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NTTデータなら、社会課題に本気で取り組める。税を起点に、世の中の仕組みを変えていく

NTTデータの公共・社会基盤分野では現在、社会課題ドリブンで新規事業開発に取り組む「コンサルティング強化プログラム」を実施しています。本プログラムには、さまざまな部門から「ビジョンを持って未来を語れる人財」が集結。社会を取り巻く真の課題を追求し、その解決の糸口を模索しています。今回のUpToDataでは、参加メンバーの一人である音見のお話を紹介します。NTTデータ入社時から社会課題解決に対して意欲的だった音見の想い、プログラムで得た学びや気づき、さらにはプログラムを通して動き出した新規事業についても詳しく聞きました。

目次

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地域格差や福祉などの社会課題を当事者として実感

徳島県出身の音見は、過疎化に伴う少子高齢化や思うように進まないインフラ整備など、物心がついた頃から地方に存在するさまざまな社会課題を肌で感じていました。そのため、大学入学と同時に“社会を変革できる可能性のある仕事”を軸に将来を検討し、一時期は国家公務員の試験を受けることも考えていたそうです。しかし、先に公務員となった先輩から「スピード感を持ち大胆な変革をするなら、民間企業のほうが動きやすい」というアドバイスをもらい、民間企業の立場から社会課題解決に挑むことを決めました。

学生時代を過ごした90年代は、Windows95の発売やインターネットの普及など、ITの力で社会が大きく変わり始めた時代でした。その中で、社会課題解決にもITは欠かせないと感じたんです。特にNTTデータは、社会インフラを支える大規模なシステム開発を多数手がけており、社会課題起点のコンサルティングができそうだと考え入社を決めました。

1997年、新卒でNTTデータに入社した音見は、国税庁の基幹系システム開発からキャリアをスタートします。社会貢献性が高いシステムに携わるやりがいはあるものの、「もっと上流で、社会課題にアプローチできるようなコンサルティングがしたい」と周囲に話していた音見。当時のNTTデータにはあまりないポジションゆえ、同僚たちからは、「システムコンサルタントなら、経験を積めばなれるよ」と勘違いをされていたといいます。

「それならば…」と、まずは提案型のコンサルティング営業でスキルを磨こうと、新しいビジネスの経験が積める部署への異動を上司に相談しました。当時は社内公募制度の仕組みはなかったものの上司のあたたかい計らいにより、入社3年目にして、衛星画像を活用した新規ビジネスの企画・立ち上げに携わることになったのです。以降、新規事業は順調に推移し、7年後には衛星事業専門の子会社が設立。音見も同社へ出向し、ビジネスの拡大をリードしました。

その後、2007年から2013年までのあいだで、音見は2人のお子さんの出産・育児と家族の介護のため休職します。会社から離れて生活するあいだ音見は当事者として、さまざまな社会課題に直面します。

産休・育休も介護のための休職も、会社以外にさまざまな公的機関への事務手続きや申請が必要になります。本人にとって大変な時期だからこそ公的機関からの支援を受けたいのに、書類を作ったり、役所へ行って確認を取ったりしなければならず、「それどころじゃないのに…」と頭を抱えることもありました。長く会社を離れていた時期ではありますが、一国民として「これは、解決しなければならない社会課題だ」と強く感じたことを覚えています。

経営層が“本気で社会課題解決に取り組んでいく姿勢”を明言してくれた

2013年10月、音見は新卒時と同じ国税庁の担当として復職しました。その際、開発担当としてではなく、よりコンサルティング的な仕事をしやすい営業として復帰することを選びます。

それからキャリアを重ね、現在は部長として、国税庁の基幹系システム刷新や納税者向けシステムのUI/UXの改善、さらには税に関連する行政のバックヤードの情報連携など、国民の利便性向上に向けた各種サービスの企画部門全体を統括しています。音見は、このような国税分野の業務においても、さまざまな形で社会課題の解決を意識しているといいます。

まずはe-Tax等の各種システムをより使いやすいものへと改良することで、国税に関する各種法定調書の提出や申告が容易に行えるようにし、納税者や企業に無駄な稼動を極力かけさせないようにしたいと考えています。また、行政機関が持つ情報を行政機関間や自治体などとバックヤードで連携することで、国民や企業が申請作業に無駄な手間をかけなくてもいい世の中を作っていきたいです。

そんな音見は、公共・社会基盤分野で実施している、社会課題ドリブンで新規事業開発に取り組む「コンサルティング強化プログラム」のメンバーに選ばれました。NTTデータ入社時から社会課題起点のコンサルティングに関心を持ち続け、常に社会課題を意識しながらキャリアを築いてきた音見は、「組織を挙げて社会課題に取り組むための仕組みが整った」と、今回のプログラムの発足に歓喜したそうです。また、プログラムのスタートに際して行われた分野長幹部によるプレゼンも強く印象に残っているといいます。

会社の経営層の方が直々に「一国民としての肌感覚を大事にしよう」「自社の利益だけを考えていては誰もついて来ない」「社会課題起点で、すべてのステークホルダーの利益を考えた発想をすることが重要だ」と、会社として本気で社会課題解決に取り組んでいく姿勢を明言してくれたことが何よりもうれしかったですね。

本プログラムのスタート後は、さまざまな部署から選出されたメンバーたちとのグループワークやディスカッションが実施されました。その中での経営層との壁打ち会で、普段の業務では得られないような貴重な経験・気づきが得られたと話します。

私たちのグループは部課長層も多く、自分たちではそれなりにできているつもりになっていました。ところが、グループワークの中で、経営層の方から「君たちが課題だと考えているものは、真の課題なのか?もっと深く考えて真の課題を見出し、その課題に対する打ち手を考える必要がある」とアドバイスがあり、考えがまだまだ甘かったことに気づかされました。

「救いの手」となるプッシュ型行政サービスを推進したい

本プログラムのスタート当初、音見が取り組むテーマは「人口問題」でしたが、フェーズが切り替わるタイミングで自身の本務に直結する「行政手続きが楽になる社会の実現に向けた検討」へ変更しました。現在は、プログラム事務局のサポートを受けながらアンケートを実施し、国民や企業の行政手続きに内在する真のペインを把握するための課題を深掘りしつつ、新たなビジネスとしての仕組みやマネタイズについても検討している最中だと話します。

まだ具体的な内容についてはお話しできませんが、行政機関への手続きを楽にするための民側の新サービスになる予定です。現在は、来年度の商品企画会議への提案をめざして準備を進めているところです。

このような音見の話からも、本プログラムは、実際の新規事業創発にもつながり得る実践的な取り組みであることが窺えます。

また、音見は本プログラムへの参加で得た気づきや経験を、折に触れて自組織のメンバーにも伝えています。具体的には、「現場やお客様のところへ行き、見て・聞いて・感じることを大切にしよう」と話しているそうです。

社会課題起点のコンサルティングの第一歩は、現場を見聞きして「共感」することから始まると思っています。私自身、国税に携わる中で、寒空の中、確定申告のために税務署の前で並んでいる高齢者の方々の姿を目の当たりにしたときに、「誰もがわかりやすく確定申告ができ、税務署に行かなくても申告ができる世の中にしなくては」と強く思いました。今回のようなプログラムを機に、NTTデータの中に「まずはフィールドに行く」という組織文化が醸成されることを期待しています。

今後、音見はどのような社会課題の解決をめざしていくのでしょうか。

税だけに留まらない行政手続きの簡便化(申請レス・ゼロストップ・ワンストップ)を実現させ、それに伴うプッシュ型行政サービスを推進していきたいです。理想とするのは、申請を行うことすら厳しい本当に困っている人々に対して、行政側から手を差し伸べられるような優しい世の中になることです。

人々の痛みや苦しみへの共感からスタートする社会課題起点のコンサルティングを通じて、あらゆるステークホルダーを巻き込みながら世の中をより良い方向に変えていく——。音見たちの絶えることのないチャレンジ精神と使命感は、これからの社会に必要不可欠な新しい価値を生み出していくはずです。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです