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山岳レース連覇のアスリート兼ITアーキテクトの軌跡。スペシャリストとしての価値を磨き続けたキャリア

本来、キャリアのあり方は千差万別で、一人ひとりの持つ個性や価値観によって異なるべきです。近年、社会全体の傾向としてキャリアや働き方の多様性は増してきていますが、NTTデータにはそれ以前から多様な人財が活躍できる環境がありました。現在、ITアーキテクトとして最高裁判所の業務のデジタル化に取り組んでいる上野光。2008年の入社当時からスペシャリストとしてのキャリアを志向し、業務外では山岳レースのアスリートとしても活躍してきたユニークなバックグラウンドを持つ社員です。スペシャリスト志向の人財から見たNTTデータはどのような環境だったのか、上野の成長の軌跡とともに迫っていきます。

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スペシャリストとしてのキャリアを志向してNTTデータへ

基盤技術に軸足を置きながら専門性を高め、現在はITアーキテクトとして独自の強みを磨き続けている上野。「昔からゼネラリストタイプではありませんでした」と語るように、「特定の分野で突き抜ける」というスタンスは学生時代から変わりません。

学生時代にはオリエンテーリング(地図を使って自然の中のチェックポイントを走破するアウトドアスポーツ)のサークルに所属し、大学2年生の時にはジュニアの世界選手権に出場。社会人になってからも続け、イギリス発祥の山岳レース「OMM JAPAN」では男女混合部門で3年連続優勝を果たした実績を持つアスリートです。

そんな上野は、どのような経緯でNTTデータに入社することになったのでしょうか。

大学では数学科に所属していました。数学を直接的に仕事に生かすことは難しいだろうと思っていましたが、論理的思考は役に立つかもしれないと考えたんです。進路としては金融業界のアナリストや数学の教師なども検討していましたが、「世の中に貢献できるような大きなものを作りたい」という想いからIT業界をメインに考えるようになりました。

その中でもNTTデータを選んだのは、「業界において国内トップクラスの規模を誇る会社だったから」だと言う上野。「大きなものを作る」という点では大きな会社こそチャンスが多く、特にNTTデータは公共・社会基盤分野のシステムを数多く手掛けている点も魅力だったと言います。

ところが、NTTデータへの入社時には懸念もあったと上野は胸の内を明かします。

当時、NTTデータのキャリアパスはマネジメントに関するものしかなさそうだという勝手なイメージがあって。「自分はゼネラリスト向きではない」と自己分析しており、マネージャーというキャリアは合わないと思っていたので、 「スペシャリストとしてキャリアを築きたい」と入社当初から明言していました。

いまとなっては多様なキャリアのあり方が明示されていますが、上野がNTTデータに入社した2008年頃は世の中全体の傾向として、「いずれはマネージャーになるもの」というキャリアのイメージが強かったのは事実かもしれません。

それでもなお、独自の強みを磨きスペシャリストとしてのキャリアを歩むことを望んでいた上野。けっして自分を曲げない信念を持ち、NTTデータでのキャリアがスタートしました。

ゼネラリストではないからこそ、専門性を獲得するために走り続けた

「社会的に意義のある大きなシステムに携わりたい」という希望から公共・社会基盤分野に配属となった上野は、最初に法務省の地図情報システムのプロジェクトに方式基盤担当として参画します。

地図情報システムとは、不動産登記の地図に関する情報を登録・管理し、地図証明書を交付するシステムです。地図情報システムの大きな特徴の一つとして文字コードがあり、登記情報システムと連携するため、一般的な文字入力ソフトに登録されていない「外字」も出力する必要があります。

きわめて専門性の高い領域ゆえに上野のトレーナーにあたる先輩が専任として担当していましたが、上野はその先輩の仕事を引き継ぐつもりで必死に学びました。

文字コードの第一人者になろうと考え、専門書や設計書を読み漁りました。文字コードは専門性の高さから一子相伝のような様相もあり、先輩しか知らないことも数多くあって。ずいぶん苦労はしたものの結果として、社内の誰もが持ち合わせていないような深い知識を手にすることができたんです。

2015年からは全国規模の大学の教務情報システムプロジェクトに参画。成績発表のイベント時には膨大なバーストトラフィックが発生するという難易度の高い性能要求に対して、上野たちは現場でのテストに明け暮れながらも、お客様とコミュニケーションを取り最適なシステムのあり方を模索しました。

性能テストだけでもレベルの高いことを成し遂げられたと思っていますが、お客様と交渉し、トランザクションが発生するタイミングを分散できたことも大きな成功要因になりました。システムの“外部”のことまで含めてお客様と歩み寄ることができれば、結果としてバランスの良いシステムが作れるという、全体構想を描くことの重要性を知れたプロジェクトでしたね。

そして2018年からは、最高裁判所の司法情報システムのプロジェクトに参画。最高裁判所の職員が日常的に利用するインフラサービス(認証やメールなど)を提供するシステムを手掛け、従来の紙文化からの脱却を実現しました。

その後、一時は別のお客様のプロジェクトに入るものの、「最高裁判所の業務のデジタル化」をさらに推進したいという想いから、再び最高裁判所のプロジェクトへ。現在はITアーキテクトとして、刑事手続きシステムを担当しています。

司法情報システムのプロジェクトを通じて、お客様が紙の書類の多さに困っている様子を目にしていました。そうした中で、最高裁判所のあらゆる領域においてデジタル化はますます加速すると感じており、もっと貢献したいと考えていたんです。刑事手続きデジタル化システムのプロジェクトが立ち上がったことを知り、すぐに配属を希望しました。

上野によれば、現在のプロジェクトの難しさは「絶対に止められないシステム」であることだと言います。万が一システムが止まってしまうと、逮捕令状が発行できなくなるなど影響範囲は甚大です。ITアーキテクトとしての手腕が問われるプロジェクト。緊張感も責任感もありますが、上野は刑事手続きの大きな変革の一端を担えることに強いモチベーションを持っており、目の前に立ちはだかる課題に対し前向きに挑戦を楽しんでいます。

強い個性を柔らかく受け入れる風土は、入社当時から息づいている

モンブラン一周(170km)やピレネー山脈(210km)のレースを走破。OMM JAPANでは男女混合部門で3年連続優勝。

ITアーキテクトにもいくつかのタイプが存在します。要件が漠然としている最上流から具体化していくタイプ、お客様の抱える課題をビジネスにまで仕立てるタイプなど、価値発揮の仕方は一つではありません。

上野については、本人の言葉によると「的を絞って解決するのが得意なタイプ」。数学科出身というバックグラウンドからか、あるいは山岳レースのアスリートであることも関連しているのか、ある程度、可視化された謎や問題を解く方がパフォーマンスを発揮しやすいのだと上野は語ります。

私はもともと幅広い知識や視点を持てるタイプではなかったのですが、俯瞰的に問題解決に取り組めるようになりました。視野が広がったことで、一つの課題やトレンドだけにとらわれずに解決策を模索できるようになったんです。

本質的な自分らしさを保ち続けながらも、変化や成長を続け、スペシャリストとしての価値を高めてきた上野。突出した強みを磨いてきた上野にとって、NTTデータはどのような環境なのでしょうか。

入社当初から、マネジメントではなく“スペシャリストになりたい”という私を自然に受け入れてくれました。NTTデータは昔から多様性を認めてくれる会社だったんです。だからこそ、自分なりのキャリアを築けてきたと感じています。

独自のキャリアを歩んできたからといって、上野が孤独だったわけではありません。成長を支えてくれた上司について、上野は次のように語りました。

プレゼンスキルが上達せず悩んでいた時のこと。当時の上司から、「技術に強く、仕組みを理解していることは大きな武器だ」と評してくれた上で、もっとお客様目線で課題と向き合えれば、より価値発揮できるというアドバイスをいただけたんです。お客様に寄り添うことの大切さに気づき、「どうしたら伝わりやすいか」を意識しながら行動できるようになりました。

また、多様な働き方という観点では、アスリートでもある上野にとってトレーニングを満足に行える環境だったこともNTTデータで働く魅力の一つでした。

業務の状況次第ですが、昼休みに走りに行くこともありましたね。プロジェクトの佳境とレースの時期が重なってしまったこともありましたが、大変な中でも周りの人たちが協力してくださったおかげで、休暇をいただきレースに出場できました。

山岳レースは業務外の活動とはいえ、上野を形成する重要なファクターの一つです。意図していたわけではなくとも、レースにおける目標設定やプランニング、トラブルへの対処といったさまざまな視点が業務に生きている部分もあるそうです。

さて、揺るぎない信念を持ちながらキャリアを歩んできた上野は今後、どのようなキャリアの展望を描いているのでしょうか。

現在携わっている刑事手続きデジタル化システムでお客様の業務のブレイクスルーを実現したいですね。キャリアという点では、今後も技術に軸足を置いて現場に立ち続けたいという想いは変わっていません。クラウドや生成AIなどの新しい技術にも目を向けながら、お客様のビジネス変革に寄り添っていきたいです。

お客様の課題解決やビジネス変革というゴールを最重視しながら、新たな技術領域にも積極的に挑戦していこうとしている上野。これからも上野は、自分の信念をけっして曲げることなく、ゴールに向けてひたむきに走り続けることでしょう。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです