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2025.2.12業界トレンド/展望

NTTデータの“攻めの業務効率化”1+4事例

~人手不足を価値創造のチャンスに~

多くの企業が取り組む業務効率化だが、市場環境の変化を背景に、その目的にも大きな変化が生まれている。これまでは業務量やコストの削減という、いわゆる“守りの業務効率化”が中心だった。しかし今は、ビジネスモデルの抜本的な変革や顧客体験の向上を通じた価値向上をめざす“攻めの業務効率化”が求められるようになっている。その実現の鍵を握るのが「データ活用」だ。業務プロセスをデジタル化によって効率化すると、さまざまなデータが従来以上に取得できるようになり、経営判断に生かせるようになる。
アジャイルな進め方、先進技術の活用、フィジカル領域への広がりなど、多様な業務効率化事例を紐解きながら、これからの業務効率化のあり方をご紹介しよう。
目次

企業の重要な経営課題となる業務効率化

ニーズが多様化し、市場環境が加速的に変化する中で、多くの企業がスピーディーな意思決定の実現、技術革新、サービス開発、職場環境の変革を求めています。一方、それらを実現するためのリソースに目を向けると、少子高齢化による人手不足や人件費の上昇という問題が見えてきます。この状況を乗り越え経営目標を達成するために、業務効率化が重要な経営課題となっています。

業務効率化とは

業務効率化とは、業務プロセスにおけるロスを可能な限り排除し、支出を減らすことで利益を最大化する“コスト削減”を意味することが多いですが、それだけでは企業は変化への対応と、持続的な成長を実現できません。コスト削減とともに、人材や設備、ノウハウという経営資源を効率的に活用し、新たな価値創造、売上拡大へと結びつける「攻めの業務効率化」が、これからのあるべき姿と言えるでしょう。

業務効率化のメリット・生み出される価値

業務効率化によって生み出すことができる価値とはなにか、まずは見ていきましょう。

業務効率化が生み出す価値

・生産性向上業務効率化によってコストや稼働を削減することで、人材や設備など価値ある経営資源をより生産性の高い業務に振り分けることができます。加えて、社内活動の推進や社員育成などにより、生産性がさらに向上します。

・働き方改革業務効率化のための自動化やシステム化は、業務量を削減し、働く場所の制限も減らします。これにより、残業削減やフレックスタイム制の導入など多様な働き方の実現につながります。

・事業スピードの加速、競合サービスに対しての競争力強化業務効率化による事業の加速化は、市場環境の変化への対応力を高め、顧客のニーズを汲み取った新たなサービスをスピーディーに提供することにつながります。またサプライチェーンにおけるコスト削減は、商品やサービス価格の適正化も実現します。

・CX向上顧客のニーズに応えるスピーディーなサービス提供のサイクルを実現することで、顧客はサービスを長く利用し続ける意向を持ちやすくなります。

・EX向上働き方改革によって、プライベートと仕事を両立させながら働きやすくなるほか、仕事内容を生産性の高い業務へと集中させることで、やりがいが向上します。また、お客さまに喜んでもらえるサービスを提供できていると従業員自身が感じることは、もっとお客さまに喜んでもらいたいというモチベーションアップにもつながるでしょう。

攻めの業務効率化の鍵を握る「データ活用」

業務効率化で得られるメリットを最大化するうえで重要となるのが「データ活用」です。

企業ではこれまでも、RPA活用やプロセス自動化といったIT投資をしながら業務効率化に取り組んできました。しかし、データ活用が不十分なため、改善効果や新たなボトルネックがないかなどが不明瞭で、費用対効果を掴みきれないことも多くありました。また、業務自体が複数の部門や担当者で行われる場合、業務プロセス全体の抜本的な変革を進めることも難しい状況でした。

こうした課題は、実際の調査データでも明らかとなっています。「DX動向2024」(独立行政法人情報処理推進機構)では、項目ごとのDXの取り組み割合と、その成果の割合との関係を分析。「アナログ・物理データのデジタル化」や「組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化」といった“デジタル化”を目的とした取り組みでは成果の割合が高くなる一方で、「顧客起点の価値創出によるビジネスモデルの根本的な変革」「新規製品・サービスの創出」など競争力強化につながる成果の割合は低く、成果創出の難しさが表れています。

DXの取り組み項目ごとの取り組み割合と、成果割合の関係(独立行政法人 情報処理推進機構「DX動向2024」(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/eid2eo0000002cs5-att/dx-trend-2024.pdf)を元に作図)

こうした課題を解決し、「攻めの業務効率化」を実現するために重要なのがデータ活用です。

データを活用すると、改善効果の可視化はもちろん、たとえば業務プロセスごとの所用時間を可視化することでプロセス改善に生かせたり、複数部門や担当者にまたがる業務プロセス全体の課題を可視化し変革したりできるようになります。

NTTデータ自身も、6年前から全社を挙げたオペレーション業務の変革に取り組んでいます。

オペレーションの強靭化に取り組むNTTデータ その方法は?

ここからは、攻めの業務効率化をどのように進めていくのがよいのか、NTTデータ自身が進める業務プロセスの変革事例をご紹介します。

NTTデータでは、2018年から社員数万人を対象とした業務プロセス変革に取り組んでいます。事業計画から収支管理に至るまでの業務を刷新することでデータ活用を推進し、事業成長の土台となる“オペレーションの強靭化”を図り、またデータドリブン経営を実現することをめざしています。

課題となっていたのは、業務プロセスとデータの分断です。たとえば各事業部門が策定した事業計画のデータが財務部門のデータに即時に反映されず、事業に関する資産の動きを財務部門がリアルタイム管理できていませんでした。その大きな原因は、各事業部門と財務部門で管理するデータがサイロ化されていたことです。

このように事業のさまざまな業務プロセスにおいて、管理データの迅速な共有、それに基づく判断が妨げられていたことで「事業計画策定・実行管理」「各プロジェクトに関する意思決定」「会社の資産などのリソース管理」をスピーディーかつ一気通貫に進められませんでした。

また、関連組織ごとに業務プロセスが独立していたため、一度入力した情報を別システムで再度入力しなければならなかったり、一つの業務の中で同じ手続きが重複していたりするケースも多く、余計な時間と労力をかけていることも課題でした。

NTTデータが取り組んだ業務効率化の全体フロー

業務プロセス変革の基本方針は「Fit to Standard」

そこでめざしたのが、複雑な業務プロセス全体のシンプル化・自動化を図るべく、一度入力したデータや取得したデータの徹底的な利活用を実現することです。その基本方針の一つが「Fit to Standard」。新たに導入するServiceNowやSAPといったグローバルスタンダードなソリューションの考え方に業務プロセスを合わせる方針の下、全社的なBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を実施しました。

BPRで重視したのは業務プロセスの標準化と集約化です。各業務、各組織で個別最適化されていた業務プロセスを標準化したうえでデジタル化、自動化する。また、システムで対応できない部分は集約化しBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)化していく。この2つを両輪で実施していくことが重要です。

業務の標準化においては、事業環境の変化により形骸化したり不要になったりした業務フローや、新たに必要になっている手続きを洗い出して統廃合したり、データ連携により同じ情報の重複入力も排除していきました。
具体的なプロセスを例に見ていきましょう。たとえば、これまでは物品購入をする際、購入主体の組織での意思決定プロセスと、購買処理の事務処理プロセス、事業計画報告のプロセスが分断していました。そこで分断していたプロセス間でデータ連携ができるようプロセス全体を見直し、意思決定以降の事務処理、事業計画プロセスを自動化することで大幅な業務削減を実施できました。

事業計画、意思決定、事務処理の各プロセスを連携させたフロー

業務の集約化も進めています。これまでは同一組織内でも、業務プロセスごとにさまざまな委託先があったり、類似業務でも組織ごとに別の委託先がいたりする非効率な状況でした。将来的には、事業部という組織の枠組みを超えて、類似する業務プロセスを標準化して同じ委託先にBPOの一元化をすることで会社全体の生産性向上をめざしています。

サービスを開始してからが本番

2024年5月には、NTTデータ(国内事業会社)において新たな基幹システムを導入し、新しい業務プロセスでのオペレーションがスタートしました。

その後半年以上が経過し、現場の業務担当者とのやり取りや改善要望などはまだ多いものの、新しい業務プロセスが徐々に浸透しています。今後NTTデータ内での完全な定着を図るとともに、2026年には国内グループ会社70社への展開をめざしています。

データドリブン経営実現に向けたデータ活用の推進も進めています。たとえば従来、実績系データのみでしかモニタリングできなかった不採算案件の兆候を、計画系データなどその他の社内データともひもづけて精緻に検知し、さらなる不採算案件の抑制をはかることが可能になる見込みです。

大規模な業務プロセス変革に欠かせない「現場起点での改善」

成果とともに、業務効率化を進めるうえでの課題も見えてきています。たとえば業務プロセス変革を大規模に進めていく場合、現場ではさまざまな混乱が生じます。業務プロセスを標準化することによる“しわ寄せ”が顕在化し、意図とは裏腹に業務負荷が上がってしまう場合もあるのです。全体最適を意識しながら現実的な改善方法も検証していくことが重要です。
場合によっては、業務プロセスの見直しを一部の組織から実施し、成功事例を横や縦に広げていく段階的な進め方も必要になるでしょう。

NTTデータでは自社での取り組みノウハウも活用しながら、お客さまの支援につなげています。ここからは、お客さまと取り組む業務効率化事例を4つご紹介します。

業務効率化 事例①アジャイルで始める全社的な業務効率化

【事例①図】施策実施の可否をアジャイル方式で判断していくフロー

課題:多様な業務プロセスの混在

複数の企業が経営統合したことにより組織が拡大したA社では、各社由来の多様な業務プロセスが混在し、大きな課題となっていました。NTTデータでは、まず業務プロセスの可視化に着手。業務プロセスの統合と刷新をアジャイル的にくり返しながら、継続的な支援を続け、全社的な業務効率化をサポートしています。

支援のポイント:全体最適の視点とアジャイル

多様なプロセスの混在で対応に苦労する現場担当者の声を聞くと、目に見える課題から解決したくなるものです。しかし重要なのは、全体最適の視点で解決策を探っていくこと。たとえば、「業務ごとにRPA(作業の自動化)を導入するより、業務プロセス自体の見直しや、ワークフローで解決する方が全体最適が図れる」という俯瞰した目線での判断が欠かせません。

全体最適の視点で方針を定めたうえで、経営方針や事業の重点領域の変化にも合わせながら、一度導入した業務プロセスを見直していくことも重要です。データ活用を前提とした業務プロセスの整備が進むと、オペレーションに関するデータをつぶさに取得・分析できるようになります。たとえば、ワークフロー化が進むと、これまでお客さまからの問い合わせをメールで受け付け、担当者が管理簿に記入し、さらに別の担当者が順番に回答していく、という一連の作業がデジタル化され、誰が、どこに、どのくらいの時間をかけているかを数値で把握できるようになります。こうしたデータから解決すべき課題を明らかにすることで、より組織的な業務効率化へとつなげることができるのです。

A社の支援においては、日々の業務で生まれる課題を常に受け止めながら、小さな単位でスピーディーに改善サイクルを回し、現実的かつ段階的に業務の効率化を行っています(事例①図参照)。

成果と今後の展開:業務の90%以上でプロセス改善を達成

A社では、プロジェクトを開始してからの半年間で、対象の90%以上の業務でプロセス改善を実現しました。現場の担当者が自らの業務プロセスを見直し工夫するようになるなど、副次的な効果も見られています。

経営層を含む社内全体に成果を伝え理解を促すことで、活動は進みやすくなります。現場の意識変革をさらなる推進の原動力としながら進めるA社の業務効率化に、NTTデータは今後も伴走していきます。

業務効率化 事例②事業成長を支え、牽引する“攻めのBPO”

【事例②図】「事務(BPO)」「システム」両面からのBPR

課題:事務業務の肥大化

保険会社のB社やC社では、お客さまニーズの多様化に応えるために商品開発が加速し、保険契約の件数が増加の一途を辿っています。それに伴い、新規契約、契約情報の変更手続き、保険金・給付金の支払いという一連の事務業務が増大。業務効率化や人材確保を目的に、2018年からNTTデータへ事務業務をアウトソーシングしています。

支援のポイント:柔軟な体制と多面的なBPR

NTTデータは2007年から保険業界のお客さまを対象としたBPOの提供を開始。当初は単一のデータ入力業務など単純な業務を対象としていましたが、2016年からは保険商品の知識に基づく判断が必要な基幹業務も担っています。保険業界のオペレーション経験が豊富なメンバーが揃っているため、プロセス改善案も精度が高いとお客さまからも好評です。

B社やC社のプロジェクトでは、BPOの目的整理から実施計画、投資回収計画の策定に関するコンサルティングからNTTデータが支援。BPO開始後は最適な運営体制の構築やBPRに取り組み、徹底的な業務効率化を図っています。

・運営体制の構築
保険会社の事務業務は、時期や時間帯によってボリュームが変わるため、人材配置を柔軟にコントロールできる体制が必要です。そこで、首都圏と比べて事務スタッフを採用しやすかったり、子育て世帯が多く柔軟な働き方へのニーズが高かったりする地方都市にBPOセンターを構えました。そしてデータを活用して時期や曜日、時間帯ごとに必要な要員数やスキルを細かに分析しながら、スタッフ一人ひとりのスキルや生産性もデータにより可視化することで、時間単位で人材を最適に配置し、コストを抑制しています。新商品の発売時期や、コロナ禍など支払いが急増する外部環境の変化にも柔軟に対応可能な体制です。

・先進技術も活用し、事務、システム両面から継続的にBPR
NTTデータでは保険会社へ事務業務のBPOを提供するだけでなく、事務業務の中核を担う契約管理システムの開発・保守も実施しています。
事業拡大に伴い増大し続ける事務業務量。経営目標達成のためにはBPRによる業務効率化も欠かせません。NTTデータでは業務、システム双方を熟知している強みを生かし、両面からのBPRを継続して実施しています。生成AIをはじめとする先進技術の導入も進めており、成長する生命保険会社を積極的に支えています。(事例②図参照)。

成果と今後の展開:業界横断的な共通システムを見据えて

BPOセンター開設時は10名規模でしたが、現在ではトータル200名を超えるスタッフが従事。増大し続ける業務量を柔軟な運営体制によって担っています。継続的なBPRにより、生産性も最大で5%向上しています。
さらに、BPOで事務業務をアウトソースできたことで、B社やC社の社員はより事業成長に寄与する業務へ従事することが可能になりました。
今後は、非競争領域と呼ばれる商品の事務やオペレーションを業界横断で共通化する未来も見据え、サービス基盤の構築に向けた模索を始めています。

業務効率化 事例③あらゆる従業員に業務のベストプラクティスをもたらす「デジタル従業員」

【事例③図】人からの依頼を受けてデジタル従業員がタスクを実行

課題:不足する人的リソースと個別最適な業務効率化

保険業界は人的リソース確保の厳しさに直面する業種の一つです。ライフスタイルの多様化や資産形成ニーズの高まりで保険商品は複雑化し、保険会社での事務手続きの負担が増大する中、若手社員の離職やベテラン社員の自然減といった課題が突きつけられています。

しかし、業務効率化の取り組みが部署ごとの個別最適になっていたり、事務手続きに複数システムを使わなければならなかったりするケースでは成果を上げづらく、業務プロセス全体での最適化が重要なポイントとなっています。

支援のポイントと成果:生成AI、および関連システムで稼働する各種ツールをオーケストレーションし、一連の業務をAIが遂行

業務プロセスの全体最適を図る一つの手段が「デジタル従業員」です。生成AIに業務知識を学ばせ、生成AI、および関連システムで稼働する各種ツールを自律的にオーケストレーション(指揮)できるようにしたもので、人とのやり取りを通じてより複雑な業務に対応します。

保険会社のC社では、C社が提供する健康増進アプリへの加入促進施策にデジタル従業員を活用した実証実験を実施しました。本施策は、健康診断データベース(Health Data Bank®)から生成AIが顧客一人ひとりの健康診断結果や嗜好性を踏まえてパーソナライズした案内文案を作成し、アプリへの加入を促進するメールを送信するというものです。この一連の業務を、デジタル従業員が生成AIによる本文作成、メールサービスなどをオーケストレーションして一気通貫で実行しました(事例③図のイメージを参照)。

検証では、デジタル従業員が営業職員に代わって違和感のないメール文案を作成し、パーソナライズメールの文案作成にかかる時間を大幅に削減できることが確認できています。アプリ加入後のフォローアップなどで、パーソナライズメールを活用しユーザーの行動変容を促していくことにも応用できると考えています。

今後の展開:他業界からも注目を集める「デジタル従業員」

デジタル従業員を活用することで、経験が浅い従業員が、ベテラン従業員の高度な知識やノウハウを活用して業務に対応できるようになります。保険会社と同様に事務業務の効率化が課題となっているクレジットカード会社をはじめ、金融、広告代理店、流通など他業種からも注目が集まっています。

業務効率化 事例④ロボットを活用したデータセンターでの設備管理業務の遠隔化

【事例④図】ロボットとシステムの連携が実現するとさらなる効率化が期待できる

課題:テレワークができない現場業務の人材不足

現地・現場でしかできない業務の働き方改革は企業にとっての大きな課題です。遠隔で現場業務に対応できれば、障がいのある方、高齢の方、育児・介護に携わっている方などにも働く選択肢を提供することができます。データセンターの設備管理業務もそういった現場業務の一つです。

データセンターの設備管理とは、24時間、365日稼働するサーバーなどのIT機器に電力を安定供給するために必要な電源設備(変圧器、変電機、非常発電機など)や、空調設備を運用管理する業務です。設備に不具合がないか日々点検し、異音や異臭など五感や経験則でしか気づけない繊細な変化をいち早く捉えて故障の有無を確認。故障が見つかれば原因を突き止めて工事などの対応を行います。熟練のノウハウや経験が求められるだけでなく、電気主任技術者などの資格が求められる点も人材採用のハードルを高めています。

解決に向けた取り組みのポイント:カメラとセンサーで人の感覚との整合性を解析

30年にわたりデータセンターを運用するD社では、設備管理の業務効率化に向けてロボット「ugo Pro」を導入。メーターの数値を正確に読み取るための4Kカメラや、異音や異臭を感知するAIセンサーを取り付け、1ルームに1台ずつ計3台を試験的に配備しています。

現在は、ロボットと人による管理を並行運用しており、故障時にロボットが読み取ったさまざまな数値データと人の感覚との整合性を解析し、故障や異変の判断基準の設定を検証しています(事例④図参照)。

成果と今後の展開:人による業務の削減効果、将来的にはデジタルツイン活用も視野に

ロボット導入の成果として、点検作業の約10%~50%、時間にすると1日1時間半ほどの削減効果を確認。点検頻度は2倍以上に高まりました。また、深夜にアラートが鳴った場合に、まずはロボットで火災の有無など緊急性を確認してから人が現地に向かうといった対応も可能になるなど、職員の働き方改善につながっています。

ロボット活用は、データセンター以外にも、プラントの管理や商業施設における空調や人流のコントロール、災害発生時の避難誘導などでの活用も期待されています。将来的には、ロボット、カメラ、センサー、ドローンといった多様なデバイスから集めたデータを総合的に解析して、デジタルツインによるシミュレーションに基づいた業務プロセスの実現につなげていくことができるでしょう。

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