エンジニアとして、どこまでできるか挑戦したい自分がいた

新卒入社時から、OSS(オープンソースソフトウェア)を活用した技術開発を担当してきた梶波。クラウド環境を構築できるOpenStackを実際のプロジェクトに導入するための検証や、NTTデータ社内でのクラウド活用など、OSS・クラウドに関する多様なプロジェクトで活躍していました。
入社当初から、OSSによるクラウド基盤構築の研究開発や、その成果をプロジェクトへ導入する支援などを担当してきました。2010年代は、企業でのクラウド利用が盛り上がり始めた頃。その時期に多様なプロジェクトで幅広く技術検証や課題解決、研究開発に取り組めたことが、OSSをキャリアの軸にしたいと思うようになったきっかけでした。
OSSの技術導入を担当するかたわら、OpenStackのユーザーコミュニティに参加していた梶波は、OSSの機能開発にも参加するなど精力的に活動を続けていました。しかし、コミュニティでの活動とNTTデータでの業務を並行する中で、OSS活動と実務との間に乖離を感じ始めるようになったのです。
コミュニティでは純粋にOSSの機能や安定性の向上を追求できていたのに対し、業務ではOSSをどう活用できるか、企業の課題解決に必要な機能・領域が優先して評価されるポイントでした。OSSを技術的に追求したい私にとって、そのもどかしさが今後のキャリアを考える岐路となりました。
梶波はOSSを中核とした技術的スペシャリストを志向していましたが、当時のNTTデータではそのような道を歩めるキャリアは限られており、エンジニアもマネジメントに進むのが一般的でした。その環境に起因し、エンジニアとしてキャリアを続けることを希望する人財の数も、自然と限られていたのが実態でした。――マネージャになっても、スペシャリストたちを束ねるやりがいのある仕事には恵まれないかもしれない――。その不安がきっかけとなり、梶波はエンジニアとして技術を追求するキャリアを求め、NTTデータの外で新たな道を拓くことを決意しました。
エンジニアとして第一線で活躍できたから、次のやりたいことを見つけられた

OSSを活用したソフトウェア開発をしたいという思いから、梶波はOSSを提供する外資系ソフトウェアベンダーに転職を決めました。当時、OSSの商用開発は海外が盛んで、この外資系ソフトウェアベンダーも積極的に開発への投資やM&Aを実施していたことが決め手になったそうです。
転職先では当初、技術寄りのテクニカルサポートとしてOSS製品のサポートを担当しました。サポートだけではなく積極的に製品の修正・改善に携わり、その後、製品開発エンジニアに異動して機能開発にも携わることができました。
当時の自分を「不良エンジニア」と振り返る梶波は、テクニカルサポートの業務範囲を飛び出し、自分でOSSを修正するなど積極的に活動していました。その行動はとがめられることも無く、むしろ上司や会社からは成果を認められ、自身が目指していたOSS開発の道を切り拓き、開発エンジニアへの異動が叶います。
転職当時はエンジニアとしてやっていけるか不安でしたが、意欲に基づいた積極的な活動が評価されたことで、第一線でやっていけると自信を持つことができました。その一方で、一人で働くことの限界も見えてきました。専門性を組み合わせたチームで、新たな付加価値を生み出せないかを考えるようになりました。
在籍していたベンダーでは世界各国のメンバーとチームを組み働いていたため、当然コミュニケーションはリモート環境下でのみ行います。時差の関係でスムーズな連携が難しかったこともあり、協業体制を組んで新しいことを生み出しづらい状況でした。リモートで働くことの限界を感じた梶波は、対面で働く環境に移ることを考えるように。そのとき、NTTデータ在籍当時に親交のあった管理職社員から声を掛けられました。
テクノロジーという軸を大切にしたかったので、正直、新卒入社時のNTTデータのままだったら再入社という選択はしなかったと思います。しかし、ADP制度が生まれて専門職として採用されるエンジニアが増えていること、取り組みたいクラウドのテーマが社内で立ち上がっていることを聞き、新たな挑戦のチャンスだと感じました。
当時、NTTデータではジョブ型雇用を本格始動し、専門性の高いエンジニアたちが活躍できる組織が整いつつありました。「エンジニアとして技術を突き詰めていきたい」という梶波の希望とNTTデータの変化がマッチングし、梶波はNTTデータへのカムバックを決断します。
プロフェッショナルの掛け算で生まれる付加価値をつくりたい

再入社後は、専門職としてInnovation技術部に配属され、現在はOSSを使ったクラウド基盤のR&Dを担当しています。世の中に出たばかりの技術や製品を検証し、ときにはその技術を使って製品を開発するなど、技術の最先端で活躍している梶波。NTTデータでの成果をOSSへフィードバックすることも増えたそうです。
過去のNTTデータと大きく変わっていたところは、新しい技術の検証や実装がKPIに入ったことです。技術的な成果が評価として認められたのは嬉しいですね。以前のNTTデータには、そのような評価軸はなかったので、スペシャリストとして評価されていると実感しています。
さらに、「過去在籍時は、チームを組むときには得意領域を考慮する前に、人数を揃えることを優先してメンバーを考えていました。それが今はメンバーそれぞれの専門性を見て、どういうシナジーを生み出せるかをまず最初に考えられるようになりました」と、専門性を身につけた今だからこそ気付けたこともあったと話します。
転職前は、NTTデータでは将来的な活躍の可能性が限定されていると思い込んでいました。しかし、戻ってきた今、想像以上に活躍の幅が広いことに気が付けました。多種多様な業界のお客さまに貢献できるだけでなく、社内でOSSに困っているメンバーのサポートなど、自分の専門性を活かした活躍の仕方があると感じています。
今では、同じようにADP制度で採用された技術者を含む、社内のOSS技術者とチームを組んで働く機会も増えてきたそうです。さらに、高い専門性を持ったエンジニアが揃ったチームを増やしたい、自分のできることを増やしたい、と考え、社内で新しいプロジェクトを立ち上げ活動を始めた梶波の努力は実を結びつつあります。
今後は企画と開発の間で、オフラインのチームだからこそ生み出せる価値創造に取り組みたいですね。テクノロジーを軸にしつつも、自分のジョブに固執せず、周囲のロールにも染み出し、自分ならではの価値を発揮したいです。
OSSという技術スキルを軸に、外資系ソフトウェアベンダーで専門性を磨いた梶波。優れたプロフェッショナル人財が活躍できる組織改革を推進してきたNTTデータ。
「人財」の成長と「組織」の変化を掛け合わせ、社会に新たな付加価値を創造する組織として、NTTデータはこれからも進化していきます。