お客様と一緒に課題に向き合いたい。その想いを胸に、防衛という未知の世界へ
大学で情報系を専攻し、就職活動ではIT業界の企業を幅広く検討していたという海老澤。PCに向き合っているよりも、人との会話を通じて物事を進めていく方が好きだという自身の性格から、「お客様と一緒に課題に向き合える仕事がしたい」と考えていたと話します。
NTTデータを選んだ決め手は、自社の製品にとらわれることなく、お客様の要望や開発要件に沿ってベストなソリューションを提案できるマルチベンダーだった点です。とりわけ、お客様に寄り添って課題解決に貢献するNTTデータの姿勢は、自分のマインドセットとも合致していると感じました。
しかし、防衛システム担当への配属が決まった時には少し戸惑いがあったと当時の胸の内を明かします。
実は入社時は、NTTデータが防衛省のシステムを手掛けていたことを知らなくて。どのような仕事に携われるのかまったくイメージが湧かなかったんです。
防衛システム担当への配属後、海上自衛隊向けのシステム開発に従事した海老澤。4年をかけて海上自衛隊の意思決定を支援するアプリケーションの開発に携わりました。配属当初は未知の世界だった防衛システムでしたが、経験を積み理解が深まるほどに仕事は面白くなっていったと語ります。そんな海老澤にとってのキャリアの転機は2021年、陸上自衛隊向けのプロジェクトへの異動でした。
入社4年目となり、海上自衛隊向けシステムの機能開発の主担当として多種多様な要件に対する仕様管理を担いながら、後輩の育成にも取り組んでいました。挑戦しがいのある業務ばかりだったのですが、当時は新型コロナウイルスによる厳しい規制があって。社内外でのコミュニケーションや検討が思うように進められず、行き詰まりを感じていたんです。上司に相談したところ、「一度違う仕事を経験してみては」というアドバイスをいただき、陸上自衛隊向けの業務を担当することになりました。
自衛隊という点では同じですが、海上自衛隊と陸上自衛隊は別の組織。NTTデータに期待されていた役割も異なりました。そこで海老澤が担うことになったのは、お客様の立場に立って複数のシステム事業者を横断的に統制・管理する役割。
陸上自衛隊のプロジェクトで求められたのは、お客様に寄り添い全体像を把握しながらシステムと向き合うこと。開発者とは違う立場で、システムがどうあるべきか、開発において何が重要かといった視点でプロジェクトを推進しました。視座が高まったことで、視野がぐんと広がり手応えを感じましたね。
プロジェクトが一区切りを迎えたタイミングで海上自衛隊の担当に戻り、システム更改に向けた本格的な開発プロジェクトにジョインした海老澤。さまざまなステークホルダーとの関係構築や調整力に磨きをかけることができた状態で、新たなミッションに挑みます。
先端技術を活用し、防衛システムをDXするというミッション
現在、海老澤たちが更改に向けて取り組んでいる海上自衛隊の意思決定を支援するシステムは、NTTデータのお客様にあたる防衛省の中核システムであり、非常に大規模なものです。
システムの概要としては、海上自衛隊の護衛艦に加え、日本の海域を航海するすべての船舶の位置情報や航海予定、さらには未確認の船などの脅威ある情報も地図上で一元的に管理することが可能なものであり、指揮官の意思決定に寄与することを主目的にしています。
まさしく日本の安全保障を支える重要なシステムといえる、海上自衛隊の意思決定を支援するシステム。更改を進める中で、これまでにどのような課題があったのでしょうか。
例えば、前線の海域からの迅速な情報伝達は指揮官の意思決定において必要不可欠なファクターですが、陸上と船の間の通信は必ずしも常に良好とは限りません。中には潜水艦のように海中に潜る船もあります。あらゆる状況を想定した上で、安定的な情報伝達をいかにして実現するのか。また、指揮官の意思決定に対して、いま以上に高度な支援を行うにはどうすべきなのか。そうした数々の課題にぶつかってきました。
課題が立ちはだかる中、NTTデータはお客様と一体となり防衛システムのデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいます。システムのモダナイゼーションにはじまり、クラウド、サイバーセキュリティ、AI・データ活用といった先進技術の適用など、そのスコープは広範にわたります。
さまざまなテーマがある中でも、特にデータやAIの活用は大きなミッションです。いま、私たちは将来の事象を予測できる仕組みを構築しようとしています。つまり、現時点の情報を把握するだけでなく、データをもとに将来の出来事を予測するということです。“怪しい動き”という曖昧な情報をAIが分析することで、早期の意思決定に生かしてもらおうとしています。
脅威を未然に防ぐことが求められる国防という分野において、不穏な動きを早期に検知できるというメリットは計り知れません。海老澤たちが取り組む防衛システムのDXとは、ソフトウェアの力で日本の防衛力を大きく引き上げる可能性も秘めたチャレンジなのです。
このようなミッションクリティカルなシステムに対して、海老澤はシステム更改プロジェクトのプロジェクト管理チームのチームリーダーを担当しています。プロジェクトの各種実行管理だけでなく、開発に影響する大きな課題の解決や、従前の例にとらわれない開発手法の策定も手掛けています。
プロジェクト管理において大切にしていることは、お客様との対話と開発現場にしっかり寄り添うことです。強固にプロジェクトを前進させる “密”なマネジメントを心掛けています。
淡々としたプロジェクトマネジメントではなく、お客様にも開発現場にも密着してプロジェクトを前進させていくマネジメントスタイルが海老澤の持ち味です。社内外を問わず積極的にコミュニケーションを取り、関係性を構築していく海老澤の姿勢は部署内でも高く評価されています。
お客様の業務に寄り添いながら、今後の防衛システムを考えていく
NTTデータへの入社以来、防衛システム担当として活躍を続けている海老澤。「完全に未知の世界だった」というスタートラインからはじまり、現在は面白みや醍醐味をどのように感じているのでしょうか。
他の業界のシステムだと一般的にアウトプットの形が決まっています。例えば他の官公庁系のシステムだと、要求された情報を間違いなく届けることが何よりも重要です。一方でいま担当している防衛システムにおいて求められているのは、意思決定に貢献できそうな情勢をフラットに伝えること。そのため、私自身もどうすればお客様の頭の中に近づけるのかを常に考えています。
要件が明確なシステム開発とは違った難しさがありますが、その分、挑戦しがいがあると海老澤はいいます。
お客様と一緒に考えて創り上げていくいまの仕事は、まさに入社時にやりたいと希望していたことです。これまでのNTTデータの実績から、お客様の満足度はとても高い状態だからこそ、私もしっかり期待に応えられるよう、価値提供していきたいですね。
日本の防衛力強化においてNTTデータの果たす役割がますます重要なものになっていくことが見込まれる中、海老澤自身はどのようなキャリアの展望を描いているのでしょうか。
日本の安全保障環境がどう変化していくのかを見据えながら、お客様と対話を重ね、これからの防衛システムをともに考えていきたいです。今後もこの世界で自分の価値を発揮していきたいですね。また、当社が手掛ける他の防衛ビジネス(宇宙、衛星、サイバー等)とも連携しつつ、当社の提供価値の幅を広げていきたいと思っています。
先進技術を活用して防衛システムを進化させようとする海老澤たちの挑戦は、私たち国民の安全にもつながっています。5年後や10年後の未来を見据えながら、海老澤は防衛システムのあるべき姿をお客様とともに考え、ソフトウェアの面から支え続けています。