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トップエンジニアたちが、NTTデータで働き続ける秘密。それは独自の人事制度にあり

2020年、NTTデータ独自の人事制度として新設されたテクニカルグレード(TG)制度。本制度は、従来のマネジメントを主軸にしたキャリアとは異なり、高度な専門性を活かしてご活躍いただくスペシャリストとしてのキャリアを歩むことができます。高度な知見・技術力を駆使するスペシャリスト人財はどのような経緯でTG制度に認定され、どのような業務に取り組んでいるのか。今回は2020年代初頭にTG制度の認定人財となった西、山本、松嶋の3名に、TG制度に認定されるまでのキャリアや認定後の変化について伺いました。

目次

Profileこの記事に登場する人

成功体験だけじゃない。スペシャリスト人財も、失敗を糧に成長してきた

――数十年にわたってエンジニアとして活躍されている皆さん。エンジニアになろうと思ったのは、大学時代の学びがきっかけだとか?

西 繁則 西

大学の研究室でグリッドネットワークを勉強していて、そこからネットワークエンジニアになりたいと思うようになりました。入社後は担当するお客様こそ変遷していますが、ずっとネットワーク一筋で働いています。

山本 泰士 山本

私はソフトウェア工学を専攻していました。西さんのように専門領域までは固まっていませんでしたが、エンジニアとして幅広い業界でテクノロジーに触れながら知見やノウハウを吸収し、より良い活用方法を追求したいと考えていました。

松嶋 孝明 松嶋

大学では無線通信や光通信を学んでいました。そのときに学んだ知識や技術が携帯電話ビジネスに活かせると考えて、前職の携帯キャリアに入社しました。

――松嶋さんが転職を考えるようになったのは、どのような出来事がきっかけでしたか?

松嶋 孝明 松嶋

きっかけは、出張で日本と海外を行き来する日々が続いていたことです。海外の滞在期間が年間100日を超えたあたりから、体力的なしんどさを感じるようになりました。出張中も日本の住まいの家賃は発生しているので、そこに対する違和感もあったと思います。

西 繁則 西

出張先はどこが多かったんですか?

松嶋 孝明 松嶋

スイスにはよく行っていました。他にもさまざまな国に出張しましたが、海外の生活に触れてみて改めて日本の水や食事の美味しさ、衛生面の綺麗さを実感しました。海外生活が長引くと、段々とホームシックになっていきましたね。そのような複数の要素が重なって、日本で腰を据えて働きたいと考えるようになりました。

――NTTデータに入社を決めた理由についても聞かせてください。

松嶋 孝明 松嶋

私は転職先を選ぶ際、2つのことを意識しました。1つ目が日本と海外の両方に強みを持っていること、2つ目が通信業界で学んだ専門性を活かせる会社であることです。日本で腰を据えて働きたいという気持ちがある一方で、グローバル人財として活躍できなくなることは違うなと思っていました。このような私の思いを叶えられる環境は、NTTデータ以外になかったと感じています。

山本 泰士 山本

私と西さんは新卒で入社しました。就職活動のときは、スケールの大きなプロジェクトのほうが吸収できるテクノロジーが多いと考えていました。そこに多種多様な業界のプロジェクトを担当できることを加味したとき、NTTデータが条件に合致したんです。

西 繁則 西

私も当時は山本さんと似たようなことを考えていて、業界ごとに商習慣などの特色があるからこそ、複数の業界を渡り歩くことに意味があると思いました。なぜなら、ある業界で得たノウハウは別の業界にとって新たな解決策になる可能性を感じたからです。そのようにプロジェクトベースで複数の業界を渡り歩ける点で、NTTデータが良いなと感じました。

――エンジニアとして働き始めてから、これまでに担当してきたプロジェクトについて教えてください。

西 繁則 西

入社してからは金融・法人・公共と、分野問わずにさまざまな大規模プロジェクトを担当してきました。具体的には地銀向け勘定系システム「MEJAR」の設計・構築をはじめ、小売店向けのWi-Fi環境の構築やネットワーク刷新の提案、官公庁向けのシステム提案などが挙げられます。特定の分野で導入・検討した内容を、別の分野のお客様に適用することで業態シフトを後押しできた事例もあって、学生のときにイメージしていた経験ができていると感じています。

山本 泰士 山本

私は保険会社向けのIP電話更改プロジェクトから、キャリアがスタートしました。そこから金融機関や製造会社向けのネットワーク更改、決済サービス向けのハイブリッドクラウドネットワーク構築などでプロジェクトリーダを経験しました。今はネットワーク自動化を推進したり、クラウド人財育成施策で講師を担当したり、少しずつ活動の幅を広げています。

松嶋 孝明 松嶋

私は前職で衛星通信やモバイル通信の開発などに携わっていました。NTTデータに転職してからは前職の経験を活かして、エンタープライズ向けのモバイルサービス化に伴う5GやプライベートLTEの企画・開発・検証にチャレンジしました。現在はEdgeサービスの企画などを担当しています。

――皆さんは表彰された実績も多く、TG制度の認定を受ける前から優秀だったように思えます。実際はどうでしたか?

西 繁則 西

全然そんなことないですよ。入社して間もない頃はネットワークの性能不足が原因で、数年前から計画されていた試験を止めてしまったことがあります。そのときに上司から言われた「20,000分の1本の障害かもしれないけど、現場にとってはその1本が生命線であることを忘れたらいけない」という言葉はよく覚えています。

山本 泰士 山本

私も1,000拠点以上のネットワーク更改のときに、数時間ストップさせた経験があります。今でこそスペシャリスト人財なんて言われていますが、そういう時代はちゃんとありました。

西 繁則 西

そのようなときに振り返りの機会が生まれて、改善を経て成長していくんですよね。

山本 泰士 山本

その通りだと思います。私もやらかしたときは、何が原因で起きてしまったのかというテクニカルな部分と、同じことを繰り返さないために何をするべきかという品質マネジメントの部分を考えて、再発防止策を立てていました。

松嶋 孝明 松嶋

お二人の話にもあるように、失敗から何を学び取れるかが重要ですよね。その過程で意識が変わって、業務の精度が上がっていき、結果的に成長できるのだと思いますし、それでも足りない部分は他のTGと連携することでより高い成果にもつながったと思います。Web会議ツールなどユニファイドコミュニケーションシステムのTGと連携した無線+Web会議の統合検討なども実践しています。

TG制度が人生のターニングポイントになった

――皆さんは2020年代初頭にTG制度に認定されていますが、そのきっかけは何でしたか?

西 繁則 西

私たちの場合は、社内認定制度であるプロフェッショナルCDPの上位認定であるエグゼクティブの試験を受けたことがきっかけです。専門分野において社内の第一人者として認められるための試験で、その合否発表からしばらくしてTG制度の話がありました。

松嶋 孝明 松嶋

エグゼクティブの試験結果をもとに部長が推薦し、TG制度の要件を満たしていることからTG認定が認められたのです。

山本 泰士 山本

一般的には課長代理までの経験を積んだ後に、マネジメント主軸のフレキシブルグレードか、専門性を磨くテクニカルグレードのどちらかに進むというイメージです。フレキシブルグレードであれば課長・部長に昇進していくルートになり、テクニカルグレードであればスペシャリスト人財として活躍するルートになります。

――TG制度に認定された後は、自身で定めたジョブディスクリプションに沿って仕事を行うと思います。皆さんはどのような内容を設定されていますか?

山本 泰士 山本

私はメインテーマが2つあります。専任で担当しているお客様に対する数値目標と、事業部などが推進する施策の支援です。後者では、ネットワーク自動化のサービス立ち上げや技術戦略の立案などを担当しています。

松嶋 孝明 松嶋

私は5Gなどの新技術を用いたオファリングビジネスを立ち上げることがメインテーマで、そこに開発・市場調査・営業活動などが含まれています。今は5Gに限らず、ネットワーク全般やEdgeサービスとテーマの幅を広げていて、そこがジョブの半分以上を占めています。

西 繁則 西

私の場合は高難度プロジェクトを積極的に支援して、事業部に貢献することをメインテーマに掲げています。

――皆さん別々のメインテーマに沿って活動されているんですね。TG制度の認定前後で、働き方の変化はありましたか?

松嶋 孝明 松嶋

権限が上がったと感じています。これまでは課長に相談してプロジェクトの承認・発注・支払いを進めていましたが、今は予算の範囲内であれば自分の判断で進められるようになりました。課長・部長を経由せず、統括部長に直接伝えるシーンも出てきて、物事を進めるスピードが早くなっています。

山本 泰士 山本

権限の変化はそこまで感じたことなかったですね。人によって違うのかな。

松嶋 孝明 松嶋

お二人はTG制度の認定前から、すでに課長代理の枠を越えて活躍していた印象があるので、変化を実感しにくかったのかもしれません。そのような観点で考えると、今まで上手く拾えていなかった部分が、TG制度によって正当に評価されるようになったのだと思います。

西 繁則 西

確かに、時代が追い付いてきたのかもしれないですね。TG制度の認定を受ける前に転職を考えていた時期があったので、新設されて良かったと思います。

――転職を考え始めたことには、どのような背景があったのでしょうか?

西 繁則 西

TG制度ができる前だと、エンジニアの評価は課長代理あたりで頭打ちという感覚があったんです。それより上を目指すとなると、マネージャになるしか選択肢がありませんでした。上司から推薦があって昇格試験は受けたけど、やっぱりマネジメントよりもテクニカルの道に進みたいなと感じ、転職を考えるようになったんです。

山本 泰士 山本

マネージャの中でも技術に強みがある方もいて、私もそういったマネージャを目指していました。そんなときにTG制度の噂を聞いて、より技術に比重をおいた道に進めると知ったことが人生のターニングポイントだったと思います。

松嶋 孝明 松嶋

お二人にとって、TG制度の誕生は予期せぬ朗報だったのですね。かくいう私も前職ではTG制度のような評価制度がなかったので、TG認定は大きなモチベーションになっています。

山本 泰士 山本

私はまだTG制度の認定を受けて2年ほどですが、テクニカル領域で好きな仕事ができていて、こんなに給与がもらえるんだと驚きました。今でも自分の市場価値を把握するために他社の求人情報をチェックしますが、NTTデータを辞める理由が見つかりません。仕事、給与、休日のどれかひとつにフォーカスすると負ける部分もあるかもしれないけど、総合点で考えるとNTTデータが一番良いと思います。

西 繁則 西

昔はどれだけ技術力があっても、マネジメント能力がなければ評価されなかったので、一定のラインに達したら「もういっか」と考える人はいたと思います。それが私たちにとってある種の壁だったのですが、TG制度の誕生によって壁が取り払われたことで、NTTデータの見方も変わりました。私も今は転職しないほうが得なんじゃないかと感じています。

山本 泰士 山本

NTTデータは技術の一点に絞ったら凄まじく優秀なエンジニアが多いので、そのような方々がTG制度で報われるようになったと思います。

キャリアの描き方は三者三様。自分なりの道を突き進んでいける

――TG制度に認定されると、周囲から求められることも変わってきますか?

山本 泰士 山本

プロジェクト支援で呼ばれることが増えたと思います。提案フェーズの検討やレビューが中心ですが、大きなトラブルのときも声がかかっています。それぞれ高い目利き力を求められるので、ビジネスチャンスの創出としても貢献できているのかな、と思います。

西 繁則 西

プロジェクトを進めるうえで、TG認定されたスペシャリスト人財の存在が安心材料として機能している感覚ですね。例えば、プロジェクトを審査する際はプロジェクトメンバーのスキルマップを証跡のひとつとして用意するんですが、そこにTG制度の認定人財がいるかいないかで信頼度などの印象が大きく異なるようです。

山本 泰士 山本

次期更改のレビューは、TG制度の認定人財に第三者チェックの依頼がくることもあります。専門領域における社内の第一人者として、今まで以上に頼られている実感はあります。技術者としても今まで以上に高いステージで頼られ、よりハイレベルな業務遂行ができていると感じています。

松嶋 孝明 松嶋

TG制度の認定人財になったから頼られているわけではなく、頼りたいと思われる方がTG制度に認定されていると思います。お二人は課長代理のときからよく頼られている印象で、大きなトラブルのときによく声がかかっていた記憶がありますね。

西 繁則 西

松嶋さんも、現場で不具合要因を見つけて対処しているシーンが多かった印象があります。

松嶋 孝明 松嶋

そう言われてみると、三人とも通ずる部分があるのかもしれないですね。社内だけでなく、お客様から直接相談されることもあるので、指名されている感覚はこれまでより強くなった気がします。

西 繁則 西

相談された瞬間は大変だなと思うこともありますが、頼られること自体は素直に嬉しいですね。

山本 泰士 山本

のびのびと働けている感覚はありますね。忙しいことは間違いないんですが、昔と比べたら好きなことにリソースを多く割けるのでストレスが少ないです。これが仕事の充実度に大きく影響していると思います。

――スペシャリスト人財として活躍する中で、キャリアの考え方も変わったのではないかと思います。これから挑戦したいことはありますか?

西 繁則 西

スペシャリスト人財になってから、事業部や技術領域も横断した公共プロジェクトを通じて、幅広いエンドユーザーにサービスを提供する経験が得られました。NTTデータはエンタープライズ領域のプロジェクトが多いので、経営課題と社会課題が密接につながってきます。これからは今まで以上に分野や技術を横断して、お客様の経営課題の解決を通じて、社会課題の解決にもつなげていく。そんなチャレンジをしていきたいと考えています。

山本 泰士 山本

社外発信の機会も増えていて、第三者からの評価を通じて自分自身の知識・スキルの価値を改めて実感しました。この体験が「より価値の高いものを、より再現性の高い状態で提供したい」という原動力になっています。今は培った専門性を、ネットワーク自動化のサービスに盛り込んでいきたいと考えています。ゆくゆくはサービスオーナーとしての役割を飛び越えて、ネットワークエンジニアが主体的に取り組める環境を整備して、ネットワーク自動化の早期普及と持続力の向上につなげたいです。

松嶋 孝明 松嶋

私はネットワークという専門領域に、プラスアルファの要素を組み合わせた人財という将来像を描いています。具体的にはITアーキテクト、コンサルティング、マネジメントの3要素です。これら全てに対応できるようになれば、NTTデータにおいて唯一無二の人財になれると考えています。

――最後に、スペシャリスト人財を目指す方にアドバイスをお願いします。

松嶋 孝明 松嶋

スペシャリスト人財は、特定の分野で替えの利かないことが認められた存在だと考えています。唯一無二と表現すると難しそうな印象があるかもしれませんが、「この人に任せておけば安心だ」と思われる存在になったときに、スペシャリスト人財として認められるのではないでしょうか。

西 繁則 西

どのようにしてスペシャリスト人財になるかという観点だと、現実と理想のギャップ値を認識したほうが良いですね。今の自分のレベルと、社会的に求められているスキルはどのくらい違うのか。私はそれを明確化するために、経済産業省が定めているITスキル標準(ITSS)やメディアが定期的に出している役立つ資格リストなどをチェックして、スキルの棚卸しをしています。

山本 泰士 山本

私は好きなことを突き詰めていくことが大事だと考えています。私の場合は技術を追求したかったので、業務に関連する技術の全体像がどうなっていて、他の技術領域とどのように結びつくのかを考え続け、スペシャリスト人財になりました。このように調査・検証を重ねていくことが、分野におけるスペシャリスト人財になる第一歩です。

――

高度な知見・技術力を駆使する唯一無二のスペシャリストとして活躍する3名。彼らのように「好き」を突き詰め、成長を目指せる方であれば、エンジニアとしてのキャリアの可能性を大きく広げることができるはずです。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです