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モチベーションは、過程から生まれる。未経験からエンジニアに挑戦するうえで大切なこと

政府が推進するマイナンバー関連事業を手掛け、国民の生活における利便性の向上に貢献するデジタルソサエティ事業部。中でもプロジェクト推進基盤グループは、各部署に散らばっていたインフラエンジニアが集結し、分野を横断しながら情報や技術の共有に努めています。同グループに所属する山下は、エンジニア未経験ながら考える力を武器に成長を遂げ、さまざまなプロジェクトの技術支援を行う一人です。そんな山下のエンジニアとしての道のりは、挑戦と失敗の連続でした。トライアンドエラーの裏側には、どのような葛藤や苦悩があったのか。これまでの山下の成長を振り返ります。

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成果だけでなく、その過程を楽しみたい。その想いが強くなり、転職を決意

大学では機械系の専攻ながらも、眼の再生医療について研究していた山下。視力回復に向けた、眼底組織の作製や移植といった方法を論文から模索し、試行錯誤しながら成果を追い求めていく日々を過ごしていました。大学を卒業後は、FA用センサなどの精密機器を企画・生産するメーカーに就職し、調達・管理業務に従事しました。

就職活動のときは世の中の役に立てる仕事がしたいと考えていましたが、分野までは絞り切れていませんでした。たまたま研究で触っていた機器を作っている会社が、精密機器メーカーとしてあらゆる業種のモノづくりを支えていることを知って。ここなら仕事のやりがいを感じながら、安定的に働けるだろうと思ったんです。

自動車や食品、医薬品など幅広い分野を支援していることに惹かれ、入社を決意。しかし、実務を通じて社会貢献のあり方を探る中で、入社前に抱いていたイメージとギャップを感じるようになったそうです。

担当していた業務では部品を絶やさずに供給するためのルールが固まっていたのもあって、自分自身で価値を生み出したり、付加したりする実感が得られませんでした。そこに引っかかりを覚えて理由を突き詰めていった結果、「本当は自分の手で価値を生み出したかったんだ」ということに気づきました。それが転職を考えるようになったきっかけです。

仕事においては、「ただ成果を生み出すのではなく、トライアンドエラーを繰り返しながら成果を出すのが楽しい」とも山下は語ります。このように考えるようになったのは大学での研究以外に、中学から大学院まで陸上競技に励んだことも影響しています。数ある陸上競技の種目の中で、山下が取り組んでいたのは走り高跳び。この競技で結果を出すうえで、仮説思考が習慣化していったと当時を振り返ります。

走り高跳びは、ほんの少しの改善が記録更新に大きく影響します。このため、他の選手の跳躍を動画で見て自分との違いを研究したり、パフォーマンスの良い状態を把握するためにトレーニングの記録を取ったりして、「もっとこうしたほうが良いんじゃないか」と現実と理想のギャップを埋めるためのアイデアを考え、実行していました。大学の研究も同じで、論文からゼロベースで仮説を立てて理想の実現に取り組んできました。この成果が生まれるまでのプロセスも、仕事のやりがいとして私にとって重要なポイントだったんです。

努力を経て物事を成し遂げたとき、その達成感は記憶として深く刻まれます。これは映画などの体験で得る一時的な感情とは異なり、次の挑戦に対する原動力としても働くものであると、自身の価値観を確かめながら語った山下。だからこそ、山下にとって自身の手で価値を生み出していくことは何よりも大切だったのです。

考えすぎてしまう性格だからこそ、周りを頼ることが大切だと気づいた

自らの手でソリューションを生み出すために、山下はNTTデータに入社。しかし、当時のITスキルについて、「素人同然でした」と打ち明けます。

大学でC言語を使ったプログラミングを学んでいましたが、現場では全く違う言語が使われています。システム開発の経験もなかったので、お客様が求めていることやシステム開発の考え方などの基礎的な知識もありませんでした。知らない単語が飛び交っていて「何を話しているんだろう」と感じるレベルだったので、正直なところ不安は大きかったです。

入社後、山下は知識・経験が足りていないことを痛感します。そのような状況下でも解決の糸口を見つけられた背景には、学習機会や受け入れ体制の充実があったようです。

前職は現場で経験しながら覚えるというかたちだったので、自分の中で理解が深まっていない状態で業務を進めることへの不安がありました。NTTデータではさまざまな研修や類似案件、幅広い人脈などから情報を得られるため、仮説を立てたうえで上司と相談しながら進められたので自分なりに答え合わせができ、安心して業務を覚えていけたんです。

仮説を立てるうえで、山下は1つのソースを信用しすぎないことを心がけています。類似案件から設計思想やお客様の考え方が読み取れたとしても、それが世の中にも共通して言えることなのかを裏取りしたうえで仮説を立て、考えが及んでいない要素を周囲の先輩エンジニアに確認する。このように石橋を叩いて渡る慎重さは、納得感を持って業務を進められる反面、思考の壁に突き当たることもありました。

経験がある領域ならある程度の不足は補えますが、未経験領域は勝手が違いました。いざプロジェクトに参画してみると、何が分からないのかが分からないという状態に陥っていたんです。ですが、周りのエンジニアの負担にならないよう可能な限り自分の中で答えを出したうえで、本当に必要な部分だけを相談しないといけないと思い込んでいました。そんなとき、上司から「どんなに優秀に見える人でも一人で仕事はできない。周りを頼って仕事を進めるのが大切」と言われて、一人で抱え込もうとしていたのだとハッとしたんです。

ITの世界は広く、特定の分野において優れた技術を持つエンジニアでも、別の分野では素人ということもあり得ます。そのことを理解してから、山下は必要以上に気負うことをやめ、分からない領域に精通しているエンジニアに対して積極的に相談するようになりました。

部署の垣根を越えてNTTデータの技術を結集し、国民の生活を豊かにしていきたい

エンジニアとの交流を通じて、山下は少しずつスキルを磨いていきました。この裏側では、所属部署の性質がプラスに働いていると言います。

プロジェクト推進基盤グループは、専門性を持ったインフラエンジニアが集まる部署で、それぞれのエンジニアが別々のプロジェクトの技術支援を担当しています。特長は、幅広いプロジェクトの情報が集まる点。類似案件の情報が仕入れやすく、色々な知識や技術をインプットできています。

システム開発プロジェクトは縦割りのチーム編成が一般的で、効率的な開発や個々のスキルアップの促進が期待できる反面、専門知識の共有がチーム内に閉じてしまいます。しかし、山下の所属するプロジェクト推進基盤グループがハブとして機能することで、本来なら部署をまたがないと入手できない情報も、気軽に収集できています。

また、山下は部署内にとどまらず、類似案件を担当した別部署のエンジニアや、外部の専門家とも積極的に情報交換を行っています。そのようなアクションを起こすようになったのは、上司の関係構築のスタイルを知ったことがきっかけでした。

システム開発のプロジェクトは移り変わるもので、チームは編成と解散を繰り返します。そのため、プロジェクトが終わればメンバーとの関係性は途切れるものだと考えていました。しかし、分からないことを上司に聞いたときに「この人が詳しいと思う」と紹介してくれることが多くて、プロジェクトが終わった後も関係性は続いていくんだと気づいたんです。NTTデータにはプロフェッショナルな技術者が集まっていて、外部の専門家とのつながりも多いので、この領域ならこの人という相談相手が絶対に見つかります。さまざまな人と協力しながら難易度の高いプロジェクトに挑戦していけるのは、NTTデータならではの強みだと感じています。

山下が入社後から一貫して携わっているマイナンバーカード関連のプロジェクトは、機密性が重視されることから、セキュリティに欠陥があれば会社の信頼も一瞬で失われてしまいます。その緊張感は計り知れません。大変さがある一方で、国民に対して提供されるシステムを作っていることのやりがいも大きいと山下は言います。

マイナンバーカードは、あらゆる領域を横断して生活の利便性を高めていくポテンシャルがあります。政府や自治体などでの手続きで利用するイメージが強いかもしれませんが、民間利用も可能です。例えばコンサートチケットだと、今は購入時に個人情報を入力し、会場に入る際は身分証明書のチェックがある場合も。マイナンバーカードを活用できれば、そういったわずらわしさや安全性に関する問題も解消できます。他にも多様な用途が考えられるので、さまざまな技術に触れながら、国民の生活の利便性を高めていく術を模索していきたいです。

成果が生まれるまでの過程も楽しみたいという想いを秘め、NTTデータの門を叩いた山下。悩みながらも着実に成長していく様は、NTTデータのエンジニアにも大きな影響を与えていくことでしょう。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです