PtoP型の新しいインターネット通信技術を完成 〜12/28から、プロジェクト連携会議、リモートコンサルティングなどの新サービスに応用〜
2006年12月27日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータは、簡単に安全な通信を可能とするPtoP(Peer to Peer)型の新しいインターネット通信技術を完成しました。
今回の技術は、NTTデータが研究開発を行っているオンデマンドVPN通信技術を利用したもので、これを用いて12月28日より、企業間のプロジェクト連携会議システムや、シェアードオフィス会議システム、リモートコンサルティングなどの新サービスの実証実験を行います。
実証実験では、シャープ株式会社、日本ヒューレット・パッカード株式会社などの協力を得て、構築、有効性の実証を行います。
【PtoP型の新しいインターネット通信技術について】
現在のインターネットでは、ブラウザを利用して、サーバにアクセスし、情報を検索・利用するWeb型の利用が主流となっています。一方でIP電話のように直接、端末と端末が通信する仕組み、PtoP型の通信はインターネット利用の新しいトレンドとなっています。
インターネットは簡単に利用できる反面、中を流れるデータは盗み見られる危険性があります。また、自分が通信を行いたい相手ではなく、実際には別の誰かと通信をしてしまうおそれがあります。これらを解決するためには、通信する相手の確認ができ、さらに通信内容を秘匿できる仕組みが必要となります。そのような確認と、秘匿されたPtoP通信とを実現するのが、オンデマンドVPN通信技術です。
これまでIP電話のように端末単体がPtoPで通信することまでは実現されてきましたが、本通信技術により、特に、複数の機器が存在するネットワーク同士をPtoPで通信させることが可能となりました(別紙1図参照)。
オンデマンドVPNは、ICカードを埋め込んだルータ等を活用することで、安全に通信を行うVPN(Virtual Private Network)を任意の地点同士で簡単に開設することができる通信技術です。NTTデータでは、これまで、総務省からの受託に基づき、「任意の地点同士」で「簡単に」、「安全に」通信を行うといった課題を、ICカードの認証技術と、接続に必要なアドレスの自動制御により解決してきました。本通信技術の研究開発3ヵ年目となる今年度は、拠点を管理するサーバを相互に連携させることで、インフラのように多くの企業・組織がつながる仕組みを実現させ、ほぼ研究開発を完了しました(別紙1図参照)。これにより、地域や企業グループを超えた任意の相手と、安全にPtoPでの通信を実施し、動画像などの共有や、遠隔制御を行うことを可能とする要素技術の開発が達成されたため、今回、本技術のフィールドでの検証を行うこととなりました。
用途として、上記の利用の他、医療領域、製造業領域、販売・サービス業領域等が有望なため、12月28日から、研究成果の実証の一環として、仕組みを利用する側のシャープ株式会社等と実証実験を行うことで実用性を最終確認し、今後の本格的な成果展開に結び付けます。
【具体的なサービス内容】
1.企業間の連携プロジェクトにおける統合会議システム
異なる企業が連携してプロジェクトを進めるにあたり、それぞれのオフィスにいながら、画像共有を行いながらTV会議を進める事により、業務効率を改善するツールです。
画像やファイルをもつサーバを、オンデマンドVPNルータでインターネットにつなげる事により、簡単に相手を選んで安全に図面や文書、データなどを共有してテレビ会議を行う事ができます。
実際の統合会議サポートツール、画像転送技術、オンデマンドVPNを組み合わせ、シャープ、NTTデータの各企業グループ間で、連携プロジェクトの業務効率化を図ります。
2.遠隔顧客対応システム(リモートコンサルティング)
窓口の端末を利用して、様々な企業の、様々なサービスや商品の担当者が、遠隔からサービスや商品案内を行うシステムです。
窓口端末を、インターネットにつなげる事で、窓口端末を通して簡単に、専門の担当者が、ホームページなどを見せて会話し、サービスや商品案内を行う事ができます。
担当者の在席拠点と、来客店舗を接続し、専門担当者が商品案内することで、パソコン等に普段触れない方たちの層も含めたサービス向上を図ります。
【サービスイメージ】
- 注) サービスイメージ図は別紙2参照
【参加企業(平成18年12月現在)】
シャープ株式会社 | : | 統合会議サポートツール提供、プロジェクト会議実証 |
日本ヒューレット・パッカード株式会社 | : | ワークステーション、画像転送技術提供 |
- 注) 参加企業の詳細は別紙3
【オンデマンドVPN技術の研究開発について】
NTTデータでは、総務省の委託研究開発である高度ネットワーク認証基盤技術の研究開発(オンデマンドVPN技術)を平成16年度より受託し、オンデマンドVPN技術の研究開発を進めています。最終年度となる今年度は、研究開発成果をもとに実証実験を行い、有効性の評価を実施します。また、相互接続技術について、仕様開示を行い、研究成果の普及促進を図ります。
【今後について】
実験成果をまとめるとともに、3ヵ年の研究開発の最終年度として、継続して、目標達成に向けた研究・開発を行います。また、実証実験を行った技術について、次年度の成果展開を目指します。