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アジャイル開発をもっと深く──“Will”を起点に組織や開発手法をアップデート

新卒でNTTデータに入社して以降、一貫して官公庁の大規模システムの開発や管理に携わってきた堀 純一郎。キャリア半ばで出会ったアジャイル開発に心を動かされ、自らその手法を学び、社内外に広げていく活動にも力を注いでいます。彼が多彩な案件を通じて育んでいった“アジャイルマインド”とは。その軌跡を語ります。

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上司の言葉とアジャイルマインドを胸に刻み、歩んできたキャリア

2010年、新卒でNTTデータに入社し、以降一貫して官公庁の大規模システムに関わる案件を担う堀。さまざまなシステム開発と管理に携わってきた堀は、現在2つのプロジェクトをけん引しています。

ひとつは中小企業のDXを支援するサービスの立ち上げです。現在プロジェクトの企画段階ですが、私はリーダーとして計画の策定やプロジェクト管理、目標達成に向けて営業や基盤といったさまざまなチームとの連携を担っています。

そしてもうひとつはAI調査事業です。官公庁向けの新たな試みで、AI技術を活用したお客様の業務効率化をめざしています。こちらについては開発面のリードを任されています。

堀がリードするプロジェクトは、いずれもゼロからさまざまな試行錯誤を繰り返しつつ最適解を見出していく力を求められる類のものです。ここまでの道のりで堀は多くの案件を経験し、その中でより良い開発を進めていくためのマインドを育んでいきました。

ひとつは、新入社員のころに部長から教えてもらった「後工程はお客様」という言葉です。組織において自分ひとりで完結する仕事はほとんどありません。この言葉を胸に刻んで、自分の前後の工程を受け持つ方に思いやりの意識を持ち、感謝の気持ちを忘れないことを心がけてきました。

そしてもうひとつが、「価値駆動(アジャイルマインド)」です。目的意識をもってチーム全員で同じ方向をめざし、ユーザーへの価値提供のために改善を続ける開発手法、志を表すものです。

NTTデータで出会ったこの“アジャイルマインド”は、堀のキャリアに大きな影響を与えました。

感銘を受けたアジャイル開発をより深く学び、社内にもその魅力を拡げる立場に

さかのぼること入社時、堀は未経験ながら大きな役割を任され、開発現場におけるコミュニケーションの大切さを学びました。

はじめに任されたのが、官公庁の大規模システムの全体管理です。大規模システムの中には複数のサブシステムがあり、担当するベンダーもさまざまなのですが、それを統括するための説明会を実施したり、自らがリードしたりと、新入社員ながら多くの機会をもらいました。さまざまな人と接し、コミュニケーションの大切さを学べたと思います。

プレッシャーを感じながらも、上司や周囲のメンバーに支えられて少しずつ業務に慣れていった堀。約一年間同業務を担った後、さまざまなシステムの開発を担当しながら実績を重ねていきました。

アジャイル開発の世界に飛び込んだのは、2018年のことです。これまではウォーターフォール開発を経験してきたので、ぜひ挑戦してみたいと自ら手を挙げました。

アジャイル開発はユーザーへの提供価値を最優先し、変化をチャンスとして捉える……つまり寛容に受け入れるのが特徴です。その考え方に感銘を受けたのがきっかけで、アジャイル開発に強い関心を持つようになりました。

これまでと異なる考え方に触れたことで、エンドユーザーにとって一番使いやすいものは何か、という視点を新たに獲得できたと振り返る堀。その気づきはひとつの案件にとどまらず、堀の中でさらにアジャイル開発を学びたいという意欲が芽生えてきました。

お客様に価値を届けるためには、まだまだ自分の経験や知識が足りないと思ったんです。そのため、一度プロジェクトを離れ、アジャイル開発と密接なスクラムというフレームワークを学ぶべく、資格取得に挑戦しました。

他のプロジェクトでも経験を重ね、今度はアジャイル開発を社内外に広めるという新たな目標を持つようになりました。そこで、アジャイルコーチという立場を取りつつ、お客様やスクラムチームに対する研修、社内共有を実施するなど、社内外のアジャイル開発を支援することにも注力するようになりました。

アジャイル開発を軸に自ら学び、次の目標点を掲げるというキャリアを歩み始めた堀。社内外にも少しずつ彼の熱意は伝播し、アジャイル開発の波は広がっていきました。そんな堀のキャリアのターニングポイントは、ある開発での成功体験でした。

チーム全員が同じビジョンを見据えるからこそ、提供価値は高まる

▲ヴェネツィアに旅行したときの1枚

ある開発案件で、スクラムチームのコーチングを担当することになった堀。アジャイル開発の現場では、スクラムというフレームワークに則り、ロールに分かれて開発を進めていきます。しかし、そのチームのプロダクトオーナーになったメンバーはアジャイル開発自体が初めてで、不安を抱えていました。

人の不安は伝播するものなので、プロジェクト開始時はチーム全体が不安に覆われていました。このままでは前向きな気持ちで開発に臨めないと危惧した私は、アジャイル開発に楽しく取り組んでもらえるよう、心理的安全性をつくることにフォーカスしました。

プラクティスを教えることはもちろん大切ですが、それ以上に目的を示しながら、チームがめざす目線を合わせていくことがアジャイル開発においては重要です。ユーザーへの提供価値を高めるためには、メンバーがベストパフォーマンスを発揮しなければなりません。そのための円滑な人間関係をとりもつことに私は全力を尽くしました。

和気あいあいとした環境になるよう、堀はチーム活動やコミュニケーションの中で改善点があれば指摘し、対話の重要性を説いていきました。はじめは緊張感のあったチームも、活動を続けるごとに全員が笑顔で取り組める状態になり、その成果もあってか、わずか2カ月でのリリースを実現しました。

アジャイル開発は柔軟性や迅速な対応を重視する手法ですが、そのためにはチーム全員が団結し、ユーザーへの価値提供のために全力で取り組む必要があります。この“アジャイルマインド”こそ、私たちがより良いものをつくりあげていくために必要不可欠なものだと私は考えています。

たとえ採用する開発手法がウォーターフォールであれアジャイルであれ、「ユーザーに対して価値を提供する、そのために全力を尽くす」という心構えの有無が、その後の成果に大きな影響をもたらすと考えています。

アジャイル開発を起点に学びを重ね、コーチの立場からチームを支えてきた堀。いま堀が重視しているのは、その根幹となるマインドです。このマインドは堀のコーチングを通じ、多くのメンバーへと継がれていきました。

アジャイル開発がしやすい環境づくりを進め、未来にその価値を継いでいく

現在、堀はアジャイルコーチとしての職務からは離れていますが、社内ではアジャイル開発を広げていく動きが活発で、堀が登壇する機会も多くあります。

伝承していくことは大切だと思っているので、自分の経験談はできる限り発信するようにしています。

また、ゼロから立ち上げたアジャイル開発室では、計画書や要件のひな型、プロジェクト立ち上げの際のガイドラインなどを充実させています。これに加えて、私がコーチとして研修の実施や各プロジェクトを支援し、適宜アドバイスしたり、開発の支援をしたりしていました。結果として、アジャイルへの理解が深まった上でプロジェクトをスタートできるので助かる、という声をお客様から何度もいただいています。

お客様の特性上、担当者の異動が頻繁にあるという環境下で、スムーズにアジャイル開発が進むよう工夫を重ねてきたと振り返る堀。外部に研修を依頼するのではなく、自分自身が講師になるほうが最適だという結論も、アジリティを維持する狙いがありました。

コミュニケーション力やチャレンジ精神が自身の強みだと分析する堀にとって、アジャイル開発との出会いとその後のキャリアパスは、まさに自分のWillを軸にした成長をもたらすものでした。そして、彼のWillを支えたのは、個々人のやりたいことに耳を傾けるNTTデータのカルチャーです。

私が所属する事業部では、事業部長が年1回全社員との面談を行います。この機会には「自分が何になりたいのか」問われ、適切な方向性のアドバイスをもらったり、場合によっては関連する案件へアサインされたりすることもあります。自分のやりたいことを後押ししてくれる環境があることは、とても魅力的だとあらためて思いました。

堀はこの環境を活かし、今後もアジャイルマインドを社内外に広めていきたいという抱負を抱いています。自らのWillを起点にした彼の意欲的な活動は、今後もNTTデータに新たな気づきと知見をもたらし、ユーザーへの提供価値を高めていくでしょう。

出典:talentbook「株式会社NTTデータ」(2023年9月11日公開)より転載

※掲載記事の内容は、取材当時のものです