転職の選択肢は「世界で戦える日本のIT企業」だった
前職ではメーカ系のITベンダに勤務し、流通小売業向けのPOSを中心とした店舗システム開発にエンジニアとして携わっていた田口。担当するPOSシステムの新規サービス立ち上げを仕様責任者として牽引し、サービスリリース後もプロダクト開発/運用責任者のポジションを打診されるなど、会社から大きな期待を寄せられる人財でした。
しかし田口には、そんな順風満帆に見えた未来を自ら振り切ってでも実現したい想いがありました。
自分のキャリアを通して、日本のIT企業を、グローバルで認められるブランドに押し上げたいと考えています。
このような想いを抱いたのは、前職でインドのグルーブ会社研修に参加した際に、現地のメンバーが日本企業のグループ会社で働いていることに、特段誇りを感じていないように感じたことがきっかけでした。自動車産業とは異なり、日本のIT企業はまだまだ世界で存在感を示すことができていないという事実を突きつけられました。
グローバルな環境で働きたいという想いを実現するのであれば、グローバルファームや外資系事業会社等への転職、という道もあったかもしれません。しかし、あくまで田口が実現したいのは、日本のIT企業を世界で認められる企業にすることでした。日本企業に絞って条件に合う転職先を検討した結果、田口が実際に選考に応募したのは、NTTデータ1社だったと言います。
前職の頃から同業者として、NTTデータがM&Aにより海外売上高を拡大するなど、さまざまな活動を通して海外事業に力を注いでいることは知っていました。また前職で関わったNTTデータの社員の働きぶりから海外で戦える力を持つ人達がいることも実感していました。だからこそ目標を実現するケイパビリティを持ち合わせているのは、NTTデータしかないと思ったのです。ここでなら、本気で海外でトップを目指せるだろうと感じました。
田口が応募したポジションは、日本発のグローバルアパレルブランドの海外戦略を支援するプロジェクトに関するもの。サービスを展開するマーケットも、プロジェクトで協業するビジネスパートナーも全てが海外。まさに田口の求めるグローバルな環境が用意されていました。さらに求められていたのはPOSシステムに関するコンサルティングスキルやマネジメント力だったそうで、まさに自分の力が活かせると、背中を押されたそうです。
グローバルアパレルブランドの事業変革を支える「標準化プロジェクト」
田口がビジネスパートナーとして支援するのは、すでに世界中でブランドを展開しているアパレル企業です。情報を中心としたサプライチェーンの抜本的な改革により、グローバルでの安定供給を実現しようと新たな挑戦を続けています。
大きな期待を抱いてNTTデータに参画した田口でしたが、入社早々衝撃的な事実を突き付けられることになります。アサインされる予定だったプロジェクトが白紙になったのです。
最初は驚きましたが、変化のスピードが激しいグローバルビジネス領域では、しばしば発生し得ることだ、と気持ちを切り替えました(笑)。まずはとにかく、自分が活躍できる新たな場を作らなければならないと思い、お客様から相談された課題を切り口に、新規提案を行いました。そこで受注した案件が、今私が担当している業務です。
7月に入社した田口が新しい案件を受注し、プロジェクトをスタートさせたのは10月のことです。顧客理解、業務理解が十分でなかったにも関わらず、周囲の仲間の積極的な協力によって、現場から上がってくる課題、お客様が定義する課題を取りまとめ、適切な提案を行うことができたと、当時を振り返ります。
お客様のなかには100近いシステムが存在しますが、各システム領域が自分のやり方でシステムの開発・運用を行っていたり、各プロダクトやグローバルの各リージョンにローカライズ された開発・運用が乱立したりしていることが以前から課題になっていました。
NTTデータとしてもなかなか着手ができずにいた領域だったのですが、開発・運用の品質のばらつきやガバナンスの効きづらい体制にメスを入れ、これらを高い基準で標準化することは、お客様のグローバルでの成長のためには避けて通れない道だと考えて、ここを切り口に提案をまとめました。
現在は、グローバル組織横断で「運用の標準化」「運用機能の共通化・自動化による業務効率改善」「重大インシデントの管理」を実現する大規模なプロジェクトの弊社支援活動におけるプロジェクトマネージャーとして、このプロジェクトを推進しています。
運用の標準化はPMBOKやITILなどのグローバル基準にただ則ればよいというものではありません。正解がない中で、複数部門の関係者と協議をしながら、お客様のビジネスの理解促進、各システムを開発・運用するITベンダの業務標準との調整、そしてグローバルクライアントの支援を行ってきたNTTデータのプロフェッショナルとしての経験値をすり合わせ、お客様独自のスタンダートを構築していきます。
プロジェクトには国籍や思想、立場も多種多様なバックグラウンドを持つ方が集まるため、仕様のすり合わせは一筋縄にはいきません。それでも、お客様にとって何がベストなのかを議論して、粘り強く標準化を進めていくことで、お客様の実現したい未来へ一歩ずつ近づいていくことを実感していると田口は言います。
「自己実現の追求」と「組織への貢献」は両立できる
現在のプロジェクトでは多数の外国籍のメンバーと関わりがあり、マレーシアやフィリピン等の海外ベンダとの協業も日常的に行われています。ミーティングの公用語は英語となる場面も多いため、グローバルな環境を志向する田口にとっては希望を叶えられた環境とも言えます。しかし一方で「今後、本気で海外へ挑戦するためには自ら変わっていくことが重要」とも語っています。
日本企業が国内マーケットだけを主戦場としていた時代は終わり、グローバルでのビジネスを前提とした事業戦略が当たり前になっている今、お客様が「日本語が通じるから」「日本のビジネスの作法を理解しているから」という理由だけで日本のITベンダを選ぶことは、少なくなってきています。
ですから、このままIT技術でお客様の課題を解決するだけでは不十分だと考えます。必要なのは、ビジネスパートナーとして、顧客の利益をともに追求し、事業にインパクトを与える“プラスアルファの価値”を生み出すことだと思います。ITはその手段の一つだと私は考えています。
私たちは「お客様のビジネスに貢献し、自らグローバルで戦える組織になること」を目標に掲げています。お客様のグローバルへの挑戦をご支援するなかで、自分たちが新しいテクノロジーやサービスを創出する力、グローバルで戦う力を身に付け、グローバルにおけるポジションを確立していくことを目指しています。まさに田口の思い描く未来と一致しているとも言えます。
NTTデータは特定技術のプロフェッショナル、運用のスペシャリストなど各領域でスペシャリストと言える人財が本当に豊富で、会社としてもそのようなスペシャリストを積極的に評価することで、それぞれが持つ専門性を伸び伸びと生かしているように感じます。
これまで名刺や職制上のスペシャリストは存在していても、実際に評価されるのは結局プロジェクトマネージャーだけといった環境を経験してきただけに、NTTデータに転職して、実際にこのような多様なキャリアがあることを知った時は本当に驚きました。安定した事業基盤と顧客基盤、そして高い技術と課題解決のための多様なケイパビリティを兼ね備えるNTTデータでなら、自分の目標の実現と組織への貢献の両立も可能だと確信しています。
世界における日本のIT企業のプレゼンスを高めるー。
田口の壮大な挑戦は、まだ始まったばかりです。