グループ全体がこの先を歩むための、“羅針盤”を作る
グローバルガバナンス本部は、法務・知的財産・リスクマネジメント・AIガバナンスなどの各分野において、国内事業のNTTデータ、海外事業のNTT DATA, Inc.を束ねる持株会社の立場としてグローバルレベルでの方針を策定。継続的なモニタリングも行っている組織です。このグローバルガバナンス本部内にあるグループマネジメント部が、津田が入社以来所属している部署です。
グループマネジメント部での私の仕事は大きく2つあります。1つは、グループガバナンス体制の構築です。グループポリシーや協定・制度など、グループ全体に適用するさまざまなルールの高度化に向けた整備と、それらを各社の事業活動に浸透させる働きかけを行っています。もう1つは、当社の経営管理情報をわかりやすく視覚化して表示するダッシュボードの構築です。
国内外のグループ会社から寄せられる、発信したポリシーや制度の解釈に関する問い合わせにも都度対応しています。
特に前者のグループガバナンスの観点では、津田が入社した翌年に国内・海外の事業会社を束ねる形をとる三社体制が発足するという大きな再編がありました。その実務面を支えたグローバルガバナンス本部としても、“激動”の時期と言えます。
三社体制移行のプロジェクトは、そもそもNTTデータグループ社とNTTデータ社のグループ会社間ルールが存在しないところからのスタートでした。ルールづくりのために各所と根本的な議論を重ねたり、その新しいルールについて既存のNTTデータグループ社とNTT DATA, Inc.等との間のルールと整合性の確認をしたり。長い道のりでしたね。しかし、それをやり切った先にグループ全体が新しい方向へと舵を切る手応えを感じ、達成感もひとしおでした。私個人としても、プロジェクトの最初から最後まで完走できた最初の大きなプロジェクトでもあったので、その点でも印象深い仕事となりました。
このときの経験と成長があり、翌年には、NTT DATA, Inc.による海外グループ会社の新たなマネジメント体制の構築を発表した際にも、グループ会社間ルールの在り方から再設計を行いました。持株会社と事業会社の役割を再定義し、経営幹部へ自ら説明するなど、入社2年目にしてプロジェクトリーダとしての役割を完遂するという成果を上げることができました。
自分の得意領域で、経営陣と直接対話する
NTTデータへの入社前、津田は外資系コンサルティングファームで営業企画や財務管理のポジションに就いていました。今の彼女の仕事のひとつである経営管理情報のダッシュボード構築は、このときの経験が基になっています。
具体的にはグローバルプラットフォームにおける日本法人の管理責任者として、更新機能のリリースに向けた受け入れテストの実施・展開や、ダッシュボード機能を使ったレポートの作成などを行っていました。こうした日常業務を通じて、さまざまな数値を視覚化したり分析したりすることに面白みを感じるようになったと言います。
業務内容やそこから得られるスキルの方向性としては、前職の環境に全く不満はなかったと言う津田。しかし自らのキャリアを長期的な目線で考えたとき、転職を決意したと話します。
外資系企業の日本法人という立ち位置は、本社の方針や施策に動きが左右されてしまうことが避けられません。その会社内で今後のキャリアを考えても、日本国内に留まる限りは拡がりを見出しづらいことがわかりました。それならば、同じく世界に展開をする日本の企業で経験を積んでいきたいと考えました。
日本に本社がありグローバル展開をしている、そしてコンサルティングファームに比較的社風が近い企業を軸に転職活動をし、NTTデータを選んだ津田。実際に入社して業務を始めてみると、当初の想像を超える発見があったようです。中でも驚かされたのが、思い描いていたよりも遥かに大きな組織だったということ。プロジェクトを経るたびに、そのことを改めて実感したそうです。
NTT DATAは世界各国に海外事業の拠点があるばかりでなく、国内にも多数のグループ会社を持ちます。グループの大きさはガバナンス観点で見ると時に難しさを伴いますが、津田にとってはこの部署ならではの貴重な経験もあると言います。
経営陣との距離感が近いことはグループマネジメント部の良さだと感じます。私は今、主任という立場なのですが、例えば構築したダッシュボードのフィードバックやレポートの報告などの場面では、執行役員と定期的な打ち合わせの機会があります。これほどの規模の会社で、そして自分の得意な領域で、目の前の事柄に対する自分の意見を直接経営層に提案できることに大きなモチベーションを感じています。
広範な事業フィールドを前に、新たな強みを開拓できる
NTTデータに転職し、コーポレート部門で前職での強みも活かしながら新しいキャリアを歩み始めた津田でしたが、入社時は前職の外資系企業とは大きく異なる社内文化に戸惑うこともあったようです。
特定の業務について未経験という人でも、「まずはやってみよう!」ということでアサインしてもらえる会社なのだとわかりました。外資では「その人は何ができるか」が第一で、各メンバーにぴたりとはまるポジションを任せていく傾向が強いです。
津田自身、ダッシュボードを用いた情報処理には自信があったものの、グループガバナンスや関連文書の取り扱いについてほとんど知識がないところからのスタートでした。キャリア採用者でもポテンシャルを期待する人財配置の考え方に日系企業ならではの文化を感じ、「カルチャーショックを受けた」と笑います。
前述した三社体制移行という一大プロジェクトの存在もあり、彼女にとって経験の浅い領域が入社後最初の大きな仕事になりました。転職後で環境にも慣れきっていない中でインプットと試行錯誤を繰り返す毎日には苦労があったものの、プロジェクトの完結後、ふと自分の成長を感じる出来事があったと当時を振り返ります。
軽い冗談を込めて、ある同僚が私のことを“〇〇マスター”と呼んでくれたことがありました。入社直後から、いわば会社の過渡期を経験し実務にあたってきた甲斐もあり、「グループ会社のマネジメントに関する文書の有識者」と知らず知らずのうちに周囲から見られるようになっていたのです。そのように言ってもらえたことで、NTTデータに来てからも自分の知見を新しい方向に拡げられていたんだと気づきました。
ほぼ未経験だった領域の業務でもモチベーションを保って取り組めたのは、同僚のサポートや気さくな雰囲気に助けられていたと、津田は振り返ります。経験者採用入社者にとってのNTTデータは、既存の強みを活かすフィールドがありつつ、意欲次第で新たな挑戦や幅だしを組織として応援してくれる会社でもあると、彼女は語ります。
NTTデータは「会社が変わる・自分自身が変わる」という2つの意味で、変化を楽しめる人がより活躍できる会社だと思います。私も転職当初は、前職でやってきたことをいかに発揮しようかとばかり考えていました。2年余りが経った今、新しいスキルセットの自分に出会うことができています。
グループマネジメント部である程度経験を積んだ後は、新規事業開発などより現場寄りの仕事にも挑戦してみたいと、津田は次の目標を語ります。NTTデータの広範なフィールドの中で、今後のキャリアの選択肢も拡がっているようです。