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お客様のビジネス発展を共に考えるパートナーに。社会インフラを取り巻く課題のトータルな解決に挑む

通信・電力・ガスを中心とする社会インフラを担う企業を顧客とするテレコム・ユーティリティ事業本部では、2024年7月に組織改編が行われました。新しく誕生した事業部のひとつであるスマートインフラ事業部では、インフラ設備の運用管理高度化や関連オファリングなどの提供を通じた設備保全者不足の解消をミッションとしています。今回のUpToDataでスポットを当てるのは、基幹系システムの開発やシステムの外販などの幅広い経験を積み、現在は設備フィールド統括部の課長として活躍中の楠橋。今までのキャリアで得た学びやインフラ業界のこれからについて聞きました。

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社会のインフラを支えたい。その想いを実現するために重ねてきた努力

大学院では管理工学科に所属し、都市工学を専門分野としていた楠橋。就職先にNTTデータを選んだ背景のひとつには、院生時代の学びがありました。プログラムを用いて都市のシミュレーションをした経験を通じて、システムは身近なものになっていたのです。

就職先を選ぶ際に考えていたのは、せっかくなら大きなことができる会社がいいということ。就職活動では進むべき業界を絞らなければいけないイメージがありましたが、システムであれば、業界の垣根なくあらゆる分野に携われます。その可能性の大きさに惹かれました。今や社会インフラの一部であるシステムの開発を通じて、世の中の仕組みづくりをしてみたいと思ったのです。

入社を約1カ月後に控えた2011年3月11日、記録的な大震災が日本を襲いました。「入社後しばらく、社内はその話題で持ちきりだった」と楠橋は当時を振り返ります。社内のあらゆる部署に影響があり、寝る間を惜しんで働く社員もいるほどであった状況が、「NTTデータは災害が起きたときでも、社会のインフラとしてシステムを安定稼働させなければいけない会社なのだ」という自覚を芽生えさせたといいます。

楠橋が配属されたのは、通信会社の基幹系システムである顧客・料金管理システムの開発チーム。まさに社会のインフラを支える仕事ですが、最初は苦労が続いたと、当時の胸中を明かしました。

社会に組み込まれているシステムの規模感、構造、用いる技術などに初めて触れ、慣れるのに大変でした。加えて感じたのは、基本設計の難しさ。お客様の業務を知らなければ、本当に役に立つシステムは作れません。ですが、信頼関係がない段階だと「伝えた通りのものを作ってもらえれば問題ないのに」と思われてしまいます。そのため、基礎知識の習得と共に、自分の提案を信頼してもらえる努力をしました。

楠橋の努力は時間をかけて着実に実っていきます。だんだん信用をいただけてきたと感じるようになったのは、配属から2、3年ほど経った頃でした。

業務にフィットするシステムを提案するために、お客様の実務に携わらせてもらうなど、自ら課題を知るために働きかけをしました。それらの積み重ねが信頼に繋がり、次第に提案が受け入れられるようになりました。バイネームで呼んでいただけるようになったときは、嬉しかったですね。

インフラを取り巻く環境の変化を共に考えていける存在に

信頼を積み重ねてきた楠橋は活躍のフィールドを広げていきました。2021年には部署を異動し、通信設備・フィールド業務の関連システム開発を担当。10年以上にわたり同じお客様の側で、同じ目線に立ち物事を考えてきた楠橋は、次第にインフラビジネスがNTTデータに求める役割が変化していることに気づきます。

以前は、お客様の業務課題をシステムで解決することに私たちの価値がありました。しかし次第に、お客様のビジネスそのものへの課題解決を期待されるようになりました。例えば、昔はインターネットの固定回線を家に引くのが一般的でしたが、今では固定回線を引く方は減少し、回線契約による利益が出しづらくなっています。時代の流れに伴う事業環境の変化を捉え、どのように事業を維持し拡大していくのか、お客様単体のビジネスに閉じていると答えを出せないことも多いのです。

これからは今まで以上に、お客様のビジネスそのものの課題解決に寄与したい。そう感じていたタイミングで、楠橋は課長へと昇進。担当していたシステムの外販を検討するという、新たなミッションを任されました。

「自分に知見のない開発リスクが多く、実現可能な開発計画を立てることが難しくて悩んだときもありました」と、楠橋は当時を振り返ります。そんなときに助けになったのは、上司からかけられた言葉でした。

「人を頼れ」という言葉です。振り返ると、自分の能力や知識を超えるような調査、提案、開発では、必ず誰かに助けてもらっていたことに気づきました。アドバイスを受け、さまざまな人を頼ることで、通信業界以外の業界知見、新しいソフトウエアアーキテクチャの検討、ソリューションビジネスのつくり方などを知ることができました。あらゆる領域のプロフェッショナルがいることが当社の強みだと改めて実感しましたね。

NTTデータには多くのプロフェッショナルがいると語る一方で、楠橋は「自分自身の技術力はまだまだ」といいます。しかし、その言葉に込められているのはネガティブな想いではありません。

自分が特定の分野に突出していない分、チーム作りでは、絶対に他人任せにしないことを心掛けています。責任から逃げない覚悟を持って成し遂げたいことを推進していけば、優れた技術を持っているメンバーが付いてきてくれますから。新しくご入社される方には、突出した強みがなくても活躍できると伝えたいです。

探せば必ずその領域のプロがいるという恵まれた環境を活かし、お客様への価値提供に繋げていける。それこそが楠橋の強さに他なりません。

チャレンジ精神あふれる仲間と、インフラ業界のこれからを支えたい

高度経済成長期に作られた、電柱や水道管といった数多くの社会インフラ。それらの老朽化を防ぐためには定期的なメンテナンスが不可欠です。設備保全者不足やインフラ設備の運用管理には、事業者のみならず国も課題感を持っています。インフラ業界の課題に対し、SIerの枠組みを超えて取り組むことが大切だと楠橋は語ります。

NTTデータは今、変革期にあります。これからは、多様化して曖昧になった課題をどのように解決すべきか、お客様と共に主体的に考えていく時代です。今はまだどのような姿がインフラ事業の最適解なのか分かりませんが、お客様のビジネスが発展する未来を描くために尽力したいです。

お客様のインフラ設備領域の課題解決をめざすスマートインフラ事業部。中長期的な目標は、通信・電力・ガスといった個々の業界に閉じずにインフラ業界全体に貢献することです。

今までの「お客様の課題をシステム開発で解決する」というSIの考え方だけでなく、自分たちの知見や持っているシステムを他のインフラ領域のお客様に活かせないかなど、大きい目的や長い時間軸で捉えて考えていけることは、大きなやりがいですね。

誰も正解を持っていない課題に挑むのは、想像よりもずっと根気の要ることです。いったい何が楠橋の原動力になっているのでしょうか。

まずはお客様のためです。長年共に働いてきた中で、私がお客様に育てていただいた場面も多くあり、ご恩を感じています。今まで関わってきたお客様が目の前の課題に悩んでいるのなら、貢献したいと強く思います。そして、後輩のためでもあるかもしれません。最近入社した方から「新しいことに挑戦したいからNTTデータを選んだ」という言葉をよく聞きますので、そのような方が新しいことに挑戦できる風土も作れたらいいなと思います。

お客様や後輩といった周囲の人々への貢献を重んじるその答えからは、楠橋の実直さが感じられました。

「次なる挑戦は、社会インフラの維持に貢献する仕組みを構築し、構想、開発、利活用の定着までを実現することです」と語る楠橋。その言葉からは「システムの開発を通じて世の中の仕組みづくりをしてみたい」という入社理由から一貫した信念が感じられました。楠橋のこれからの活躍、そして楠橋を見て育つ多くの後輩たちの成長にも期待が膨らみます。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです