インターネット上の音楽や映像を高速・高精度に特定可能なコンテンツモニタリングサービスの提供を開始 〜メディアコンテンツの著作権管理や収益化に利用可能〜
2008年12月 1日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータは、インターネット上などのファイルに含まれる既知のメディアコンテンツ(音楽や映像など)を自動的に特定するサービスを、著作物のオンラインモニタリングサービス大手BayTSP社注1(本社:米国カルフォルニア州、CEO:Mark Ishikawa)に対して、本日12月1日より提供開始します。
BayTSP社が保有する、投稿サイトやP2Pネットワーク上に存在するメディアファイルを収集する技術と本サービスが連携することで、デジタルメディアコンテンツを高速・高精度に検索する自動モニタリングサービスが実現します。
【背景と目的】
現在、投稿サイトやP2Pネットワークなどにおいて、第三者が著作権を有するメディアコンテンツ(音楽や映像など)の無許可利用の問題対策や、特定のコンテンツを直接検索したいといった要望が高まり、メディアコンテンツ特定に対するニーズが増大しています。これまで、コンテンツの特定には、主に人手による目視確認により行われてきましたが、サイト数やコンテンツ量の増大に伴い、効率的かつ高精度な自動モニタリングシステムが求められるようになりました。
NTTコミュニケーション科学基礎研究所注2では、同研究所が開発したロバストメディア検索技術(RMS技術)注3を用い、BayTSP社と共同で本年4月からインターネット上のコンテンツを特定する実験を実施してまいりました。この実験の結果、RMS技術のコンテンツ検索の有効性、有用性を確認することができたことから、NTTデータでは、RMS技術を利用したメディアコンテンツ特定サービスの商用化を検討し、今回、BayTSP社に提供することと致しました。
NTTデータが本サービスの提供を開始することにより、BayTSP社が保有するメディアファイル収集技術、コンテンツのワークフローシステム(登録・削除・結果分析)と、NTTデータの高速・高精度なコンテンツ特定サービスが組み合わされることになり、コンテンツの登録から、対象コンテンツの検索・検出、検出されたコンテンツへの対処といった一連の流れが、システム化されることになります。(図1)
(図1)モニタリングサービスの概要
【提供内容】
NTTデータが提供するコンテンツ特定サービスは、メディアファイルから抽出した特徴データと、データベースに格納したオリジナルコンテンツの特徴データとを照合することにより行われます。NTTデータは、これら特徴データの抽出機能および照合機能を提供します。
具体的なサービスの流れは以下の通りです。
BayTSP社は、NTTデータが提供する特徴抽出プログラムを用いて、コンテンツホルダから委託されたコンテンツから特徴データを抽出し、RMSシステム(日本国内に設置)に登録します。次に、投稿サイトやP2Pネットワークからメディアファイルを収集し、これらのファイルも同様に特徴データを抽出して、RMSシステムに送ります。RMSシステムは、登録されたコンテンツが送られてきたファイルに含まれているかどうかを検出し、結果をBayTSP社に返します。なお、特徴データの抽出と照合は、音と映像の両方によって行います。(図2)
12月からのサービス開始当初においては、以下の規模で提供します。
- 対象コンテンツ量:約2000時間相当
- 一日に処理できる問い合わせファイルの量:約100万分相当(例:平均4分の映像クリップの場合、25万件に相当)
(図2)コンテンツ特定サービスのシステム概念図
【今後の展開について】
NTTデータは、今回のRMS技術を用いたサービス提供実績を生かし、安心で適正なコンテンツ流通の実現を目指してサービスの展開を図っていきます。
<用語解説>
注1 BayTSP社
米国の大手メディアグループ企業やハリウッドの著名な映画制作会社を顧客に持つインターネット上の著作物(映画、音楽、ソフトウエア、出版物)に対するモニタリングや著作権侵害への対策サービスを提供している企業。
注2 NTTコミュニケーション科学基礎研究所
人間科学と情報科学を融合した学際的なアプローチにより新しい技術、原理、概念を創出し、情報通信サービスにつなげる基礎研究を行うNTT研究所の一つ。
注3 ロバストメディア探索技術(RMS技術)
音や映像から抽出した特徴データ同士を高速に照合することで、音や映像の断片に既知の特定の音や映像が含まれているかどうかを判定できる、メディア探索技術と呼ばれる技術。音・映像ともに探索のロバスト性(品質の劣化や変化への耐性)が極めて高く、加工や編集が行われた音や映像に対しても元のコンテンツを高い確率で特定できるなどの特長がある。