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求められているのは、社会変革を見据えて行動する「ソートリーダー」

Q.まずは、お二人が所属する社会DX&コンサルティング事業部について教えてください。

私たちが所属する社会DX&コンサルティング事業部は2024年7月に設立されたばかりの組織です。掲げるミッションは2つあり、1つは社会課題解決に資する新規事業を創出すること。もう1つが、自らの業務を通して公共・社会基盤分野に求められるコンサルタント像を確立し、組織変革や人財育成をリードしていくことです。

所属するメンバーは、もともとITコンサルティングに携わっていた者もいれば、ITソリューションの企画導入、サービスデザイン、システム開発、スタッフ職などそれぞれの専門分野でキャリアを磨いてきた者もいます。各々が有する専門性やスキルは多種多様ですが、「社会課題を解決したい」という意識と熱量の高さは全員に共通していますね。

最近では中央省庁出身の方や、異業種で新規事業開発を経験してきた方など、経験者採用のメンバーも多数活躍しています。そうした方々も「真剣に社会課題に向き合いたい」とNTTデータにジョインされたケースが多いです。
Q.それでは、公共・社会基盤分野全体での人財変革をめざすプログラムについて伺います。スタートした経緯からお教えください。

もともと私たち公共・社会基盤分野のメンバーは、各省庁や担当顧客の課題に向き合うことで社会貢献を果たしてきました。しかし、昨今の社会問題はさまざまな要因が絡み合い、複雑化していますよね。その結果、特定の顧客に向き合うだけでは社会全体を良いものにすることが難しくなっています。

私たちはこれまでお客様のご要望をITの力で忠実に実現し、課題を解決することを得意としてきました。しかし、分野の幹部層はもちろん、現場レベルでも「国の継続や発展に寄与するためには、今のままでは足りないのではないか」といった危機感が生まれていました。分野全体の中長期戦略でも「社会課題解決をめざした新規事業開拓」を重要テーマのひとつに設定していますし、その達成のためにもメンバーの視座やスキルを高めていくことが喫緊の課題になっています。

この分野に今求められているのは、これまでよりも一段高い視座で社会課題全体を捉え、目の前のお客様に加えて多様な関係者を巻き込みながら社会全体を良くしていく動きです。そこで今回、分野横断型の施策として、社会課題視点に立った事業創発をめざせるコンサルティング人財を育成する強化プログラムが発足しました。

Q.公共・社会基盤分野における「コンサルティング人財」の定義を伺えますか?

まずは特定のアセットやソリューションに縛られず、社会課題ドリブンで行動するマインドセットを有すること。私たちの上司もよく、「これならば社会課題を本質的に解決できる!と思えたら、解決策はITでもnon-ITでも構わない」と話しているのですが、こうした柔軟な発想が大事だと思っています。
その上で社会課題に向き合い、めざす社会や未来を描いて自分の言葉で語り、ビジネスをデザインし、その実現に向けて多様なプレイヤーを巻き込んでいくといった、主体的な行動力を持った人財が「コンサルティング人財」であると考えています。

一般的なITコンサルタントや事業コンサルタントとは異なり、社会課題に対するビジョンを提示し、課題解決の方向性を示す「ソートリーダー」や、さらに事業として形にすることで課題を解決していく「ビジネスディベロッパー」に近いイメージです。
自ら意見を持ち、構想の実現までを牽引するマインドや行動力は、ロジカルシンキングや戦略設計などのスキル以上に重要であり、習得は困難ですが、それゆえに価値があると考えています。
私たちの分野の多くのメンバーは、忙しい日々の中で特定の顧客や部署と向き合うことに集中しており、そこから一歩外に出ていくことはなかなか経験していません。そこで今回のプログラムでは、この課題を克服するため、「マインド変革」と「行動変容」の2つを大きなテーマに掲げています。

我々のめざす人財像には、「パッション」も重要な要素ですよね。

本当にそう思います。社会課題を真剣に解決しようと思えば膨大な時間がかかりますし、私自身、これまでに労働改革などさまざまなテーマで新規事業の開発に取り組んできましたが、上手くいかなったことも多々あります。そんな時、熱いパッションがないと心が折れてしまうんですよね。

折れない心、やり抜く力、考え抜く姿勢は欠かせません。そしてその源泉となるのは、自分の興味関心が高い事柄であり、熱い想いを持てるテーマかどうかなんです。本プログラムを通して参加者が、そうした社会課題を見つけるきっかけにもなればいいなと思っています。
Q.本プログラムはどのような体制で運営しているのでしょうか?

今は、私たちが中心となり本プログラムの事務局を運営しています。また、事業コンサルティングや政策提言などを手掛けるグループ会社にも協力を仰ぎ、プログラム内容の企画・検討やワーキンググループの運用などをサポートしていただいています。

分野横断の大規模な施策ですので、各本部や分野のスタッフ組織にも意義を理解いただいた上で協力してもらっており、また、各事業部長やグループ会社も交えて議論するなど、ワンチームの形で取り組んでいます。
小手先の手法ではなく、本質的な課題解決のためのマインドセットを

Q.プログラムの具体的な内容を教えてください。

本プログラムは3つのステップで構成されています。
まずステップ1では、分野幹部によるインプットプレゼンと質疑応答を実施し、分野の方針やメンバーへの期待を共有しました。これにより、参加者がめざす方向性を具体的に理解し、モチベーションを高めるきっかけとなりました。
ステップ2では、参加者それぞれが関心のある社会課題を深掘りし、現状を踏まえた「あるべき未来」や「事業プラン」を描きます。個人作業に加えて、テーマの近い参加者同士でグループを組み、調査・議論を繰り返す仕組みを取り入れました。また、分野内の事業部長による個別の壁打ちセッションや、外部有識者や課題の当事者への取材や視察など、フィールドワークを必須としています。これにより、参加者が課題に対する意識を高め、主体的に取り組む姿勢を養う設計になっています。
最後のステップ3では、検討した事業プランを分野幹部にプレゼンテーションする場を設け、その後の事業創発につながる枠組みを整備する予定です。

コンサルティングのフレームワークなどを学べる研修はすでに社内にあるため、このプログラムは「真剣に社会課題の解決を考える」「実践として外部の当事者や有識者と意見を交わす」ことを第一に設計しています。それに部署や役職の垣根に縛られず、ひとつの社会課題をもとにグループを組むことも特徴のひとつ。他部署のメンバーと真剣に議論をしたり、ラインの異なる幹部と意見交換をしたりといった機会はなかなかありませんので、新鮮な経験が積めると思います。

本部長、事業部長など幹部の方々がさまざまなシーンで協力していることも大きいですよね。私たち運営サイドはもちろん、参加者の方々にも「分野をあげて本気で取り組んでいるな」と肌感覚で伝わると思いますし、真剣度も高まるはずです。
「こういうことがしたくてNTT データの公共・社会基盤分野に来たんです」と言っていただくこともあり、事務局としてはすごくうれしいですね。

Q.参加者にはどのような方が集まっているのでしょうか?

各本部の課長・主任クラスを中心に、「ビジョンを持って未来を語れる人財」として選出された140名が参加しています。検討テーマについては、各参加者が熱意を持って取り組みたいと思えるテーマを自分で考え、選んでもらっています。たとえば、社会保障やヘルスケア、環境エネルギー問題、子育て、教育など幅広いテーマがあがっていますね。私たち二人は参加者としても本プログラムに携わっていますが、入福さんはどのようにテーマを選びましたか?

私は異動前の部署では「防災」に取り組み、現在の業務では「老朽化が進む社会インフラの維持・管理」に関する新規事業創発に取り組んでいますが、本プロジェクトではあえて別の社会課題に取り組もうと考え、「教育格差」について調査しています。

他のメンバーにも、普段とは異なる社会課題を選んでいる方が結構いますよね。実際に取り組んでみていかがですか?

これまで教育は縁遠い分野でしたが、さまざまな専門書や文献などを通して本当に困っている子どもや家庭の実態を調べるうちに関心が強くなり、より深く考えたいという気持ちが沸き上がってきました。まだまだ漠然としていますが、情報収集を重ねながら「地域コミュニティから現状を変えていけるような、本質的な解決策はないだろうか」と模索しています。
Q.このプログラムの狙いでもある行動変容という点ではいかがですか?

実は営業時代の私は調べものが苦手で、「分からないことがあれば、まずお客様に聞きに行く」という行動派のタイプでした。しかし、このプログラムを通して、突き詰めて調べること、考えることの重要性を再認識しています。その上で自分なりの持論を持って有識者に話を聞きに行くことで、より深い議論をめざそうという新たなマインドが身につきましたね。

あ、そのタイプの人もいるんですね!開発のメンバーに話を聞くと、調べものは得意でも外に出て話を聞きに行くのが苦手という方が多い印象でした。事務局には、「当事者アンケートを初めて実施するが、どう進めればいいのか」「有識者はどう選定すればいいのか」「ヒアリングに際して不安なので資料を一緒に確認してほしい」など、さまざまな相談が寄せられています。普段はリーダーとして業務を進めているメンバーでも初めての経験は不安になるものだと思います。それでも一歩踏み出して挑戦する姿を見ていると、経験や自信に基づく行動変容が生まれているように感じます。

システム開発は徹底的に技術や理論を調べることが肝心ですからね。開発だけでなく、自分の職域に集中する中で、気づいたら動き方が固まっていたというケースは多いかもしれません。営業・開発・スタッフを問わず、どんなメンバーも社会課題起点の発想や周囲を巻き込む行動力を身につけるべきだと感じていますし、普段の業務にも必ずいい変化が生まれるはずです。

Q.他にも本プログラムに参加したことで得られた気づきはありますか?

私は幹部の方々が、「本気で社会課題を解決したいんだ」という熱い想いを持っていることを強く実感しました。もちろん、分野のめざす姿や事業方針などは以前から理解していました。けれど今回、改めて運営の打ち合わせやプログラムの講演などで、社会貢献に対する熱量の高さを直接感じたことで、「この想いをDNAとして分野のメンバー全員に根付かせる」という責任感がより一層強まりましたね。

私は課題の現場の声を聴くことの重要性を痛感しました。防犯をテーマとしているグループのメンバーから、「アンケート調査を通じて、別の課題だと思っていた犯罪が実は関連性が強いことに気づいた」という報告がありました。政府データではそれぞれが別の統計として扱われていたため、机上調査だけでは見落とされていた関連性でした。私自身も被害者団体へのヒアリングを通じて、「一番防ぐべきことは何か」など、客観的な視点だけでは分からなかった発見を得ています。
社会課題へのパッションが継続する組織をめざして

Q.現在もプログラムは進行中ですが、今後の展望などはありますか?

まずは今回のプログラムをやりきることが第一ですが、本プログラムを通して参加者に新たなマインドセットが生まれたとしても、先ほど入福さんもおっしゃっていた通り、それを分野内で根付かせていくことが最も重要です。
この流れを継続していくためには、新たな人財育成施策やプロジェクト推進の支援体制など、社会課題解決や新規事業創発に取り組みやすい仕組みを作る必要があると考えています。

たしかに、「いい取り組みだったね」で終わってしまうのが一番怖いです。それに参加者一人ひとりの努力だけでは、長期的な継続は難しいはず。そうではなく本プログラムをきっかけに分野の組織カルチャーとして、社会課題ドリブンで物事を考え捉えることが当たり前になるような風土を醸成していきたいですね。これが定着すれば、分野全体で持続的な成果を生み出せると信じています。

Q.参加者の今後の活躍については、どのような期待をしていますか?

社会課題はすぐに解決できるものではありませんので、継続的に活動を続ける根気強さが求められます。その上で解決策として独りよがりのビジネスではなく、関わる全ての方がwin-win の形で社会課題の解決と事業性を両立できるエコシステムや仕組みづくりをめざしてほしいです。

公共・社会基盤分野は官公庁や自治体、企業や団体といった強固な顧客基盤を持っています。この基盤は、社会課題ドリブンで新規事業創発をめざす上で大きなアドバンテージです。ぜひこの環境を活かし、政策提言や行政への働きかけを通じて、超上流から社会課題解決を図るような挑戦にも取り組んでほしいです。また、解決策として、新たなアセットやソリューションを生み出す道もあります。NTTデータでは、多様なアクションが可能ですし、どんなアウトプットの形も歓迎されます。

それに今回の参加者が各部署でマインド変革や行動変容を促す起点となり、良い影響を広げてくれたらうれしいです。参加者の周囲のメンバーにも「こんな動き方ができるんだ」と知っていただきたいですし、本プログラムのような機会がなくても一人ひとりが自発的に動ける組織文化が広がるよう期待しています。

そうですね。短期間のプログラムで“即座に社会課題解決や事業成果につながるアイデア”を生み出すことは難しいかもしれませんが、今回の経験を自信に変えて、社会の中でリーダーシップを発揮し、持続的に挑戦を続けていってほしいと思います。
Q.最後に、NTTデータへの入社を検討している方にメッセージをお願いします。

個人的には、事業創出や社会課題解決に関する特別な経験やスキルよりも、重要なのは、「自分の手で社会課題を解決したい」という熱いパッションです。
社会課題の探求や解決に向けた事業の創出は、試行錯誤の連続です。どうしても上手くいかずに方向転換を図ることもありますが、トライアンドエラーを楽しみ、「次につなげるにはどうすれば良いか」と前向きに捉えられる方が活躍できると思っています。
「キャリアをかけて真剣に取り組みたい」「この社会課題に本気で向き合いたい」といった意欲的な方と一緒に働けることを楽しみにしています。

このプログラムの中で思わぬ発見がありました。それは、メンバーたちが積極的にサポートし合う姿勢です。経験が浅くプログラムに戸惑っている若手にアドバイスをしたり、業務繁忙期のメンバーを助けるために苦労して調査・整理した内容を共有したり、有識者を紹介し合ったりする場面が随所で見られます。こうした社員の人柄の良さや、協力が当たり前の文化は、複雑化する社会課題を解決する上で私たちの大きな強みだと感じています。そんな環境下だからこそ心配は不要です。安心して私たちの仲間になってください。

NTTデータには挑戦を支える幹部層や同僚がいますし、本プログラムのような実効性のある施策も継続的に行われています。「やりたい」と思うことを形にするための土壌は十分に整っていますので、挑戦を応援する風土の中で、社会課題解決に真剣に、そして熱く取り組んでいきましょう!
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「本気で社会課題解決に取り組みたい」。その熱いパッションは、本プログラムの参加者を通して公共・社会基盤分野全体に徐々に波及し始めています。もともとこの分野に集まっている約4000名のメンバーは、社会貢献への意識が高い人財ばかり。一人ひとりが目の前のお客様だけでなく、外の世界に向かって行動を始めたら、社会を変える輪は少しずつ、けれど確実に広がっていくはず。そしてその影響力は新たな仲間の熱量が加わることで、さらに高まっていくことでしょう。