「ユビキタス社会のライフスタイル調査(RISS調査)」結果について 〜 閉塞感が広がるなか、これからの時代の活力源 『コラボレーション・スキル(協働力)』に期待 〜

ニュースリリース/NTTデータ

2004年3月19日

株式会社NTTデータ
(システム科学研究所)

 (株)NTTデータ システム科学研究所では、「ユビキタス社会のライフスタイル調査(RISS調査)」を2〜3年に1度実施しています。このほど2003年実施調査の結果の概要をとりまとめました。
 「ユビキタス社会のライフスタイル調査(RISS調査)」は、個人の変化動向を通じて、日本における情報化、社会・生活の動向を多面的に把握するために行っています。全国の18歳以上70歳未満の男女個人を対象に、調査票の訪問留置・訪問回収方式で2003年10〜11月に実施しました。有効回答は2,213サンプルでした。(回収率は73.8%)。      
* RISSとは、システム科学研究所(Research Institute for System Science)の略称です。

【主な調査結果】
  1. 情報化の動向
    • インターネット利用者の45.0%がオンライン・ショッピングを利用し、年間利用回数は平均9.1回、年間購入金額は平均8.6万円
       インターネット利用率は過半数(53.1%)を超え、そのうちオンライン・ショッピングの利用経験率(ネットオークションや個人売買での購入も含む)は45.0%(18〜69歳の日本人全体では23.9%)。オンライン・ショッピング利用者の年間利用回数は平均9.1回、合計購入金額は平均8.6万円。

      【グラフ】直近1年間のオンライン・ショッピングの利用経験


  2. 社会・生活の動向
    • 日本人の「活力」が徐々に減退
       過去10年間の日本人の変化をみると、情報に敏感で情報発信力が高い高活力層の割合が1994年(21.9%)から2003年(18.7%)にかけて3ポイント強低下している。その一方で、高活力層に追随する層は4ポイント弱増加しており、日本人全体の「活力」は徐々に減退している。


    • 【グラフ】日本人に占める高活力層の割合の変化

  3. コラボレーション・スキル(協働力)が高いほど、将来への夢があり、自分の願望を実現することへの自信を持ち、生活への満足度が高い。また、副業率も高い
     人と協働活動を行う際に重要な能力として、自己開示力、対人配慮力、自己判断・決断力、異なった立場の人への対話力・理解力など12のスキルを「コラボレーション・スキル(協働力)」と定義した。これが高いほど、将来への夢をもち(全体平均より18ポイント高い)、自分の願望を実現することへの自信を持ち(同15ポイント高い)、現在の生活への満足が高い(同8ポイント高い)人が多い。また、高コラボレーション・スキル層は副業率も高い。

【グラフ】自分の望むことは、かならず実現できると思う(数値は「かなり当てはまる」「まあ当てはまる」の合計)


【その他の調査結果】
  1. 情報化の動向
    • オンライン・ショッピング利用経験率のベスト3は、「宿泊」「本・雑誌」「衣料品」

    •  直近1年間におけるオンライン・ショッピングの品目別利用率をみると、「ホテルや旅館への宿泊」が最も多く26.8%。以下、「本・雑誌」20.4%、「衣料品」19.1%、「音楽CD・ビデオ・DVD・ゲームソフト」17.4%、「電車や飛行機の乗車券」16.8%、「演劇やコンサート、 スポーツ観戦のチケット」14.2%、「趣味・娯楽用品」13.4%である。

    • 購入金額全体に占めるオンライン・ショッピング購入比率ベスト3は、「パック旅行」「デジタルコンテンツ」「宿泊」

    •  直近1年間の購入金額全体に占める、オンライン・ショッピングでの購入比率が最も高い品目は、「パック旅行」で66.7%。以下、5割を超えた品目は「有料デジタルコンテンツ」61.2%、「ホテルや旅館への宿泊」60.0%、「電車や飛行機の乗車券」57.9%、「演劇やコンサート、スポーツ観戦のチケット」57.7%、「コンピュータのソフトウエア」51.9%、「コンピュータ及びその周辺機器」51.4%。※品目ごとの回答者(購入者)をベースとして算出。

    • オンライン・ショッピングで最も多い購入パターンは、「ネットで情報収集⇒ネットで注文予約⇒ネットでクレジットカード決済」で19.8%

    •  オンライン・ショッピングで最も多い購入パターンは、「ホームページで情報収集⇒ホームページ上で注文予約⇒インターネット上でのクレジットカード決済で支払」のパターンで2割(19.8%)を占め、以下「ホームページで情報収集⇒ホームページ上で注文予約⇒郵便振替/銀行振込で支払」で18.9%、「ホームページで情報収集⇒ホームページ上で注文予約⇒宅配便の代金引換」で7.8%。

    • インターネット・サービスの利用は、パソコン経由の方が携帯電話・PHS経由よりも、圧倒的にバラエティに富む(パソコン経由:9種類、携帯電話・PHS経由:3種類)

    •  パソコンを経由したインターネット・サービスの利用経験は平均9.0種類だが、携帯電話・PHSを経由したインターネット・サービスの利用経験は平均3.1種類。圧倒的に、パソコン経由の方がバラエティに富んでいる。

    • 今後高い伸び率が期待されるインターネット・サービスは、パソコン経由では「役所への電子申請」「レッスンや講義の受講」「オンライン・トレード」「インターネット中継放送」、携帯電話・PHS経由では「レストラン等予約」「オンライン・トレード」「インターネット中継放送」

    •  パソコン経由のインターネット・サービスで、利用意向率を利用経験率が大きく上回っている(利用意向率÷利用経験率の比が大きい)のは、「役所への電子申請」が10.5倍で最も高く、以下、「英会話のレッスンや大学講義などの受講」9.3倍、「オンライン・トレード」「スポーツやコンサートなどのインターネット中継放送」3.0倍。また、携帯電話・PHSからのインターネット・サービスでは、「レストランや飲食店の予約」の6.5倍が最も高く、以下、「スポーツやコンサートなどのインターネット中継放送」5.8倍、「オンライン・トレード」5.2倍。※現在の利用経験率1%以上が対象。

  2. 社会・生活の動向
    • 地方行政への市民参画の「経験層」は3割、「意向層」は過半数を超え、ともに拡大傾向
    •  市区町村の政策づくりや市区町村が企画した地域振興(まちおこし)のイベント運営への参画経験層は30.3%。今後(も)参加したい「参画意向層」は54.5%存在し、過半数が積極的なことがわかった。また、2年前と比べて、参画経験率は15.3%から30.3%へ15ポイント増加し、参画意向率も41.3%から54.5%へ13ポイント増加した。

    • 良い企業・応援したい企業は、「株主の利益に配慮する」企業よりも、「顧客の安全性」「適正な製品・サービスの調達」「技術革新」を重視する企業、「性・年齢に関わりなく従業員を評価・雇用の安定」など人材を重視する企業

    •  「良い企業・応援したい企業」の条件として重視する点は、「顧客の安全性への配慮」(93.2%)、「適正な製品・サービスの調達」(91.5%)「積極的な技術革新」(89.2%)に次いで、「年齢や性別に関わりなく、貢献している従業員を評価・処遇」(88.7%)、「従業員に対する雇用の安定」(86.8%)、「危機管理対策の徹底」(86.1%)、「従業員の教育訓練や能力開発などに熱心」(84.5%)が続き、「株主の利益に配慮」(44.2%)は最も低かった。

    • 社会保障費や税負担への議論が高まるなか、今後の望ましい社会としては「協働社会」と「自己責任社会」で二分

    •  今後の望ましい社会としては、「個人に対して税や社会保障負担を高く求めるが政府は充実した年金・介護・育児・医療などのサービスを提供する」、市民と政府の『協働社会』が40.0%、「個人に対して税や社会保障負担は低く抑え個人がsニーズや収入に合わせて、年金・介護・育児・医療などのサービスを購入する」ことを基本にした『自己責任社会』が36.3%でほぼ二分されている。

【 調査の概要 】
 NTTデータ システム科学研究所では、日本全国における個人の変化動向を通して、
  1. 社会動向:社会意識や規範、将来観、企業評価(良い企業・応援したい企業)など

  2. 生活動向:日本人の価値観、職業・家庭・地域における生活、雇用・労働(テレワーク)など

  3. 情報化動向:情報機器の利用やコミュニケーション、サービスの受容性、オンライン・ショッピングなどの消費行動(利用頻度と金額、購入パターン)、ユビキタスサービスの受容性、セキュリティ対策など

  4. を把握する多面的な調査を2〜3年に1回実施しています。

【 調査の詳細 】
  1. 調査地域:全国(210国勢調査地点)

  2. 調査対象:上記地点に居住する18歳以上70歳未満の男女個人

  3. 抽出方法:全国5ブロックと都市規模による層化二段無作為抽出方法

  4. 調査方法:調査票訪問留置・訪問回収

  5. 調査期間:2003年10月25日〜11月30日

  6. 調査数:3000配布、2213回収(73.8%)


 なお、調査報告書は3月下旬に完成する予定ですので、ご希望の方は下記までお問い合わせください。
 また、調査結果の詳細は、4月下旬にシステム科学研究所のホームページ(http://www.riss-net.jp/)でも公表する予定です。
本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
技術開発本部システム科学研究所 担当: 内藤、井上、小豆川(しょうずがわ)

〒104-0033
東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー
TEL:03-3523-8052
FAX:03-3523-6227
E-mail:naitouk@nttdata.co.jpbs-inouetmk@rd.nttdata.co.jpshouzugaway@nttdata.co.jp