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2019.10.17技術トレンド/展望

海外へのプライベートクラウド展開と得られたノウハウ

NTTデータでは、開発をクラウドで集約する取り組みを行っており、グローバルビジネスの拡大に合わせ、海外での構築、展開も実施している。
ここでは、スペインにクラウド構築した際の経験をもとに海外連携を行う際のノウハウを紹介する。

NTTデータでは、2017年に開発をクラウドに集約するため、統合開発クラウドをリリースしました。
統合開発クラウドは、まずは日本でリリースされましたが、海外への展開が課題でした。
特にヨーロッパ圏はネットワークの遅延により、日本で構築したクラウドが快適に使えるとは言い難い状況にありました。説明会を行っている中で、グループ会社のeverisが興味を持ち、日本の持つIaaS基盤の技術とeverisの持つPaaS技術を組み合わせれば、クラウドのカバー範囲が広くなり面白くなるのでは、という議論から、スペインに構築することになりました。

ここでは、スペインに構築した際の経験をもとに、海外連携を行う際のノウハウをご紹介したいと思います。

1.ハードウェアは現地調達

日本で購入したハードウェアをスペインに輸出するのは簡単ではなく、関税もかかるので、現地購入が基本です。ただし、本プロジェクトでは、日本側ではDELL/EMCの構成で検証をしていましたが、スペインは安いHuaweiのサーバ・ストレージを利用したいと、意見の食い違いが発生しました。
最終的に、DELL/EMCを利用すると日本の設計パラメータがそのまま使え工数が削減できること、トラブルが発生したときに相互にノウハウが共有できることという観点から、ハードウェアを日本側の構成に統一しました。なるべく実績のある構成で実施することが、無用なトラブルを避けることにつながるのでよいでしょう。

2.設計書の英語化

クラウド構築の分担を明確化すると、ハードウェア周りは現地ベンダーで担当、OpenStackからその上は日本で担当、OpenShiftなどのコンテナ基盤はeverisで担当する分担になりました。
日本側の設計書やパラメータシートなどは日本語記載を英語化し、必要な作業の依頼や、設計情報の共有を行う必要があります。パラメータを日本語化する際には、厳密にはマニュアルを調べ日本語名と英語名の対応を取る必要がありますが、効率化のため日本語をそのまま英文化し、不明な部分だけ問い合わせ対応としました。今回、パラメータシートなどは、画面のメニュー順、もしくはマニュアル順で記載していたため、少々の表記の揺れがあっても問題にはなりませんでした。完全に正確な成果物より、双方で意思疎通ができるレベルのものを作成することにより、効率化できます。

3.言語のバリア

日本メンバーは(私を含め)そんなに英語が得意ではない担当者が居たり、スペインメンバーも英語が苦手な人が多かったので、英語とスペイン語をブリッジする担当者をスペイン側で用意し、コミュニケーションの円滑化を測りました。
英語があまり得意でない人にとって、スペイン人は喋る速度が遅く、訛りもきつくないので、はじめての海外出張にお勧めです。余談ですが、喋る速度が速くて訛りが強い英語が一番難しいと感じています(慣れると簡単らしいですが、、、)。

4.スケジュール管理

日本人は、非常に時間に厳しいという印象が外国人にはあります。
スペインでは、ミーティングが時間通りに始まらないことはよくありますが、なめられているとか、いい加減に思われているとことではないので、そういう文化であるという割り切りが重要です。
タスクも、ぎりぎりになるまで進捗が進まないことが多々あります。
ミーティング時間に少し余裕を持たせたり、スケジュールも各タスクが遅延してもよいように余裕を持って管理することが重要です。

以上、海外にクラウド展開したノウハウをもとに、海外の拠点・会社とコラボレーションするコツをご紹介させていただきました。
今回、スペインに構築したクラウドですが、その後、ヨーロッパ各国(ドイツ、イタリア)から使われたり、日本のパッケージや技術を欧州に展開する際のPoC環境として利用されたりしています。
また、NTTデータのアジャイル開発の方法論・ツールセットのブランドのAltemistaと協力して海外での利用の拡大を進めています。

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