グループ全社や経営の意思決定に貢献する財務部のメンバーたち

Q.それぞれの仕事内容は?

私は財務部の決算担当に所属し、NTTデータ全社の決算総括として決算方針の検討から法定開示書類の作成までを担当しています。また、国内で新たにM&Aを実施した際に会計処理をどのように取り込んでいくかという方針の検討なども行っています。

私は財務計画担当の所属でNTTデータ全社の管理会計に携わっています。グループ全体の事業計画を策定した後、それをどのように達成していくか実行管理を行い、その結果を幹部に報告することがチームのミッション。私はチームの中でも事業計画値の作成を主に担当しており、社外に出す業績予想の作成や年間の着地見込み作成に携わっています。

私の所属するFP&A担当の公共・社会基盤分野グループ(公社基グループ)は、NTTデータの公共・社会基盤分野の事業を所管しています。当グループでは担当者ごとに事業本部が割り振られており、私は担当本部の会計相談から決算対応、事業計画や着地見込みの策定、経営戦略の立案といった財務会計から管理会計までを一気通貫で担当しています。また、分野横断の施策として、B/S経営の分野内浸透もメインで担っています。

Q.各チームで注力しているテーマは?

注力しているのは、開示書類などで重要な不備を発生させないこと。その背景として、私たちは毎年同じことを繰り返しているわけではなく、新しい事象が発生した際には迅速にキャッチアップして会計処理を検討しています。例えば、NTTデータが三社体制に移行※した時には内部での情報の処理の仕方や書類の作成方法が大きく変わりました。そのほかにも、近年ではデータセンター事業の情報の取り込み方が毎回特殊で、都度、会計基準を読み解きながら対応に当たっています。
※2023年7月より、NTTデータは持株会社であるNTTデータグループ、国内事業会社であるNTTデータ、海外事業を統括するNTT DATA,Inc.の3社体制に移行しています

データセンター事業は新しく強化しようとしているビジネス領域なので、そのような新たな領域で不備を発生させないというのは、とても難しいことですよね。

はい、そうですね。しかし後工程で不備が判明すると大幅な変更対応が発生するため、事象をなるべく早めにキャッチアップし、多くの関係者と認識合わせをしながら進めることを意識しています。また、一定の報告体制は整っているとはいえ、新しく子会社を増やしたり、事業譲渡を行ったりする際には全体像を把握した上で会計処理に落とし込んでいくこと が求められます。現場からこまめに情報共有を受けていたとしても、想定していなかった事象が起こることは十分にありえるため、思い込みを捨ててフラットに業務へ取り組むことが大切だと考えています。稲葉さんはいかがですか。

私たちは最終的に経営層の意思決定に必要な検討材料を提供しています。浅井さんの話とも共通しますが、私たちの業務においても一番大切なことは正しい情報の提供で、そのために管理会計データのSSoT化・可視化に取り組んでいます。対象がNTTデータ全社ともなれば、そこには多数のシステムがあり、資料のフォーマットもさまざまです。人の手で入力・加工された資料も数多くありますが、人手を介する以上はどうしてもミスが発生することはありますし、資料内の数値も多様化してしまいます。それらを最終的に経営層への報告資料に落とし込むためには管理会計の標準化が欠かせません。

確かに、経営層の意思決定に関わる業務ならではの取り組みですね。

はい。それからもう一つ、意思決定に寄与しうる有用な分析を提供する、という観点から着地見込みの精緻化にも取り組んでいます。普段、私たちは自らの分析結果を持って経営層に報告を行いますが、人間が意思決定を行う以上、人によって意見が分かれることは珍しくありません。その時に客観的な示唆を与えられるかどうかは、とても重要なポイントです。私たちは「時系列予測」と読んでいますが、過去のトレンドも分析に加えながらデータに基づいた予測を行っています。また、できるだけ分析ノウハウを内部化できるように自分たちでBIツールを活用して予測に取り組んでいるのも特徴です。

着地見込みの精緻化には私たちのチームも取り組んでいます。稲葉さんの話と同じく、経営幹部が意思決定する上では客観的な根拠を示す必要があるからです。また別の注力テーマとしては管理会計の高度化があります。NTTデータは全社的にデータセンターなどの新たな事業をはじめとした事業の多角化に取り組んでいますが、その中で固定資産を持って収益を得ていくビジネスも増えています。従来はPL(損益計算書)重視で営業利益に重きを置いていましたが、投資家目線ではキャッシュフローやROIC(投下資本利益率)など、多角的な視点が求められます。そこで公共・社会基盤分野ではB/Sやキャッシュフローも重視し、会社経営の効率を図る指標として分析の高度化に取り組んでいます。

PL経営からアプローチを変えていくのは難しさがあったのではないですか?

その通りですね。もともとPL重視の管理会計にノウハウがあり、相対的にROICやバランスシートを見るノウハウは不足していたため、自己学習や外部研修などで知識を蓄えていきました。まだ形になりきっていないという意味では正解のないチャレンジをしている最中でもあり、皆さんの話にも通じる部分があるなと思いました。
前例のない高難易度の案件を通じ、財務パーソンとしての成長を

Q.印象に残るエピソードは?

私は以前の担当では黒田さんと近いポジションで金融分野の管理会計を見ていたのですが、その時に当初の予想・予測にはなかった実績の数値が発生したことがありました。最初はそれほど大きな金額ではなかったものの、組織値に対してどれだけの影響が出るか、なぜその事象が発生したのかが分からなかったことから解明に当たることに。分析を行うとともに追加の情報収集を行ったところ、稀に発生する特殊な事象であることが分かりました。

私も事業本部を担当しているから分かりますが、数値が変わると組織の事業計画や目標にも影響してしまいます。非常に重い責任がありますよね。

はい。私たちが「財務の専門家」としてある以上、特殊な事象であったとしても、現場の担当者に対して「分からない」という答えはできません。数値が変わるということは、経営幹部の意思決定はもちろん、組織評価などにも影響する可能性を孕んでいます。この時の経験から、経営の意思決定に関わる重要な数字を扱う者としてしっかりと管理会計に向き合わなければいけないという想いを強くしました。

浅井さんが決算担当に異動した後には、それまでの業務との違いは感じましたか?

そうですね。現在の業務に関しては決算期の対応の話になりますが、関係者やグループ会社の多さに今までと違う難しさを感じているところです。連結の処理に入った後で、「決算の数値が間違っていた」という報告をもらうこともあります。多くの情報がある中で重要な影響があるものを取りこぼすことがないように確認が必要だと思えば、事前にこちらから質問に行くこともありますし、関係者にヒアリングをしてキーポイントをあらかじめ押さえておくことも必要です。

確かに、いろいろな人の手を経て財務データは作られますからね。

本当にそうですね。決算担当としては、自分が関係者たちの「ハブ」になるような気持ちで業務に当たっています。稲葉さんは印象に残っている仕事はありますか?

私の場合、NTTグループのグローバル事業統合のタイミングで、担当所属歴が長いメンバーがまとめて異動になった時のことが印象に残っています。私は経験者採用で入社して1年経ったばかりでしたし、他のメンバーも若手であったり別の担当から異動してきた社員であったりと、ノウハウが十分ではない状態でした。そうした中でグローバル事業統合という大きな体制変更に取り組まなければいけなくて、責任重大でしたね。

グローバルの事業統合ということは他ではあまり目にしない事象などもあったのではないでしょうか?

はい。統合費用などの普段はあまり目にしない費用が発生しますし、海外と国内では実行管理方法も異なります。新体制下の実行管理方法を検討するに当たり、従来の実行管理方法についての知識も必要でしたが、異動したメンバーがアドバイスをくれたり、私の上司も応援してくれました。「前例を気にせず、あるべき姿を追求できるチャンスだ」という上司の言葉は心強かったですね。私自身、前職で経理の実務経験もあったので、その時の知見も活かせたと思っています。結果的には専門性の高い知識を身につけることができ、今でも関係する事業戦略室のメンバーから質問を受けることがあります。私自身、勉強になったのはもちろん、自分の強みを得ることにもなりました。


私の場合は官公庁向けの大規模案件の受注獲得に向けて会計論点の整理や案件運用の仕組みづくりを行った経験が印象深いです。社内でも経営層が注目するような大規模な案件だったという点でも印象に残っていますね。

どのような会計論点があったのですか?

昨今の技術の進歩などによってビジネススキームは複雑化する傾向にあります。複雑な取引の実態を契約書と照らし合わせながら読み解き、会計基準的にも誤りのない処理を導き出す難しさがありました。 複雑な会計論点を整理するためには、会計基準や社内の経理規定などに関する高度な理解が求められましたが、私も稲葉さんのように経験者採用で前職でも会計の経験があったとはいえ、初めて触れる内容でした。

黒田さんの前職も多数のグループ会社を抱える大企業ですが、初めて経験するチャレンジだったのですね。どのように壁を乗り越えたのですか?

最初は検討したい事項に対して知識が足りておらず、案件へのキャッチアップが上手くいきませんでした。そこで、自分で学ぶだけでなく、先輩方にもレクチャーをお願いしながら知識を補完していきました。思考するための土台を作っていった、というイメージですね。また会計基準だけにとらわれず、事業計画への影響も踏まえて経営的な視座で納得感のあるスキームを考える必要があり、その両者を充足するために、多岐にわたる関係者との折衝を通じてスキームを固めていきました。経営層に持っていくまでにも財務の他担当や会計士などと何度も議論を重ねました。難易度の高い案件でしたが、結果として私自身の思考の目線が上がり、人脈も広がったことで、財務パーソンとして一つ上のステップへ登れたと感じています。
経験できる事例は多種多様。柔軟にキャリアを歩める環境がある

Q.NTTデータの財務部で働く魅力は?

NTTデータは国内外でさまざまな事業を拡大しており、数百のグループ会社があります。グループの中だけでも複雑な取引が生まれており、財務パーソンとしては幅広い経験が積める環境になっています。これほど多数の事例を経験できる会社はめったにないと思います。

経験できる機会の多さは私も感じています。浅井さんがおっしゃったように、グループの規模が大きく、グローバル事業統合のようなダイナミックな仕事も経験できるのはNTTデータの財務部ならではの魅力です。それに加えて、NTTデータは、若手の頃から「やりたい」と手を挙げたことにはチャンスを与えてくれ、それが難しい内容であったとしてもサポートしてくれる会社です。

私は「経営に関われている実感」を魅力に挙げたいですね。お伝えした通り、公共・社会基盤分野における一つの本部を一人で担当しているので、その本部のCFOになった気持ちで仕事をしています。経営に関わる重要な情報が集まってくる組織ですし、役員への報告も定期的に行っています。まさに経営をサポートする仕事ができていると感じています。

財務部と一言でいっても、いろいろな仕事がありますよね。各担当に専門性があり、それぞれにプロフェッショナリティを持っているのもNTTデータの財務部の特徴だと思います。本人の志向性によりますが、ある分野を突き詰めたい人にとっても良い環境といえそうです。

確かにそうですね。その点、どんなキャリアを歩みたいのか、親身に話を聞いてくれる上司がいるのも魅力です。私自身、上司と話をしながら、この先のキャリアプランが固まってくることもありました。前職と比べても「個人のキャリアを尊重してくれる風土」は強いと思います。

今の稲葉さんの話も、私がこの会社を選んだ理由の一つでした。私は財務パーソンとして5年後、10年後、さらにその先を見据えた時に、こういう経験を積んで・こういうスキルを伸ばしていきたい、という漠然としたビジョンを持ちながら転職活動を行いましたが、NTTデータの財務部でならそれを達成しつつ大きく成長できると思ったのを覚えています。

私も採用面接の際には、自分が今まで何をやってきたということだけでなく、これから何をやっていきたいのか、何を目指したいのかを重点的に聞かれました。そのやりとりも私にとっては好印象でした。
Q.NTTデータのカルチャーは?

稲葉さんと黒田さんは経験者採用での入社ですが、他社での経験のあるお二人から見て、NTTデータのカルチャーはどのように感じていますか?

優秀な人たちが集まっているだけでなく、倫理観の高い人も多く、いつも刺激を受けながら仕事ができています。迷ったことがあればすぐに相談できる相手がいるのは心強いですね。経験者採用で入った当初は特に自分一人でできることには限界もあるので、それをサポートしてくれるチームや上司の存在は本当にありがたかったですね。

私も同感です。それに加えて変化に寛容な風土もあると感じています。事業環境の変化に応じてグループの体制を大きく変えたこともそうですし、先ほどの話のように、「変化への寛容さ」が背景にあるからこそ、個人の意向に応じて柔軟なキャリアを歩めるのだと思います。

黒田さんの話は私にとっても納得感がありました。NTTデータには誠実さと優しさを兼ね揃えた人財が多いと感じています。さらには稲葉さんがおっしゃった寛容な風土もあり、経験者採用で入社される方にとっても力を発揮しやすいのではないでしょうか。

そうですね。ただ、NTTデータの財務部では上流の業務がメインで、今日のお話で出てきたように難易度の高い案件が多数あります。風土面では馴染みやすいといっても、簡単な業務ばかりではないですね。求められるスキルや知識のレベルは高いのですが、その分、何かをやり遂げた時の達成感も大きいので、ビジネスパーソンとして大きく飛躍できることは間違いないと思います。

Q.座談会の感想や気づきは?

NTTデータの財務部門の業務は多岐にわたり、たくさんの方がいるので、普段の業務ではなかなか接点がない人もいます。今日、他の担当の方の話を聞けたのは貴重な機会で多くの発見がありました。

そうですね。今日こうして顔を合わせられたのは本当に良かったと思います。財務部の施策についてトップが語ることはありますが、各担当の人たちから生の声を聞くことができたのは私としても純粋に面白くて、財務部の業務の幅広さを改めて実感しました。

私も同感です。本当に皆さんさまざまな仕事をしているのだなと感じましたが、その一方で、担当が違っても根底には共通している価値観や想いがあるのだと思いました。同じ財務部のメンバーであると認識できたことも私にとっては大きな収穫でした!
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さて、今回の座談会では、グループ全社という対象範囲の広さや経営への貢献といった、NTTデータの財務部ならではの醍醐味や組織の魅力を語ってもらいました。ですが、これだけではまだまだNTTデータの財務部のことは語り尽くせません。続く後編では「グローバル」をテーマにして、別のメンバーにも語ってもらう予定です。ぜひご期待ください!