人と仕事を伝えるWEBマガジン
NTTデータグループ / NTTデータ / NTT DATA, Inc.

誰にとっても使いやすいサービスを。顧客体験の価値を向上させる、サービスデザイナーとしてのキャリア

NTTデータの公共・社会基盤分野では、官公庁や自治体に関するサービスを提供しています。生活に密接に関わるサービスだからこそ求められるのは、ユーザーに適した使いやすさです。そうした、より良い顧客体験の仕組みづくりを支えているのが「サービスデザイナー」というポジションです。今回は、NTTデータでサービスデザイナーとして第一線で活躍する小林のストーリーをご紹介します。サービスデザイナーになるまでのキャリアや、いまの仕事ならではの楽しさについてお話を伺いました。

目次

Profileこの記事に登場する人

社内公募でネットワークエンジニアからサービスデザイナーへ転身

現在は公共・社会基盤分野のUD/UXチームに所属し、サービスデザイナーとして活動している小林ですが、実はネットワークエンジニアとしてキャリアをスタートしたという経歴の持ち主です。

大学時代に情報工学を学んでいた小林がNTTデータに入社した理由は、社会的に重要なインフラを提供しており、特に行政周りのシステムを数多く提供している点に魅力を感じたからだと語ります。

当時は職種に対する強いこだわりはなく、“やりたいこと”を重視して会社を選びました。私がやりたかったのは、人々の生活に身近なサービスをつくり社会に貢献すること。NTTデータなら、自治体や官公庁に関するシステムを多く手掛けており、希望していたキャリアが歩めそうだと考えたんです。

入社後に小林は金融分野に配属され、約8年間にわたり、保険会社のお客様に向けたネットワークの構築やデータセンターの構築などに携わってきました。

配線工事なども行っていたので、入社前にイメージしていたシステムエンジニアの仕事とはギャップがありました。ですが、それはネガティブな意味ではなく、形のあるモノを作っているという手触り感があり、むしろやりがいを感じていましたね。

小林は少しずつ業務の幅を広げ、プロジェクトマネージャーへとステップアップも果たします。お客様との関係構築やチームでのコミュニケーション、マネジメントといったスキルを磨いていく一方で、新しい分野への挑戦を考えるようになったといいます。

この先のキャリアは、順当にいったら、ネットワークエンジニアとして専門性を深めていく道か、プロジェクトマネージャーとしてマネジメント力を極めていく道のどちらかだろうと思っていました。ところが、どちらの選択肢もしっくり来なくて。せっかくNTTデータという大きな組織にいるのなら、他の仕事もチャレンジしたいと思い社内公募をチェックしていたところ、“サービスデザイナー”の募集が目に留まったんです。

大学時代にユーザーインターフェースについて学んでいた小林は共通点を感じ、社内公募を通じて金融事業推進部の技術戦略担当に異動。そこで事業部全体の支援をするという立ち位置でプロジェクトに参画し、外部のデザイン会社とも協業しながら、ユーザーにとって使いやすいシステムを作り上げていきます。

サービスデザインの実務経験はなかった小林。異動後は社内の有識者からOJTを通じて基礎を学び、働きながら大学にも半年間通い、専門知識を習得。その後、「人間中心設計専門家」の資格も取得します。体系的に知識をインプットしながら実際のプロジェクトでアウトプットしていくというサイクルで、サービスデザインのスキルを磨いていきました。

ユーザーの生の声を聞き、サービスに反映していくプロセスの楽しさ

金融分野で約3年間サービスデザイナーとして活動を続け、サービスデザインの基礎やマインドを学んだ小林は、さらに仕事の幅を広げるため、2021年に公共・社会基盤分野への異動を志願します。

NTTデータで働くからには、いつかは公共・社会基盤分野で提供しているような社会生活を支えるサービスづくりにチャレンジしたいと思っていました。一定の経験を積んだいまなら、スキルセット的にもサービスデザイナーとして自走できる自信もあったんです。さらに、サービスデザイナーというポジションなら、金融分野から公共・社会基盤分野への異動といっても、まったく別の世界というわけではありません。分野が変わっても横のつながりが深いため、“隣の町に引っ越した”くらいの感覚で業務に入っていくことができ、早期活躍できるイメージが持てたのも後押しとなりました。

異動後、小林はUD/UXチームのリーダーとして、公共・社会基盤分野の事業部に対するサービスデザインの支援活動に取り組んでいます。具体的には、提案の支援、UI(※)改善支援、新規サービス創発支援、サービスデザインに関わる教育プログラムの開発および研修運営など幅広い活動を行っています。

※UI・・・ユーザーインターフェース

小林がサービスデザインの上でもっとも重要だと強調するのがユーザー理解です。誰が、どのような悩みを持っているのか。あらゆるサービスは、ユーザー理解を起点にして始まるのだと話します。

例えば、自治体向けのサービスであれば、どういう職員が、どのような業務で、どれくらいの頻度で使用するのかを知ることが大切です。そうしたユーザーの解像度を高めていく上で有効な手法が、実際のユーザーにインタビューを実施したり、現場へ向かい業務を見たり、積極的に生の情報に触れること。デスクの上で考えるだけでは、机上の空論になってしまいますからね。

ユーザーととことん向き合えることこそがサービスデザイナーとしての仕事のやりがいであると小林は語ります。ユーザーのことを理解し、ビジネスとテクノロジーのバランスを考えながらサービスを考えるのが楽しいのだといいます。

小林が手掛けた好例のひとつがマイナポータルアプリのプロジェクトです。日本の全国民に使ってもらいたいサービスであり、それがスマホアプリとしてダイレクトに人々に接するという点で、社会的なインパクトはきわめて巨大でした。

この時に小林たちは、一般の方を集めたユーザーテストを企画・実施し、実際にアプリを使ってもらいながら率直な感想をフィードバックしてもらうという活動を行います。そこで得られた発見や見落としていた視点などをサービスに反映し、利用者にとって本当に使いやすいアプリへと改善していくことができました。

デジタル庁の方々もマイナポータルアプリに対しては強い想いを持っており、それを一緒に具現化した点にもやりがいがありましたね。私のこれまでの経験や知識を総動員して取り組めたプロジェクトだと感じています。

NTTデータで広がる、サービスデザイナーとしてのキャリアの可能性

社会課題の解決に取り組んでいる公共・社会基盤分野では、長年にわたってユーザー視点のサービスづくりに注力してきたという歴史があります。

NTTデータは大規模なシステム開発が得意なため、単に「ものづくりの会社」として認識されており、「デザイン」という言葉からは遠い企業であるというイメージがあるかもしれません。しかし、私たちのチームは20年以上前から存在しています。全社でいえば、「Tangity」というサービスデザイン領域のデザイナー集団も抱えています。

公共・社会基盤分野では、サービスデザインの教育活動も活発です。その活動を推進する小林たちのチームの究極の目標は、「サービスデザインの思考や行動が職種問わずすべてのメンバーに浸透すること」だといいます。

サービスデザインの根幹はユーザーについて理解することです。だからこそ、まずはシステムやサービスを作っていく中で、現場からユーザー視点に立った発言が自然に出るようになればうれしいですね。将来的にサービスデザインの姿勢やマインドが組織内に十分に浸透し、一人ひとりがサービスデザイナーのように振る舞えるようになったらユーザー体験に優れたサービスが世の中に増えていくと思います。つまり、誰にとっても使いやすい、喜ばれるサービスが増えるということです。そうすれば、結果的に多くの人がストレスを感じず様々なサービスを利用できる社会になっていくのではないでしょうか。

社会を支える多くのシステムを手掛けているNTTデータだからこそ、サービスデザインを通じて世の中をより快適にしていける可能性があるのです。さらに、デザインだけではなくテクノロジーも含めた総合力というNTTデータならではの大きな強みがあるからこそ、優れたサービスは生まれるのだと小林はいいます。

サービスデザイナーだけではサービスは生まれません。NTTデータにはテクノロジーに強い人もいれば、営業やプロジェクトマネジメントなどのスペシャリストもいて、多様な人財がいるからこそ顧客体験価値が高いサービスが生み出せます。

一人のサービスデザイナーとして働く上でも、小林が語ったようなNTTデータの環境は大きな魅力になります。さらに、「サービスデザイナーという職種が明確に定義されていることは、サービスデザイナーとしてのキャリアを突き詰めたいと考える人にとって大きなメリットだ」といいます。

小林に今後のキャリアの目標を伺うと、「NTTデータの名前を冠したBtoCの自社サービスを提供すること」だと話してくれました。

やがてはNTTデータのブランドのサービスを増やしていくフェーズが来ると思っています。その時は、サービスデザインのスキルが今以上に必要とされるはず。そこで貢献できるような存在になっていたいですね。

社会的インパクトの大きい仕事に携わりながら、ユーザーの声を反映してサービスを作り上げていく。そのプロセスが楽しいのだと力強く断言する小林にとって、NTTデータはこれ以上ない場所なのかもしれません。社会や人々の価値観が変わり続ける中で、小林のチャレンジはこれからも続いていきます。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです