「モバイル通帳プリンタ」の販売開始 〜特許出願中の技術で信用金庫の渉外支援業務を省力化〜
2009年3月23日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(代表取締役社長:山下 徹、本社:東京都江東区、以下NTTデータ)は、信用金庫の渉外支援業務を省力化する「モバイル通帳プリンタ」の販売を開始します。
「モバイル通帳プリンタ」は、信用金庫の渉外担当者がお客様先に集金訪問に行った際に、通帳を営業店に持ち帰ることなくその場で記帳ができる仕組みで、通帳を預かること(預かり管理業務)による通帳の紛失リスクを削減すると同時に、帰店後の事務負担を軽減することができます。
渉外支援業務は信用金庫における重要な業務であると同時に、コスト競争力強化のために事務負担の削減が求められています。NTTデータでは、「モバイル通帳プリンタ」を始めとして、信用金庫におけるさまざまな課題に応えてまいります。
なお、「モバイル通帳プリンタ」を用いた勘定系ホストサーバ〜通信ネットワーク〜プリンタまでの一連の処理方式やアプリケーションなどをまとめた、顧客と信用金庫の渉外担当者の利便性を高める仕組みについて、当社は特許を出願済みです(特願2008-085145号)。
【背景】
信用金庫は地域に密着した金融サービスを提供することが事業の中心であり、信用金庫の渉外担当者がお客様先へ訪問し、さまざまな相談を受けたり、入出金の手続きや記帳を代行する渉外支援業務が重要な事業の一つになっています。
一方で、地域における競争力強化のためのコスト削減も並行して行わなければならず、また営業店と訪問先を行き来する際の紛失リスクにも対応しなければなりません。渉外支援業務の中でも「預かり管理業務」と呼ばれる、お客様の通帳を預かり、営業店にて記帳を行い、お客様にお返しする業務においては、事務の負担と紛失リスクへの対応の両面で改善が求められています。
【概要】
「モバイル通帳プリンタ」は、小型・軽量の通帳記入用プリンタであり、通帳記入・入金処理などをオンラインで処理し、訪問先での記帳処理ができるものです。現在、既に入金処理等を訪問先で処理するためのモバイル端末を利用いただいている場合には、既存設備を活用して「モバイル通帳プリンタ」をご利用いただくことが可能です。
なお、2008年8月から、亀有信用金庫(理事長:矢澤孝太郎)様にて「モバイル通帳プリンタ」を試行導入いただき、その効果が実証できたことから、同12月より本格導入いただいています。
「モバイル通帳プリンタ」が提供する機能は以下の3つです。
- オンライン入金機能
渉外担当者が、金融機関外において、預金者からの入金処理をリアルタイムに元帳を反映させることで、不渡りや引き落とし延滞を防止し、かつ渉外担当者あるいは預金者の預かりに関わる不正を防止することが可能となります。 - 通帳記帳機能
現在、通帳を利用した取引は、利用者が店舗窓口あるいはATM(現金自動入出金システム)まで出かける必要がありますが、本機能により渉外担当者が訪問先等の窓口以外での記帳が可能となります。そのため、遠方のお客様や高齢者に対して顧客サービスの向上を図ることが可能となります。 - セキュリティ強化機能
- 認証処理
渉外担当者の識別を行い、通信処理を許可するか否かを判定することで不正な通信を防止することが可能となります。 - 取引規制
予め口座毎の入金制限額を設定させ、取引ごとに各口座の入金累計額が制限値を超えているか否かを判定することで渉外担当者あるいは預金者の誤りや不正を未然に防ぐことが可能となります。また営業店端末に取引履歴をリアルタイムで表示させ、営業店でも取引を把握することが可能となります。 - 通信処理
インターネットを介さずに通信を行っているため、セキュアな通信を実現しております。
- 認証処理
【特許について】(特願2008-085145号)
本特許出願の発明は、渉外担当者が外出先で預金者からの入金処理を即時に元帳に反映させること等により不渡りや、渉外担当者および預金者の不正を防止することができるものです。
【「モバイル通帳プリンタ」の提供にあたって】
NTTデータがサンプリング調査(店舗数40〜50、渉外担当者数150人前後)を行ったところ、「預かり管理業務」における通帳預かり数は1営業店1日平均で約40冊、渉外担当者1人あたりの通帳返却のみのお客様訪問数は1日平均で5軒、という調査結果が出ています。これらの渉外担当者の管理業務を「モバイル通帳プリンタ」導入により削減できると考えています。導入により削減できた管理業務を他のサービスに展開することで、地域における競争力強化をもたらし、今までにもましてより充実した顧客サービスの提供につながるものと考えられます。
NTTデータでは、「モバイル通帳プリンタ」の提供が、信用金庫における事業変革に向けた第一歩になるものと考えています。