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税の世界から、社会を豊かにしたい。NTTデータだから見いだせる、社会課題への切り口

NTTデータのエンジニアには、社会課題の解決をゴールに据え、それぞれの得意分野を活かしながらより良い社会を実現する「Social Designer(ソーシャルデザイナー)」としての側面があります。今回紹介する小関も、エンジニアとして上流から下流までの幅広い経験を得ながら、お客様の共創パートナーとして社会課題の解決に取り組む一人です。税という一筋縄ではいかない課題と向き合う中で、小関がどのように成長を遂げていったのか。十余年にわたる小関の挑戦を振り返ります。

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社会に役立つ仕事を求め、右も左も分からない税の世界に飛び込む

大学時代は経済学部に所属し、ITとは縁遠い分野を学んでいたと言う小関。そんな小関がIT業界に興味を持ったのは、NTTデータの事業活動による社会への貢献度の高さと影響力の大きさが背景にありました。

当時は電力や鉄道などのインフラ系をはじめ、メーカーや金融など、業界研究を兼ねてさまざまな企業を見ていました。その中で交通系ICカードやクレジットカードなど、普段から何気なく使っているもののシステムを作っていることを知ったのが、NTTデータに興味を持ったきっかけでした。もともと生活に根付いた仕事で社会に貢献したいという想いがあったのですが、分野までは絞れずにいたので、幅広い事業を展開するNTTデータなら自分にできる社会貢献のかたちを模索していけると思ったのです。

複数の業界で企業選定を進めていた小関は、OB訪問や面接でこれまでのプロジェクト事例を知る中で、NTTデータが社会に提供する価値に惹かれていき、入社を決意しました。

そんな小関が入社後に参画したのは、地方税システムプロジェクトの維持管理でした。しかし、小関は税金の知見が豊富にあると言えず、業務理解に苦労したと打ち明けます。

学生のときは納税の機会がなかったので、税の仕事と言われても最初はイメージが湧きませんでした。また、税務システムは税法に基づいて課税・徴収する仕組みを落とし込んでいく必要があり、専門用語だけでなく業務そのものを理解することにも苦労しました。

税法は住民税や自動車税の他にもさまざまな項目があり、高度な専門資格を要する士業に分類されるほど難しい分野です。加えて税関連のプロジェクトでは法律と税務業務の両方の理解が求められ、適合性も重要になります。

右も左も分からない中で、先輩に積極的に質問を行いながら税の知識や業務の理解を深めていった小関ですが、業務中にヒヤリとした瞬間もあったと言います。

データの修正や処理を流すような検証作業をするとき、基本動作を怠ってしまい、ヒヤリハットにつながったことがあります。そんなときに部長からABC(当たり前のことを、バカにせずに、ちゃんとやる)の精神を教えていただき、指差し確認やクロスチェックといった基本動作の重要性を再認識しました。

税務システムは金銭を取り扱うことから、金額の誤りなどが発生すると納税者にも広く影響が及んでしまいます。だからこそ、データの確実性が何よりも大切です。ミス・漏れなく確実にプロジェクトを進めていくうえで、NTTデータに受け継がれるABCの精神は、小関にとって大きな教訓となりました。

チームの一員から導く存在へ。成長の過程で生まれた意識の変化

税務システムを中心とした地方税分野での取り組みを経て、設計・実装・テストという一通りのシステム開発工程の経験を得た小関。グループリーダやプロジェクトマネージャというマネジメント領域にもチャレンジし、今では100名規模のプロジェクトチームを率いる存在へと成長しました。

自身のキャリアを振り返った際、ライフステージの変化が自身の仕事観にも大きな影響を与えたと小関は言います。

結婚して子どもが生まれてから、生活を子どもファーストで考えるようになったことがきっかけで、仕事面でも周りを意識することが増えました。私自身、育児・家事の手伝いができるように時差出勤やリモートワークができないかと上司に相談して、叶えていただいたことがあって。そこから誰もが仕事以外に大変な部分があると考えるようになり、困ったときは助け合おうというチーム意識が高まっていったのです。

特にプロジェクトマネージャは、自分自身の判断がエンジニアや協力会社にも大きな影響を及ぼすため、判断を誤ると関係者のモチベーションが低下してしまうリスクもあるでしょう。

この点において、小関はプロジェクトにおける認識の共通化を大切にしていると語ります。

現場が見えないまま方針を決めてしまうと、関係者は一方的に決められたというネガティブな感覚が残ります。私自身も、かつて同じ気持ちを抱いたことがありました。しかし、上司がしっかりと現場を見てくれていると感じたときは、期待に応えようと思えたのです。だからこそ、関係者のモチベーションを保つうえでも共通のビジョンやゴールイメージを設定し、お互いに納得感を持った状態でスタートを切ることが重要だと考えています。

一方で、ビジョン型のリーダーシップは足元の問題を見落としやすい欠点があります。
魅力的な未来を提示するだけでは、プロジェクトは円滑に進行できません。思い込みや予測ではなく、現場のリアルな声に耳を傾けながら、信頼関係を醸成していくサーバント型のリーダーシップも求められます。この課題を乗り越えるうえで、小関が大切にしたのは対面でのコミュニケーションです。

大事なことを話すときは、対面でのコミュニケーションを心がけています。相手の表情や仕草、言葉尻などから異変を感じ取りやすいからです。異変を感じたときはうやむやにせず、異変の根本にあることを明らかにしていき、解決に向けた具体的なアクションを話し合うようにしています。

小関がここまでチーム意識にこだわるのは、マネジメントとしての発言・行動に強い責任感を抱いているという理由だけではありません。一枚岩となったNTTデータのプロジェクトチームが凄まじい熱量やパワーを生み出し、一人では実現できないような大きなビジネスを成功に導くことを実感しているからです。だからこそ、プロジェクトチームをより強固なものにしていくことに小関は注力しています。

納税をポジティブに考えられる世の中を創っていきたい

社会保障や社会福祉に活用される性質から、税金に関するプロジェクトは社会貢献性が極めて高いです。しかし、小関が社会貢献性を実感できるまでには、入社から数年の月日を要しました。これは税務業務の運用方針や抱えている課題が、自治体ごとに異なることが背景にあります。

例えば、コンビニ納付では専用のバーコード付納付書を使いますが、このバーコードに設定されている取扱期限は自治体によって異なります。これは税の徴収率を高めるための考え方や施策が、自治体ごとに異なるからです。このように納付方法ひとつ取っても個別性が出るため、システム仕様のみならず、どのような考えに基づいて税金を徴収しているのかを理解する必要があります。ここがクリアになったことで、自分自身の取り組みがどこで価値を発揮しているのかを実感できるようになりました。

税収がなければ自治体の運営は成り立ちませんが、税収率を100%にすることは至難の業です。「納税期限を忘れていた」や「コンビニや銀行窓口まで出向けない」など、さまざまな理由で滞納が発生します。そして、その割合は自治体ごとに異なるでしょう。

このような状況下で自治体ごとの課題と向き合い、デジタルの力を用いて納税の障壁を取り除くことが、NTTデータに期待されていることでもあります。

都道府県向け税務システムのクラウドサービス「pre’xco®(プレコ)」に携わっていたときの事例ですが、地方税ポータルシステム「eLTAX」や公金キャッシュレスソリューション「pufure®」と連携し、2023年からは地方税統一QRコード(eL-QR)を活用した地方税の納付が可能になりました。キャッシュレス納付の実現や金融機関における地方税の収納事務効率化にも寄与しています。
一方で、支払方法の拡充にとどまらず、スマートフォンを持っていない方や支払いに出向くことや手続きが困難な事情を抱えた方でも確実に納税ができるようにしていく必要もあります。また、税金は徴収という言葉からも強制力を感じるもので、納税にネガティブな感情を抱く方もいらっしゃいます。だからこそ、納税を前向きに捉え、かつ煩わしさを感じない仕組みを創り、持続的な社会の実現に向けた良い循環を回すのが私たちの役目だと考えています。

少子高齢化が進行する日本では、社会の変化に合わせた税の仕組みを考えることも重要です。政府が主導するデジタル3原則(デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップ)を踏まえ、今後は2軸で模索していく必要があると小関は語ります。

1つ目はペーパーレス化やデジタル化を通じて、税金の通知から支払いまでの労力をなくし、納税にかかる物理的な負担を軽減すること。2つ目は、課税や徴収における公平性のさらなる向上です。この2点を実現するためには、税制度や法律に対して提案や政策立案支援をしていくことも大切だと考えています。時間はかかると思いますが、NTTデータならではのアプローチで、より豊かで調和のとれた社会の実現に貢献していきたいです。

税のあり方を見直し、仕組みを整え、社会を変える。それは決して簡単なことではありませんが、構想から実装、運用支援までをワンストップサービスで届けられるNTTデータだからこそ、模索できる道でもあります。今後も生活者視点で未来を描き、データ分析やサービス連携によって新しい「しくみ」や「価値」の創造を目指して、小関の挑戦は続きます。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです