じInnovation技術部。デジタルツインやブロックチェーンのような先進技術を活用した新たなビジネスの創出をミッションにしている組織です。
NTTデータはこの活動をグローバルで推進するため、Innovation Centerを2022年に立ち上げ、現在では世界11拠点、200人以上まで組織を拡大しました。顧客との共創を通じて、ユースケースやアセットの開発を実施しています。
池田はいま、日本市場向けのプリセールスチームをリードしながら海外のプリセールス代表者とも連携し、海外プロジェクトの提案支援やユースケースの共有などを実施しています。先端技術を活用して、まだ世の中にないサービスやシステムを作り上げられる点、グローバルのメンバーと連携できる点に大きなやりがいを感じているそうです。
カムバックして実感する人財の強みと、転職者の増加
日本の大企業とスタートアップ企業では事業環境やカルチャーなど多くの違いがあります。そうしたなか、池田がスタートアップ企業で得られた最大の学びは、目標達成に対する責任感と貪欲さだったといいます。
スタートアップ企業は、自分の成果がダイレクトに会社の成長や存続に影響します。だからこそ、数字を達成するために必死で取り組みました。この時に染み付いた成果に対するコミットメントは、いまのチームでも重視しています。
NTTデータという大きな組織であっても、一人ひとりの成果の集合が最終的に会社としての成長に影響する点は同じです。「日本の大企業であっても、正しく危機感を持つことは必要です」と語る池田の言葉には強い説得力があります。
また、池田はカムバックしてきたことで、以前とは違う新たな視点からNTTデータという会社を見られるようになりました。特に人財という観点では大きな発見があったそうです。
NTTデータの社員はお客様に対して真剣に向き合い、自分たちが提供できる最大価値を常に考えて提案しています。実直といってもいいくらいの真面目さはNTTデータの特徴です。会社全体として優秀な人財が多いことにも改めて気づかされ、NTTデータの強さの秘密は人にあるのだと思いました。
一方で、転職前と比べて大きく変化していると感じられた部分もあるそうです。それが人財の多様性です。
外部からの転職者がとても増えていることに驚きました。特に私の場合は転職前と同じ部署に復帰したこともあって、経験者採用の増加を顕著に感じましたね。私のチームも半分以上が経験者採用のメンバーで構成されています。外部から人を採用して活躍してもらうための環境や仕組みは、私の転職前と比べて大きく進化したと感じています。
池田が語る通り、現在のNTTデータでは上司やチームメンバーが外部からの転職者ということもありふれた光景になり、会社全体として転職者が活躍できる風土が出来上がっています。特にカムバックした社員に対しては、即戦力としての活躍が期待されており、外部で得た経験やスキルを発揮できる場があります。
カムバックした人間も、のびのびと働いて活躍できる環境があるので、私と同じようにNTTデータに戻ることを考えている人はぜひ安心してもらいたいですね。
NTTデータで培った提案スキル、スタートアップ企業で得たグローバル体制での企画・開発経験というカムバック社員ならではの強みを十二分に発揮し活躍している池田。夢だと語る、グローバルで成功する新規ITサービスの実現に向け、これからもNTTデータで挑戦を続けていきます。