保険業界のデジタル分野の課題や提言をまとめたホワイトペーパー“Data across the insurance value chain”を公開 ~AI(人工知能)・スマートデータ領域の示唆~
2021年2月3日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、Thought leadership注1の活動の一環として、保険業界のデジタル分野における特定の課題やテーマを分析し、マーケット動向や解決策の提言などをまとめたホワイトペーパー第一弾である、Data across the insurance value chainを公開しました。
本ホワイトペーパーでは、AIやスマートデータ領域のマーケット動向、今後の見通し、AIの成熟度フレームワークなどの分析や、それらの分析を通じたNTTデータの知見や提言を提示しました。
NTTデータグループでは、保険業界のビジネス変革を実現するパートナーとして、業界に役立つ情報をホワイトペーパーで共有しながら、グローバルレベルでの課題解決に取り組んでいきます。
ホワイトペーパーの概要
マーケット動向
保険業界では、すべてのビジネスプロセスで、AIやスマートデータを活用して高度な分析や予測を行うことが不可欠となってきています。そうすることで、お客さまへのサービス価値(適切な保険料、キャンペーン、請求プロセスなど)と企業としての事業価値を高めることが可能となります。
現在の事業環境の特徴としては、従来型の保険会社とは異なり、AI活用を主力に業界に参入している新規InsurTech企業の加速があります。さらに、投資ファンドは新規参入企業に関心を示し、2020年のコロナ禍でも、投資額・取引額は史上最大となりました。
今後の保険業界における見通し
保険会社はAI活用およびデータ活用をグローバル規模で推進し、多くのユースケースを作っています。
実際に InsurTech企業各社は、シンプルかつ拡張性のあるアプリケーションを開発し、保険サービスを提供することを強みにして業界に参入し、ユースケースを増やしています。例えば、アメリカの自動車保険では、オンラインで保険加入が可能なアプリなどを開発し、自動車から収集できるデータを使って、保険加入者ごとの運転状況に応じて保険料を変動させることができるユースケースがあります。また、アメリカの歯科保険は、保険加入者の口腔の健康状態を送信できる歯ブラシを開発したユースケースがあります。
さらに保険業界ではユースケースの実証段階を経て、最近では商用化を目前にしたサービスの拡張性や刷新という次の段階に入りつつあります。加えて、大規模なAI活用に向けては、コーポレートガバナンスに沿ったAI主導の組織において、AIやデータプロダクトライフサイクルを管理できるよう、AI戦略やMLOps注2の策定が求められています。
また、保険業界は金融業界とともに、責任あるAIの未来を形成する主要プレイヤーの一つです。そのため、AI活用に関する倫理感や信頼性、高度なセキュリティーが、保険会社に求められています。個人や行動データを大規模で管理する保険会社は偏見などを無くす仕組みを構築し、保険請求や引き受け管理などの領域でAIモデルのアカウンタビリティーをステークホルダーに提供できるよう明確な戦略を策定する必要があります。
NTTデータの提言
人々の生活の質の向上のためにAIを活用した新規ビジネスを創出する際には、事業戦略とのバランスを図っていかなければいけません。それに伴い、保険会社での競争が激化しており、以下のベストプラクティスが重要になると考えています。
- IT部門から切り離された少数精鋭チームの結成
- グローバルで連携のとれた組織体制やオペレーティングモデルの構築
- 新しいユースケースの活用
- 既成概念からの脱却
結論として、保険のバリューチェーンにおけるAIやスマートデータの活用は、収益とカスタマー・エクスペリエンスの両面で目に見える成果を出せる唯一の変革手法として、今後、戦略的優先課題の一つとなります。さらに、技術・人材の視点からも、持続可能な競争優位性になりえます。
ホワイトペーパーのダウンロードについて
本ホワイトペーパーは、こちら(英語) からダウンロード可能です。
今後について
今後、NTTデータグループでは、保険分野における蓄積された知見と技術力を生かし、今回のホワイトペーパー以外にも、特定の課題やテーマでシリーズ化し、順次公開していきます。
本ホワイトペーパーのシリーズを用いて、保険業界おける世界中のお客さまとともに未来像を描き、その未来を実現するための課題解決に取り組んでいきます。
注釈
- 注1ソートリーダーシップ(Thought Leadership)とは、特定のセグメントや分野における課題やテーマに対して、いわゆる目的とする市場やターゲット顧客に「見通し」、「知見」や「提言」を示唆し、共感と評価を生み出し、議論を持ち掛ける活動。
- 注2MLOps(エムエルオプス)とは、機械学習(ML)の開発チームと運用チームが連携・協力してモデルの開発から運用まで一連のライフサイクルを管理する基盤・体制。
- 文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
グローバルマーケティング本部
グローバルアカウント&インダストリー担当
宮西、前田
E-mail:global-marketing@kits.nttdata.co.jp