人と仕事を伝えるWEBマガジン
NTTデータグループ / NTTデータ / NTT DATA, Inc.

【リーダー対談】企業の財務・経理領域のDX加速へ。ゼロイチでイノベーションをつくる楽しさと厳しさとは

金融分野の持つ決済アセット等を活用した企業向けサービスの創出をテーマに発足したイノベーション創発室。ベンチャーマインド溢れるこの組織では、NTTデータ内の意欲あるメンバー、そしてあらゆる業界からの経験者が集い、各々の得意分野や個性を活かし活躍しています。今回お届けするのは、現在そのイノベーション創発室に所属し、新卒から開発や営業を経験してきた”生え抜き”の竹路課長と、金融業界で幅広い経験を持つ”転職組”柿沼課長の対談。異なるバックグラウンドを持つふたりのリーダーの対談から、ゼロからイチを生み出すビジネスを考えていく楽しさや厳しさ、そしてカルチャーが伝わるはずです。

目次

Profileこの記事に登場する人

企業の財務経理領域のDXに取り組むイノベーション創発室

竹路 修一郎 竹路

私と柿沼さんはふたりともイノベーション創発室に所属していますが、課長としてそれぞれ違うチームを統括しているため、業務上の接点が多いわけではありませんよね。今日は普段できない話ができそうで楽しみです。

柿沼 民人 柿沼

そうですね。早速ですが、私は金融業界からの経験者採用、竹路さんは新卒採用というバックグラウンドの違いがあります。竹路さんはどのようなキャリアを歩んできたのですか?

竹路 修一郎 竹路

私は新卒でNTTデータに入社して、最初は銀行の個人顧客向けのスマホアプリの開発に5年ほど携わっていました。その後、法人デジタルチャネルの立ち上げを担当しました。

柿沼 民人 柿沼

地方銀行業界のDXを牽引してこられたのですね!出向という立場で、銀行のデジタル戦略を描くのは相当な苦労があったのではないですか?

竹路 修一郎 竹路

はい。ですが、当社のお客様である銀行側に立ち、いろいろな行員の方が集まったチーム全体でアイデアを考えて実行していくのは楽しかったですね。新しいことを生み出すために準備をしておき、チームのメンバーに相談してそれを具体的にしていく、という自分なりのスタイルを身につけられたことも大きかったです。

柿沼 民人 柿沼

なるほど。いつも竹路さんの行動力には刺激を受けていますが、その時の経験が原点にあったのですね。

竹路 修一郎 竹路

その後、NTTデータに戻り、金融機関向けのデジタルサービスの提案・営業を経験し、イノベーション創発室の発足のタイミングで自ら手を挙げて、この部署にやってきました。一方、柿沼さんは2024年7月にNTTデータに入社するまで、金融業界で経験を積んでこられたんですよね?

柿沼 民人 柿沼

はい。私は新卒でメガバンクに入行し、新人時代には社会人としてやっていけるのだろうかという不安もありながら、法人融資担当や海外財務戦略アドバイザーとして約12年経験を積みました。その後、銀行の看板を外して自分の真のマーケットバリューを確かめたいと思って、銀行を飛び出すことにしました。というより、35歳くらいで銀行を出ることは早い段階で心に決めていたんです。その後はまず大手保険会社に転職し、生命保険の販売に携わりつつその延長線で法人向け財務戦略のアドバイスなども行いました。結果的に全国1位の営業成績も残すことができました。その時のお客様から財務顧問などのご依頼を数多く受け、保険会社を退職して複数の中小企業のCFOや財務顧問を兼任することにしたんです。

竹路 修一郎 竹路

35歳で転職するという人生のキャリアパスを早い段階で描いていたことに驚きました。私自身、もうすぐ35歳なので考えさせられます。その後、NTTデータを選んだのはなぜですか?

柿沼 民人 柿沼

個別企業を強い企業へと変革させることはできましたが、中小企業群自体を強靭化できたわけではありません。中小企業群そのものをテーマにした変革活動ができる会社を探す中で、NTTデータと出会いました。

竹路 修一郎 竹路

いま柿沼さんがおっしゃった中小企業群の変革は、まさに私たちイノベーション創発室のミッションですね。私たちのミッションを一言でいえば、“企業の財務経理領域のDXを加速させること”。個別の企業というよりも、中小企業を広くDXすることを目指しています。

柿沼 民人 柿沼

財務経理領域はお金に関わる専門領域という色合いが強いこともありDXがなかなか進んでおらず、結果として社会に多くのペインポイントが残っている現状があります。イノベーション創発室では、NTTデータのアセットを活かした新たなデジタルサービスの企画や決済領域のDX推進に取り組んでいますね。

竹路 修一郎 竹路

はい。NTTデータの強みである決済ネットワークのアセットを活かし、アイデア出しから市場調査、サービスの立ち上げまでを一貫して行えるのがイノベーション創発室の特徴です。特に私のチームではクラウド型の請求書・決済連携のマルチバンキングサービス「TetraBRiDGE®(テトラブリッジ)」を担当し、現在はバリューアップの企画や他企業とのアライアンス検討を行っているところです。

柿沼 民人 柿沼

私のチームでは、中小企業の企業価値向上を目指し、税理士を経由した財務コンサル支援や、未来の情報を活用した融資スキーム・マルチバンキングBaaSのサービスを企画しています。私はまだ社歴が浅いのですが、NTTデータほどの大手企業でありながら、これほど自由な発想で取り組めることには驚きましたね。

竹路 修一郎 竹路

そうですよね。もちろんビジネスであるが故、節目での説明責任は伴いますが、本当に発想は自由です。ミッションの実現に向けて自由な発想で挑戦できる環境。それがイノベーション創発室です。

長期的な視点で、ゼロイチのイノベーションに思いきり取り組める

竹路 修一郎 竹路

柿沼さんの驚きにも通じるように、イノベーション創発室で働く醍醐味といえば、自分のアイデアを現実にぶつけられるところだと思います。良いアイデアを思いつけば、誰でも企画書を書いて提案できる環境になっています。

柿沼 民人 柿沼

もうひとつ、私が魅力を感じているのは仕事のスケール感ですね。実は入社するまで誤解していたのですが、イノベーション創発室では中小企業群の変革をテーマにしていることから、サービス自体のスケールは小さいのではないかと思い込んでいました。ですが、NTTデータは日本中の金融機関とのコネクションを持っており、金融業界全体に影響を及ぼせます。その先には国や世論さえ動かせる可能性があります。

竹路 修一郎 竹路

自分たちのアイデアを通じて、現実の世界を変えられる可能性がありますよね。もちろん、ゼロからイノベーションを生み出すのは簡単なことではありませんが。

柿沼 民人 柿沼

はい。チャレンジには度胸がいるし、失敗する可能性もあります。ゼロイチの新規サービスというのは、100個のうち一つ成功するかどうかという世界なので、成功を目指して取り組んでも打率は非常に低いです。そのため、NTTデータの持つ実績やアセットを活かせる強みを武器に、失敗を繰り返しながら長期的な成功を目指していけるのは大きなメリット。大企業の中で事業創発に取り組めることは、日本人のベンチャー志向にマッチしている印象がありますね。

竹路 修一郎 竹路

企業体力があり、マーケットに長期残留できる強みは大きいですね。過去にはNTTデータがサービスをリリースした後、何年も経ってから市場に受け入れられたという例もありました。成果だけでなくプロセスにも目を向けて評価してもらえるカルチャーも、ゼロイチには有利に働きます。
とはいえ、大企業だからといってイノベーションが簡単というわけではありませんし、イノベーション創発室では他の事業に比べて個の力が重視される傾向があるのは事実です。アイデアは自由とはいえ、それが実ビジネスに即していないと当然却下されますしね。

柿沼 民人 柿沼

個の力は本当に重要です。厳しい話をすると、イノベーションに取り組む上ではマインドの壁は大きいですよね。NTTデータというよりは社会全体にいえますが、正解がわからない中で世界を切り開いていく、という経験をしている人は少ないと思います。何が正解かわからない世界で自分なりの道を見つけて進んでいくことはとても重要ですが、明解なゴールがないため、モチベーションの維持は難しいと感じています。自分自身でもそう感じますし、マネジメントの場面ではさらに痛感します。

竹路 修一郎 竹路

他の方、特に同じ部署で課長を務める方のマネジメントの話を聞く機会は意外と少ないので、とても興味があります。柿沼さんはマネジメントでどんなことを意識していますか?

柿沼 民人 柿沼

私の場合、マネジメントにおいては少数精鋭をつくるイメージを持っています。仮にリーダーがいなくなっても、その下のサブリーダーのような存在がバックアップして、チームとしての動きを止めないような組織が理想です。そのためには個の力を伸ばすことが必要なので、1on1の時間もしっかりと取るようにしています。竹路さんが意識していることもぜひ知りたいです。

竹路 修一郎 竹路

イノベーション創発室では、自分の担当するサービスについてはプランニングからリリースまで一貫して担当するため、最後までやり遂げる力が欠かせません。なので私は、ゴールに至るまでの方法はメンバーに任せて、必要があれば適宜サポートに入るようにしています。もし行き詰まっているようなら、“この人に相談してみたらどう?”といったように助け船を出しますね。

柿沼 民人 柿沼

メンバーの主体性を尊重しているわけですね。

竹路 修一郎 竹路

そうですね。メンバーとは“いまの業務は君のキャリアプランと合ってる?”という話もよくします。そういった会話の中で、“マーケティングの方に興味がある”、“UXをやりたい”などの声が出てくれば、他の業務を任せる判断も必要です。事業を生み出し発展させるにあたり、ゆくゆくはマーケティングやUXなどのスキルも必要になってくるので、長期的な目線に立ってアサインすることを意識しています。

柿沼 民人 柿沼

繰り返しになりますが、やはりゼロイチというのは難しいチャレンジであり、その人のマインドによって“合う・合わない”は確実にありますよね。

竹路 修一郎 竹路

その通りです。何が正解かわからない世界を歩くには、経験に裏打ちされた自分を信じる力が重要だと思います。私はものづくりからキャリアを始めているし、銀行への出向経験もある。こうした原体験があるからこそ、こんな時はこうすべきだ、と自分自身で判断できる場面があります。きっと柿沼さんも一緒ですよね?

柿沼 民人 柿沼

はい。原体験……というより私の場合は実体験ですかね。中小企業のCFOとして、コロナ禍の中、企業として生きるか倒れるかの瀬戸際を経験してきました。銀行にいた期間も長いので、銀行側の痛みや悩みも理解できます。ゼロイチの挑戦であっても、これまでの実体験をもとに筋道ができていて、その延長線上を歩けば乗り越えられる、という自信があります。経験の大小問わず、どこに答えがあるのかわからない道を自分なりに歩いてきた経験がある、または歩く覚悟がある方なら、イノベーション創発室はとても魅力的な場所だと思います。

フロンティアを舞台に、全力で“楽しむ”という考え方

竹路 修一郎 竹路

イノベーション創発室は上下関係のないフラットな組織です。ことイノベーションにおいて前例踏襲主義はそもそもありえません。上の人が言っていることが正しいとも限らない。若いメンバーが上司や先輩に対して“それは違うんじゃないですか?”と率直に指摘することも珍しくありません。フラットなディスカッションが繰り返されていますよね。

柿沼 民人 柿沼

はい。そしてフラットなカルチャーに加えて、イノベーション創発室では経験者採用メンバーが約半数という特徴もあります。私自身、転職者の視点でいえば、NTTデータに長く在籍している人たちの知見を借りながら新しいものを生み出せるところに可能性を感じています。

竹路 修一郎 竹路

新卒からNTTデータにいる社員たちも、柿沼さんのようにNTTデータにはない知見を持った人たちからは刺激を受けています。CFOという経歴があったら、どんなことをやっていたのか気になって、話を聞きたくなってしまいます。

柿沼 民人 柿沼

実際、入社早々にいろいろな人から相談を受けましたね(笑)。イノベーション創発室のオープンな雰囲気をすぐに実感しました。相談に答える際には、ただ事実を淡々と語るのではなく、自分やお客様の実体験をベースに語ることを心掛けていました。

竹路 修一郎 竹路

やはり実体験から来る想いにイノベーションは宿るのだと思います。イノベーション創発室には柿沼さんの他にも金融機関出身者や起業家出身の人などもおり、イノベーションが生まれる機運に満ちていますね。

柿沼 民人 柿沼

はい。個の強い人たちがより一層集まると、イノベーション創発室はさらに強くなっていくと思います。もっと私もいろいろな人から刺激を受けたいですね。理想をいうと、チームメンバーから突き上げられながら自分も成長していきたいです。個が強すぎてコントロールに困るようなチームが理想です(笑)。

竹路 修一郎 竹路

まさに私のチームがそんな感じかもしれません(笑)。確かに上長に対しても積極的に発言するマインドは不可欠で、私も柿沼さんの考えに同感です。

竹路 修一郎 竹路

柿沼さんはこれからどんなことに挑戦したいと考えていますか?

柿沼 民人 柿沼

中小企業を取り巻く構造問題に切り込みたいと考えています。中小企業が抱える問題は、その企業自身が原因のものばかりでなく、金融業界や社会構造が原因になっているものも多いと思います。例えば、銀行の融資において中小企業を評価しにくい仕組みになっていることもその一つ。こうした問題を是正することで、構造問題を解決していきたいと考えています。そして、NTTデータならそれが可能だと思っています。

竹路 修一郎 竹路

まさに実体験から来る考えですね。私の目標はわりとシンプルで、DXの領域で楽しみ続けたいと考えています。“楽しむ”といっても子どものように遊ぶようなことではなく、「こういうサービスがあったらいいのに」というアイデアをカタチにする営みを、試行錯誤しつつ、わくわくしながら実行していくということです。

柿沼 民人 柿沼

本気で“楽しむ”ということですね。仕事と捉えると誰かに指示される行為のような印象がありますが、それをポジティブに志向すると主体性が生まれてきますね。

竹路 修一郎 竹路

はい。その点、金融領域のDXはまだ課題がたくさんあります。私自身、常に一緒に楽しんでくれる相手を探している感覚ですね。その相手というのは、会社の仲間であったり、お客様であったりと、関わる人たち全員です。

柿沼 民人 柿沼

昔の自分だったら仕事を“楽しむ”といわれても理解できなかったかもしれませんが、いまならわかる気がしますね。私が接してきたような中小企業の経営者の方々の中には、仕事を楽しそうにやっている人が多かったように思います。

竹路 修一郎 竹路

やはりそうなんですね。私の場合、人生でやりたいことを最大化するために仕事をしているという感覚です。だからこそポジティブ志向に考えるようにしているんです。

柿沼 民人 柿沼

竹路さんの考えがよくわかりました。ところで、竹路さん自身、ふたりのお子さんがいて、育休も取得されていますよね。

竹路 修一郎 竹路

はい。育休を取得するのは当然ですから。ワークとライフのバランスを取るために紹介しておくと、イノベーション創発室では金曜日を有給推奨日にしており、休暇を取る人が大勢います。誰かが休んだことでシワ寄せが別の人に行く、ということもありません。もっとドライに言うと、仲間の休みをサポートすることで自分も休みやすくなります。

柿沼 民人 柿沼

確かに休むことは重要です。アスリートですら毎日トレーニングはしませんからね。とはいえ私自身、中小企業のCFOを兼務していた時代は、ほぼ休みなく働いていましたが(笑)。

竹路 修一郎 竹路

CFOだとそうなりますよね。柿沼さんの場合、NTTデータに転職して180度といってもいいくらい環境が変わったことと思います。私自身としては、しっかり休みを取りながら無理せずに働き、70歳くらいまで第一線で楽しみながら仕事を続けたいです(笑)。

柿沼 民人 柿沼

(笑)。仕事をポジティブ志向に考えると将来の見え方も変わりますね。オンとオフをうまく両立させることが仕事を”楽しむ”コツなのだと感じました。
今日の対談で、竹路さんらしい価値観やこれまでの経験を知ることができておもしろかったです。NTTデータという会社で事業創発の仕事をすると、仲間を増やす機会に恵まれ、ビジネスの成長を通じて自分自身も成長できるのだと改めて実感できました。今後がますます楽しみです。

竹路 修一郎 竹路

私もです。一緒に働くメンバーのパーソナルな部分を知ることができると、ますます連携しやすくなりますね!

ゼロイチでイノベーションを生み出すというミッションを担うことから、他の事業とは一風異なるベンチャー的なカルチャーを持つイノベーション創発室。今回の対談からは、その一端が伝わったのではないでしょうか。イノベーション創発室では、NTTデータの持つアセットを最大限に活かし、自らの発想で新しい価値を世の中に提示したいという方をお待ちしています。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです