三者三様、NTTデータの監査部が取り組む多様なテーマ
――UpToDataに監査部が登場するのは今回が初めてです。皆さんは監査部に所属していながら全員違うチームに所属されているそうですね。まずはそれぞれの担当業務から教えてください。
私は金融商品取引法にて定められた法定監査であるJ-SOX(内部統制報告制度)対応を担当しています。J-SOX対応は上場企業に課せられた義務であり、毎年同じことの繰り返しにように見える部分もありますが、これまでIFRS対応、監査基準変更、社内ルールの変更、社内外システムの変更といったさまざまな変化に対応しながら業務を行ってきました。
私は業務監査を行うチームに所属し、グループ会社を含めた事業活動におけるさまざまなデータを分析し、リスクの把握を行っています。そしてリスクの高いエリアについては、どのような監査を行うか、監査計画や監査手続きに落とし込んでいます。
私はグループ内の組織やシステムに対して、情報セキュリティに関する内部監査を行っています。NTTデータは主にITサービスを提供する企業であるため、情報漏洩やサイバー攻撃によって信頼を損ねることがないよう、情報セキュリティの維持向上に取り組むことが重要です。
――それぞれのチームではどのような分野に注力しているのでしょうか。まずJ-SOX対応を行う金城さんのチームから教えてください。
足元では2024年度に刷新された社内の会計システムへの対応などがありますが、もう少し中長期的な観点では、サステナビリティなどの非財務情報に対する監査も行う必要性が増してきています。非財務情報となると、これまで対象にしていた財務情報とはまったく違う監査のやり方が求められます。
非財務情報の監査もそうですが、私や反町さんのチームとの違いとして、金城さんのチームでは監査法人による外部評価が毎年あるという点が大きなポイントだと思います。外部評価においては「あるべき姿」を求められる一方で、金城さんは内部の事情や難しさもわかっていますよね。そのバランスを取るのは難しそうです。
その通りです。私は監査部に異動するまで、開発現場に20年ほどいたので現場のこともわかっているつもりです。監査というのは、現場からすると決してポジティブなイベントではないからこそ、いかに現場へ過度な負担を与えず、かつ必要な監査対応を実施できるかを意識しています。
たしかに社内外での難しい舵取りが求められる業務だと思いますが、J-SOX対応は監査の領域では求人募集が多く、市場価値の高い業務でもありますよね。私としては、監査という仕事に就いている以上、一度はJ-SOX対応を経験してみたいという気持ちもあります。実は金城さんたちの姿を羨望のまなざしで見ています(笑)。
そんな目で見てもらっていたとは意外でした(笑)。市場価値が高い経験が積めるというのはその通りだと思います。
――業務監査を行う肥田さんのチームではどのような注力テーマがありますか?
私のチームではNTTデータにおけるグローバルでの組織再編が大きなトピックです。現在はエリアや事業領域ごとに再編を進めているところですが、監査部においても、誰が・どの分野に・どんな監査を行うのかという議論を行っています。
私から見ると肥田さんたちは先進的なチームという印象があります。取り組みの一例として、ビッグデータを分析してリスクの高そうな情報を抽出する「データ分析監査」がありますよね。挑戦的な取り組みだと純粋に感心しています。
私も金城さんと同じ感想で、肥田さんたちは先陣を切って新しいテーマに積極的に取り組んでいる印象です。しかもグローバルの連携も密で、どこまで見ているんだろうと思うほど広い領域を担当していますよね。
ありがとうございます。格好よく表現してもらいましたが、私たちは「何でも屋」なんですよ(笑)。何をやるかを自分たちで決めるというところが「何でも屋」につながっているのかなと。お二人からは先進的だと評価してもらいましたが、当の本人たちとしては必死でもがいています(笑)。
――情報セキュリティに関する内部監査を行う反町さんのチームではいかがでしょうか?
私が担当する情報セキュリティの領域は、グループ内に限らず、個人情報漏洩などのインシデントが日々多く発生しておりリスクが高い領域です。こうしたインシデントの発生状況・原因のほか、グループ内のセキュリティ対策の現状も考慮して、毎年、情報セキュリティのレベルを引き上げるために有効な監査項目への見直し、監査対象の選定などに取り組んでいるところです。
情報セキュリティの分野では、世の中で多くのインシデントがニュースになっています。サイバー攻撃も増加していますし、グループ全体で注力している重要な分野ですね。
情報セキュリティは見落としがあった場合に大きな問題に発展しやすい、リスクの高い分野だと思います。なおかつ、その監査においてはシステムやセキュリティなどの前提知識も求められますよね。
幅広い知識が必要というのはその通りです。私はシステム運用や開発に関する一連の経験を積んだ上で監査部に異動しているので、当時の経験はかなり活かされていると思います。
一言で内部監査といっても、それぞれ向き合っているテーマは違いますね。私たち監査部の業務の幅広さがよく表れていると思います。
監査の本質的な価値を考え抜き、実践できる機会がある
――監査部での業務を通じて、どのようなスキルが身についたと思いますか?
ここにいる全員同じだと思いますが、内部監査においてはグループ内の多くの部署とのコミュニケーションが発生します。私自身、システム開発に携わっていた時より圧倒的に関わる人が増えました。監査に関する専門知識の習得や資格取得だけにとどまらず、コミュニケーション能力は培われたと思います。
同感です。付け加えると、私たちはグループ会社を含めた全体を見るため、高い視座を持つことが求められます。資料一つを作るにも、「経営幹部が確認する時にこの表現で適切なのか」ということを考えなければいけません。より広範な情報収集を行うようにもなりました。
それは間違いないですね。個別最適の視点から抜け出して、物事を抽象化して考える能力も身につきました。
もう一つ、英語を使う機会も増えました。海外のグループ会社とのやり取りで、メールで英語を使う機会は頻繁にあります。私は英語のスピーキングが得意ではありませんが、海外のグループ会社との会議でも、いずれは通訳を介さずに話せるようになりたいと思って勉強中です。
私もデータ分析を行っていると海外のグループ企業に向けて自社の取り組みを報告する機会があります。グローバル志向が比較的低めの私ですら海外との接点があるので、グローバルの仕事がしたい人であれば、もっと英語を使う機会が豊富でしょう。ちなみに、現在監査部に在籍する社員の約1割が、海外のグループ会社に出向して現地での監査業務に従事しています。
グローバルに関しては海外の売上比率が大きいNTTデータならではのトピックですね。英語にしても、CIAなどの監査関連の資格取得にしても、教育や支援体制は整っているので安心して挑戦できる環境があります。
はい。そのほか、監査部門に情報セキュリティの監査の専門的なチームが存在すること自体もNTTデータの監査部の特徴だと思います。NTTデータと同程度の事業規模の会社を見渡しても、情報セキュリティの監査に特化したチームがあることは珍しいです。
たしかにユニークですね。私が関わっているデータ分析監査などの取り組みもそうですが、一般的な企業の内部監査の部署と比べても、NTTデータの監査部で歩めるキャリアは幅広いといえそうです。
――肥田さんは一度NTTデータを飛び出て、監査法人も経験しています。監査法人と比べてNTTデータの監査部はどんなところに魅力があると思いますか?
私は「監査を本業とする会社で体系的な経験や知識を身につけたい」と考え、監査法人に転職しました。しかし、品質管理部門や金融庁などの外部機関による厳格な検査に対応しながら監査業務を行う中で、自分の意思で判断できる範囲の狭さに疑念を抱くようになりました。そこで、「自社にとって意味のある監査を追求したい」と考えてNTTデータグループへ再入社しました。現在は、どのように監査を行うかを自分たちで判断しながら実践しています。監査は健康診断に例えられることがありますが、健康診断のメニューを自分たちで決められるのは楽しいですね。
転職経験のない私も肥田さんの話には非常に共感します。異動してくる前には監査部はもっと硬直的な組織だと思っていました。実際に異動してみると、こんなに変化が激しくて、自分の仕事にオーナーシップを持てるというのは良い意味でのギャップでした。被監査組織の社長へ送付する報告書など経営層に提出するレポートも、部課長以上だけではなく、私たちも担当します。裁量や責任の大きさを実感しています。
たしかにその通りです。キャリアの文脈で補足すると、監査部の中でもチーム間での異動が可能なので、監査に関するさまざまな業務を経験することも可能です。監査部内のすべてのチームを経験している人もいるくらいです。自由度の高さは自分のキャリアに対しても同じことがいえますね。
――いままでの話に加えて「働き方」もNTTデータの監査部の良さに挙げられると思います。「働き方」に関して皆さんはどのような魅力を感じていますか?
たしかにNTTデータは労務管理がしっかりしています。個人の裁量が大きいとはいえ、仕事を引き受けすぎると何らかのモニタリングに検知されるので、働きすぎてパンクしてしまう、ということはまずありません。NTTデータの良さを実感できることの一つです。
働き方の大きなトピックといえば、リモートワークだと思います。ただ最近、リモートワークについては世の中全体の流れとしてオフィス回帰が進んでいると聞きます。この動きは大手のITベンダーでも同様のようですが、NTTデータでは現在もリモートワークを継続していますよね。
労務管理・稼働管理はしっかりしており、リモートワークをはじめとしたフレキシブルな働き方も可能ですね。反町さんはコロナ禍の最中にお子さんが生まれたんですよね?リモートワークの良さを感じられたのではないでしょうか。
はい。世の中は大変な時期でしたが、私個人に関していえば、リモートワークになってむしろ助かった面もありました。その後、現在もフレキシブルな働き方が続けられていることは本当にありがたいです。このようにライフステージに応じた働き方ができるので、子育てや介護を理由にキャリアが閉ざされることはありません。実際に子育てや介護をしながら活躍する社員も多いですね。
業務も、キャリアも。変化のダイナミズムを実感できる場所
――これまでのお話を踏まえて、NTTデータの監査部にはどのような人財がフィットすると思いますか?
既にお伝えした通り、多くの部署と関わることになるので一定のコミュニケーション能力は求められます。ただ、コミュニケーション能力といっても「喋りが上手い」などの一面的なことではなく、自分の仕事の状況や必要なサポートを適切に伝える能力という話です。その点からも、一人で抱え込まずに仕事に取り組める人の方がフィットしますね。
金城さんの言う通りです。内部監査において他部署と連携する際には、監査の目的をしっかりと伝えないと前向きに協力してもらえません。その点、金城さんは端的に監査の目的を伝えることに長けていて、本当にすごいなと思っています。「金城さんがいうなら協力しよう」といった感じで、皆さん協力してくれますよね。普段、どんなことを意識しているんでしょうか?
私の場合、常に同じコミュニケーションの方法を取るのではなく、相手や状況によって硬軟を使い分けています。
なるほど。金城さんはきっと社内に対してだけではなく、社外に監査法人に対しても同様に硬軟を使い分けているんでしょうね。譲れないところは決して譲らない、という毅然とした態度に出ることも時には必要だと思います。
お二人の話に共感しかありません。監査人の基本的な姿勢として、相手によって自分の意見を捻じ曲げることがあってはいけないと考えています。そこで監査部に合う人物像という話に戻ると、度胸も求められますよね。
度胸は必要ですね。その点、私は20年以上の現場経験も活きているかもしれません。それと、監査部に合う人物像としてもう一つ、新しいことを学ぶのが好きな人も挙げられると思います。例えば新しい会計システムではAWSを採用しており、私たちも監査を行うためにAWSを学ぶ必要がありました。監査対象について、基本的な部分を理解していないと監査はできませんからね。
学び続けることは欠かせません。その年によって監査の領域がガラリと変わることもありますから。近年ではサステナビリティが代表的なところですし、もし将来的に「情報セキュリティのリスクが十分に低減できた」という状態になったら、私も別の領域の監査をしているかもしれません。そのダイナミックさを魅力と捉えられる人が向いているでしょうね。
――変化のダイナミックさはキャリアの多様性にもつながる話ですね。今後の目標を教えてください。
いまの話のように業務の領域が変わる可能性もありますし、金城さんもおっしゃった通り、監査部内での異動もありえます。私は監査部の中ではまだ情報セキュリティ監査しか担っていないので、金城さんが担当しているJ-SOX対応や、肥田さんの業務監査などの経験も積んでみたいと考えています。一方で、情報セキュリティの分野で専門性を高めていくのも、魅力的な道だと感じているところです。いろいろなキャリアパスを歩める環境だからこそ悩んでいますね。
私が先日読んだ書籍の中で、ベストプラクティスを究極まで追求した監査は、それ自体が商品になりうるという話が紹介されていました。つまり、その企業の行っている内部監査をほかの企業も取り入れたいと考えるようになる、ということです。事業運営や会社経営にとって本当に意味のある内部監査を追求し、実践し続けていきたいと考えています。
私の場合、自分のキャリアの目標というよりは、これから経験者採用などで新しい人が監査部にやってきた時にサポートできるような体制をさらに充実させていきたいですね。近年では監査部でも経験者採用の比率が増えており、在籍している社員の約1/4が経験者採用です。また、IT業界以外で監査経験を積んできた人も活躍しています。異業界からの転職の場合、最初こそNTTデータのビジネスについて学ぶ時間が必要ですが、その後の立ち上がりは早いです。入社後のサポートには全力を尽くすので、ぜひ安心して入社してほしいです。
――最後に、今回の座談会を通じてどんなことを感じたか教えてください。
あまりない機会でいろいろな発見がありましたね。J-SOX対応のチームが想像以上に評価されていたことがわかって嬉しかったです(笑)。
私も同じです。業務監査のチームが先進的でチャレンジングなチームと思われていたことは大きな収穫でした。データ分析監査の取り組みなど、これからもチャレンジしていこうと思えました。
実は私自身、今回の座談会を機に改めて監査部のことを調べてみると、経験者採用の方が想像以上に増えていて、違和感なく活躍していることに改めて気づきました。今回の座談会は、お互いのチームや自分たちの業務を見つめ直せる良い機会になりましたね!
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