法人分野で経験を積む中で気づいた、マネジメントの重要性
NTTデータは公共・社会基盤分野(以下、公共分野)、金融分野、法人分野などの幅広いフィールドでビジネスを行っています。それぞれが広大な事業領域を持ち、各分野の中だけでも多種多様な経験を積むことができますが、藤村は法人・金融・公共といった三つの分野のプロジェクトを経験してきたというユニークなキャリアの持ち主です。
大学時代には情報工学を専攻し、データマイニングに関する研究を行っていた藤村は、ITを活用したものづくりに携わりたいと考えて就職活動をしていました。その中でもNTTデータは先述のように幅広い事業を行っており、経験できる仕事の幅の広さに魅力を感じて入社を決意します。そして最初に配属を希望したのは法人分野でした。
当時は短期間のうちに多くのプロジェクトを経験し、広い範囲を見られるようになりたいと考えていました。その点では、大小さまざまなお客様のプロジェクトを手掛けている法人分野が私の希望にもっとも適していたのです。
本人の希望通り、法人分野に配属された後、藤村は基盤担当として複数のお客様のシステム開発や運用保守に携わりました。最初の数年は開発がメインでしたが、入社6年目にはエンターテインメント業界のプリペイド決済センタの更改プロジェクトにて初めてリーダーを任されることに。さらには自らの希望で開発後の運用保守も担当します。
運用も経験したことは大きな学びになりました。この時を機に運用を意識した開発ができるようになりましたし、実際にサービスを利用するユーザー視点の重要性も知りました。
その次に参画することになったのは、金融業界向けのECサイト開発プロジェクト。金融分野の顧客営業とECサイト開発のノウハウが豊富な法人分野が協働するというめずらしい形式のプロジェクトでした。
この時もリーダーを担当しましたが、新規のお客様、かつ新規のシステム開発という点で印象に残るプロジェクトでした。ゼロから考えてシステムを構築する難しさを学びましたね。特に私のキャリアの転機になったのが本格的にマネジメントを担うようになったことです。以前のプロジェクトよりも業務におけるマネジメントの比率が増え、重要性や奥深さを実感しました。
それまでは基盤領域の開発と運用をメインにITスペシャリストとしてのスキルを磨いてきた藤村でしたが、このプロジェクトをきっかけに、マネジメントスキルを本格的に学んで自らのスキルを“幅出し”したいと考えるようになります。
マネジメントスキルを体系的に学ぶにはどのような環境が最適なのかーー。基盤担当としてキャリアを歩んできた藤村が次のステップを模索する中で、公共分野への異動という選択肢が浮かんできました。
公共・社会基盤分野に異動し、大規模プロジェクトの難しさに直面する
2023年、藤村は社内公募制度を利用して公共分野のワークライフセキュリティ事業部への異動を希望しました。公共分野を希望したのは、社会インフラを支えるような大規模プロジェクトが多く、それゆえに成熟したプロジェクトマネジメントの方法論が確立されているからでした。
また、ワークライフセキュリティ事業部は厚生労働省をお客様とし、労働領域を中心に大規模かつミッションクリティカルなシステムを提供している部署です。大規模基幹システムのクラウドリフトという、これまで経験してきた基盤領域寄りのプロジェクトに取り組める点も異動の決め手になりました。
異動後、藤村は労働基準行政に関わるシステムの開発プロジェクトに参画し、基盤グループのリーダーを担当します。「基幹システムのDX化とオープン化の推進」の一環として位置づけられる重要プロジェクトであり、藤村にとって初めて経験する大規模な組織でしたが、そこには想像以上に高い壁が立ちはだかっていました。
経験してきたのは、多くても30名程度のマネジメントでした。一方で異動後に任されることになったプロジェクトは約100名規模。これほどに大規模なマネジメントは初めてで、いままでと同じやり方では不十分だと痛感したんです。
小さな組織であれば正確な情報がすぐに自分のもとに届いていたものも、組織規模が拡大すると途端に様相が変わり、何かしらの工夫をしなければ情報の正確性やスピードが担保できません。グループの体制としても、藤村の下に多数のチームがまたがる形になるため、これまでとは違うマネジメントを行う必要がありました。
100名規模になると私一人でメンバー全員の状況を把握することが現実的に不可能になります。大規模なプロジェクトでマネジメントを行うには、いままでの延長線上で考えていてはいけないと痛感しました。
高い障壁にぶつかっているとはいえ、大規模プロジェクトでしか経験できないマネジメントはまさしく藤村が希望したことであり、自らの成長につながっていることは間違いありません。苦労を語りながらも、その表情には前向きな雰囲気が感じられます。
官公庁の重要かつ大規模なシステムを通じて、難しさに直面しながらもマネジメントスキルを高められている点にはやりがいを感じています。苦労しているとはいえ、成熟したマネジメントスキルを体系的に学べるという意味では期待していた通りの環境で、まさしく望んでいた通りの経験ができていますね。
いままでの延長線上にない成長の機会を得られているからこそ、大変さはありながらも、高いモチベーションを維持できているのです。
分野や会社が違っても、システム開発の原理原則は変わらない
NTTデータの公共・金融・法人の各分野はそれぞれが大規模な事業を行っていますが、本人が希望すれば分野をまたいだ異動ができる制度が用意されています。
ですが、分野を超えた異動が可能だからといって、それが容易な道というわけではありません。転職するようなもの、とまで表現するのは少し大袈裟ですが、文化や仕事の進め方なども違う環境に飛び込むことは藤村にとって大きなチャレンジだったはずです。藤村自身、異動の前後にはどのようなことを感じたのでしょうか。
たしかに分野によってお客様の業界も異なるため仕事の進め方などに多少の違いはありますが、システム開発の原理原則は変わりません。NTTデータの場合、システムの開発プロセスや手順をまとめた「TERASOLUNA(テラソルナ)」などの共通要素もあります。まったくゼロからの再出発というわけではありませんね。
分野は違っても、システム開発の原理原則は変わらないーー。とはいえ、なぜ藤村は新しい分野へと果敢に飛び出す決断ができたのでしょうか。
私は自分の成長を実感できている時にモチベーションを感じるタイプです。壁を乗り越えるためにある程度、背伸びが必要になるような仕事をして、自分の成長につながるような挑戦ができればと考えています。
その他にも、藤村は法人分野での経験を活かして公共分野に新しい風を吹き込んでいます。例えば、法人分野の特色として、他のプロジェクトから活用できそうな知見を探すナレッジ共有が活発でした。そこで藤村は、積極的に社内のナレッジ共有のシステムを活用し、公共分野においても適用できるノウハウやソリューションがないかリサーチしているそうです。
藤村のように、バックグラウンドの違いを前向きに捉え、自らの行動を通じてポジティブな影響を周囲に与えていくという価値発揮の仕方は、NTTデータが転職者に期待する役割にも通じるものがあります。
たしかにNTTデータ全体で経験者採用は活性化していますし、私のように分野をまたいだ異動も以前より増えています。社内公募制度も広く認知されており、NTTデータという会社自体の中で人財の流動性が増している印象です。多様な人が活躍しやすい組織になっていますね。
そして今後、NTTデータが成長していくためには、要件通りにシステムをつくる力だけでなく、企業課題や社会課題に対して主体的に提言していく“構想力”が重要だと藤村は考えています。藤村によると、この“構想力”のレベルアップに必要なものが外部の視点です。
私はマネジメントスキルを習得した後、システムの構想力を磨いていきたいと考えています。そのために、いまの自分たちにない視点や知識、ノウハウを持った方々と協力しながら良い刺激をいただきたいですね。
いま自分がいる場所の中で閉じず、多様な視点を取り入れながら変化と進化を続けていくこと。それはまさしくNTTデータ自身が取り組んでいることでもあります。藤村は常に数歩先の自分を見据えながら、さらなる成長をめざし続けています。