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1億人超の信頼を武器に、新たなビジネスを。ジョブチェンジの末にたどり着いた、価値創造の考え方

AIによる迅速な問い合わせ対応や、ビッグデータ分析の活用による商品提案のパーソナライズなど、デジタル技術によるユーザー体験(UX)の向上が進む金融ビジネス。革新的な取り組みが加速するなか、NTTデータもまた、ゆうちょ銀行様との新規ビジネス・サービスの創出に注力しています。その最前線で活躍しているのが、次世代統括部で部長を務める井上です。複数のポジションで経験を積み、視野を広げた井上が、ゆうちょ銀行様の新規ビジネスにどのように関わっているのか。NTTデータならではの支援スタイルを紐解きます。

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ジョブチェンジにより洗練されたビジネスマインドで挑む新規サービスの立ち上げ

井上は就職活動時、「お客様のビジネスを上流から支援する仕事がしたい」という想いがありました。企画・構想フェーズが担えることから、当初検討していたのはコンサルティング会社。しかし、超上流工程で活躍するためには現場経験も欠かせないという考えに至り、NTTデータに入社しました。

初期配属は、生命保険会社向けの管理会計システムの開発プロジェクト。着実に知識・経験を積み重ね、サブシステムの構築リーダーを担当しました。開発プロジェクトが一段落つき、現場での立ち回りが板についてきたタイミングで、営業組織への異動を打診されることに。突然の出来事でしたが、自身の希望を叶えるチャンスとして前向きに捉えたようです。

エンジニアを経験したことで、システムの目的や要求事項に沿ってものづくりの観点で思考を巡らせていくスキルが身につきました。その知見・ノウハウを活かして、エンドユーザーに対してどのような価値を与えるのかという企画・構想フェーズにチャレンジしようと考えたとき、営業組織への異動は絶好のチャンスだと思ったんです。

営業組織に異動後は、ゼロから新規開拓を行っていきました。この営業活動のなかで、お客様ファーストで考えることの重要性を学んだと言います。

いかに良い提案ができるかを突き詰めていくなかで、「自社の利益のためではなく、お客様のためになっているか」という観点で上司からフィードバックを受けていたことが、今の営業活動にも活きていると感じています。提案に求められるスコープは、お客様にヒアリングした課題の解決とイコールになるとは限りません。まずは俯瞰して全体像を把握し、関連する課題を見極め、お客様やエンドユーザーが喜ぶ本質的な課題解決を優先する。その考え方が大事だと気づきました。

その後、郵政・政策金融事業部の事業企画を経て現在の担当である、ゆうちょ銀行様のビジネス企画に着任しました。

新しい試みにも積極的に挑戦するお客様のニーズに応えるべく、現在は新規サービスの立ち上げに向けて戦略フェーズからお客様と共創し、あるべき姿を模索しています。

ビジネスの核となる独自の価値を、お客様と共に検討できる

ゆうちょ銀行様は地域に根差した金融プラットフォームの中核を担っています。通常貯金口座の開設数は1億2,000万口座(2024年3月時点)と、日本の総人口とほぼ同じ。歴史的背景もあり、地域経済の活性化を全国規模で推進しています。

そんなゆうちょ銀行様の新規サービスを企画・検討することについて、井上は「ビジネスの本質を追求できることが醍醐味」と語ります。

新規サービスが成功するためには、市場に投入したときに選ばれる理由があるかが重要です。それは既存ビジネスと比較したときの機能的な強みだけでなく、ゆうちょ銀行様らしさを定義することが求められます。ゆうちょ銀行様らしさとは、地域密着による身近さ、郵便局ネットワークによる安心感、価値観や社風などさまざまです。その要素を一つひとつ整理しながら、新規ビジネスの世界観やエンドユーザーへの価値提供プロセスを決めていく。このようにシステムの要件定義よりもさらに前段階から関わり、ビジネスの中枢を一緒に考えていけるのは非常に楽しく、やりがいに感じています。

郵政民営化でゆうちょ銀行様が発足するより前の国営の時代から、NTTデータは40年以上にわたってシステムを提供してきました。そこで先輩たちが構築した信頼関係があるからこそ、ビジネスの中枢に深く関わるチャンスが生まれているのです。

今私たちは、デジタルを切り口とした新規サービスの企画・検討を進めています。NTTデータではこれまでに、アンチマネーロンダリング向けシステムやマーケティング分析業務のAutoML(機械学習)ツールでの効率化・高度化などを手がけてきました。

従来の勘定系システムや基幹システムではないデジタルサービスの提案には、「数多くのステークホルダーを巻き込みながら推進していく必要がある」と言います。

エンドユーザーが抱えている悩みをグループ会社のコンサルタントと一緒に考えることもあれば、市場調査やユーザー体験(UX)などの専門領域について外部パートナーを交えながら協議することもあります。企画・構想フェーズは悩むことが多いですが、さまざまなスペシャリスト人財とコラボレーションしながら進めていけるので、気づきや発見も多いです。

外部パートナーと考え抜いた内容をお客様へ提案した際、「おもしろい。ぜひやろう」と評価していただけることが、大きなモチベーションになっていると言います。

新規サービスは、ローンチがゴールではありません。その後もユーザー体験をバージョンアップさせるために改良を重ねたり、新規サービスで得たノウハウを別のビジネスに展開したりなど、ゆうちょ銀行様の持続的な成長につながる活動を推進していきます。今関わっている新規サービスがどのように成長していくのか、その過程を楽しめるのもこの仕事のおもしろさだと思います。

金融サービスで社会を変える。そのための一歩を、積み重ねていく

ゆうちょ銀行様と描くビジネスの展望を尋ねると、井上は「新しい試みで独自の価値を見出していく」と答えました。

エンドユーザーに選ばれる金融サービスを実現するためには、プラスアルファの要素を追求する必要があります。他行が真似できない価値の組み合わせや、ゆうちょ銀行様らしさを突き詰めた先にある新しい価値など、独自の価値創出が欠かせません。また、地域経済を活性化させる観点では、これまでに培った知見やノウハウから、製造業や流通業などの異業種に適用できるものを探していくことも大切です。このような取り組みを通じて、社会課題の解決に資するビジネスモデルを一緒につくり上げていきたいと考えています。

より良いサービスをつくり上げるうえで、エンドユーザーとのタッチポイントになるスマホアプリの開発・改良から、データ利活用の高度化、AIによる業務効率化まで、細かな施策を含めると課題は数多くあります。これらを解消していくうえで一緒に働きたい仲間について、井上は「失敗を恐れずに挑戦できる方」と表現しました。

バタフライエフェクトのように、大きな変化は小さな変化の積み重ねによって生まれるものです。そして、この小さな変化を一人ひとりが起こしていくことが大切だと、私は考えています。新しいサービスをつくることは、決まった順番通りに進められれば必ず結果が出るというものではありません。かといって、慎重になりすぎるのも悪手です。ステークホルダーと壁打ちしながら、失敗を恐れずにチャレンジしていく。そんなトライアンドエラーを楽しめる方と一緒に働きたいですね。

一方で、ITの専門性がないと、大胆なチャレンジができないのでは?と不安に感じる方もいるでしょう。その疑問をぶつけてみると、「必ずしもIT業界の経験がいるとは限らない」と言います。

知識や経験があったほうがプラスであることは間違いありません。しかし、私たちのプロジェクトで求められるのはシステム開発だけでなく、サービス企画やUI/UX設計、ブランディングやマーケティングなど多岐にわたります。これらの知識・経験を一人で網羅することは難しいからこそ、専門領域に秀でた社内人財やグループ会社、協力会社のメンバーがいるんです。領域ごとの専門家と連携し、知見を取り入れていくことができればIT未経験でも問題ありません。実際に、システム開発の経験が全くない、金融業界の営業や企画経験者が多く活躍しています。

それぞれのメンバーがこれまでに培った専門性を活かし、コラボレーションを経て大きな変化を生み出していく。そのような刺激的な日々のなかで新たな気づき・発見を経て、自分の殻を破っていくことを、井上自身も楽しんでいます。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです