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2025.1.8技術トレンド/展望

現場へのAI適用の鍵となる「エッジAI」

クラウド側でなく、作業者やデータの発生源に近い場所(エッジ側)のデバイス上でAIのデータ処理を行う「エッジAI」が注目を集めている。従来エッジコンピューティングと呼ばれていたケースも多いが、エッジデバイスの処理能力向上に伴い、現場での複雑なAI処理が可能となってきている。本記事では、エッジAIが注目される背景や、技術的な課題、事例などについて簡単に紹介する。
目次

1.エッジAIとは

画像分析や自然言語処理などの精度を格段に向上させたAI技術の進化により、製造、医療、物流・交通、金融や公共といった様々な業界・分野の業務において活用が進んでいます。その中で、現在使われているAIは、学習処理と推論処理を、豊富なコンピューティングリソースを有するクラウド側やデータセンタ側で処理するケースがほとんどです。
一方、エッジAIとは、クラウド側でAIの推論処理を行うのではなく、生産現場や販売現場に近いエッジデバイスでAI推論処理を実行することを指します。クラウド上に比べて、リソースが限られているエッジデバイスで動作させるため、機能や精度などの面での制約はつくものの、エッジデバイスの性能向上により、業務の適用範囲が広がりつつあります。
推論処理を現場のエッジデバイス上で実行するエッジAIには、以下のようなメリットがあります。

  • (1)現場でのAI推論処理により、リアルタイムな意思決定支援を提供できる
  • (2)データ転送を伴わないデバイス内の処理によりプライバシーやセキュリティ確保ができる
  • (3)通信量・通信コストを減らすことができる

2.エッジAIの利用シーン

エッジAIが注目されている背景としては、工場、倉庫や工事現場における人手不足、現場業務の低い生産性、コンプライアンス対応や安全管理対応の高度化など、多岐にわたる経営課題があります。これらの課題解決につながるエッジAIの利用シーンとして、工場、倉庫、プラント、工事現場などにおける代表的な例を紹介します。

スマート工場

製造業では、AIやIoT技術によって工場の生産データの可視化や分析、自動化による生産性向上を図るスマート工場が注目を集めています。現場でのAI処理によるリアルタイム性の確保や重要な生産データを保護する観点でもエッジAIは重要な技術となっています。
工場やプラントにおいてエッジAIを導入することで、PLCなどの機械の稼働状況や異常検知のためにセンサーを追加し、エッジデバイスで収集・データ分析することができるようになります。これにより、予兆保全を通じたダウンタイムの極小化と生産性向上、さらにはカメラを使った製品や部品の外観検査を行い、不良品の自動検出や品質向上が実現できます。
NTT DATAでは、以下の図のように、スマート工場を実現するためのデータ収集・分析、AI推論の実行、バックオフィスとITシステムのデータ連携といった一連の機能を組み込んだエッジAIソリューションを、製造業のお客様向けに展開しています。

スマート工場を実現するためのエッジAIソリューションの流れ

労働安全・セーフティ

工場、建設現場やプラントにおいて、カメラを使って危険箇所への侵入を検知し、リアルタイムにアラートを現場監督員に通知したり、作業者がヘルメットやゴーグルなど安全管理上必要な措置を施しているかモニタリングしたりするなど、作業者の安全管理を向上させることができます。
また、駅、飛行場や港湾などのインフラ施設において、監視カメラの画像を現場で解析することによる不審者の検出や異常の検出、即時アラートによる施設の安全性向上が実現できます。

スマート工場を実現するためのエッジAIソリューションの流れ(労働安全・セーフティ観点)

インベントリ管理・アセット管理

現場にある道具、物品や資材の所在をリアルタイムに把握することで、必要な道具や資材がないことによる業務停滞を避け、生産性を向上させることができます。

3.NTT DATAの取り組み

今まで述べてきたようにエッジAIは、今後製造業を中心に導入が期待されており、NTT DATAでは簡単にエッジAIの導入や普及が図れるようにするためのサービスを提供しております。

  • グローバルのマネージド・サービス:グローバルの監視センタから、エッジデバイスの状態、セキュリティ状況や故障・不具合の状況をモニタリング対処するためのマネージド・サービスを提供しています。これにより、多数拠点に展開したエッジデバイスの管理業務から開放されます。
  • エッジAIの現場展開:エッジデバイスへのAIアプリケーション配信・更新機能を備えているため、常に最新のエッジAIアプリケーションを利用できます。
  • コネクティビティの提供:モバイル通信モジュールとエッジデバイスを組み合わせることで、国内や海外でもエッジデバイスの状態監視やAIアプリケーション配信が可能となり、グローバルレベルでのエッジAI展開を容易にします。

4.最後に

エッジで低消費電力かつ大規模なAIモデルが処理できるAIチップ開発が進んでおり、エッジで今よりもっと複雑なAI推論処理ができるようになると考えられています。エッジAIはまだ新しい分野であり、新しいユースケースの確立が期待されています。その確立には様々な業種の企業とのコラボレーションが不可欠になるため、エッジAIの取り組みに関心ございましたらぜひご連絡をお願いします。

エッジAIの容易な導入を実現する「Edge AI Platform」サービスを提供についてはこちら:
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2024/110103/

生成AI(Generative AI)の詳細はこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/services/generative-ai/

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