防災の領域で自らの手を動かしながら前進し、未来を開拓していく
NTTデータの公共・社会基盤分野 公共統括本部 社会DX推進室で防災レジリエンス推進を担当する向上と、公共・社会基盤分野第一公共事業本部 モビリティ・レジリエンス事業部で危機管理ソリューションを担当する山口。二人はいずれも経験者採用でNTTデータに入社しました。それぞれ異なる部署に所属しながらも、共に防災やインフラの分野に携わり、案件に対し連携して対応しています。
私は、ODAのプロジェクトであるインドネシアにおける防災情報伝達システム開発のプロジェクトマネージャーに従事しています。取り組んでいることは大きく3つあって、まずは日本側でどんなシステムを作るか要件を詰め、お客様から合意を得ることです。
次に品質を担保しながら開発を進めること。そして、お客様先でスムーズにシステム導入できるようサポートすること。この3つの統合管理が今の私の役割です。
当初はそもそもお互い母国語も文化も違うインドネシアのお客様を相手にしていくという点で、何から取り掛かれば良いかわからないほどでした。しかし、インドネシア政府の方や現地メンバー、新たに加わった通訳の方、多くの社内の仲間がサポートしてくれるなどして一つひとつ形になり、少しづつでも進んでいく手応えを感じられていることが今やりがいになっています。
私は主に防災や道路・河川・港湾などのインフラの領域で企画渉外の役割を担っています。新たなお客様を開拓すべく、前職でのキャリアやJICA、アメリカ留学などの経験で培った人とのつながりを活かし、社外だけでなく海外へも積極的にアプローチする立場です。
また、前職で担っていたインフラ管理者としての知見を活かして、事業部が抱える案件に対する支援も行っています。時には今求められているものがどんなものなのかを提言しながら、今あるソリューションやアセットをより広く展開、または強化していくことに努めています。
「ITありき」で進めたくない──現場の手触りを大切にしたいから外へ出て行く
社内外問わずいろんなところに関わる中で、とくに社外に出ていくことに注力しています。社内のベクトルが内側に向きがちなので、だからこそ私が外へ出ていかなければという思いもあります。
道路・河川・港湾などのインフラ業界はDXが遅れており、まだまだ改善の余地が大きい領域です。たとえば、インフラ管理者がDXをやりたいとなったとしても何をすれば良いか、誰に聞けば良いのかで困るケースが多いです。
ゆえに、困ったときに連絡・相談できる関係となるリレーション活動や知名度が重要となります。また、前職時代を振り返ると、NTTデータは地方自治体の港湾などに取り組んでいますが、国の行政機関関連のインフラ関連の仕事をしていることは国にほとんど知られていなかったと記憶しています。ですから積極的に関係各所を訪問して、業界や国と顔が見える関係を構築するとともにNTTデータの存在感を示したいと思っているところです。
一方で、NTTデータにいるとさまざまな企業などから引き合いがあり、それゆえに、自ら外に出て開拓する必要性を感じにくくなってしまうという側面があります。もちろん他の企業や行政などとの取り組みも重要ですが、ターゲットとなる業界を定めて継続的なリレーションにつなげるといった一時的な収益にとどまらない戦略的な取り組みも並行して行う必要があります。ビジョンを持って自ら市場開拓していくということは継続して行うべきだと考えています。
向上さんのそういった主体的な姿勢はどのように培われてきたのでしょうか?
私は前職では幸いにもさまざまな外部組織と関わる経験が多くありました。それらの経験を通して、人のつながりや外に出る重要さを感じたことが大きく、現職でも常に外に出ようとしています。
あとは、現場の経験が大きかったと思います。前職で道路インフラに携わっていた時は地権者さんと交渉したり、道路パトロールで見回りをしたり、設計や災害対応にも従事しました。現場感を持って進めたいという思いは当時の経験が影響しています。こういった現場を大切にする考え方は山口さんも近いと感じていますが、いかがですか。
これまで2社を経験し、技術者としてキャリアを積んできて感じているのが、最後はITではなく“人”だということです。とくに当社はソフトウエアハウスではなくインテグレーターです。
そういった視点で見ると、提供するITは目的ではなく何かを達成するための手段であり、それを欲する人、システムを運用しサービスを提供する人、恩恵を受ける人など多くの人が関与することを考えないといけません。これより、「ITそのものを作る」ことだけにこだわってはいけないと考えている点で、向上さんの現場を大切にする姿勢と通ずるものがあるかもしれません。
NTTデータの豊かで良質な環境を土台に、自分事として挑戦していきたい
NTTデータの魅力は、まず経営基盤の盤石さが挙げられます。私は入社後、受託でのシステム開発に携わり、その後は研究開発事業や商品開発も経験しました。
現在防災事業に携わっていますが、私が参画した時点ではレッドオーシャンと言われる防災市場に後から参入していた事業でした。事業の成功のためには先行している商品との違いを生み出し、付加価値も提供できる、投資を含めた商品開発が必要だと考えたのですが、そういった取り組みを後押しできる文化と体力があるのです。
私が携わった商品開発だけでも、投資額を累計すると数億円規模になるのではないでしょうか。こういったチャレンジをさせてもらえるのはNTTデータならではだと感じています。
また、横のつながりを大切にする人が多いことも挙げられます。あちこちの部署に顔を出していると知り合いが増えて、そのつながりから仕事の誘いを受けることもしばしばです。“話が通じる”と感じる方が多く、困っている時に助けてもらった経験も多くあります。
加えて、最後までやり抜くことを大事にする会社のスタンスも魅力です。実は以前に大きな失敗をしたのですが、それでも責任を持ってやり遂げさせてもらえました。さらに、そんな失敗をした後でも大きな案件にアサインされ、チャンスをもらっています。自ら事業を推進したいと考える社員に対して、懐の深さも感じる会社です。
私も入社以来、自由に取り組ませてもらっていて、NTTデータの懐の深さを感じています。たとえば、長距離飛行するドローンの実証実験は、事業部と連携して企画から実施まですべてに携わりました。
正直なところまだ受注にはつながっていないのですが、国から関心を持ってもらえるなどの波及効果を感じています。とりあえずやってみることで何かしらのきっかけにつながると感じた経験となりました。次はいかにしてビジネスへと展開するかという点が課題です。
そういった前例がない新しいことに取り組むにあたって、何が原動力になっていますか?
自分事として考えることですね。前職での経験があるため、ユーザー側のニーズや課題を自分事として理解した上で、具体的な提案などに生かすことができます。長距離飛行ドローンの取り組みに関しては、前職にいたころに地震などの災害を経験しましたが、そのたびに長距離の車両巡視を実施していました。
その経験があるためインフラ管理における長距離飛行ドローンが間違いなくインフラ管理者の業務を軽減するという確信があります。制度の制約などもあり、実証に留まっている部分がありますが、それを実装に持って行きたいという強い想いがあります。そういった実体験からくる思いがあるので、新しい取り組みに対して不安がないのでしょう。
NTTデータのさらなる成長を見据えて、“言ったもん勝ち”な文化を作りたい
仕事に向き合う上で大切にしているのは、技術者として技術を世に出すためにどうすれば良いか考え、動くことです。前職ではなかった視点で、NTTデータへ入社し営業の方たちの仕事ぶりを目の当たりにして影響を受けました。
それは、口を開けてお客様を待っているのではなく、“仕掛ける営業”とでもいうべきアプローチの仕方でした。自分たちで仕事を作ろうとする姿勢に衝撃を受けたんです。
一方で、私は技術の現場でこれまで世に出ることなく、日の目を見ずに終わっていく技術を多く見てきました。これらの経験から、技術者として技術をきちんと世に出してビジネスにしていくことを大事するようにしています。
私は自分の意見を明確に持つことを大事にしています。自分なりに良いか悪いかを判断し、周囲と共有して議論しなければ先に進んでいきませんから。できるだけ率直に忖度なく、判断できる人間でありたいと思っています。
今後のビジョンとして、“言ったもん勝ち”な文化を社内に醸成していけたらと考えています。NTTデータには石橋を叩いて渡るような慎重さがあり、それはそれで大切なことです。
一方、成長戦略という視点から考えたときに、リスクばかりを見ていたら何もできません。もっと“言ったもん勝ち”で、やりたいことをどんどん自ら発言して社会実装まで漕ぎ着けて、これは私がやったんだと誇れるような人間を増やしていきたいです。
個人的なビジョンですが、DXとユーザー・顧客側の両方の経験や知見を活用し、私は自分自身のマーケットバリューを常に高め続けたいと思っています。その結果としてお客様の変革にもつながり、社会を根本から変えられたらうれしいです。
私も同じように、気づいたら自分たちのやったことが社会の仕組みになっていたと思いたくて仕事をしています。そのためには継続的に良いものを生み出していきたい。もっと認めてもらえるように挑戦を続けていきたいですね。
バックグラウンドは異なるものの、これまでのキャリアで培った豊かな知見をもとに、現場の温度感を大切にしながら業務に向き合う向上と山口。慣例にとらわれず縦横無尽にフィールドを駆け回るふたりは、NTTデータに新たな歴史を刻んでいくはずです。
出典:talentbook「株式会社NTTデータ」(2024年2月20日公開)より転載