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2025.3.5業界トレンド/展望

ビジネスアジリティの再定義:AIエージェントが労働力に!

サプライチェーンのオペレーションから営業ワークフローまで、あらゆる領域に変革をもたらす自律型AIエージェントは業界とビジネスのあり方を再定義しようとしている。

※本記事は、Custom Content from WSJによる英語記事を日本語訳し転載したものです。
目次

AIが命令に従うのではなく、AIが主導する世界を想像してみてください。コンテキストを理解し、結果を学習して、AI自ら戦略的意思決定をくだす世界。どこか遠い未来のことではありません。今現在、起きていることです。企業は大胆かつ新しい変革の時代に足を踏み入れています。自動化が単なるツールに終わらず、私たちの考え方、働き方、イノベーションの起こし方までを一新しようとしています。自律的に業務を遂行するAIエージェントは、卓越したビジネスアジリティを実現する鍵となるのです。

「これは画期的です。単にこれまで機械がやってくれていたことの延長線ではありません。革命的な新しい可能性への入り口です」と、本橋賢二(NTTデータグループ Generative AI 推進室 室長)は語っています。そして近い将来、オフィスや工場は、生成AIを活用し、高度化されたワークフローを起用するだろうと述べました。

NTT DATAは、顧客と協業して、複数階層からなる複雑なワークフロー、さらにその改善までを視野に入れて、自律型エージェントの提供を開始しました。ジャストインタイムの生産方式を実践する世界的な自動車メーカーにとって、自律型エージェントは変革的なソリューションとなります。「自律型エージェントはリアルタイムに不具合を検知し、費用を考慮した修正策の検証・実行、また過去の実績からの学習も可能です」とNTT DATA SpainのEdmon Tutusaus(Partner for automotive projects, NTT DATA Spain)は語っています。「この結果、私たちは在庫を15%まで削減し、サービスを23%向上できました。その間、人間による監視を一般的な管理監督のみに留めることができました」

SmartAgent™で営業を効率化

AIエージェント同士が連携して業務を実施するSmartAgent™(※)は営業領域に変革をもたらしています。「営業担当者が商談などのコア業務にかけられる時間は全体のわずか30%、残りの70%は付随業務に費やしています。しかし、私たちの予測では、この付随業務を20%程度まで削減することが可能です」と、奥田良治(テクノロジーコンサルティング&ソリューション事業推進部 GenAIビジネス推進室長)は述べています。

(※)

SmartAgentとは、利用者の指示に応じて、AIエージェントが自律的に対象業務のタスクを抽出・整理・実行し、新たな労働力を提供するというNTT DATAの生成AI活用コンセプトです

この実現に向けて、NTT DATAは顧客とともに、ワークフローのマッピング、営業およびマーケティングプロセスの特定、データの取り込み、堅固なガバナンスの確立、生成AIを活用するための社員教育を実施しました。あるユースケースでは、最初のステップに2カ月、その後さらに4カ月をかけて、NTT DATAが事前の定義に基づいて構築したAIエージェントを調整し、既存のワークフローを模倣するようにしました。
成功させるには、このAIエージェントたちが、優秀な従業員たちの行動を手本にしなければなりません。しかし、そのノウハウはどのマニュアルにもない暗黙知で構成されています。自動化を警戒する人間たちは、経験から得た知識や技術を明かすことに抵抗を感じることはないのでしょうか。

それについて奥田は、雑務から解放されるというメリットがあれば、従業員たちの協力を得られると主張し、「適切な意思決定には、やはり人間の関与が必要です。AIによる処理を監督し判断する能力は、未来のプロフェッショナルたちに重要なスキルとなります」と述べています。

データを活用した顧客との対話へ

住友生命は、NTT DATAのSmartAgent™コンセプトを試験的に導入し、パーソナライズされたコミュニケーションの展開を検討しました。この実証実験では、AIエージェントが顧客ひとりひとりに合わせた電子メールを自律的に作成し、人間のレビュー後に、顧客へ送信しています。SmartAgent™のコンセプトは「プロセス全体を一気通貫で包括的に支援する真のパートナーをめざした設計」だと奥田氏は語っています。

ターゲットマーケティングの再構築

日本を代表するエネルギー企業である東京ガスは、顧客エンゲージメントのため、長年データ主導型戦略を採用してきました。同社はNTT DATAとパートナーシップを組み、顧客エンゲージメントの重要なステップをサポートする最新の生成AIシステムを開発しました。 対象商品などの基本情報をAIツールに入力することで、マーケティングチームは、セグメント毎に最適なソリューションを生成し、ターゲット設定から戦略提案までを効率化することができます。これらのインサイトから、東京ガスのマーケティング担当者は顧客データをセグメント化し、重要な属性やペインポイントの仮説を立て、パーソナライズされた働きかけが可能になります。

自動車業界の変革を加速

自動車業界は、開発サイクルの短縮、新興企業の進出への対策、収益源の最新化という課題を抱え、強いプレッシャーにさらされています。Cornelius Walter(CTO, Automotive and Head of Gen AI@Auto, NTT DATA)は、このような状況こそSmartAgentの導入に適していると述べています。

NTT DATAのAutomotive Gen AIチームは直近1年をかけて、この技術の真の可能性を明らかにしようと、自動車のバリューチェーン全体にわたる大規模な試験を実施してきました。「この1年間で、私たちは顧客の優先順位が明らかに変化しているのを目の当たりにしました。企業は、個別のPoCから、より広範な領域全体の変革へ移行しています。今、顧客から尋ねられるのは、”全領域に対してどのように取り組むべきか、プロセス全域をどのように改修すべきか”ということです」とWalterは述べています。

この変革には2つの主要なテーマがあります。第一に、開発速度・アジャイル・効率性の向上を狙った車両開発プロセスの刷新。第二に、膨大なデータを実用的なインサイトに変換し、カスタマーエクスペリエンス向上とブランドポジショニング強化を実現するプラットフォームとSmartAgentエコシステムの構築です。

ChinaのMegan Wang(Vice President of Digital Marketing, NTT DATA China)は、「自動車業界には豊富な顧客データがあります。しかし、そのデータを実効性のある成果に変えるにあたっては、課題があります。自動車メーカーの多くが、生データから顧客エンゲージメントとロイヤルティーの構築に有用なインサイトを生成することに苦心しています。このデータからインサイトへの変換を支援するため、私たちは、世界的な高級車メーカー向けのプラットフォーム、“Voice of the Customer(VoC)”と呼ばれる消費者データ管理と戦略的実装を監督するエコシステムを開発しました」と詳細を語りました。

VoCによる顧客エンゲージメントの変革

ある高級車メーカーが、熾烈な競争市場における顧客センチメントの理解とエンゲージメント戦略の策定という課題を抱えていました。この課題に対応するため、NTT DATA Chinaは、Megan Wang(Vice President of Digital Marketing, NTT DATA China)主導のもと、SmartAgent技術を活用した独自のVoice of the Customer(VoC)エコシステムを実装しました。
「当社のVoCシステムは、タスクの割り当て、解決策の追跡、地域横断的な改善の確立といったクローズドループを作り出しています。この積極的なアプローチによって、企業はさらにパーソナライズされたインパクトある顧客体験を提供できるようになります」とWangは述べています。

Smart Agent Accelerator Hub:AIエージェントによるイノベーションの加速

Walterは、「今年、私たちはさまざまなクライアントに対し、同様の課題解決を繰り返しおこなってきました」と述べています。効率性と拡張性を上げるために、NTT DATAは自動車業界向けに一元化されたリポジトリであるSmart Agent Accelerator Hubを作成しています。このHubには、自動車に特化したAIエージェント、データモデル、LLMおよびSLMなどのアクセラレーター、プロトタイプ、機能的な業界ナレッジを含む包括的なライブラリが含まれています。「これらのリソースをプラグ・アンド・プレイの方法で活用することで、今後のプロジェクト開発と展開を効率化し、より迅速に、よりインパクトの大きいソリューションをクライアントに提供できるようになります」とWalterは語っています。

企業は、今後さらにビジネスと組織全体を視野に入れた改革を優先し、この新しい変革の時代を受け入れていくでしょう。NTT DATAは専門知識を活かして包括的な生成AIプログラムを構築し、再利用可能でスケーラブルなソリューションを開発することで、企業がより精度の高いイノベーションを実現するよう支援していきます。Walterは「来年の重点テーマである“スピードと効率”について、私たちにはこれまでの実績があります。有意義な価値を提供しながら、お客さまの変革を加速させることができるでしょう」と展望を語りました。

  • 「SmartAgent」は日本国内における株式会社NTTデータグループの商標です。
  • NTTデータの生成AIに関してはこちら:
    https://www.nttdata.com/jp/ja/services/generative-ai/

    WSJ連載記事 第一弾「CEOが見る生成AIインパクト」についてはこちら:
    https://www.nttdata.com/global/ja/about-us/socialactivity/world-economic-forum/the-gen-ai-advantage/

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