食品流通分野における無線ICタグの活用に関する実証実験を実施

ニュースリリース/NTTデータ

2003年4月24日

株式会社マルエツ
丸紅株式会社
株式会社NTTデータ

 (株)マルエツ、丸紅(株)および(株)NTTデータは、食品流通分野における無線ICタグの活用に関する実証実験を実施します。無線ICタグは、流通分野において、次世代の商品管理の仕組みとしての利用が期待されていますが、実際の運用に向けてはまだまだ課題も多いとされています。そこで3社は、この無線ICタグの実用化に向けた課題を検証するため、実験を行うことになりました。
 今回の実験では、食品が生産者や食品メーカから出荷され、卸売業者を経て、小売店の店頭に並び、最終的に消費者の手に渡るまでのライフサイクル管理における無線ICタグの有効性および課題を検証します。コード体系や通信方式に関する標準化の動きを補完し、共に無線ICタグの普及を後押ししていくことを目的とします。実験は、平成15年9月頃の開始を予定しています。

【無線ICタグとは】
 ICタグとは、超小型のICチップであり、読取装置と無線通信を行うことにより、必要なときに必要な情報の取り出し、書き込みが可能な媒体です。航空手荷物管理や電子チケットなどへの利用が始まっています。
 バーコードと比較して、(1)複数一括読み取り可能 (2)汚れやほこりの影響小 (3)複製・偽造が困難という特徴があります。また、ネットワーク接続を前提とした構成となっているため、ICタグに集約された膨大な情報を複数のプレイヤで共有できる等、様々な活用が期待されています。

【実験の特徴】
●個別商品に無線ICタグを付与
 これまでも、ICタグを使った実験が行われていますが、主に生産者から店舗までの物流の効率化を検証したものでした。しかし、今回の実験では、出荷の段階から商品の一つ一つに無線ICタグを付与し、最終的には消費者が食品を消費するまでの流れをトータルで検証することで、これまで課題とされていたコスト面での有効性を検証します。
●バリュー・チェーン・マネジメントの検証
 サプライ・チェーン・マネジメント(SCM)は、生産者から店舗までの物流を効率的に管理する手法です。一方、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)は、店舗と消費者の関係性強化のための手法です。無線ICタグの活用により、生産から消費まで、モノの流れである物流と情報の流れであるネットワークが融合し、CRMとSCMが一体となりバリュー・チェーンを構成します。
 バリュー・チェーン・マネジメントとは、局所的な効率化や関係性強化ではなく、消費者ニーズに応えることを目的とした、流通全体の最適化を図る手法です。生産から卸・輸送・店舗に至る各プレイヤが一体となって消費者に付加価値を提供し、同時に消費者の動向をフィードバックとして受け取ることができます。
 今回の実験では、消費者へのメリットとして以下の3点も同時に検証します。
  1. 商品の原材料や流通経路を確認し、安心して消費できること
  2. 生産者のメッセージやおいしい調理方法など付加情報を知ることができること
  3. 商品を使用した感想や意見を店舗や生産者に直接知らせることができること

【実験の概要】
●予定時期:平成15年9月頃
●実験の目的:
 今回の実験では、以下の4点を検証することを目的としています。
  1. 消費者へのサービス向上
    店舗において、より楽しくより便利に買い物ができる仕組みを検証します。
  2. 食品トレーサビリティ
    食品の生産から流通の情報を開示するだけでなく、より安心でよりおいしく消費するための情報提供の仕組みを検証します。
  3. 製販共同マーケティング
    販売、消費の現場を反映した生産計画および商品開発を支援する仕組みを検証します。
  4. 物流の効率化
    物流作業の効率化を支援する仕組みを検証します。

●実験概要:
 生産者や食品メーカから出荷される青果、精肉、鮮魚等の生鮮食料品や日配品、加工食品、日用雑貨等の商品個品に無線ICタグを取り付け、マルエツが提供する実験店舗のほか物流過程の各拠点に設置される読取装置において無線ICタグ情報を取得し、NTTデータが提供する情報センタへ関連情報を蓄積した後、情報の分析活用により、生産から消費に至る各プレイヤに情報提供等を行い、消費者志向の流通市場最適化について検証します。

【参加各社および目的と役割】
 現時点で実験参加を表明している企業は、マルエツ、丸紅とNTTデータの他に、大日本印刷株式会社とマイティカード株式会社(丸紅グループ)です。各社の今回の実験における目的と役割は以下のとおりです。
●マルエツ:
 マルエツは、お客様のレジ待ち時間の短縮によるサービス改善および自社の物流効率化を検討しており、また、店頭において安心・安全の情報を積極的にお客様へお知らせしていきたいと、考えています。
●NTTデータ:
 NTTデータは、NTT研究所の協力のもと、情報センタの構築・運営を担当します。情報センタでは、業種をまたがる各プレイヤへの情報提供、共同作業のための情報プラットフォーム機能を提供し、流通情報を活用した様々なアプリケーションの構築が可能になります。また、セキュリティや情報アクセス制御などの機能により、利用者が安心して利用できる基盤の整備を行います。
●丸紅・マイティカード:
 丸紅株式会社は、総合商社として総合物流のノウハウを蓄積して参りましたが、更にこの機能を強化すべく事業会社であるマイティカード株式会社が推進しているICタグを利用した高付加価値な物流ソリューションの基盤体制構築を行っています。今回の実証実験におきましては、丸紅株式会社、マイティカード株式会社の共同にて、ICチップの提供、RFID全般に係わる技術ノウハウ、サポートを提供します。
●大日本印刷:
 大日本印刷はICタグの製造を担当します。実際に流通される食品、雑貨品にICタグを取り付けることで流通過程に耐えうるICタグ製造・加工技術を検証します。また、流通店舗内における消費者動向の把握により、新たなインストアマーケティングの手法を検証します。
マルエツ、丸紅とNTTデータは、今後、生産者、食品メーカや物流分野などからの参加も広く求めていく予定です。

図:実証実験実施イメージ


本件に関するお問い合わせ先

株式会社マルエツ
広報IR部 湯本
TEL:03-3590-0016

丸紅株式会社
広報部 報道課 西崎
TEL:03-3282-4803

株式会社NTTデータ
広報室 龍
TEL:03-5546-8051