「顧客とベンダー」の枠を超えた提案で、KIRINの事業拡大をリード

KIRIN開発統括部の特徴は、単なる支援に留まらず、ITによる変革を牽引する役割を担うことにあります。組織のミッションについて、部長の手塚は次のように語ります。
私たちの組織は、KIRINの事業拡大をITの側面から支え、リードすることをミッションとしています。KIRINが長期経営構想として「価値創造を加速するICT」を経営ビジョンに策定する中、当社はアライアンスを背景に、KIRINの情報システム子会社であるKBSと共にコンサルティングからサービスデリバリまで一貫して提供しています。KBSのリソースだけでは対応が難しい大規模案件や、先端技術の活用・新パッケージの導入など、より難易度が高い案件については、当社も参画し案件全体を牽引するスキームをとっています。
重要なプロジェクトのリードを任せてもらえる背景には、まるでKIRINの一員であるかのように関わることができる環境があります。この関係性はどのようにして誕生したのでしょうか。
当社はアライアンス締結以降、一貫してKIRINグループ全体の事業成長を見据えた課題解決に注力してきました。たとえば、ある基幹システム刷新提案を求められた際、素直に要求に応えると多大なコストが必要となり、KIRINのビジネスの継続に支障が出ると判断した場合には、「一度立ち止まって本当にその方針で検討するか再考しましょう」「リスクをコントロールしながら、新しい仕組みを導入しましょう」と、臆さずに提案し、経営層まで理解を得たうえで実行します。このようにマクロ視点で成功事例を積み重ねる中、経営層から現場のKIRIN担当者にまで信頼関係が生まれ、対等に話を聞いてもらえる関係が培われていきました。
経営までトータルに見据えた提案は、KIRINの成長に着実に貢献していきました。そして、KIRINの事業領域が拡大するにつれ、技術的な挑戦の機会もさらに広がっています。先端技術に携わる案件も増加しており、今やエンジニアにとってスキルアップのチャンスが多数ある部門になりつつあります。
KIRINの事業領域は、これまで主力としてきたアルコール飲料や清涼飲料といった「食」から、製薬やプラズマ乳酸菌といった「ヘルスケア領域」、すなわち「医」の領域に広がりを見せています。技術面でも、「クラウドリフトからクラウドシフト、データ分析、AI」といったDX案件など、先端技術に関わる機会も増加しています。多様な領域でスキルアップを目指すエンジニアにとって、刺激的な環境だと思います。
担うは、KIRINの全営業パーソンに影響を与える大規模プロジェクト

2023年に経験者採用で入社し、現在は課長代理として活躍中の野口。転職のきっかけには、同SIer業界の中でも、エンジニアとして長年抱えていた葛藤がありました。
前職では、自分がしたいと思える提案ができていませんでした。提案の際は親会社の意向を汲む必要があり、OSやスペックなども指定がありました。使える製品も限定されていたため、これは本当に顧客のための提案といえるのだろうかと悩んでいました。NTTデータなら、マルチベンダーである点を活かし顧客の課題に対して自由な発想で、真に顧客のためとなる提案ができます。システムの全体構造を理解したうえでプロジェクト推進をしていきたいという想いも実現できると感じ、入社に迷いはありませんでしたね。
入社1年目にして、システム基盤再構築プロジェクトのチームリーダーに抜擢。KIRIN開発統括部のあり方は、まさに野口が望んでいたものでした。
利便性の向上に向け、BIツールを用いたダッシュボード開発を提案したり、基盤移行に伴う新たなアプリ開発を提案したり。インフラとアプリを繋ぐ重要な役割を与えてもらい、自身の新たな価値を発見できましたし、プロジェクトの将来像を見据えて、適切な製品やソリューションを自由に提案できたのは嬉しかったです。
その後、BIツールを用いたアプリケーション開発のプロジェクトリーダーに着任。大きな影響力を持つシステムであったため、「やりがいもひとしおだった」と振り返ります。
プロジェクトの発端は、取引情報の帳票システムのハードウェアが古くなり、更改する必要が出てきたこと。さらにKIRINの担当者からの「自分たちで取引情報を自由に加工、分析し、質の高い提案をしたい」という要望も踏まえて、BI分析の仕組みに切り替えることにしたのです。本プロジェクトは、総勢100人以上が関わっており、その中で、当時私は15人規模のチームの取りまとめを担当しました。KIRINの営業パーソン数千人が使うシステムだったため、大きなプレッシャーを感じた反面、「KIRINの事業拡大をITの側面から支え、リードする」というミッションに貢献できている実感がありました。
同プロジェクトには、KBSに出向中の手塚も参画していました。このプロジェクトの特徴は、システム面だけでなく、KBSの人財育成についても提案に織り込まれていたことです。
作り上げたシステムはKIRIN中心の体制で使い続けます。そのため、新システムのレポート作成やデータ生成ができる人財の育成が不可欠だと考えました。そこで、KBSのエンジニアをBIのスペシャリストとして育成する計画をKIRINに提案。2024年7月のリリース以降、育成したKBSのエンジニアを通じて、KIRINの全営業パーソンが自在にデータを活用できています。
長期的な事業拡大に繋がる組織体制づくりも提案する。まさにKIRIN開発統括部の存在意義を表したプロジェクトといえます。
心地よい関係性の中、同じ想いで一緒に事業を推進できる

現在野口は、リベート(※)管理システムの要件定義工程を担当。数十億単位の金額が動く、前職では経験したことがないほどの大規模プロジェクトです。
※企業間の取引において、支払いが発生した金額の一部を売り手が買い手に払い戻すこと
大規模プロジェクト推進のための管理体制の構築は、当社の強みです。今はお客様に対して要件定義書をベースに仕様をすり合わせしながら、プロジェクトマネジメントに欠かせない管理実施要領を作成しています。認識の相違が出ないよう都度アウトプットのイメージを伝えるなど、コミュニケーションを大切に、提案活動を進めています。
提案を進めやすい背景に、野口はKIRIN社員との距離の近さを挙げます。
勤務先となるKIRINのオフィスには気軽に打ち合わせができるフリースペースがあり、お客様とのコミュニケーションが非常に取りやすいです。これまでプロジェクトで関わった担当者と顔を合わせる機会も多く、「いま野口さんは何の案件を担当しているんですか」「また一緒に仕事しましょうよ」と気さくに声を掛けてくれるのです。
なぜ、会社が異なる中、このようなオープンかつ親密なコミュニケーションが交わされているのでしょうか。その背景にはKIRINに浸透する、ある想いがあります。
KIRINには「取引先は立場を変えると消費者」という考え方が浸透しており敬意を持って接してくれます。フリースペースも席は決まっておらず、KIRINの担当者が隣に座ることも珍しくありません。会議室内の打ち合わせでも雑談からスタートし、顧客とは役職問わず全員を「さん付け」で呼び合う関係性です。私たちは、ITのプロフェッショナルとして参画しているだけではなく、KIRINの一員としても働いているような感覚で、同じ想いを持って共に事業を推進できると感じています。
最後に事業部の中核を担う人財へと成長した野口に、今後の目標を聞いてみました。
業務や技術に幅広く精通し、お客様に真っ先に頼られるプロジェクトマネージャーとなることです。KIRIN開発統括部は、大規模プロジェクトが豊富で技術領域も多岐にわたります。選択肢も多いため、自身のキャリアの方向性や志向に合った案件にアサインされやすいと感じています。そうした環境の中で、今後も様々な案件に挑戦し、上流からKIRINのビジネスを支え、動かしていけるような人財へと成長していきたいです。
「お客様に自由な発想で提案をしたい」、前職で思い描いていた理想は現実となり、エンジニアとしての活躍フィールドは大きく広がり続けています。