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誰もが“お互い様”の精神で組織力強化~副社長 中山との男性育休座談会~

NTTデータではDiversity Equity&Inclusion(DEI)推進の一つとして、男性育児参画・育休取得を推進しており、“男性も女性も、誰もが仕事と育児を両立できる会社”の実現をめざしています。
本記事では、副社長の中山とこれから育休を取得する社員、育休取得経験のある社員、育休取得の部下を持った経験のある上司の4名による座談会の様子をご紹介します。アンコンシャス・バイアスへの気づきを促す先端技術を活用し、VRによる疑似体験も実施しました。

目次

Profileこの記事に登場する人

育休の仕組みで女性も男性も会社にとってもプラスになる

豊島 やよい 豊島

NTTデータは男性育休を推進する、男性も育児に参画することを応援するということで中山さんのお考えをお伺いできればと思います。

中山 和彦 中山

NTTデータ社員の女性比率も高まっています。皆さんそれぞれライフステージがあって、仕事を続けていく中で家庭があってという状況下で、今NTTデータは産休を取られた女性の復職率が100%に近い。これは非常に素晴らしいことだと思っています。

豊島 やよい 豊島

今は女性が復職し、子どもを育てながら働くというのも当たり前になってきています。男性も育児に参加するという方も感覚的には増えてきているかなと思いますが、ご自身の中で育児と仕事を両立するためにどのようなことを考えているかを教えてください。

佐藤 遼 佐藤

私の場合については、妻が仕事をしたいということで、子供が生まれる前から育児休職を取得することを考えていました。お互いのキャリアを考えていく上でどのタイミングなら仕事を休むことができるか、女性の場合には妊娠、出産前後で必ず休まなければいけないところがあるので、代わりに自分がどこを休んでお互いのキャリアを作るのかということを話し合いました。

豊島 やよい 豊島

休職する前に上長やチームとどういったやりとりをされたかお話いただけますか?

佐藤 遼 佐藤

上長向けに関しては、まずはとにかく早い段階で育休を取りますと言いました。早く伝えれば、上長も代替の人のアサインがしやすいはずなので。半年くらい前、大体つわりが終わって大丈夫だというところぐらいから相談し始めました。

中山 和彦 中山

人事とか人の割り振りを考えるのは、プロジェクトがどう動いているか、年間の人事を考えるサイクルもあるから、確かに半年前とか早ければ早いほど動きやすいと思いますね。

育休取得がきっかけでチーム全体のケイパビリティが向上

豊島 やよい 豊島

お話を受ける側の小林さんはいかがでしょうか。

小林 佑次 小林

おっしゃる通りという感じですが、やはり早めに言ってもらえると助かります。私の部署はみんな育休を取っているので、子供が生まれる = 男性社員も育休取るのが当たり前。なので最初に話を聞いた時に「おめでとう、取るよね?」とこちらから言っています。私自身は育児の経験がないですが、相談してもらったときは時期的にまだみんなに言うのは早いかなと思い、まずは育休を取得する社員と2人だけの間でプランを練り始めます。有識者でその人しかできない専門領域もけっこうあるので、下に入ったトレーニーに半年間で習熟してもらうようにして、足りないところは他の人をアサインしてという準備が柔軟にできました。むしろチーム全体のケイパビリティを上げるきっかけとなりましたね。自分の成長にもなるし、それまでお世話になっていた方をみんなで送り出してあげましょう、という気持ちを醸成すると、チーム全体がより協力的になりました。育休取得がなかったら、ずっとそのままその有識者の社員に頼り続ける体制が今でも続いていたと思います。

中山 和彦 中山

余人をもって代えがたいというのは、その人でないとできませんということになりますが、それって本当に良いのかと。どの分野でもいいですが、ある領域でまず担当の中で一番になって、そして会社の中で一番になって、この話はこの人に聞こうと差別化がつくのでその人の能力・評価も高まるし、いい意味でそういう人を作りたいというのはあります。だけど我々の仕事は組織でやっているわけで、人事異動や昇進昇格で人を替えていく中で、組織としてノウハウがあることも必要としています。危険なのは、その人しかわからないとなること。周りの人がずっと一緒に仕事をしているけど、何やっているのかわからないとなっていると、組織を上手く運営していく上ではリスクにもなります。ノウハウを高めていくのもいいけど、自分がやってる仕事を他の人でも引き継げるようにする。何かあった時にピンチヒッターをお願いできるようにする。そういう仕事の仕方もあわせてできると本当に理想的だなと思います。育休に限らずそういう差し迫ったニーズがあると、組織の力も強くなるし、ノウハウを持っている人から学ぶことができる良いタイミングとなりますよね。

豊島 やよい 豊島

2年位前に社内でみなさんに男性社員の育休に対する考えをお伺いしたところ、一番気になるのが上司や周囲の理解でしたので、周りの方の理解があるとかなり変わってくるのかなと思います。

小林 佑次 小林

私のプロジェクトでは、リモートワーク×裁量が認められているというのがやはり働きやすいと思います。「今から幼稚園にお迎えに行ってくる」「今、幼稚園から電話かかってきてしまったので行ってきます」というようなことが結構多いです。ぱっと行って、また残った仕事を作業してということができる。柔軟に「ああ、行ってきなよ」「ご飯作ってくるので」とかそういう時間もできるので、便利な制度ですし上長の立場としてもやりやすいですね。

中山 和彦 中山

上長もそうだけど、育休取得中のみならず復帰後も、みんなで助けるという雰囲気が醸成されている職場が増えていると感じます。また、育児に限らず、もう一つ人生で大きいのは親の介護。皆さん世代からするとまだまだだと思うが、育児休職を取っている方の上長がもう少し年数が経ってくると、介護休職で休みたいという立場になることもあります。仕事をみんなで分担していることが意識できると、互いに助け合う『お互い様』になれますね。

育休取得前後での働き方の変化

豊島 やよい 豊島

育休取得前と後で、働き方や仕事に対する向き合い方は変化しましたか?

佐藤 遼 佐藤

時間内にやる意識が強くなるので、定時までにいかにどれをやるか、スピード感やタイミングを意識するようになりました。朝から晩まで30分刻みで予定が入ることもざらにありますが、やりきるという気持ちをもって自分の中でワークライフバランスがとれるようになったことはよかったです。

奥田 直孝 奥田

育休取得前に心配だったことは、取得後の働き方です。今もまだ手探りですが、裁量労働を使いながら在宅勤務が認められているプロジェクトなので効率性や生産性に合わせて働けるようにと思います。

小林 佑次 小林

しばらくの間はこの人はこういう働き方になるから、とチームに働きかけをしていくのが一番だと思います。今日聞いていて思ったのは、もっと長期の視点で、どれだけ自分の職場に育休取得実績のある社員がいるかだと思います。キャリアへの不安も、育休を取った人がその後ちゃんと昇進をしていっているのを見ると、経験のある人に相談できるし実績があると不安を解消できます。良い参考になるので早く取得して次の人にバトンを渡していき、取得する人へのフォローを職場全体でできれば良いですね。

中山 和彦 中山

制度面でいうと育休期間があっても昇進・昇格で不利にならないようにNTTグループ全体で数年前から取り組んでいます。また、ライフプラン休暇というのもありますが、子どもの授業参観等いろんな用途で活用できます。私の政策秘書も短期間育休を取得しますが、彼が抜けた分をほかの政策秘書がカバーしていきます。

「仕事と生活の調和がとれた社会」の実現に向けて ― 疑似体験VRコンテンツ ー

奥田 直孝 奥田

NTTデータでは、アンコンシャス・バイアスへの気づきを促すために、VRを用いて没入感のある疑似体験ができるワークショップを開発・トライアル実施しました。(※) 座学で知識を獲得することは必要不可欠ですが、それだけで日常的なコミュニケーションスタイルを変えることは難しいものです。VRでそれぞれの立場を疑似体験することで、お互いに配慮を超えたチームワークの改善や組織の活性化、ケイパビリティ向上、男性も育児休職をとれるような文化醸成に繋がれば良いです。

※VRでは、顧客・上司・部下に囲まれる「現場リーダー視点」と、仕事と子育てを両立する「育児中社員視点」の2視点を能動的に体感可能。疑似体験をもとに2視点VRワークショップ(ディスカッション・相互理解)を実施。

豊島 やよい 豊島

今の自分と違う立場を体験いただいて、こういう日常なのかと想像してもらえたら良いですね。

奥田 直孝 奥田

復帰後に周囲との関係が変化しないかという不安もあると思いますが、VRでの疑似体験を通して、同じ目線で会話をしてチームワークに繋がることを目指して開発しました。

中山 和彦 中山

相手の立場で考えなさいとよく言いますが、言うは易し。相互理解における「体験」が有効であることを再確認できますね。

副社長 中山から最後に一言

中山 和彦 中山

NTTデータの中期経営戦略の柱は人財と組織の最大化、キーワードはBest Place to Work。もともとNTT データは歴史的な経緯の中で女性が比較的働きやすい仕組みを整えてきましたが、副業の取り扱いや休みの取り方、リモートワーク等、優秀な人をどんどん惹きつけられる会社であるようにする取り組みが必要だと考えています。会社での付き合いは大事ですが、最後まで面倒を見てくれるのは家族です。また、家族との関係ができていないと良い仕事もできません。家族というユニットでの関係を大前提に、社員一人ひとりが仕事と生活の調和がとれるよう、社員にとって魅力的な会社であるよう取り組んでいきます。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです