SaaS事業者向けサービス基盤の共同開発成果と事業展開について
2009年7月29日
NTTコミュニケーションズ株式会社
株式会社NTTデータ
日本電信電話株式会社
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下:NTT Com、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和才 博美)、株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ、本社:東京都江東区、代表取締役社長:山下 徹)、日本電信電話株式会社(以下:NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:三浦 惺)は、セキュアで高信頼の次世代ネットワーク (NGN) などを活用してSaaS注1ビジネスを支援する「SaaS over NGN」注2の取り組みの一環として、SaaS事業者向けサービス基盤の共同開発を進めてきました。
このたび、NTT Com、NTTデータは「SaaS基盤共通機能群」をワンストップで柔軟に提供できることとなり、今後は、「SaaS基盤共通機能群」を用いた事業展開を推進していきます。
- SaaS事業者向けサービス基盤の共同開発の概要
NTT ComとNTTデータは、SaaS事業者や企業のお客さま(エンドユーザ)の多様なニーズに応える利便性の高いサービス基盤を、NTTグループとして提供するため、平成20年9月より、各種企業ネットワークへの対応を強みとするNTT Comの「BizCITY for SaaS Provider」注3の機能群と、アプリケーション連携を強みとするNTTデータの「VANADIS SaaS Platform」注4の機能群を相互利用できるようにする機能の開発を行ってきました。
本サービス基盤の開発には、NTTの研究所の技術も活用しています。 - 共同開発した「SaaS基盤共通機能群」
- 認証基盤機能(多要素認証機能、シングルサインオン機能、ID管理機能)
NTT Comが開発した多要素認証機能とNTTデータが開発したシングルサインオン機能・ID管理機能とを組み合わせ、NTT情報流通プラットフォーム研究所が開発したSAML技術注5を活用した認証基盤機能。 - SaaSポータル機能
NTTデータが開発したSaaSポータル機能。エンドユーザに対して、SaaSアプリケーションを販売・決済するためのポータルサイトを実現する。 - 料金回収代行機能
NTT ComのVPNサービスの料金請求に、SaaSアプリケーションの利用料金を重畳し、NTT Comが料金回収を代行する機能。 - マルチペイメント/クレジット決済機能
全国の金融機関や収納機関、クレジット会社と接続された決済ネットワーク機能。 - ネットワークゲートウェイ
SaaS事業者のサービスをNTT Comのネットワークサービス(e-VLAN、Arcstar IP-VPN、Group-VPNなど)、またはインターネットと接続する機能。 - Webシステム構築基盤
NTTデータグループで開発した、Intra-mart、TERASOLUNAなど、Webシステム構築に必要なアプリケーションサーバーやフレームワーク、業務コンポーネント、アプリケーションをパッケージ化したもの。
- 認証基盤機能(多要素認証機能、シングルサインオン機能、ID管理機能)
- NTT ComとNTTデータの事業展開(別紙1、別紙2)
NTT ComとNTTデータは「SaaS基盤共通機能群」を活用して、それぞれにSaaS事業者および企業のお客さま(エンドユーザ)にサービスを提供していきます。SaaS事業者は、SaaS基盤共通機能群の中から必要な機能を柔軟に組み合わせることで、自社開発するよりもSaaSビジネスを安価で早期に立ち上げ、投資リスクを抑えることが可能となります。また、企業のお客さま(エンドユーザ)は、NTT ComとNTTデータが展開する様々なSaaSラインナップから必要なサービスを選択し、利用することが可能となります。
- NTT Com
今後、今回開発した「SaaS基盤共通機能群」を用いて、主に以下2つの事業を展開していきます。- SaaS基盤事業(PaaS注6事業)
今回開発したSaaS基盤共通機能群から「認証プラットフォーム機能」をNTT ComのSaaS基盤事業(PaaS事業)「BizCITY for SaaS Provider」に追加し、平成21年8月より受付を開始します。
「BizCITY for SaaS Provider」は「サーバーホスティング」のほか、SaaS基盤共通機能群に含まれる「ネットワークゲートウェイ」、「料金回収代行」などの機能を備え、多くのSaaS事業者に対しサービスを展開しています。
SaaSポータル機能などその他のSaaS基盤共通機能群についても、「BizCITY for SaaS Provider」への適用を順次検討し、今後もサービス内容を拡充していきます。 - 他事業者SaaS基盤との相互接続
今回開発したSaaS基盤共通機能群を含むNTT ComのSaaS基盤と他事業者SaaS基盤とを連携し相互接続していきます。
- SaaS基盤事業(PaaS注6事業)
- NTTデータ
今後、今回開発した「SaaS基盤共通機能群」を用いて、以下3つの事業を展開していきます。- SaaS事業
今回開発したSaaS基盤共通機能群を活用したPaaS上で分野毎、アプリケーション毎にさまざまなSaaSサービスを順次展開します。具体的には、NTTデータグループにおける、税関連の情報を扱うアプリケーションを中心としたBizplat、企業向けERPを中心としたBiz∫、地図情報をベースとしたMaDoREなどの展開を計画しています。 - PaaS事業
今回開発したSaaS基盤共通機能群と、NTTデータグループにおけるHaaS注7機能などを統合し、SaaS型のアプリケーション開発・運用や、SaaSを活用したSIを効率的に行うためのPaaS事業(仮称:VANADIS PaaS)を行っていきます。まず年内を目処に、NTTデータグループにおけるSaaSビジネス展開に向けて適用することから始めていきます。 - SaaS基盤構築事業
今回開発したSaaS基盤共通機能群により、SaaSの構築を希望されるお客さまのSaaS基盤の構築支援を行っていきます。本日より営業を開始します。
- ID管理、認証:VANADIS Identity Manager/VANADIS SSO 平成17年12月 提供開始
- MaDoRE(位置情報コンテンツおよびアプリケーション配信プラットフォーム) 平成21年7月6日 提供開始
- Green Data Center 平成20年10月 提供開始
- 決済機能:CAFIS、ANSERなど
- SaaS事業
注1 SaaS (Software as a Service)
ソフトウエアをネットワーク経由で提供するサービス
注2 SaaS over NGN
様々なパートナーの皆様と協業・連携して、NGNを中心とした安心・安全なICT基盤上に新たなSaaS市場を創造してゆくNTTグループのビジョンです。高信頼・高可用性を確保したネットワーク/データセンターや利便性の高いプラットフォーム、コンサルティングやカスタマサポートなどをトータルに提供していくことを目指す。
注3 BizCITY for SaaS Provider
NTT Comが提供するSaaS事業者向けの基盤サービスの名称
注4 VANADIS SaaS Platform
NTTデータがNTTデータイントラマート社Intra-martとも連携し提供するSaaS事業者向け基盤サービスの名称
注5 SAML (Security Assertion Markup Language) 技術
IDやパスワードなどの認証情報を安全に交換するために標準化団体によって策定された仕様であるSAMLを応用した技術
注6 PaaS (Platform as a Service)
ソフトウエアを稼動させるためのプラットフォーム機能をネットワーク経由で提供するサービス
注7 HaaS (Hardware as a Service)
サーバやストレージなどのハードウエア資源をネットワーク経由で提供するサービス