新たな挑戦を続ける中で軸となるのは、「解像度の高い顧客志向」

「自分の興味に応じていろいろなことに挑戦できる」。それが、森口が入社時に抱いたNTTデータの印象であり、入社理由でした。まさにこの言葉を体現するように、森口は定期的に自分のやりたいことを上司に発信し続け、幅広く経験値を積み上げています。現在の部署でも、SaaS型地図情報プラットフォーム「BizXaaS MaP®」を扱い、パッケージ開発や新規導入提案、既存顧客向けの追加開発など広く経験しています。
もともと今のチームには、お客様との関係性をイチから築き、提案から導入まで全ての工程に関わりたくて異動しました。ですが異動後にパッケージの新機能開発の動きもあると知り、そちらにも強く興味を持ちました。自分で企画・開発し、深い理解と思い入れのある状態で、自信を持ってお客様へ提案してみたいと思ったのです。上司に自ら掛け合い、SIの仕事とパッケージ開発の仕事を並行して担当させてもらいました。
パッケージ新機能開発で森口に割り当てられたのは、機能全体を見渡し、開発の進行を司る役割でした。当時まだ知識や経験が足りない森口にとってはキャッチアップしやすいポジションで、経験豊富な先輩や営業担当に助けてもらいながら皆で一緒に作っていけたと話します。
特に印象に残っているのは「見たい情報が検索しにくい」というお客様の声を発端に、「スマホアプリと連携してリアルタイムに地図上で軌跡情報を閲覧できる」機能の開発をしたことです。一見関連性のないような機能に見えますが、「何のための検索か」「それができると何が嬉しいのか」を深掘りしていくと、お客様が業務中、いつどこで何に困っているかが具体的にわかり、本当に提供すべき価値が何かを見いだせたのです。
「お客様の目線で常に物事を考える」ことを自分の軸にしているという森口の姿勢がよく表れているエピソードです。顧客目線を徹底することになったきっかけについても聞くと、SI業務に携わった当初、とあるトライアル案件を担当した際の失敗から学んだのだと話してくれました。
システム本格導入前、トライアルでシステムを利用していただきました。そのときは確かにお客様の心に刺さったと手応えがあったのですが、結果的に本導入には至らなかったことがあります。残念というより驚きが強かったのですが、冷静に考えると、私が「お客様」として意識し価値提供していたのは、「導入を検討するIT部門の方」だけだったと気が付きました。肝心なユーザの方たちと目線が合っておらず、本当に必要な機能を提案できていなかったと大いに反省しました。
その際、上司からもらったのは、「お客様の役に立つことが最重要。お客様の数だけ答えがある。お客様と徹底的に向き合い、検討を重ね、これが“最適解”だと自信を持って言えるまで考え抜くこと」という言葉。これが今の森口の土台となり、徹底した顧客志向の姿勢を作り上げています。
自信が持てるまで、ときに泥臭く顧客と向き合い、最適解を考え抜く

予算内で最適解を導き出し、提案ができれば、これほどお客様にとって嬉しいことはないでしょう。しかし実際は、自分の出した答えが最適解かどうかを答え合わせできる明確な基準はありません。どうすればベストな答えだと言い切れるのでしょうか。
「自信を持って言えるまで」というのは実際、感覚でしかなく、ここまで考えれば完璧と言えるラインはありません。それでもお客様から「このシステム導入は正解だよね」と安心してもらうためには、IT部門、ユーザ、経営層などステークホルダ全員の不安を徹底的に取り除くことが大切だと考えています。
私が実践しているのは、自分がお客様の一員になったつもりで、対象業務をこなす過程まで詳細にヒアリングをすること。さらに、お客様とのコミュニケーションを密にしながら業務理解を深め、その結果を資料に取りまとめて説明する対話の場を必ず設けるようにしています。「業務を深く理解してくれている」と思ってもらってからが、具体的な要件調整のスタートだと考えています。こうすることで「この業務で自分だったら困ること」が、お客様の目線と一致し、お客様の真の課題を捉えることが可能となります。
お客様を深く理解するために、本人が「やりすぎかもしれないが」と添えるくらい、徹底してヒアリングを行った経験も過去にあったと言います。とある会社のシステム要件定義を行ったときは、全国の営業所から責任者を集め、話を聞く場を作ったそうです。
ニーズを掴むためだけでなく、IT部門の方のためにも全国の営業所へのヒアリングが必要と考えました。そのお客様は過去に似たようなシステムを導入したものの、現場で全然使われなかったという苦い経験があり、今回も不安に感じていらっしゃったのです。全国の現場責任者から直接意見を聞き、本当に必要な機能と浸透施策を考えて、これなら大丈夫だとお客様も私も自信が持てる進め方にしようと思いました。
話を聞いていく中で、現場責任者の方々は新システムに対して前のめりではあるものの、営業所独自の運用ルールがある業務に関しては新システムを利用することが難しいのではないかという考えをお持ちだとわかりました。IT部門と現場とで意見が割れている状況です。せっかくシステムを導入するのであれば有効活用していただきたいため、中立な立場だからこそ「本当にお客様のためになる答えは何か」を立ち止まり考えました。
業務の効率化やナレッジの共有、今後のデータ活用の発展を考えると、事業成長という観点で運用ルールそのものの全社的な改善が必要だと考えました。統一できないと言われている業務について、それぞれの現場の独自運用ルールを全てヒアリングし、それらの差異を取りまとめ再度打合せに挑みました。なぜその運用が必要なのか、システムでこういう機能を作った場合は代替案となり得るか、一つずつ丁寧に具体的に会話を進めました。現場もIT部門も納得感を持ってシステムを積極的に利用したくなる落としどころを見つけることが力の見せ所だと感じました。
最終的に、全社共通のルールを作り、システムを利用しないと業務が進められないという制約を設けつつ、一部柔軟に編集して利用できるような機能を提案しました。「慣れるまで大変な部分もあるけれど、トータルで見たら業務が楽になる」「運用を統一することで全社でデータを活用することができ、営業所および会社の成長に寄与できる」と自分自身がお客様側の社員という目線に立っても最適であると信じられる案を、全国の営業所へ向けて地道に説明していきました。
結果、関係者からの理解が得られ、合意に至ったと言います。関係者を適切に巻き込み、それぞれの視点で丁寧に検討を進めたからこそ得られた結果と言えるでしょう。
型にはまらずに、時代に合う価値を提供し続けるためのキャリアを選ぶ

森口は現在アプリケーションスペシャリストとして活躍していますが、直近では、コンサルティング領域にも挑戦したいと上司に伝えているそうです。関係者と対話を重ね、事業成長のための最適解を導き出せた経験が、森口のさらなる挑戦の入口となったようです。
ある程度長い期間お客様と関わって、経営層とも議論を交わしながら、会社の業績アップにも直接寄与できるような提案を、もっと経験してみたいと思いました。より深く踏み込んで課題解決をご支援するために、現場のリアルな目線で考える視点はさらに磨きつつ、事業成長に必要な経営視点でも物事を考えられるように、「顧客志向」で思考する筋肉をもっと鍛えていきたいと思っています。
キャリアについては、コンサルタントに転向するわけではなく、自分なりの選択をしていきたいと、さらに続けます。
アプリケーションスペシャリストは、お客様のニーズをいかに聞き出し、それに合う開発ができるかのスキルが求められます。そこにコンサル的な目線が加われば、より良いものを生み出せるはずです。だから、私がやりたいのはコンサルティングとアプリケーションスペシャリストの二刀流。そっちの方が自分にはしっくりくるんです。併せてマネジメント力も強化していきたいですね。
常にやりたいことが溢れていて、それを着実に実行し力強く前進していく森口の姿は本当にいきいきとして見えます。一体どうやって次々と挑戦したいことを見つけているのでしょうか。
自分の強みを軸として、あれもこれもやってみたいなという想像を日々膨らませています。私の強みは、コミュニケーション力を軸とした、お客様との要件調整や仕様調整力だと感じています。私はいろいろな案件を渡り歩いてきましたが、これまでどの案件でも共通してコミュニケーションに関わる部分で価値を発揮してこられたと思っています。お客様と対等な目線、お客様側の目線、開発者としての自らの目線、この全てから得られた情報を正しく理解し、同じゴールに向かっていくための目的意識を深めていきます。 そしてシステムの完成へと具現化させるところまで含めたものが、コミュニケーション力だと思っています。これからもより研鑽を深めていきたいと思っていますし、 挑戦したいという気持ちを大切にしてくれるこのNTTデータだからこそ、見つけられた強みだと感じています。
最後に森口は、時代の変化に合わせて、その時々求められるものを正確に判断し、価値を提供し続けたいと締めくくりました。強みを生かしながら、柔軟に挑戦を続ける森口。自らの意思と選択で、着実に理想の姿へ近づいていく様子が非常に印象的でした。