人事制度・育成
高度な専門性と変化への対応力を有するプロフェッショナル人財やグローバルで活躍できる人財の育成に注力し、社員の多様な専門性・志向に応じた学習を推進しているほか、高い専門性に応じた処遇の実現等、社員の自律的な成長を促す制度を整備しています。
多様な専門性を持つ人財の育成
当社の教育・育成の原点は、社員が自発的に目標を持って「学び成長したい」と考えることです。人財育成の基本方針としては、実務教育(OJT)を要に、それを補完するものとして集合・オンライン研修(OFF-JT)を充実させることとしています。
各職場では、育成責任と育成指導の役割分担を明確に定め、社員が自身の年間学習計画を設定する制度を設けることで、職場・社員双方へ組織的に働きかけ、学習意欲を高めています。
教育・育成の考え方
研修体系
当社の研修体系は、専門性を高める「テクニカル系研修」と、ビジネスパーソンとしての能力向上を図る「ビジネス系研修」、グローバル対応力を鍛える「グローバル系研修」があり、社員の役職や業務に応じて必要な研修を適切なタイミングで受講できる環境を整えています。また、すべての社員が業務から離れて一定量の知識やスキルを習得できる体制も整備しています。
「新入社員研修」では、自律した人財に成長していくために必要なマインド・能力の基盤を形成するためのプログラムを実施しています。
研修体系
プロフェッショナルCDPによる人財育成の仕組み
社員が高度な専門性と変化対応力を有するプロフェッショナル人財となることを目的に、当社におけるめざすべき人財像や成長の道筋を示し、その専門性とレベルを認定する制度として「プロフェッショナルCDP(Career Development Program)」を2003年以降、約20年にわたり運用しています。「プロフェッショナルCDP」は、若手社員から役員までの一人ひとりの自律的な成長を支援するもので、「プロがプロを育てる」という思想にもとづき、所属組織のタテの関係性のみでなく、組織を越えた専門性のカテゴリーによるヨコ、ナナメで指導しあう仕組みとして機能しています。2022年度には国内外※で19,400人が新規認定され、延べ106,300人超が当社で認定されています。
プロフェッショナルCDPは、事業環境、テクノロジーの変化に応じて進化を続けています。2019年度には「ビジネスディベロッパ」、「データサイエンティスト」、2020年度にはITスペシャリストの専門分野に「クラウド」を追加、2021年度にはデジタルビジネスを牽引する人財として「デジタルビジネスマネージャ」、エンドユーザー視点で新たな価値を提案する「サービスデザイナ」、プロジェクトマネージャの新たな区分として「アジャイル」を追加、2022年度には「ITサービスマネージャ」に顧客価値向上の観点を追加しています。
- ※国内会社においては、プロフェッショナルCDPの名称で実施。海外会社においてはNTT DATA Learning Certification Institute(NLCI)の名称で同等の内容で実施しており、認定者数等は合算値。
プロフェッショナルCDPの人財タイプ
デジタル対応力強化の取り組み
デジタルビジネスをリードする人財の育成を強化しており、約2カ月間の集中プログラムでデジタルスキルの習得を図る「Digital Boot Camp」、先端領域での業務経験を獲得するための「Digital Acceleration Program」等の育成プログラムを2019年度から開始し、技術者の育成を進めています。2021年度は、当社を代表するトップ技術者が直接指導する「技統本塾」をグループにも展開し、グループ全体でのトップ技術者育成を進めているほか、新たな取り組みとして、注力技術領域(Cloud、D&I、Cyber Security、EAS、ADM)の最先端技術が学べるように、グローバル共通で教育プログラムを集約し、ラーニングパスの整備とプログラム提供を進めています。
加えて、デジタル化によるビジネス及びテクノロジーコンサルティングのニーズ拡大を背景に、Foresight起点のコンサルティング力の強化を目的とした組織変更を行っています。また、2023年7月以降のグループ新体制において、NTTデータグループ社にも、コンサルティング&アセットビジネス変革本部を設置するなど、グローバル連携をさらに強化していきます。現在、国内グループ全体では約2,400人がコンサルタントとして活躍しており、このほかERPや業務AP等の個別ソリューションのコンサルタントは1,000名以上在籍しています。今後は更に、ナレッジ共有や人財育成を進め、質を伴った量の拡大を図ります。また、AWS、Microsoft、Google Cloud等といったパートナー企業との戦略的協業により、デジタル人財育成の連携を強化しており、教育コンテンツをグローバルで活用し、クラウド技術者20,000人以上の育成を実現しています。
Digital Boot Camp
グローバルマーケットで活躍できる人財の育成
海外事業の急速な拡大に伴い、市場や競争環境の変化に応じて柔軟に活躍することのできるグローバル人財を育成するために、主として「グローバルに活躍できる幹部人財の育成」と「日本国内で採用した人財のグローバル化」を軸とした取り組みを実施しています。
グローバルに活躍できる幹部人財の育成として、全世界のグループ会社合同で、次世代を担う経営層を育成するためのGLP(Global Leadership Program)を2009年から実施しています。GLPでは、グローバル/ローカル両面の戦略に対する課題を検討し、その両面からOne NTT DATAを実現するためには何が必要か、何をすべきかを自分ごととして考えることを目的としており、このようなグローバルのプログラムから輩出された卒業生は900人を超えました。(2022年度のGLP新規修了者は31名)。
一方、日本国内で採用した人財に向けては、グローバルビジネスで活躍できる人財の育成を目的としたプログラムを各階層に展開しています。例えば若年層向けには Readiness Driveプログラムを実施しています。このプログラムでは、演習やグループワークを通じて、異文化対応力の強化、自社のグローバルビジネスの理解、英語力の向上を図るとともに、海外企業に対しビジネス提案や、多国籍チームで働く実践トレーニングも行います。また、グローバルな実務経験を有する社員を育成するため、海外案件への派遣を支援するBAA(Business Acceleration Assignments)プログラムや、オンラインで各国の若手社員が学びを共有するコミュニティNINGEN(NTT DATA's International Network of NextGEN)の形成を通じ、社員がグローバル対応力を強化できる多様な「場」を提供しています。
世界50カ国超に広がる社員の多様性と個性とを尊重し合える育成の場を実現することは、当社のダイナミズムそのものであり、より高みのあるビジネスに挑戦する原動力となっています。
【参照ページ】「社員関連データ」
グローバル人財の育成フレーム
また、世界トップクラスの先進技術活用力の獲得をめざし、2022年8月に世界6か国に立ち上げたイノベーションセンタでは、先進技術に対する感度が高いイノベーター顧客と共創R&Dを行い、世界トップクラスの先進技術の活用ノウハウを有したグローバルチームを組成しており、世界各地域でのプロジェクトへの参加・ネットワーク形成を通じて日本国内で採用した人財の育成にもつながっています。
イノベーションセンタ
人事マネジメント制度
当社は、社員の雇用形態にかかわらず、成果・業績・行動を重視した処遇体系を整えています。社員それぞれが期待される「ビジョンの実践」と「プロフェッショナリティの向上」を発揮し、「成果・業績」を上げることを社員の行動スタイルとして定着させています。2022年4月には、新たな人財育成基盤OliveOneを導入し、社員の多様な専門性・志向に応じた幅広いコンテンツの整備、学習の設計と獲得スキルの見える化、コミュニティ学習を通じた共創促進と学びあう風土の醸成を進めていきます。
勤務評定については、一人ひとりが上司と面談をして個人目標を定め、その成果に対する評価を行うほか、多次元的な評価も実施するなど、多様な側面から透明性のある評定が実施されるよう努めています。
また、短期的な業績向上に目標が偏ることがないよう、社員持株会、退職手当、確定拠出年金制度等、中長期的なモチベーションにつながるインセンティブを導入しています。
契約社員についても業務達成度等を報酬に反映させる仕組みを導入しているほか、長期にわたり活躍できる人財と判断した場合は、正社員として採用しています。
自律的なキャリア構築を促進する専門性に応じた多様なキャリアパス
社員の有する多様なスキルの更なる発揮にあたって職務に応じて社員をマッチングさせる仕組みを取り入れることが必要と考えています。このことから、Advanced Professional(ADP)制度を2018年12月に創設し、卓越した知見を持った旬のビジネスを牽引する即戦力人財を外部からも獲得できるようにしました。加えて、2019年10月にはスペシャリストのキャリアパスを実現するTechnical Grade(TG)制度を創設しました。また、2020年7月には社員の多様な強みの発揮による価値創出を最大限に引き出すために、その職務が生み出す価値をベースとしたジョブ型雇用制度であるFlexible Grade(FG)制度を創設し、2022年7月より管理職すべてに適用しました。
社員自身のキャリア像については、従来、直属上司とのコミュニケーションの中ですり合わせを行っていましたが、2023年度は、更なる自律的キャリア構築を促す取り組みとして、従来の取り組みに加え、より上位の上長が社員とキャリア面談を実施し、社員が描く中長期的なキャリアビジョンを把握し、ありたい姿の実現に向けた行動の支援に繋げていきます。初年度の取り組み目標としては、一般社員のキャリア面談実施率75%をめざします。多様な専門性を有する人財が共存し、相互に支え、刺激し合うことで個人の成長、ビジネスの発展を実現するため、タイムリーな制度の推進・拡充に取り組み、多様なスキルやパフォーマンス発揮に対応する「プロフェッショナリティのベストミックス」を実現していきます。