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めざすはDXによる新たな価値創出──既存の枠にとらわれず、技術力と人間力を糧に

中国からの交換留学生として来日した鄭(テイ) カイは、大学卒業後2010年にNTTデータへ入社。2022年現在はアジャイル開発や先端技術を活用した複数のプロジェクトを担当し、DXという側面からお客様を支援しています。高い技術力とモチベーションで、新たなビジネス創出をめざす鄭が、これまでのキャリアや価値観について語ります。

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「強みを活かせる」とNTTデータへ──日本語習得に苦戦しながらも踏み出した一歩

NTTデータのテレコムビジネス事業部に所属し、DX推進におけるお客様の課題解決をテーマとしたさまざまなプロジェクトに携わっている鄭。小学3年生の頃からプログラミングを学び、数々の大会で賞を受賞してきました。2007年に大学の交換留学プログラムを通して中国から来日し、学生時代は電子工学について学びました。

卒業後、帰国する選択肢もありましたが、鄭が選んだのは日本で就職する道です。いくつかのIT企業を比較し、自己分析や企業研究を進めた結果、NTTデータへの入社を希望することに。その理由は3つあったと鄭は当時を振り返ります。

まず、これまで学んできたプログラミングや電子工学の専門知識を活かし、即戦力となれるのでは、と思ったことです。次に、外国人という属性から他国の言語などに精通していることも、働くうえでメリットになるのではないかと考えました。

そして、NTTデータを選んだ3つめの理由は、単にソフトウェア開発だけに特化した会社ではないという点です。

お客様をリードしながらビジネスをサポートしたり、プロジェクトを全体的に推進したりすることが事業の軸だと知ったことがNTTデータを志望した理由です。人とコミュニケーションをとることが好きな自分にぴったりだと感じたことが決め手となりました。

無事に入社が決まった鄭でしたが、入社当時は、日本語をほとんど話せませんでした。大学では講義やゼミでの発表などもすべて英語で行い、日本語を使う機会が限られていたためです。

入社当時は苦労しました。議事録をとるように言われたときも、文章の構造は分かるのですが、重要なキーワードが聞き取れないんです。内容も専門的で理解が追いつかず、何も書けませんでした。

ほとんど日本人に囲まれた環境で、鄭は業務の知識を身につけながら、日本語の勉強にも注力しました。努力の末、入社から1年半ほど経った頃には一人でお客様にトラブル報告や説明などができるように。そんな鄭が入社して最初に携わったのは、大規模システムの開発でした。

ともに同じゴールをめざすために大切なのは、相手やその文化を尊重すること

配属先での開発はウォーターフォール型を採用していたこともあり、一つひとつの工程の期間が長く設けられていたため、じっくりと勉強できる良い機会になりました。要件定義から設計、製造テストや運用など、配属されていた6年間でひと通りの業務を体験できました。ここで学び、身につけたことは、すべて自分のベースになっています。

なかでも印象に残っているのはオフショア開発に携わったときの経験です。技術力や言語能力といった自身の強みを活かしながら、ベトナムのメンバーとともに自分が考えた仕組みを実現させ、大きな成功体験を得ました。一方、この経験を通して、鄭は文化の違いを痛感し、頭を悩ますことも多かったと振り返ります。

ベトナムは日本のように慎重に、厳密に物事を進めるのではなく、とりあえずやってみて、もしダメだったら修正すれば良い、という仕事のやり方が根づいています。最初はそういう文化だとは知らず、こちらが伝えた内容と違うアウトプットが出てきて驚きました。

もちろん、ベトナムのメンバーは技術面に問題はありません。そこで文化の違いを理解したうえでコミュニケーションを取ろうと考えました。

鄭が考えたのは、相手にとってはフットワーク軽く仕事を進めることが当たり前であり、こちらのやり方を無理強いしてもモチベーションが下がるばかりで良い結果は生まれないということです。相手の文化を尊重し、そのうえでできることはないかと思案しました。

スケジュールから逆算して打ち合わせを早めに設定したり、テスト結果の報告や不具合対応などの期限を早めに区切ったりと工夫をしました。そういった工夫を重ねていったことでお互いに歩み寄れて、結果として取り組みを成功へ導けたと思います。

柔軟に、前向きにお客様の課題を解決していく──“ビジネスの種まき”で開く新境地

2017年に鄭は異動し、事業部は変わらないものの、異なるチームに所属することになります。異動後はお客様のDX推進における課題解決を目的に、プロジェクトマネージャーとして新たな提案や案件獲得、ビジネス拡大などに向けて奔走しています。

これまでと働き方や仕事内容が大きく変わりました。成功や失敗にとらわれず、自ら課題を見つけてお客様に提案するなど、まずはやってみることが求められるチームです。

事業部内でも事例の少ないアジャイル開発を取り入れており、データ分析や人工知能などの先端技術を活用したプロジェクトも多く、一般的なNTTデータのイメージとは少し異なるかもしれませんね。

さまざまなプロジェクトに携わる中、自ら行ったある提案に鄭は手応えを感じます。

全国に数百万規模の設備を持ち、その老朽化問題を抱える企業の担当をしていたときの経験です。設備を早く点検しなければ、不良や故障が発生したときに人的被害を引き起こす可能性があるものの、点検のための人員は限られているという課題がありました。

そこで、AIモデルを構築して不良率を予測し、複数の観点で予測結果を可視化し、点検優先順位の決定に助言していました。システムを作ったわけでもありませんが、お客様の課題解決につながったと感じられる経験でした。

もちろん、汎用できる仕組みを作るなどの発想はビジネスにおいて重要ですが、こういった“ビジネスの種まき”の重要性にも気づく機会になったと鄭は感じています。

柔軟性を武器にお客様の課題を聞き出し、解決していくことに大きなやりがいを感じています。私たちは開発を強みとしていますが、システム開発につなげることだけに固執する必要はありません。

最近担当しているDX関連プロジェクトは、顧客要望の多様化により、一般的開発方法論では柔軟に対応できないケースがあります。案件状況に合わせてカスタマイズしたり、お客様と交渉したりしながら自分のなかで進め方を確立させていくことが今はとても楽しいですね。

信頼して任せてもらえる環境でいきいきと活躍する鄭。一方、常に最新の技術習得をめざすなど、より良い人財になるべく地道な努力を重ねています。

NTTデータの3つの強みを自らの追い風とし、新たなビジネス創出をめざす

勉強するうえで意識しているのは継続です。オンラインのコンテンツや会社の研修制度などを活用し、すきま時間も使いながら知識を少しずつ蓄積させています。また、最近はビジネスサイドの視点も意識するようになりました。めざすのは市場価値のある人財。「鄭さんだからお願いしたい」と言われるようになりたいです。

ストイックに技術を磨く鄭ですが、仕事をするうえでもっとも大切にしていることは人との関わりだと話します。

技術や手法など、仕事をするうえで大事なことは多くありますが、結局のところ、人とうまく付き合っていくことがもっとも重要だと考えています。

以前、一緒に働いていた方から「システム作りは思い出作り」と言われ、とても納得した記憶があります。デジタルな領域で働いていても、システムを作っているのは人間であり、結局大事なのは人との関係なんですよね。関わるすべての人との関係性を大事にしながら仕事に向き合っています。

技術力も人間力もアップデートしながら、前進を続けている鄭。自身の強みにNTTデータの強みを掛け合わせ、さらに活躍していきたいと考えています。

NTTデータには3つの強みがあると思っています。まず挙げられるのが「顧客理解」。官公庁をはじめとするさまざまな分野のお客様とのつながりを持っているので、この点に関しては国内企業の中でもトップクラスです。

次が「プロジェクトマネジメント力」です。プロジェクトはほぼ計画通り進められ、完遂されます。当たり前に思えますが、これを実際に遂行するのはなかなか難しく、この強みがあるからこそお客様からの信頼をいただいているのでしょう。

最後は「技術力」です。新しい技術を研究する専門の部署があったり、NTTの研究所とのつながりを持っていたり、最新技術にすぐアクセスできる環境は大きな強みとなっています。

今後は新しい技術を取り入れながら、日本だけでなくグローバルでもビジネスを創出していきたいと考える鄭。既存の枠にとらわれない柔軟な発想力と豊かなコミュニケーション力で、NTTデータや社会の未来を切り開いていくのでしょう。

出典:talentbook「株式会社NTTデータ」(2023年1月20日公開)より転載

※掲載記事の内容は、取材当時のものです